ネット右翼
Lua エラー package.lua 内、80 行目: module 'Module:Message box/configuration' not found Lua エラー package.lua 内、80 行目: module 'Module:Message box/configuration' not found ネット右翼(ネットうよく)とは、インターネット上で右翼的な発言をする人々の総称[1][2]。略称はネトウヨ[3]。
意味[編集]
インターネットのTwitter、電子掲示板上などで、右翼的、国粋主義的、国家主義的、復古主義的な主張をする人たちを意味する[4]。
メディアによっては「ネット保守」という用語を使用するものもある[5]。
近年になって形成された新しいスラング (俗語) であるため、後述するように論者によって意味内容が異なり、定義も曖昧である。概略的な意味としては、ネット上の右翼的、保守(≒復古主義)的、国粋主義的な性向を持つ人々を指すとされ[4]、メディアによるレッテル貼りとして用いられているとの見方(濱野智史)[6]もある。一方で、小林よしのりが、ネット右翼のことを「国家というものを持ち出しさえすれば自分自身の自意識を底上げできる、という人間」と批判し[7]、櫻井よしこが「感情にまかせて単に半島に帰れなどと叫ぶとしたら、それは愛国でも保守でもありません」と批判し[8]、西部邁も「ある種の反知性主義としか言いようのない、下品な言葉遣い、他人に対する誹謗中傷、罵詈雑言がある」と批判[9]するなど、同じ保守的とされる人たちが、ネット上の感情的な人々に限定して「ネット右翼」と呼ぶこともある。また、思想傾向とは無関係に、ネット掲示板における投稿内容の匿名性や群集性のもつ攻撃的性向を、ある種の「右翼」的発言と揶揄するための造語でもある。それ故、「ネット右翼」という言葉にポジティブな意味はないが[6]、敢えて自称する者もいる(例として瀬戸弘幸[10])。ただし、後述するように、単に自尊自大で排外的な表現を用いる人たちを指したり[7][8]、そのような集団心理的な傾向を指す[11]こともある。
後述するようにインターネットでは「左翼」よりも「より極端な」発言とされる「右翼」・ナショナリズムへの傾向が強いと、集団極性化現象の分析などで指摘されている[12][11]。
コミュニケーション論研究者による操作的定義としては、社会学者で大阪大学人間科学研究科准教授の辻大介による研究がある。辻はいわゆる「ネット右翼」の調査において、a)韓国・中国いずれにも親しみを感じない、b)「政府関係者の靖国神社公式参拝」「憲法9条第1項改正」「憲法9条第2項改正」「小中学校の式典での国旗掲揚・国歌斉唱」「小中学校での愛国心教育」の5項目すべてに賛成、c)政治・社会問題についてネット上で書き込みや議論をした、のすべての条件を満たす者を「ネット右翼」的と見なした[13][14]。ただし、これはあくまで調査のための定義である。
用法[編集]
「ネット右翼」という言葉は1990年代の後半、インターネット上のT-cup掲示板で使われたのが最初である。当初は自称であって、蔑称ではなかった。その頃は「電網右翼」という言い方もあって併用されていた。後に2ちゃんねる(現・5ちゃんねる)ができると「J右翼」という言い方も生まれ、これは2ちゃんねる草創期に使われたが長続きせず「電網右翼」や「J右翼」という言葉は消えていった。この言葉がネット以外の既存マスメディアに登場したのは、佐々木俊尚による2005年5月8日産経新聞のコラム『【断】「ネット右翼」は新保守世論』[15]において紹介されたのが日本の新聞紙上での初めての用例とされている。2006年3月14日にはジャパンタイムズに「Net uyoku」の表記で採り上げられた[16]。2013年4月にもやはり産経新聞(大阪本社版)で、インターネット上を主な活動範囲とする、自称右翼団体幹部による傷害事件が「ネット右翼幹部を逮捕」と報じられている[17]。韓国のソウル放送は2012年10月にインターネット上で嫌韓動画や侮辱コメントを流す日本人ユーザーを「ネット右翼」として紹介している[18]。
定義は様々で、デジタル大辞泉の解説のように、保守的、国粋主義的な意見を発表する人々をネット右翼としている[19]ものがあれば、ニューヨーク・タイムズのように、自分たちの生活状況への落胆を外国人排斥へと繋げている青年[20]をネット右翼と捉えているものもあり、朝日新聞は「自分と相いれない考えに、投稿や書き込みを繰り返す人々」をネット右翼と定義し[21]、彼らの意見が概ね右翼的であるためそう呼ばれているのだとしている。
政治との関連[編集]
本来の右翼・保守とネット右翼[編集]
右翼団体同血社会長・河原博史は、ネット右翼の排外主義・人種差別的な行動や発言に対して「ある民族を自分たちより劣等とみなしたうえで、自らの国は素晴らしいというのは、彼らが嫌いな中華思想に代表される自民族中心主義にほかならない」と非難した[22]。新右翼の一水会代表・木村三浩もネット右翼について「右翼の品格にあらず」と発言しており[23]、自らの属すような新右翼とは異なる別種の右翼と見る。元代表・鈴木邦男も、ネット右翼に対して「あの人たちは愛国者を気取っているけれど、むしろ国を冒涜しているとしか思えない。口汚く罵倒することが愛国心だと信じているならば、日本にとっても大きな迷惑ですよ 」と主張しており[24]、かつて西欧に対し堂々と公の場で「人種差別はNO!」と言った日本が、今やその西欧から逆に説教を受けているという現状は、まさしく「日の丸が泣いている」という表現が適当だとしている[25]。
日本国体学会理事で靖国神社崇敬奉賛会青年部「あさなぎ」元理事の金子宗徳は、保守・右翼の立場から「ネトウヨや安倍信者にしても、我々とは何か違う。率直に言わせてもらえば、『軽い』なと」「保守的で素直な人が多かったけれども、自分の生まれ育った社会に根源的な違和感がない。悪いリベラル・左翼によって、すばらしい日本の国が汚されているという単純な図式に基づいて活動をしている。なぜ現状に対してそこまで肯定的になれるのか、悪いのは左翼だけなのか、どうにも理解できませんでした」と主張している[26]。
民族派運動家の蜷川正大は、ネット右翼について「全然評価しない。僕は匿名でモノを言う人は右も左も嫌いです。自分の言動に責任を持つのは最低限のマナーだと思うからです。こたつの中でヌクヌクとしてながら過激な言葉を発するのは男のすることじゃない。例えば朝鮮人がどうとか個人の国籍を否定しても意味がない。個人に石を投げるのは卑怯じゃないですか」「僕は右翼ですけど、実は左翼の友達もいっぱいいる。野村の慰霊祭を毎年開いていますが、元連合赤軍活動家の植垣康博さんも参加してくれている。人と付き合うのに思想なんか関係ない。右翼の中にだって嫌いな人もいっぱいいます」と述べている[27]。
自民党衆議院議員を務めた加藤紘一も、「従来の民族系右翼とは異なる側面を感じる。私たちがそもそも、家族や地域社会、職場とのつながりを断ち切られ、糸のきれた風船のようになってしまっているのではないか。そういう状態にあれば、隣国との闘争を煽ろうとする過激なナショナリズムになびく人々が出てきても不思議ではない。」と述べている[28]。
保守的な雑誌とされる『SPA!』は2015年10月27日号において「図解[ネットデマ]に踊らされる人々」という特集を組み、その中で「ネトウヨには、本当に迷惑してます」 と憤る右翼団体職員の男性のインタビュー記事を掲載している。記事によると男性は「最近、講演にネトウヨが来るようになったのはいいが、質疑応答で『マスコミは在日に乗っ取られている』とか、デマを本気で信じた発言を繰り返す。我々までバカだと思われるので、お願いだから本当にやめてほしい」と右翼の立場からネット右翼を批判している[29]。
同じく保守的な雑誌とされる『SAPIO』の2012年8月22・29日号において「ネトウヨ亡国論」という特集が組まれた[30]。これに対して『WiLL』2013年2月号において西村幸祐と安田浩一の対談「緊急激論 「ネトウヨ亡国論」に異議あり!」が掲載された[31]。
著述家の古谷経衡は評論家の宇野常寛との対談において「ネット右翼は保守ではない」と結論付けている[32]。
自民党支持者説[編集]
2009年9月1日、J-CASTニュースで、自民党が選挙で下野した際に、2ちゃんねるにおける自民党支持者が「ネット右翼」として捉えられた[33]。この記事では、「ネット右翼」とは戦後民主主義知識人の伝統(いわゆる「進歩的文化人」)として左寄りの報道を繰り返すマスコミに対して「本当のことを報じていない」とする反発から生まれたものであるとしている。
小泉純一郎との関連[編集]
民主党のブレーンである山口二郎は2006年9月に小泉純一郎について「『心の問題』を持ち出して靖国参拝を正当化したが、これは攻撃的引きこもりともいうべき状態である。ネット右翼たちは、これを見習って、蛸壺に閉じこもりつつ、気にくわない言説への攻撃に精を出す。政治家の跳ね上がりにお株を奪われた右翼は、より過激な闘いを求めて放火事件を起こす」[34]と主張している。なお、文中の「放火事件」とは同年8月に発生した加藤紘一宅放火事件を指すと思われる。
安倍晋三との関連[編集]
一部の雑誌でネット右翼を素材とした記事が作成されている。安倍自身は、2013年5月7日の参議院予算委員会の答弁で自身のFacebookに排外デモ同様のコメントが寄せられていることを認め、「他国の人々を誹謗中傷し、まるで我々が優れていると認識するのはまったく間違い。結果として自分たちを辱めている」と述べている[35]。
- 『週刊ポスト』2012年10月12日号において「自民総裁選 石破茂氏、ネトウヨによる落選運動に悩まされた」という記事が掲載された[36]。
- 『週刊現代』2012年10月20日号にて、田原総一朗と山田惠資の対談「安倍晋三とネット右翼 野放しにしたら日本が終わる」という記事が掲載された[37]。
- 『朝日新聞』2012年12月27日の特集記事「〈耕論〉ふたたび安倍政権」において「ネット右翼ともたれ合う」という小林よしのりへのインタビューが掲載された[38]。
- 『週刊朝日』2013年2月1日号において、「安倍首相よ、今こそネット右翼と決別せよ!」という特集が組まれた[39]。
- 『SAPIO』2013年2月号にて、安田浩一のリポート「ネトウヨの安倍氏支持はマスコミとの対決姿勢」が掲載された[40]。
山口二郎は、2014年11月23日の東京新聞への寄稿の中で「ネトウヨ言説に代表される精神と知性の劣化という時代風潮を、安倍首相こそ象徴しているのか」と述べ[41]、2015年11月16日の韓国のハンギョレ新聞の寄稿でも、安倍晋三の慰安婦問題への姿勢に関連して「日本の政府全体がネット右翼と歴史修正主義に汚染されているということである。戦後の終わりはそのまま日本が野蛮国に転落する危機である」と主張した[42]。
有田芳生は、ネット右翼による在日韓国・朝鮮人へのヘイトスピーチを伴ったデモが2013年に入って拡大していることについて、前年末に発足した第2次安倍内閣の影響であるとしている[43]。有田は、ネット右翼が過激化した背景として、彼らが安倍を自分たちの仲間とみなし、かつ自分たちが主流派であると感じるようになったことにあると述べている[43]。
細野豪志の発言[編集]
