世間
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さらに、日本ではこの用語は一般名化して、「この世」「世の中」「社会」のことを表す用語として使われている。転じて歴史学者の阿部謹也は、日本社会が英単語「society」の訳語としての「社会」に当てはまらない性質があるとして、旧来の「世間」の呼称を採用し、西欧的「社会」との比較研究としての「世間論」を展開した。また、「世間」と書いて「よのなか」と読むこともある。
世間と出世間[編集]
移ろいゆく世界(世間)の法則に流れしたがうことを
八つの世間法[編集]
世間は、八つの世