細野豪志はネット右翼について2012年11月12日の衆議院予算委員会での質問において「私は、インターネットなどを見ていて危惧を覚えるんですよ。ネット右翼というような言葉が今や定着していますね。シナという言葉、第三国人という言葉は、ネット上で、それこそいわゆる日常会話のように流布している部分がありますよ、そういう世界では」と発言した[44]。
米国のマスメディアでの使用例[編集]
ニューヨーク・タイムズで日本と中国・韓国の間での歴史教科書問題などで中国韓国の要求に応じようとしない日本を「軍国主義の過去の歴史を美化する」として批判する[45]などノリミツ・オオニシの後任のマーティン・ファクラーは、2010年8月29日に同紙で“Net right(ネット右翼)”として在日特権を許さない市民の会などの行動を伝え[46]、「日本社会の中下層の青年たちは、自らの生活に対して失望・落胆した感情を、インターネットなどを通じて外国人への排斥につなげている」「彼らの矛先はアジア人の他、キリスト教徒にも向いている」と主張した[20]。
都知事選と中年の右傾化[編集]
2014年東京都知事選挙において、立候補した田母神俊雄が61万票、得票率約12%を獲得し、供託金没収を免れたことが開票後大きな波紋を呼んだ。産経新聞は「これはもう善戦どころではない」と評した。特に、出口調査では20代のうち24%が田母神に投票していたことから、「若年層の右傾化」としてネット右翼がメディア各社で大きく取り上げられ、国内のみならず海外でも報道された[47][48][5][49][50]。ただし、20代の投票率は20%台であり、20代で実際に田母神に投票した人の割合は6%程度[51]。
有権者に対する得票数の割合では40代が一番多く、若い世代ほど少ないという結果であり、「ネット右翼の主年齢層が40代後半である」という分析結果[52]と一致する結果となった。
なぜネット右翼は安倍政権を支持するのか[編集]
2015年7月31日、元格闘家でタレントの須藤元気が自身のTwitterで「今後、格差を助長する安倍政権を支持するネトウヨ。そのネトウヨ自身が弱者ということに気がついていないパラドックス。いつの時代も皮肉です。」などと書き込んだ。これに対して著述家の古谷経衡は、ネット右翼が(須藤元気いわく)弱者政策に疎い(はず)の安倍政権を支持する理由は、彼らネット右翼は独力で小資本を形成してきた大都市部の自営業者が多く、決して社会的弱者ではないからだとした。ネット右翼の政治的関心は、主に「安全保障問題」「中韓など周辺国と日本の問題」「歴史認識問題」「既存の大手マスメディア問題(批判的な意味で)」「憲法問題」などの生活や社会的なものとは遠く、国家的、あるいは多国間を相手にしたマクロ的な問題にフォーカスしており、年金、子育て、医療福祉、教育、貧困問題など、生活や地域に密着したような話題は関心を示さない。それは彼らが社会的弱者ではなく寧ろ経済的にも時間的にも余力のある都市部の中産階級であるからだとし、貧困問題や生活保護問題に対しては無関心かつ総じて冷淡であると述べた。だからこそネット右翼は根が深く、資本主義社会の「小成功者」であるネット右翼たちは貧困問題や失業を「怠惰」「自己責任」として唾棄する傾向にあると指摘している[53]。
分析[編集]
実証的分析[編集]
ネット右翼に関する実証的研究は、地道になされてきたものの、ネット右翼自体が社会の中で極めて少ないため、通常規模の社会調査では把握が難しかった[54]。そのため、後に8万人規模の調査を実施するにあたって、社会意識論を専門とする学者の吉永希久子は、ネット右翼の項目を含めるように提案がなされた[54]。そして松谷満、樋口直人を含めた共同研究による大規模調査によって、広く世の中に流布されてきたネット右翼像とは大きく異なった実態が明らかになった[54]。
8万人規模の世論調査[編集]
吉永希久子は2017年12月に実施された「市民の政治参加に関する世論調査」のデータを用いて、「ネット右翼になりやすいのは誰か」という問いを社会的属性、社会経済的地位、社会的孤独、政治的・社会的意識、メディア利用の側面から分析する[55]。
社会的属性に関して、ネット右翼は自民党や安倍首相に好感を持ち保守を自任している[56]。また、今までネット右翼は若年男性、特に社会経済的に弱い立場の若者というイメージがあったが、調査のデータ上では男性の方が女性よりもネット右翼である割合は高かったが、年齢に関しては関連が強くなかった[57]。
社会経済的地位に関して、古谷経衝が唱えていたネット右翼のステレオタイプである「学歴における低学歴」「年収における低所得」「社会的地位・立場における底辺」といった特徴[58]は見出されず、非正規雇用層では低く、経営者・自営業者や正規雇用で高い傾向にあった[59]。
社会的孤独に関して、古谷経衝が唱える「外見上〈異性経験〉の底辺」という負のイメージ[58]、つまり独身であることや友人や地域とのつながりを持たないというネット右翼のイメージや、安田浩一が唱える「仲間」「逃げ場所」「帰る場所」といった排外主義運動が与えてくれる承認が重要な意義を持つというネット右翼のイメージ[60]があった。そして、調査データを分析した結果、配偶者や相談相手の有無とネット右翼のなりやすさには統計的に有意な関連が見られたものの、関連は弱く、配偶者や相談者がいるグループとの明確な割合の差は見られなかった[61]。
政治的・社会的意識に関して、ネット右翼は、政治的有効性感覚、権威主義的態度、伝統的家族観の3つの意識が高かった[62]。
メディアの利用に関して、ネット右翼は、政治や社会問題の情報入手先としてテレビをあまり利用せず、インターネットを利用している傾向があり、反テレビ的でインターネットに親和的である[63]。また、政治・社会問題の情報源としてインターネットや本・雑誌、所属団体からの情報を利用する人ほどネット右翼になりやすく、テレビを利用する人ほどなりにくい傾向があった[64]。
Facebookユーザーの分析[編集]
上記の8万人規模の世論調査などで、ネット右翼は特殊な存在ではなく普通の市民であることがわかったが、実際にどういった人であるのか、具体的なイメージに欠けていた。そのため、社会学者の樋口直人はFacebookのユーザーに注目して、それぞれの生活世界がネット右翼としての「活動」につながる背景を明らかにすることを目的に調査を行った[65]。
調査の対象となったFacebookユーザーは、安倍首相がFacebookに書き込んだ年末の挨拶に対して、2015年12月28日になされた日韓両政府の間で合意された「慰安婦」問題に関する批判的な書き込み[66]を行った人々であり、これをネット右翼として調査が行われた[67]。樋口は属性情報が公開されており、ユーザーページが残っているものを対象として、表に集計した。
学歴 | 年齢 | 性別 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
人数 | % | 人数 | % | 人数 | % | |||
大学在学・卒 | 332 | 60.7 | 10代 | 3 | 1.0 | 女性 | 124 | 16.9 |
高専・短大卒 | 24 | 4.4 | 20代 | 31 | 10.4 | 男性 | 602 | 81.9 |
専門学校卒 | 48 | 8.8 | 30代 | 53 | 17.8 | 不明 | 9 | 1.2 |
高校卒 | 138 | 25.2 | 40代 | 100 | 33.7 | |||
高校在学・中退・中卒 | 5 | 0.9 | 50代 | 59 | 19.9 | |||
60代 | 52 | 17.5 | ||||||
計 | 547 | 100.0 | 298 | 100.0 | 735 | 100.0 |
「Facebook」は他のSNSに比べて利用者の年齢層は高めだが、この調査では30代から50代がほとんどを占め、735人のうち職業が判明したのは289人であり、そのうち自営・経営者が137人を占めていた[69]。
その後、樋口は公開情報とネット右翼的情報の量によってネット右翼を、リア充ネトウヨ、生活者ネトウヨ、ステルスネトウヨ、真正ネトウヨ、秘匿ネトウヨに分類してそれぞれ分析をした[70]。
また、このFacebookユーザーのネット右翼の分析において、ネット右翼に特徴的なサブカルチャーとして、アニオタ(アニメオタク)や歴史オタクはほとんど見られなかった(アニオタ2人、歴史オタク8人)[71]。実際にネット右翼に特徴的なサブカルチャーとして多かったのは、ミリオタ(42人)、宗教(24人)、武道(15人)であった[71]。しかし、女性にはこの傾向は見出すことができなかった[71]。加えて、ネット右翼にはネオナチなどで見られる特有の外見的アイコンがなかった[72]。
インターネットの大衆化と左翼メディアへの反発[編集]
ネットユーザーが「右傾化」する現象について、インターネットの大衆化によって、平等性や匿名性が高まり、発言の自由度が高まると、意思決定が極性化(極端化)するとする集団極性化現象(グループ・ポラリゼーション)というモデルで分析もされている[11][12]。インターネットの大衆化にともないネット上での言論の偏りが集団的に増幅される傾向についてはキャス・サンスティーンがリスキーシフト(集団極性化)やサイバーカスケードといった概念で説明している[12]。
日本大学の福田充教授はネット世論が右傾化する傾向を、敗戦後の日本においてマスコミが作り上げた左翼的な思想に偏った報道や閉鎖的な言論空間の中で、言いたいことがあるけど言えないという「抑圧された声」「マスコミに対する不信や反論」が、インターネットが普及した1995年以降、右翼的な感情として一気に噴出するようになったと主張している[73]。
フリーライターで『サッカーと愛国』の著書がある清義明は、ADSLが普及した2002年に日韓共催のサッカーワールドカップが開かれ、韓国のラフプレー、審判買収問題、サポーターの振る舞いの悪さが目立つ中、メディアが共催の友好ムードに終始したことで、「本当のことはネットに書いてある」という見方と共に「反韓」「嫌韓」がネット上で爆発した、と述べた[74]。
著述家の古谷経衡は、日本におけるネット右翼の根幹は「既存メディアへのアンチ(反発)」であり、「嫌韓」が生まれたきっかけも、特に2002年のサッカーワールドカップ当時、メディアの中で韓国への批判が一種の「タブー」となっていたことから、当時メディアへ反発した人たちは情報を求めてネットの世界に流入していったと分析した[75]。
政治学者の中島岳志は、朝日新聞をはじめとする左派メディアには自分たちの意見はマイノリティであるという自民党1強体制に対する反発が強く、一方でネット右翼は自分たちの意見がメディアや教育、アカデミズムから排除されており、誰もそれを代弁してくれないという不満があり、双方が「アンチの論理」でやり合いぐちゃぐちゃになっていると主張している[76]。
各界の左翼思想への反発[編集]
政治学者の中島岳志はネット右翼について「彼らは保守思想にすらコミットしていないと思います。左翼が言っていることが気に入らないという『反左翼』という意識だけではないか」と指摘しており、評論家の西部邁も「この『反左翼』の歴史は長い。何十年も前から有名な右派論客にも、『反左翼』だけの人間はたくさんいる。それが次第に数を増やして、ネットにあふれている。ただ、彼らの言葉が過激になったことの背景はある。戦後70年間、言論界のみならず学界、経済界、政界も左翼思想になじむ言動をしないとパージされてきた。それに反抗するのだから、極端な人間が一定数増えるのは必然です」と分析している[77]。
評論家・著述家の古谷経衡によれば、ネット右翼は左派メディア(リベラルメディア)を敵視すると同時に、「目覚める」といった言葉を多用している[78]。すなわちネット右翼の観点では、かつて左派メディアに「洗脳」されていた自分は「間違った歴史観」を信じていたが、ある日「真実」に目覚めた、となっている[78]。こうした観点においては、主人公は自分を「騙している」虚構の世界から「覚醒」し、「本当の敵」を相手に死闘するという筋書きになっており、それはSF映画『マトリックス』の世界観に酷似している[78]。こうしたネット右翼の歴史観を、古谷は「マトリックス史観」と呼称している[78]。
月刊『国体文化』編集長の金子宗徳は、今の右傾化は「日本がなぜ他国に気を使わなければならないのか」という素朴ないらだちの次元にとどまり、問題の本質に迫る動きは少ないとしている。そのうえで、安倍首相は外国に気を使ってばかりいるような日本を変えようとしていると見えるので多くの人が飛びついており、ある種の条件反射のような現象ではないかと分析している。また、「今の右傾化は、結局新自由主義的な自己責任の論理一辺倒。これまでの左翼が強かった時代の反動に過ぎないのではないか」と主張している[79]。
「右翼・左翼」では把握できないとする批判[編集]
一方で、このようにネット右翼を右派、左派といった枠組みで捉える言説についての反論もある。社会学者の北田暁大は、2ちゃんねる上などで観測される「ウヨ厨」の振る舞いについて、本来は彼らの嫌うマスコミなどへのアイロニカルなコミュニケーションだったものが、やがて右翼的な発言をコミュニティ内で連鎖させること自体が目的化した形式主義的なもの(つながりの社会性)へと転化しており、発言内容自体の政治的な右/左の枠組みではその本質を捉えられないとしている[80]。社会学者の鈴木謙介も北田の説を支持し、それらの振る舞いはネタを共有することが目的化しているのだと述べている[81]。
また、社会学者の濱野智史は「ネット右翼」は冷戦後、左翼・左派イデオロギーによって社会への不満が解消され得なくなり、その代わりに出てきたものとしている[6]。また、動きの早いネット社会においてネット右翼的現象は10年以上継続しているのは驚くべきこととし「反マスメディア、もしくはネトウヨ的な運動というのは、ある種の市民によるマスメディア監視と言えなくもない。ある意味、評価できる。ネトウヨ的なものがいるということは、日本のメディアをめぐる民主的な状況というのは、健全と言えなくもない。『右翼だから別に聞かなくていいでしょう』と無視するようなレッテル貼りはそろそろ限界」と指摘[6]。
マスコミ批判と反原発[編集]
文芸評論家のすが秀実によれば、原子力政策についてはネット右翼の相当部分は反原発派であるとしており、その根底には、エリートが支配している大ジャーナリズム(マスコミ)が相対的に原発推進派であることへの反発があるという[82]。また福島第一原子力発電所事故以後は、「山河を守れ」「国土を汚すな」と西尾幹二や竹田恒泰[83]ら保守系論者の一部が脱原発の主張を強め、小林よしのりが『SAPIO』2011年12月7日号より「脱原発論」の連載を開始するなどしており、脱原発・反原発的主張はネット右翼に限られるものではない。一方で保守言論層の相当部分は核エネルギー政策について全廃慎重派ないしは継続推進派であり、これはネット右翼の言動にも反映されている。
辻大介による「右傾化」研究[編集]
大阪大学准教授の辻大介がネットユーザー998人を対象におこなった調査によれば、「ネット利用者全般というよりも特に2ちゃんねる利用が排外的ナショナリズムと関連しており、2ちゃんねるの利用はネット上の悪口や過激な書き込み、炎上に対して許容的な態度と有意に関連している」としている[13]。また辻は、ブログや電子掲示板等で積極的に情報発信をおこなうネット利用者で『「韓国」「中国」いずれにも親しみを感じない』『靖国公式参拝・憲法改正等に賛成』『政治・社会問題についてネット上で書きこみや議論をした』の全てに該当する者をいわゆる「ネット右翼的」と操作的に定義した上で調査を行ったところ、ネット右翼的な層はネットの外でも署名・投書・募金や集会出席などの「リアル」な活動に積極的な傾向がみられた。このことから「“ネット右翼”はネット特有の現象というよりも“リアル”と地続きの現象であり、これまでは目につきにくかった“右翼”的な潜在層がネット上で可視化されたととらえるのが適当かもしれない」としている[13]。
また、一般的な「右傾性」は愛国心やパトリオティックな意識と嫌韓・嫌中が必ずしも結びつかないというのが特徴である[13][84]。政治的、文化的なナショナルプライドや愛国心といった「右傾性」に結び付く因子が高いほど韓国・中国に対する親しみが高くなり、移民に対する評価も肯定的であるという結果が出ている[13][84]。これらの因子は、対人関係においても、他人への信頼の高さ、友人の多さ、孤独感の低さと結びついている[13]。一般的な「右傾性」と比較すると、ネット右翼的な層は、近所付き合いをしている人数が少なく、一般的に他人を信頼せず、友人数は少なくはないが 対人関係での孤独感が高いという特徴がみられ、対外関係でも韓国・中国に対する親しみを感じず、移民に否定的で排外意識が高い(孤独感の高さが高いほど、排外意識が強く、また嫌韓・嫌中である傾向が強い、嫌中よりも嫌韓との相関性が強い)としている[13]。ネット右翼的な層は右傾性に関わる諸因子・諸指標の相関構造の中で特異な地位にあって、一般的な「右傾性」を代表すると見なし難く、愛国と嫌韓・嫌中が一体化しているという特徴があると 辻は述べ ている [13][84]。この調査における比率は『「韓国」「中国」いずれにも親しみを感じない』が36.8%、『靖国公式参拝・憲法改正等に賛成』が6.4%、『政治・社会問題についてネット上で書きこみや議論をした』が15.2%であり、全てに該当する「ネット右翼的な層」は1.3%であり、サンプルがネットのヘビーユーザーが多いという偏りがあることを考えると一般的なネット利用者における比率は1%を下回るとしている[13]。
ネット右翼を構成する人々[編集]
「負け組」「オタク」とする意見[編集]
いわゆる「ネット右翼」を嫌悪する論者のなかには、「ネット右翼」は「負け組」であるとする主張がたびたびなされる。たとえば近藤瑠漫は、「ネット右翼」はニートや引きこもりなどの負け組あるいは負け組予備軍と主張している[85]。また、漫画家の小林よしのりはネット右翼を「年収200万円以下の下層」とみなしている[7]。社会学者の宮台真司はネトウヨには童貞が多いと主張している[86]。ジャーナリストの安田浩一は在日特権を許さない市民の会の取材記事[87]の中で、ネット右翼を「(当初は)変形型の“オタク”に位置づけられていた」「匿名性を盾に差別的な言辞を繰り返す様から、攻撃的引きこもりと揶揄されることもある」と述べた[88]。
「一般大衆」とする意見[編集]
「ネット右翼の代表」を自称する瀬戸弘幸は、ネット右翼をニートや引きこもりと関連付ける言説は、左翼の決め付けであり、彼ら(ネット右翼)は全く普通の会社員や学生であると反論している[89]。また安田浩一は「攻撃的引きこもりと揶揄されることもある」と主張しつつも『ネットと愛国 - 在特会の「闇」を追いかけて』のなかで在日特権を許さない市民の会を追跡したところ、デモ運動などの参加者には会社員や学生も多いことを記している。
著述家の古谷経衡は、メディアや左翼はネット右翼を、(1) 低学歴・低所得 (2) オタク、あるいはひきこもり (3) モテない、社会性がない、といったイメージで決め付けてきたが、約1000人のネットで保守的な書き込みをする人たちにアンケート調査をしてみたところ、平均年齢は38.15歳、学歴に関しては63.3%が「四大卒(中退含む)」以上で、同年代(2010年国勢調査における35 - 39歳の「四大卒以上」は23.14%)と比べても3倍近く差がつき、高学歴が多いとした。さらに、年収も平均400万円台後半と同年代の平均をやや超え、恋愛経験も一般的なレベル、住んでいる場所は4割が首都圏であった。ネット右翼の実相は「大都市に住むミドルクラス」であり、小林よしのり、香山リカ、萱野稔人らが主張するような「貧乏なネット右翼」「年収200万円以下」「格差社会による貧困の若者」というイメージは事実として覆されたとしている[75](2013年現在)。
社会学者の樋口直人は、在特会会員には職業別に見てもホワイトカラーや自営業者が多くて無職もいなかったとし、学歴も大学卒など高学歴者も多く、「(在特会は)中間層の運動とみなしたほうが正確であり、階層の低い者の不安が排外主義運動を生み出すという仮説は棄却されたといってよい。」と主張する論文を発表して、安田浩一等の「オタク・負け組」という見解に疑義を呈している[90][91]。
ジャーナリストの津田大介も「ネット右翼」と言われる人々は、右翼団体の延長の人から一般人まで、あらゆるタイプの人々であり、反日的な中韓に不満を持っている人、左翼的なエリート主義への反発など、色々な人が色々な要素を持ってネットで繋がり、ここ数年ではフジテレビ抗議デモのように、ネットに限らずリアルでも繋がり始めていると述べた[6][92]。
ほかに劇作家の鴻上尚史はネット右翼を「古きよき日本」を維持、あるいは復活させようとしている存在であると述べている[93]。鴻上の主張する「古きよき日本」とは「社会ではなく世間」に関するもので、軍国主義の復活という意味ではなく、地域のコミュニティ崩壊以前の共同性といったものを指す[94]。
元フジテレビ社員の長谷川豊は、韓流に偏重した放送を続けるフジテレビを批判するネットの書き込みを「普通の人が普通に感じた気持ち」であると述べた。2011年に巻き起こった行動する保守やネット右翼によるフジテレビ抗議デモの後にフジテレビの視聴率が急落したが、長谷川はこれをテレビマンたちが「ネットに書き込んでる『ネットの住民』など相手にする価値はない」「あぁ、社会不適合者ね。あぁ、ネットの『住民』ね。ニート、ニート。」などとネットの声を見下していたからだと分析した。長谷川は、ネットの声の中には見るに堪えない書き込みも少なくないが、本当に「普通の人」が「怒りとともに」懸命に発信している「真剣な声」というのもあり、本気で発信しようとしている声を無視していると、これからは手痛いしっぺ返しを食らう時代ではないかと述べている[95]。
ネット右翼 にも「富裕層」「エリート」が存在しうるという意見[編集]
これまでネット右翼を「格差社会による貧乏な若者」と見なしていた精神科医の香山リカは、AERA2015年8月10日号に掲載された「拝金と愛国 結託する富裕層」という記事の中で、古谷経衡の「ネット右翼の実相は大都市に住むミドルクラス」という分析結果やアメリカの富裕層たちが「愛国的な奉仕」や「国家的な結束」を9・11で実現した例から、おそらくミドルクラスよりさらに富裕層に近い、外資系ネトウヨ、開業医ネトウヨなども基本的にはこの「ナショナリズム─新自由主義」スペクトラムに位置づけられるのだろう、と分析した。しかし、彼らがより“新しい”のは、彼らの愛国心の持ち主というレベルを超えた先鋭的な人種差別主義者や国粋主義者であり、それと同時に「お金儲けってそんなに悪いことですか?」的な徹底的な拝金主義者であるということも指摘した[96]。
「バブル末期世代」とする分析[編集]
東洋経済オンラインによると、2012年に保守系サイト日本文化チャンネル桜のユーザー層を調査したところ、42歳から46歳の世代に大きいボリュームゾーンがあった。
就活情報サイトの「キャリコネ」によると、この世代は、1966年 - 1970年生まれのいわゆるバブル世代末期に当たり、バブル末期世代の大卒の求人倍率は2倍を超え、1970年生まれの卒業時は1.91倍であり、就職活動時や入社時こそ恵まれた環境に囲まれていたが、その後は一貫して急降下の右肩下がりの時代を生きた世代であり、入社時には多額のボーナスを貰って喜んだものの、その後は減る一方。好景気に乗って実力以上の大企業に入ったせいか、会社の中でもなかなか大きな役割を担うことができず、そのうち本格的なバブル崩壊が起き、入社数年でリストラ対象となった20代社員たちが出始めた。残った社員たちも採用減で後輩たちが入ってこなくなり、最若手で30歳を迎え、過重労働に苦しんだという。そして「職歴が誇れない、学歴が誇れない、家系が誇れない。日本人であることしか誇れない人たちが結構いっぱいいます。本当は、高いところに自分の理想があっても現実の自分はそこにまったく手が届かない」という意見を伝えている。また、物心ついたころにはバブルが崩壊していた下の世代は、親世代の期待感も下がり、新しい価値観の中で自由な生き方を模索しているようにも見える。同じ環境にいても「あの頃は本当に良かった」と思える過去を持つバブル末期「ネトウヨ」世代は、現実とのギャップにかえって苦しみやすいと主張。そして日本生産性本部の2012年調査で心の病の最も多い年齢層として40代を挙げる企業が36.2%と最も多かったことを挙げ、2002年から10年までは30代が最も多かったというから、バブル末期「ネトウヨ」世代がこの中心を占めている可能性が高いと主張した[97]。
「一般主婦層」とする報道[編集]
中国メディアの環球時報の報道によると、日本の3、40代主婦の一部は、夫と子供を送り出した後や家事を終えた空き時間を利用し、領土問題や米軍基地問題で愛国情緒を扇動するような言動を繰り返しているという。さらに、彼女らの中には日の丸を掲げてデモ運動に参加する人もおり、「ネット右翼主婦」と呼ばれているという。近年日本で主婦のネット右翼が増加傾向にあるが、これは日中・日韓関係の悪化が影響しており、報道やネット掲示板で過激な言論が多くなっているために、暇な時間によくネットサーフィンする主婦がこれを目にし影響を受けたのだろうとしている[98]。
ネット右翼のイメージを形成した要因[編集]
著述家の古谷経衡は、「オタク」で「愛国」であるというネット右翼のイメージを生み出した大きな要因は、「電車男」と「麻生太郎」にあるとした。2005年にドラマ化された電車男に登場するネットユーザーたちは、「アキバ系」「パラサイト(低収入)」「童貞」の主人公を始め、実生活で問題を抱え「はけ口」を求めてネットにのめりこむ人々として描写されており、これがネットへの蔑視と、ネットユーザー(2ちゃんねらー)=アキバ系の「電車男」というイメージを広く植えつけたとした。一方で麻生太郎は「漫画好き」を公言し、2006年から繰り返し秋葉原で演説を行い、2ちゃんねるなどにも言及していた。そうした様子が報じられるうちに、「秋葉原」と「愛国」のイメージが人々の中で結びつき、「ネット右翼」というレッテルを生み出したのではないかと分析した。また、実際の秋葉原のオタクたちは政治的に無色、あるいは表現規制問題などに関しては左派が多いとしている[75]。
また、小林よしのりが2015年7月27日にBLOGOSに投稿した「ネトウヨの時代は終焉」と題したエントリーにて「ネトウヨは貧困層じゃなくて、案外、高給取りだという見解があるが、それは自分がネトウヨ側にいる連中が発明した嘘だと思う。まともな高給取りがあんなに馬鹿なはずがない。」などと主張した。これに対して古谷経衡は、世間的にネット右翼=社会的弱者というイメージが消えないのは、小林よしのりが陥っているような「まともな高給取りがあんなに馬鹿なはずがない」という誤った固定観念が拭いされていないからだとした。「まともな高給取りや高学歴者は、常識的判断を下すはずである」という思い込みは社会的に何の根拠もないことであり、資産家が未公開株の詐欺にあったり、高額所得者が詐欺師の甘言に嵌まり人生を棒に振るなどの出来事は、決して珍しいことではないとした[99]。
ネット右翼とリアルな活動との関連[編集]
辻大介は、ブログや電子掲示板等で積極的に情報発信をおこなうネット利用者における右傾的傾向をいわゆる「ネット右翼的」と操作的に定義した上で調査を行ったところ、ネット右翼的な層はネットの外でも署名・投書・募金や集会出席などの「リアル」な活動に積極的な傾向がみられた。このことから「“ネット右翼”はネット特有の現象というよりも“リアル”と地続きの現象であり、これまでは目につきにくかった“右翼”的な潜在層がネット上で可視化されたととらえるのが適当かもしれない」としている[13]。
『ネットと愛国 - 在特会の「闇」を追いかけて』の著者安田浩一は近年の保守思想・極右思想の一潮流である行動する保守を「街頭に出たネット右翼」と捉えている[88]。また、行動する保守を標榜する「在日特権を許さない市民の会」を、ネット右翼がデモや集会に集まる団体と紹介している記事もある[100]。
元フジテレビ社員の長谷川豊は、2011年のフジテレビ抗議デモが全国規模に拡大した原因を「ネット住民を見下すテレビ局員」の体質にあったとしている。長谷川によれば、一連の抗議デモにはフジテレビの社員も身分を隠して参加しており、デモが終わると社内に戻って「案の定、キチガイばっかりだったよ」と笑い飛ばしていたという。また、その後騒動が花王などのスポンサーに対する抗議デモに発展したことや、7年連続で視聴率3冠王だったフジテレビが、デモが行われた2011年から視聴率2位、翌2012年には4位にまで転落した現状と関連付け「ネットの声が大メディアに勝利した歴史的事態」と評している[101]。
実数と影響力[編集]
実際に頻繁に投稿活動をおこなっている者の実数がどの程度か分かっていないが、辻大介によれば一般的なネット利用者は『「韓国」「中国」いずれにも親しみを感じない』人が36.8%、『靖国公式参拝・憲法改正等に賛成』の人が6.4%、『政治・社会問題についてネット上で書きこみや議論をした』の人が15.2%であり、全てに該当する者を「ネット右翼的な層」とすれば1.3%となるとしている[13]。また、桜井誠のように初期の活動に匿名掲示板を積極的に利用していたことを公言する右翼活動家もいるが個別事例であり全体像を表しているわけではない。
「親韓」だとして抗議された企業の売り上げは落ち、大量の電話による抗議に悩まされた企業もあり、その影響力は無視できないところまで拡大しているとも言われ[注釈 1]、『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』の著者の一人でもある山本一郎は、予備軍も含めると最大120万人はいると推定している[102]。
コラムニストの小田嶋隆は2009年に「ネット右翼が多いのか、それとも少数のネット右翼の書き込みが多いのか結局のところ分からない」としていたが[103]、2014年東京都知事選挙の結果を受けて、1980年代には明らかに差別用語であった「オタク」が世紀をまたぐ頃には市民権を得たように、「ネトウヨ」もいずれは市民権を得るだろうとの見立てを示した[104]。
立教大学教授の木村忠正は2015年4月の1週間にヤフーニュースが配信した政治や社会など硬派なテーマの記事約1万件と、それに対して投稿されたコメント数十万件を初めて調査した結果として、『各コメントについて、人名や地名など様々な言葉で出現頻度の高い上位三つは「日本」「韓国」「中国」。韓国絡みの言葉を含んだコメントが最も多くて全体の20%近く、中国関連とあわせると25%を占め、その多くに「嫌韓」や「嫌中」の意識が色濃くみられたとしている』『1週間で100回以上コメントを投稿した人が全体の1%おり、この1%の人の投稿で全体のコメントの20%が形成されていたが、その一方で頻繁に投稿しない人のコメントにも嫌韓や嫌中の言葉が含まれていることがあった』と主張している[105]。
インターネットのデマ[編集]
発信源がネット右翼の例[編集]
古谷経衡はネット右翼がインターネットのデマを組み上げている状況を指摘している。『ラッスンゴレライ』のネタでブレイクした2人組お笑いコンビの8.6秒バズーカーに対し、ネット右翼たちが『8.6秒』は広島原爆の日付8月6日の揶揄、『ラッスンゴレライ』というのは原爆投下時の号令「落寸号令雷」の事を指しているのだとして炎上する騒動が起きたが、古谷は「『8.6秒』は50メートル走の記録としてあまりにも遅く失笑のネタになったので、そこからの命名であることが本人談としてある。『ラッスン~』は当然のことだが、広島に原爆を投下したエノラ・ゲイ号の機長、ポール・W・ティベッツ・jrが、そのように叫んだという記録は残されていない」とし、根拠の無いデマであるとした。また、8.6秒バズーカーの2人は実は在日朝鮮人であるという「在日認定」まで出ており、西村幸祐が自身のTwitterに書き込んだ「この嘘つき在日芸人」というツイートが彼のフォロワーによって拡散されるなど、保守系論客も加わったデマの拡散がなされていると指摘している[106] [107]。また、軍事評論家の岡部いさくは、この騒動について「原爆投下の隠語や暗喩とは到底思えない」と述べ、2ちゃんねるに関する著書も執筆している井上トシユキも「陰謀論の文脈にからめとられている印象」と述べるなど否定的な見解を示した[108]。
発信源が保守系論客でネット右翼が拡散した例[編集]
古谷によると、ネット右翼の政治主張の根拠は、彼らが信頼している一部の保守論客たちの言説であるとし、保守系論客がデマを発信すると寄生しているネット右翼たちも「◯◯先生もそう言っている」と、それを信じてデマを拡散している状況を指摘している。2015年4月19日、保守系論客の田母神俊雄が自身のTwitterに「沖縄県知事翁長氏の娘さんは中国の北京大学に留学後、上海の政府機関で働く中国人男性と結婚。その男性は中国共産党・太子党幹部の子息だそうです。翁長氏の普天間基地の辺野古移転反対もこれだと理解できますね」とツイートし、投稿は1300以上もリツイートされた。しかし、この投稿より6日前に発売されていた4月13日付の週刊ポストにて翁長の娘は「結婚も留学もしていない」と既に書かれており、田母神は確認もせずにデマを流していた[109]。
まとめサイト「保守速報」によってデマが拡散された例[編集]
池上彰は、まとめサイトの多くが広告やアフィリエイトを使ったビジネス手法であり、ページビューを伸ばして広告収入を増やすために、わざと韓国や中国の悪口を載せているサイトがあるとしている[110]。津田大介は、自分に都合の良い2ちゃんねるの書き込みなどを恣意的に抽出して記事にしているまとめサイトは、大衆を煽動するために確信犯的に"自分たちの信念は正義だ"というストーリーを作り、デマだと分かっていながら情報を歪めて拡散している、との分析をしている。そのようなサイトのコメント欄には、嫌韓・嫌中に躍起になっているネット右翼たちのコメントが目立っており、そうした意見に会社が翻弄されてしまっているという。『保守速報』などはマスコミ叩きやリベラル叩きなどのネット右翼が食いつきやすい煽りネタを次々と記事にすることで、アクセス数を稼いで巨額の広告収入・アフィリエイト収入が得られるため、情報を歪めて発信することがやめられないのだという[111]。
例えば2016年10月21日に発生した鳥取県中部地震を受けて、『保守速報』がNHKホームページのニュースの見出し「鳥取県で震度6弱」を「鳥取県でインド6弱」にしたコラージュ画像を2ちゃんねるから転載し、「なんだインドであったのか 島根が無事でよかった」と事実無根のレスをまとめたり、「受信料返せ」などとNHKがまるで誤報したかのように批判するレスを恣意的に抽出したデマ記事を投稿した[112][113]。
2014年8月15日には、在日韓国人のフリーライター李信恵が、『保守速報』を運営している男性に対して約2200万円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こしている。訴訟提起理由は、在特会の元会長の桜井誠らによる2ちゃんねる上の差別的な発言・誹謗中傷をそのまま掲載し拡散していることであり、保守速報の管理人の男性は李を侮辱する書き込みがされている掲示板を45本も引用し、「帰れよ朝鮮半島に」「日本語使うな 汚らわしい」などの誹謗中傷レスを次々と記事にまとめて広告収入を得ていた[114][115]。2013年9月には東京高裁が、中傷記事を転載しただけでも名誉毀損になると判決を下しており、安易な転載・まとめに警鐘を鳴らした[116]。
2017年10月9日には、1年も前に「週刊プレイボーイ」WEB版にて公開された映画監督の森達也のインタビュー記事を、保守速報がタイトルを変えて記事にしたことで森のTwitterが炎上した。週刊プレイボーイに掲載された記事のタイトルは「映画監督・森達也が新有権者へメッセージ『棄権していい。へたに投票しないでくれ』」だったのにも関わらず、保守速報は「映画監督森達也 自民党に投票するバカは迷惑だから、投票にいかないでほしい」とタイトルを捏造して記事を投稿。元記事では森は学生との対談で、9割以上が自民党に投票するとしながら半数以上が護憲派だったことを受け「そこがちぐはぐしているレベルなら投票に行かなくてもいい」「投票するならせめて、どの党が改憲でどの党が護憲なのかくらいは把握してから投票してください」というのが本旨だった。それにも関わらず保守速報は、森があたかも選挙で自民党に投じようとしている人達を丸ごと侮辱したかのように捏造していた。保守速報が記事を公開するとアクセス数はトップ、Twitterのリツイート数は4000RTを超える大炎上となった。保守速報のコメント欄には誹謗中傷コメントが相次ぎ、森のTwitterには「こいつは選民思想だ」「このバカ、大学をクビにしろ」などとアイコンに日の丸を付けたユーザーたちからリプライが送られ、森は自身のサイトで「そんな意図では話していない。元の記事を見れば分かるはずだ」と否定コメントを出す事態となった。森はこの炎上事件を受け、「保守速報は、一応は公開された記事をソースにしているけれど、タイトルという看板を付け替え、刺激的な文言で、ネトウヨを煽ってアクセス数を稼いでいる。記事を読めばタイトルとはだいぶ違う内容だとわかるんだけども、もとの記事を読む人はほとんどいないんでしょうね。あらためて、ネットのリテラシーというものがいかに脆弱かということを、身をもって知りました」と述べ、森の話を聞いたフリーライターの武田砂鉄も「彼らは元記事を当たるという、ワンクリック、ツークリックをしてくれない。文句を言う時に、その対象が何を言っているかを通読するのは当然のことだと思いますが、これまで前提とされていた最低限のリテラシーを持ち合わせていない」とネット右翼を批判した[117]。
2017年10月29日には、保守速報が「【画像】地毛茶髪の女子生徒に「黒髪強要」 賠償求め提訴→茶髪女子生徒の写真がこちら」と題した記事を投稿。大阪府立高校3年の女子高校生が、生まれつき茶色い髪を黒く染めるように教諭らから何度も指導され、精神的な苦痛を受けたとして府に対して約220万円の賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こしたニュースに関して、保守速報はBuzzFeed Newsに掲載されていた女子高生の写真を引用して掲載した。保守速報は「いや、これが地毛には無理があるだろ」という書き込みをまとめたり、コメント欄には「染めてるようにも見えるな」「オキシぶっかけて色抜いたっぽい髪やな」など女子高生を非難するようなコメントがついた。しかし、この女子高生の画像はBuzzFeed Newsの別記事から引用されたものであり、提訴した大阪府の女子高生とは全くの別人物であった。これに対しBuzzFeed Newsは「結論からいうと、この記事(保守速報の記事)はデマである」「保守速報の記事は、2つの出来事を混同させている」と批判し、保守速報の運営に連絡をとるとした[118]。
デマの影響によって発生した事件[編集]
2015年7月8日、それまでの外国人登録証から在留カードもしくは特別永住者証明書へ切り替える期限となったが、このとき在日コリアンの多くが翌9日より不法滞在になるというデマがインターネット上で流れた結果、法務省入国管理局に在日コリアンに対する不法滞在の通報が相次ぎ、同局のサーバーがダウンする事態に至った[119]。
また2017年から2018年にかけて、東京弁護士会が2016年4月に出した「朝鮮学校への適正な補助金交付を求める会長声明」に賛同したとみなされた複数の弁護士(中には賛同していない者もいた)に対し、約13万件の懲戒請求があったことが明らかになっている。ネット右翼をターゲットとしたブログに扇動されたものと思われ、当該ブログには請求のひな型が用意されていた。被害にあった弁護士の中には損害賠償請求訴訟を起こし勝訴した者もいる[120][121]。
ネット右翼を辞めた人たち[編集]
安田浩一は、東日本大震災で空き地になってしまった海岸線に中国人が大量に移植してくるというデマが掲示板に書かれているのを真に受けた在特会のメンバーたちが真剣に会話しているのを聞いて「怖くなった」と在特会やネット右翼を辞めた人物を紹介している[122]。
古谷は、ネット右翼界隈に夢中になっていた人が、現代史などを勉強していくうちにネトウヨ嫌いに転向したというケースもあるとしている。ただし、ネット右翼界隈にもサイクルがあるため、入ってくる人がいれば出ていく人もおり、総数は縮小しているがレベルもそんなに変わっていないのではないかとしている[123]。
小説家の王谷晶は、自身がネット右翼になりかけたエピソードをTwitterで紹介している。王谷は鬱で引きこもっていた時代に、「日本大好き外国人」「海外の反応」を集めたまとめサイトを読み漁っていたといい、日本が外国人に好かれている話を読んでいると、同じ「日本人」に属している自分も好かれてるような気分になっていたという。しかし、リンクを踏んでいくうちに中韓叩きを集めたまとめサイトにも辿り着き、既に「日本は凄い・偉い」モードになっていた自身は、中国や韓国の悪印象のあるエピソードを真偽を確認もせずに素直に信じてしまったという。しかし、コメント欄を見ているとネット右翼による非倫理的な女叩きも展開されており、外国人叩きは何とも思わなかったのに自分と同じ「女」という属性が叩かれている様子を見て、やっとその行為の酷さに気付いたとしている[124]。
ネット右翼への批判・揶揄[編集]
猪瀬直樹は東京都副知事在任中の2010年、青少年健全育成条例改正案についての一連の発言の中で、「ネトウヨは財政破綻した夕張を助けに行け。雪かきして来い。それならインタビューうけてもよい」とツイートした[125]。
脳科学者の茂木健一郎は、集団的自衛権に関する持論に多くのユーザーから批判や異論が寄せられたことに対して、自身のTwitterで「TLを見ていると、頭悪いやつが多くて本当に驚くね。びっくりするレベル。頭の悪いやつに限って、威勢がいい。そんなに威勢がいいんだったら、他人に迷惑をかけずに、自分でぜんぶやればいいのにと思う」「これだけ威勢がいいんだから、ネトウヨ志願兵だけによる、ネトウヨ部隊つくればいい。きっと、外交努力も話し合いもムダとばかり、『美しい日本』を守ってくれることでしょうよ」「『まず、ネトウヨから前線へ』しかし、よく考えてみろよ、ネトウヨ諸君。きみたちが熱を上げていることって、本当に人生のエネルギーを注ぐに値するのか?」「ネトウヨ諸君は、中国や韓国にも、ものすごく魅力的でかわいい女の子がいる、ということを考えたことがあるのか? ネトウヨなんてやっているより、日中、日韓友好した方が人生のためだぞ。それから、北朝鮮にも、ものすごく魅力的な女性、たくさんいるらしいぞ」などと書き込んだ[126]。
「ネトウヨ」という呼称について[編集]
侮蔑語としての使用[編集]
2015年11月24日、新潟日報の報道部長が自身のTwitterで新潟水俣病3次訴訟の原告側弁護団長を務めている弁護士に向けて、さまざまな中傷の言葉と共に、「まるでネトウヨの○○弁護士[127]」「ネトウヨのアイドルになってきている[128]」などとリプライを飛ばした。報道部長は同日、弁護士の事務所を訪れて謝罪した[127][129]。
レッテル貼りに当たるとの主張[編集]
社会学者の濱野智史は、動きの早いネット社会においてネット右翼的現象は10年以上継続しているのは驚くべきこととし「反マスメディア、もしくはネトウヨ的な運動というのは、ある種の市民によるマスメディア監視と言えなくもない。ある意味、評価できる。ネトウヨ的なものがいるということは、日本のメディアをめぐる民主的な状況というのは、健全と言えなくもない。『右翼だから別に聞かなくていいでしょう』と無視するようなレッテル貼りはそろそろ限界」と主張している[6]。
古谷経衡は、ネット右翼は社会的弱者などではなく、寧ろ経済的にも時間的にも余力のある都市部の中産階級であるとした。であるからこそ、むやみにネットで自分たちと違う意見の人を「在日」「朝鮮人」などと罵倒するのではなく、彼らネット右翼こそが社会的弱者に対して温かい眼差しを向けることで、(彼らが社会的弱者ではないという事実は)「ネトウヨ」などというレッテルを弾き返すだけの重要な武器に成るだろうとした。一方、いたずらに「ネトウヨ=弱者」という間違った図式を持ちだして、ネットで保守的な発言をする人たちを総じて「ネトウヨ」であると決めつけてレッテルを貼る側にも問題があるとした。また、「ネトウヨ」という単語の響きには蔑称のニュアンスが多分に含まれているとネット右翼の大多数は認識しており、間違った事実に基づいた嘲笑や哀れみはネット右翼を批判的・肯定的にみるその両者にとって益をもたらさないとした。それ故に両者は蔑視や奢りをやめ、社会のために建設的な議論の土台こそが求められているからこそ、「ネトウヨ=弱者」という固定観念はいい加減放棄するべき時が来たと結論付けた[130]。
産経新聞は、朝日新聞が一般の保守派までも感情的に反韓国や反中国を叫ぶような「ネトウヨ」と一緒にすることで、保守派を「非知性」「バカ」と印象付けようとしていると主張している[131]。
ヘイトスピーチに当たるという主張[編集]
ジャーナリストの古森義久は、「ネトウヨ」という言葉の響きには侮蔑が満ちており、使った側には相手に対する軽蔑や憎悪や憤慨がにじみ出ている一方、使われた側は屈辱、反発、憎悪を覚える‟ののしり言葉”であるとした。さらに、「ネトウヨ」の「ウヨ」とは「右翼」の略であり、「右翼」とは当然のことながら特定の思想を指している言葉のため、この言葉を使った側の意識の根底には相手の思想を右翼だと断じていることは明らかであるとした。このような相手の思想を決めつけた上で貶めている「ネトウヨ」という言葉は「人種や宗教、思想、性別などを理由に特定の個人や集団を貶め、憎悪や怒りを生ませる言葉」と定義づけされているヘイトスピーチに該当すると主張している[132]。
フリーライターの中宮崇は、香山リカを含めた左翼は普段から「反差別」と主張しておきながら、「ネトウヨは低学歴の無職ヒキコモリだ!」などと根拠の無いヘイトスピーチを行っていると主張している[133]。
ネット右翼はどこへ向かっているのか[編集]
2015年12月11日付の日本情報多言語発信サイトのnippon.comで配信された古谷経衡の「『ネット右翼』の台頭と日本“右傾化” の真実」と題された記事の中で、古谷はネット右翼が安倍政権下で衰退の方向に向かっていることを主張している。2014年11月から法務省がヘイトスピーチ撲滅啓発運動を開始し、同年12月にはネット右翼の中でも最右翼の集団である在特会に対し巨額の賠償命令が確定するなど、行政も裁判所も彼らに対し至極冷淡な態度をとり始めていることを指摘し、国際的にヘイトスピーチが違法化・重罰化されるなかで、「積極的平和主義」を掲げる安倍政権にとって日本の国威を傷つけかねないネット右翼に対して抑制の姿勢でもって望まざるを得ない状況が続いているとした。そのような中で、ネット右翼からの支持を集めようとしていた次世代の党は、2015年10月に衆院での議席を完全に喪失(自民党に復党)し、参院のみの勢力となり実質的党勢は解党に近い状態になった。このような情勢を考慮するとネット右翼の趨勢は決して明るくはなく、ネット空間に自閉しない「常識的で温和な」日本の保守層が、彼らに替わる形で徐々に勃興するのではないかと推測した[134]。
また、古谷は日本の国益を貶める「嘘つき朝鮮人は半島に帰れ」などのネット右翼によるヘイトスピーチを撲滅するためには、保守派の力が必要であるとしている。しかし、国益を声高に主張する日本の保守派の間には、ネット右翼によるヘイトスピーチに対する問題意識が極めて低いことを指摘している。日本のリベラル派は国益とか国威という言葉にアレルギーを持っており、日本の国益を全面に押し出した「ヘイトスピーチ撲滅論」には抵抗があるように感じているからこそ、国益の視点で考える「ヘイトスピーチ撲滅論」を担う中心は日本の保守派が相応しいだろう、としている。しかし、一方で古谷はネット右翼が主張する「日本人が韓国人をヘイトする以前に、韓国人が日本人をヘイトしている」という「韓国先制攻撃論」にも一理あるとしている。冷戦時代には日本の保守層と韓国政権は、「反共」という目的で概ね一致しており、むしろ左派の方が「朴正熙はアメリカの傀儡であり、極東におけるアメリカ帝国主義の尖兵」などと非難していたのに対し、保守派は「韓国こそは、朝鮮半島唯一の合法政権であり極東における自由と民主主義の砦」と、韓国を擁護していた。しかし、冷戦が終結すると韓国のナショナリズムは「反日」「反米」へと舵を切り、「新北」の政権が誕生してしまったことから、ネット右翼らの主張する「韓国が先」という理屈には一理ある、としている。多くの保守系言論人が、日韓の蜜月時代を語ろうとしないのは、かつての「反共の同志」に裏切られた、という意味において韓国に対して複雑な感情を持っているからであり、日本統治時代に日本人が韓国へ行くと現地の老人や村民から日本語で飲めや歌えの大歓待を受けた、などという日韓の美談を語れば、ネット右翼から「裏切り者」と総攻撃を受けてしまうため、口を閉ざしているのだと指摘している。次世代に体験を継承するべき保守系言論人が、一様に口をつぐみ、ネット右翼に耳障りの良い韓国攻撃のヘッドラインという「元ネタ」を提供し続けており、「韓国先制攻撃論」には応分の理解を示しながらもそこに歴史的経緯の説明を付着すれば、ネット右翼の攻撃もまたより温和なものに導かれるかもしれなかったと主張している[135]。
ネット左翼(ネトサヨ)は存在するのか[編集]
ライターの松谷創一郎はネット左翼(ネトサヨ)をネットに漂う信頼性の低い情報を根拠に「脱原発」や「不正選挙」を訴える人たちであると定義した。ネトサヨはネトウヨと同じく自らの願望に沿った情報をネットから拾いそれを根拠に自説を固めていき、反論に対しては「ネットを検索すれば、多く事実が出てくる」と自説の“根拠”を出し、自分が信じたい情報しか信ず相手に耳を貸さないことが問題だとした。さらにTwitterで自分と同じ意見のユーザーばかりをフォローする一方で反論する者はブロックして排除し、決して自らを非難することのない同じ考えを持った仲間同士で連帯感を求めていることが特徴だとし、フォロワー数を気にしながらTwitterで脱原発や不正選挙を訴え続けるネトサヨの中年男性たちの例も挙げた[136]。
哲学者の山崎行太郎は自身のブログで、「ネット右翼」が存在するとすれば、「ネット左翼」も存在する、「物事を深く考えようとしないネット右翼」が存在するように、「物事を深く考えようとしないネット左翼」が存在する、だから「ネット右翼亡国論」は、同時に「ネット左翼亡国論」でもあると主張している[137]。
ネットニュース編集者の中川淳一郎は、ネットの世界には真偽を客観的に見極めることなく、善悪二元論で考えてしまう傾向が強く、陰謀論が大好きであるとした。在日特権のせいで日本人が不利益を被っていると主張するネット右翼も、ヘイトスピーチ反対を主張すればどんなに相手の個人情報を晒してもいいと思っているカウンター勢力も、同じ「宗教」であると主張している[138]。
レイシストをしばき隊の野間易通は、自身のTwitterで「『ネトウヨ』というけれどその人たちから見たら君たちは『ネトサヨ』じゃないの?」とユーザーからの問いに対して「はい、そうですが何か」と返しており、自分たちを「ネトサヨ」であると自称、自認した[139]。
漫画家の小林よしのりは自身のブログで、かつてイラク戦争の是非や皇室問題で自身と対峙した保守論壇たちは「保守」ではなくて「自称保守」と呼ぶべきであって、彼らの劣化の酷さは真反対のように見える「ネット左翼」とほとんど同質であると主張している。また、同ブログ記事では「今や小林よしのりは『ネトウヨ』からも『ネトサヨ』からもバッシングされるようになって、得も言われぬ心地良さに浸っている」などと述べている[140]。
フリージャーナリストの安田純平は、自身のTwitterで「ネットで好きな話だけ集めて『記者』のくせに全く取材せず全て知った気になるアジア記者クラブは、二言目には在日認定するネトウヨと変わらない。日本はネトウヨが目立って右傾化してるように見えるかもしれないが、右も左もこういうどうにもならないレベルの人が異常に増えてしまっただけだと思ってる」などと述べている[141]。
朝日新聞社出版の知恵蔵には、ネット左翼を指す侮蔑語として「ブサイク」と「サヨク」を足した「ブサヨ」という造語が掲載されている。ブサヨという言葉はネット上の右翼(保守、国粋主義者)であるネット右翼によって作られ、ネトウヨらが言う「自虐的反日主義者(日本が過去に行ったことを反省することに重きを置き日本に誇りを持たない人)」とされた人に対する侮蔑・嫌悪を表す言葉として用いられる。このネットスラングは2010年に定着し、2015年の平和安全法制論争の時にはネットだけではなくマスコミにも取り上げられるようになった[142]。 漫画の小林よしのりの著書戦争論2で教科書を作る会ができた際に妨害する組織がインターネットでサイトを作っているなどあいまいな定義ではあるがネトサヨは現在は規模が小さいがネトウヨより早く出現していたと思われるそのほかにも戦争論2でネット上で小林よしのりを批判するサイトなどもあったとの描写もなされている
日本国外における「ネット右翼」[編集]
「ネット右翼」は日本以外にも、中国や韓国、ドイツなどでもインターネットユーザーがナショナリズムの度合いを高めることが指摘されている[12][11]。
韓国のVANK[編集]
韓国の民間組織「Voluntary Agency Network of Korea (VANK)」は、その活動内容から、韓国の「ネット右翼」として扱われることもある[143][144]。VANKは会員数10万人を超え、韓国政府から支援金を得ている[144]。竹島問題、日本海呼称問題、慰安婦問題などについて、世界中の公的機関、民間機関に自分たちの主張に沿った記述をさせるための宣伝・抗議活動をインターネット上で展開し、日本の「ネット右翼」から敵視されている[143]。
イギリスのサイバーナット[編集]
英国ではスコットランドの独立投票をめぐりLua エラー package.lua 内、80 行目: module 'モジュール:仮リンク/link' not foundと呼ばれるスコットランド独立派が反対派をインターネット上で差別的に罵倒し、問題となった[145]。スコットランド独立を訴えるスコットランド国民党党首のニコラ・スタージョンは2015年6月25日に声明文を発表し、「私たちの政治ディベートのレベルを、暴力的な脅しやミソジニー、ホモフォビア、性差別、レイシズム、障害者差別などの低みにまで下げることは是認できません」とサイバーナットを非難した[145]。
アメリカのオルト・ライト (オルタナ右翼)[編集]
オルト・ライト(英: alt-right)と呼ばれるグループが存在する[146]。
脚注[編集]
注釈[編集]
出典[編集]
- ↑ 塩倉裕 (2018年11月1日). “「ネット右翼」イメージと異なる実態 研究者から警鐘:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル 2018年11月9日閲覧。
- ↑ 渡辺豪 (2018年10月22日). “「ネット右翼」の主役は中高年男性? エスカレートするその心理 (1/4) 〈AERA〉”. AERA dot. (アエラドット). 2018年11月9日閲覧。
- ↑ 河村能宏 (2018年10月7日). “ネトウヨ像覆す8万人調査 浮かぶオンライン排外主義者:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル 2018年11月9日閲覧。
- ↑ 4.0 4.1 デジタル大辞泉『ネット右翼』 - コトバンク
- ↑ 5.0 5.1 田母神氏、60万票の意味 「ネット保守」の支持 朝日新聞2014年2月11日 Archived 2014年3月8日, at the Wayback Machine.
- ↑ 6.0 6.1 6.2 6.3 6.4 6.5 "“ネトウヨ心理”とテレビ". 新・週刊フジテレビ批評. フジテレビ. 2011年11月12日放送.
- ↑ 7.0 7.1 7.2 小林よしのり、国家を持ち出して「自意識を底上げ」する人間増えた J-CASTニュース 2011/10/ 4
- ↑ 8.0 8.1 櫻井よしこ氏 ネット右翼が偏狭な国粋主義に陥ることを危惧
- ↑ 西部邁、中島岳志の師弟対談 保守と右翼の間にある大きな違い〈AERA〉dot. 4/24
- ↑ 愛国心をかなぐり捨てたSAPIO
- ↑ 11.0 11.1 11.2 11.3 「なぜネットでは左翼でなく右翼に極端化するのか 専門家解説」ガジェット通信2012.08.16、SAPIO2012年8月22・29日号
- ↑ 12.0 12.1 12.2 12.3 『インターネットは民主主義の敵か』、石川幸憲訳、毎日新聞社、2003年
- ↑ 13.00 13.01 13.02 13.03 13.04 13.05 13.06 13.07 13.08 13.09 13.10 辻大介インターネットにおける「右傾化」現象に関する実証研究 調査結果概要報告書 (PDF) 2008.9.10
- ↑ 辻.2008.P.9
- ↑ 佐々木俊尚. “【断】「ネット右翼」は新保守世論”. 2014年9月6日閲覧。
- ↑ Johnson, Eric (2006年3月14日). “Net boards venue for faceless rightists(ネット掲示板は顔無き右翼達の場)”. 2009年2月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年9月6日閲覧。
- ↑ ネット右翼幹部を逮捕、トイレで会った82歳男性に暴行 Archived 2013年6月21日, at the Wayback Machine. 産経ニュースwest 2013年4月19日
- ↑ 中央日報 「キム・テヒ、日本から出て行け」はなぜか? 韓国の時事番組が嫌韓流を集中取材 2012年03月08日16時45分 [1]
- ↑ デジタル大辞泉『ネット右翼』 - コトバンク
- ↑ 20.0 20.1 経済的に困窮した日本人が右翼化、ネットで外国人排斥-米紙 Archived 2010年9月1日, at the Wayback Machine. サーチナ 2010年8月31日
- ↑ 「萎縮の構図・4:炎上」、『朝日新聞』2006年5月5日
- ↑ 『SPA!』 2009年10月13日号
- ↑ 青木理・魚住昭・大谷昭宏・岡田基志・木村三浩・郷原信郎・佐藤優・鈴木宗男・田原総一朗・平野貞夫・宮崎学. File:05 リークはなぜ、「悪」なのか. Infoseek 内憂外患編集部.. オリジナルの2010年1月26日時点におけるアーカイブ。 2010年1月27日閲覧。
- ↑ 鈴木「天皇陛下の味方です ―国体としての天皇リベラリズム―」
- ↑ 『ヘイトスピーチ 「愛国者」たちの憎悪と暴力』安田浩一、文春新書、P.31、2015年
- ↑ 伝統的右翼がネトウヨを叱る? 宮沢賢治も信じた国柱会は今〈AERA〉dot. 5/5(金)
- ↑ 「ネトウヨは男のすることじゃない!」右翼民族派の主張ダイヤモンドオンライン11/19(日)
- ↑ 言論とテロとナショナリズム Archived 2007年1月29日, at the Wayback Machine. JANJAN 2006年12月12日
- ↑ 『SPA!』は2015年10月27日号
- ↑ 「SIMULATION REPORT これで「ニッポン」が救えるのか? ネトウヨ(ネット右翼)亡国論 この国の本当の「保守」とは何か」『SAPIO』第24巻12(2012年8月22・29日号)、小学館、2012年8月22日、 6-27頁。
- ↑ 西村幸祐、安田浩一「緊急激論 「ネトウヨ亡国論」に異議あり!」『WiLL』第98巻第2013.2号、ワック、2013年2月、 254-265頁。
- ↑ 古谷経衡×宇野常寛「ネット右翼の治し方」――〈HANGOUT PLUS〉vol.015 2017.01.30
- ↑ 政権交代で「ネット右翼」危機? 2ちゃんねるでも潮流変化か J-CAST2009年9月1日
- ↑ 06年9月:言論の終焉2006年10月4日
- ↑ 首相、ヘイトスピーチ「極めて残念」 対策講じる考えも 朝日新聞2016年3月18日
- ↑ 「自民総裁選 石破茂氏、ネトウヨによる落選運動に悩まされた」『週刊ポスト2012年10月12日号』、小学館。
- ↑ 田原総一朗、山田惠資「徹底討論 田原総一朗×山田惠資 安倍晋三とネット右翼 野放しにしたら日本が終わる」『週刊現代』第54巻37=2683(2012年10月20日号)、講談社、2012年10月、 52-55頁。
- ↑ “ネット右翼ともたれ合う”. 朝日新聞 (朝日新聞社). (2012年12月27日). オリジナルの2013年1月5日時点におけるアーカイブ。 2013年2月17日閲覧。
- ↑ 「保守論客ら直言! 安倍首相よ、今こそネット右翼(ネトウヨ)と決別せよ!」『週刊朝日』第118巻4=5176(2013年2月1日号)、朝日新聞出版、2013年2月1日、 18-22頁。
- ↑ “安田浩一氏「ネトウヨの安倍氏支持はマスコミとの対決姿勢」”. SAPIO (小学館). (2013年1月13日) 2016年12月16日閲覧。
- ↑ 総理の器 2014年11月25日
- ↑ [寄稿]安倍政権の歴史に対する無知と自己中心主義(日本語) ハンギョレ新聞 2015年11月16日
- ↑ 43.0 43.1 「有田芳生 首相の『民主は息を吐くように嘘をつく』発言紹介」『週刊ポスト』2013年7月5日号、NEWSポストセブン、2016年12月31日閲覧。
- ↑ 第181回国会 予算委員会 第1号(平成24年11月12日(月曜日))
- ↑ Tokyo Protests Anti-Japan Rallies in China April 11, 2005 New York Times
- ↑ マーティン・ファクラー New Dissent in Japan Is Loudly Anti-Foreign(日本の新たな異議は騒々しい排外) 2010年8月29日、ニューヨーク・タイムズ
- ↑ 「ネット右翼」台頭 政界に波紋 都知事選善戦の田母神氏 政党結成に意欲 北海道新聞2014年2月14日[リンク切れ]
- ↑ (ネット保守考)ネットニュース編集者 中川淳一郎氏 朝日新聞2014年2月11日 Archived 2014年2月14日, at the Wayback Machine.
- ↑ 各国メディア、田母神氏に注目 韓国紙「右傾化際立つ」 朝日新聞2014年2月11日 Archived 2014年2月14日, at the Wayback Machine.
- ↑ 若者に届かぬリベラル 宇野常寛さん、都知事選を読み解く 朝日新聞2014年2月12日 Archived 2014年2月14日, at the Wayback Machine.
- ↑ 東京都選挙管理委員会 (PDF) [リンク切れ]
- ↑ “ネトウヨの多くは「バブル末期世代」 不遇が「愛国」に走らせたのか?”. グローバルウェイ. 2014年7月28日閲覧。
- ↑ 「ネトウヨ」は社会的弱者ではない。だからこそ、根が深い。
- ↑ 54.0 54.1 54.2 ネット右翼とは何か. 樋口直人、吉永希久子、松谷満、倉橋耕平、ファビアン・シェーファー、山口智美. 東京: 青弓社. (2019). p. 10. モジュール:Citation/CS1/styles.cssページに内容がありません。ISBN 9784787234544. モジュール:Citation/CS1/styles.cssページに内容がありません。OCLC 1103466984
- ↑ 樋口、吉永、松谷、倉橋、ファビアン、山口、前掲書 2019 p.35
- ↑ 樋口、吉永、松谷、倉橋、ファビアン、山口、前掲書 2019 p.36
- ↑ 樋口、吉永、松谷、倉橋、ファビアン、山口、前掲書 2019 p.23
- ↑ 58.0 58.1 古谷経衡. 『ネット右翼の逆襲: 「嫌韓」思想と新保守論』 東京: 総和社, 2013. p.295
- ↑ 樋口、吉永、松谷、倉橋、ファビアン、山口、前掲書 2019 pp.22-23
- ↑ 安田浩一『ネットと愛国: 在特会の「闇」を追いかけて』東京: 講談社, 2012. p.309
- ↑ 樋口、吉永、松谷、倉橋、ファビアン、山口、前掲書 2019 p.26
- ↑ 樋口、吉永、松谷、倉橋、ファビアン、山口、前掲書 2019 p.27
- ↑ 樋口、吉永、松谷、倉橋、ファビアン、山口、前掲書 2019 p.35
- ↑ 樋口、吉永、松谷、倉橋、ファビアン、山口、前掲書 2019 p.37
- ↑ 樋口、吉永、松谷、倉橋、ファビアン、山口、前掲書 2019 p.74
- ↑ 具体的な批判する書き込みは、次のようになっている。 「安倍政権の妥協の仕方に憤ります」「がっかりしました」「腸が煮えくり返る」「私の祖父は性犯罪者になるために、戦ったんじゃない」
- ↑ 樋口、吉永、松谷、倉橋、ファビアン、山口、前掲書 2019 p.75
- ↑ 各人の「Facebook」ページから判明した分を計数、性別については2018年6月に確認
- ↑ 樋口、吉永、松谷、倉橋、ファビアン、山口、前掲書 2019 pp.75-76
- ↑ 樋口、吉永、松谷、倉橋、ファビアン、山口、前掲書 2019 pp.77-83
- ↑ 71.0 71.1 71.2 樋口、吉永、松谷、倉橋、ファビアン、山口、前掲書 2019 pp.84-86
- ↑ 樋口、吉永、松谷、倉橋、ファビアン、山口、前掲書 2019 p.92
- ↑ http://www.news-postseven.com/archives/20120815_136773.html
- ↑ 神原元『ヘイト・スピーチに抗する人びと』新日本出版社、2014年12月10日、191-200頁。モジュール:Citation/CS1/styles.cssページに内容がありません。ISBN 978-4-406-05861-2。
- ↑ 75.0 75.1 75.2 「ネトウヨは低学歴でニート」は大嘘 その正体は30〜40代の中流層だ 『ネット右翼の逆襲』著者・古谷経衡さんに聞く
- ↑ 西部邁、中島岳志の師弟対談 保守と右翼の間にある大きな違い〈AERA〉dot. 4/24
- ↑ 西部邁、中島岳志の師弟対談 保守と右翼の間にある大きな違い〈AERA〉dot. 4/24
- ↑ 78.0 78.1 78.2 78.3 古谷経衡 (2017年7月27日). “”ネット右翼のアイドル”稲田朋美防衛大臣辞意~その栄枯盛衰を振り返る~”. Yahoo!ニュース. Yahoo!. 2018年11月12日閲覧。
- ↑ 伝統的右翼がネトウヨを叱る? 宮沢賢治も信じた国柱会は今〈AERA〉dot. 5/5(金)
- ↑ 北田 (2005)、206-216頁。
- ↑ 鈴木 (2005)、141-143頁。
- ↑ すが秀実 『反原発の思想史-冷戦からフクシマへ』 筑摩選書、2012年、328頁
- ↑ 竹田恒泰 『これが結論!日本人と原発』 小学館101新書、2012年
- ↑ 84.0 84.1 84.2 辻大介「ネット右翼」性と一般的「右傾」性との乖離 〜ウェブ質問紙調査の分析結果から (PDF) 2008年11月
- ↑ 近藤&谷崎 (2007)[要ページ番号]
- ↑ 第3回 行動する人間は必要だがその行動が間違っている<戦争する国の道徳> Archived 2015年11月18日, at the Wayback Machine.
- ↑ 講談社発行の『G2』
- ↑ 88.0 88.1 安田 (2010)[要ページ番号]
- ↑ ネット右翼について - せと弘幸Blog『日本よ何処へ』
- ↑ 樋口直人 (2012年9月). “排外主義運動のミクロ動員過程 ― なぜ在特会は動員に成功したのか (PDF)”. 『アジア太平洋レビュー』第9号. アジア太平洋研究センター. 2014年10月23日閲覧。
- ↑ 2011年11月12日 ニコニコニュース「"ネトウヨ"というレッテル貼りをするな」 フジテレビ番組が「ネトウヨ」特集(伊川佐保子)
- ↑ 鴻上 (2009)、187-188頁。
- ↑ 鴻上 (2009)
- ↑ 板東さんや矢口さんの復帰に「厳しい声」を書き込む人たちはどんな人たちだと思う? 教えて!goo ウォッチ2014年10月22日
- ↑ 富裕層でネトウヨが増殖中!
- ↑ “ネトウヨの多くは「バブル末期世代」 不遇が「愛国」に走らせたのか?”. グローバルウェイ. 2014年7月28日閲覧。
- ↑ 日本に「ネット右翼主婦」増加中、事件が起きれば「容疑者は韓国人」と中韓批判繰り返す―中国メディア
- ↑ 「ネトウヨ」は社会的弱者ではない。だからこそ、根が深い。
- ↑ 藤生明: “リアル右翼「愛国の作法」”. AERA-net.jp (2011年1月16日). 2011年1月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年1月3日閲覧。
- ↑ 板東さんや矢口さんの復帰に「厳しい声」を書き込む人たちはどんな人たちだと思う?『livedoorニュース』2014年10月22日
- ↑ SAPIO2013年4月号
- ↑ 日経ビジネスエッジ 小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」
- ↑ [2]
- ↑ コメント欄にはびこる嫌韓・嫌中 ヤフー・ニュース分析 朝日新聞 2017年4月28日
- ↑ 西村幸祐Twitter
- ↑ “ネットのデマはなぜ無くならないのか?「8.6秒バズーカー」「翁長知事の娘」から考えるデマと寄生の関係”. Yahoo!ニュース (Yahoo!ニュース). (2015年4月24日) 2015年7月6日閲覧。
- ↑ 週刊新潮 2015年4月22日
- ↑ [3]田母神俊雄Twitter
- ↑ 池上彰、佐藤優は「どのサイト」を見ているか 「無料で読める」おすすめサイトを紹介! 東洋経済オンライン 2017年1月26日
- ↑ 津田大介が語るメディアリテラシー|Web編:「3つの入手経路を確保してバランスよく使う」ローリングストーン日本版 11/1
- ↑ そのツイート、真実ですか? Twitterのスクショ拡散 その危険性BuzzFeed Japan
- ↑ 【悲報】鳥取県でインド6弱(保守速報、2016年10月21日)
- ↑ ネット掲示板運営者を提訴 在日コリアン差別記事2014/08/18 18:29 【共同通信】アーカイブ
- ↑ 「ネット人種差別で苦痛」…在日ライターが損害賠償で提訴 大阪地裁産経新聞2014.8.18
- ↑ 中傷記事「転載しただけ」でも名誉毀損に 東京高裁が初認定 安易な「転載・まとめ」に警鐘
- ↑ いまこそ、平成ニッポンのタブーを語ろう現代ビジネス11/8(水) 14:00配信
- ↑ 女子高生の黒髪強要問題 まとめサイトが別人の写真でデマ拡散2017/10/29(日) 17:38配信 BuzzFeed News
- ↑ 「在日韓国人が7月9日に在留資格失い、強制送還」 デマの拡散で入管に不法滞在通報相次ぐJ-CAST NEWS 2015年7月10日 2018年5月17日閲覧
- ↑ “「在日コリアン」理由に懲戒請求、弁護士への名誉毀損認定…男性に33万円の賠償命令”. 2019年3月14日閲覧。
- ↑ 「時代を変える高揚感があった」 ヘイトと「日本スゴイ」で弁護士へ大量懲戒請求BUSINESS INSIDER 2018年5月16日 同年5月17日閲覧
- ↑ “ネット右翼辞めた幹部 デマ真に受ける人たち見て怖くなった”. NEWSポストセブン (NEWSポストセブン). (2012年5月1日) 2015年7月6日閲覧。
- ↑ 古市憲寿が流行語大賞「日本死ね」炎上騒動のウラを斬るホウドウキョク 12/12
- ↑ 日本:かつて差別をしていた人たちの告白 2015/03/15 15Global Voices
- ↑ “「雪かき対談」した漫画家が明かす「猪瀬氏の”黒い発言”」”. 東スポWeb (東京スポーツ). (2013年12月28日) 2014年6月10日閲覧。
- ↑ 脳科学者・茂木健一郎氏がTwitterで「ネトウヨ」を批判「きみたちが熱を上げていることって、本当に人生のエネルギーを注ぐに値するのか?」livedoornews 2014年6月11日
- ↑ 127.0 127.1 <新潟日報>支社報道部長がツイッターで弁護士に暴言、謝罪 Archived 2015年11月24日, at the Wayback Machine.
- ↑ 新潟日報部長が匿名ツイッターで弁護士中傷、不適切な書き込みは以前から? 「お気の毒な人だ…」と被害弁護士
- ↑ 新潟日報部長、水俣病弁護団長をツイッター中傷[リンク切れ]
- ↑ 「ネトウヨ」は社会的弱者ではない。だからこそ、根が深い。
- ↑ 保守派を「非知性」「バカ」と印象づけようと躍起になる朝日新聞って…産経新聞2015.7.25
- ↑ [古森義久]【「ネトウヨ」はヘイトスピーチである】〜全国初、大阪市ヘイトスピーチ抑止条例〜Japan In-depth 2016年1月23日
- ↑ サヨクどもが「サイコパス」だと言える数々の症例iRONNA
- ↑ 「ネット右翼」の台頭と日本“右傾化” の真実
- ↑ 「国益」の視点から考えるヘイトスピーチ撲滅論Yahoo!ニュース 2016年2月2日
- ↑ [4]
- ↑ [5]
- ↑ 「小保方本」に「陰謀論が大好きな信者にとっての聖書」評NEWS ポストセブン 3月6日
- ↑ 野間易通twitter2016年3月5日
- ↑ 自称保守論壇の崩壊が心地良い春よしりんブログ 2016.03.09
- ↑ 安田純平Twitter
- ↑ 知恵蔵miniの解説 - ブサヨ
- ↑ 143.0 143.1 「韓国ネトウヨ 「日本人は親切」の韓国タレント書き込みに激怒」『SAPIO』2012年8月22・29日号、NEWSポストセブン、2012年8月17日、2013年3月17日閲覧。
- ↑ 144.0 144.1 livedoorニュース2013年03月08日07時00分配信、呉承鎬署名記事「韓国の日本製品不買運動 その目的は“社会的地位獲得”にあり!?」
- ↑ 145.0 145.1 スコットランド女性首相、現地版ネトウヨの一掃を宣言 ブレイディみかこ
- ↑ 「どん詰まりのアメリカ」で、存在感増す新しい右翼「オルトライト」とは?
参考文献[編集]
- 北田暁大「ネット世論 嗤う日本のナショナリズム――「2ちゃんねる」にみるアイロニズムとロマン主義」『世界』第720号、岩波書店、2003年11月、 pp. 117-124、 モジュール:Citation/CS1/styles.cssページに内容がありません。NAID 40005943205。
- 北田暁大『嗤う日本の「ナショナリズム」』日本放送出版協会〈NHKブックス 1024〉、2005年2月。モジュール:Citation/CS1/styles.cssページに内容がありません。ISBN 4-14-091024-0。
- 鴻上尚史『「空気」と「世間」』講談社、2009年7月。モジュール:Citation/CS1/styles.cssページに内容がありません。ISBN 978-4-06-288006-0。
- 近藤瑠漫・谷崎晃編著『ネット右翼とサブカル民主主義 ――マイデモクラシー症候群――』三一書房、2007年8月。モジュール:Citation/CS1/styles.cssページに内容がありません。ISBN 978-4-380-07218-5。
- 鈴木謙介『カーニヴァル化する社会』講談社〈講談社現代新書〉、2005年5月。モジュール:Citation/CS1/styles.cssページに内容がありません。ISBN 4-06-149788-X。
- 樋口直人、永吉希久子、松谷満、倉橋耕平、ファビアン・シェーファー、山口 智美 『ネット右翼とは何か』青弓社、2019年5月。ISBN 978-4787234544。
- 古谷経衡『ネット右翼の逆襲 「嫌韓」思想と新保守論』総和社、2013年4月。モジュール:Citation/CS1/styles.cssページに内容がありません。ISBN 978-4-86286-070-5。
- 『ネット右翼ってどんなヤツ? ――嫌韓、嫌中、反プロ市民、打倒バカサヨ――』宝島社〈別冊宝島nonfiction〉、2008年1月。モジュール:Citation/CS1/styles.cssページに内容がありません。ISBN 978-4-7966-6226-0。
- 安田浩一「徹底取材「在特会(在日特権を許さない市民の会)」の正体――いまや日本社会で最もやっかいな存在「ネット右翼」とは何者か」『g2』vol,6、講談社、2010年12月4日、 モジュール:Citation/CS1/styles.cssページに内容がありません。ISBN 978-4-06-284356-0。
- 安田浩一「ネット右翼に対する宣戦布告――話題騒然・「在特会」桜井誠会長の正体の続編」『g2』vol,7、講談社、2011年4月15日、 モジュール:Citation/CS1/styles.cssページに内容がありません。ISBN 978-4-06-284357-7。
- 安田浩一『ネットと愛国――在特会の「闇」を追いかけて』講談社〈g2 book〉、2012年4月17日。モジュール:Citation/CS1/styles.cssページに内容がありません。ISBN 978-4-06-217112-0。
- 安田浩一、山本一郎・中川淳一郎『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』宝島社〈宝島社新書 372〉、2013年1月26日。モジュール:Citation/CS1/styles.cssページに内容がありません。ISBN 978-4-8002-0470-7。
関連項目[編集]
- オルタナ右翼
- 草の根保守
- 国粋主義
- 集団主義・集団心理
- 権威主義的パーソナリティ
- サイバーカスケード
- 行動する保守
- 自民党ネットサポーターズクラブ
- まとめサイト
- 嫌韓
- 嫌中
- インターネットスラング
- ナショナリズム
- 保守
- 右翼
外部リンク[編集]
- デジタル大辞泉『ネット右翼』 - コトバンク
- 日本最大のネット右翼の背景にあるもの1/2・日本最大のネット右翼の背景にあるもの 2/2 人民日報2012年5月31日(日本語)
テンプレート:ネット右翼 スクリプトエラー: モジュール「navbox/former」はありません。 Lua エラー モジュール:Authority_control 内、423 行目: attempt to index field 'wikibase' (a nil value)
This article "ネット右翼" is from Wikipedia. The list of its authors can be seen in its historical and/or the page Edithistory:ネット右翼.
This page exists already on Wikipedia. |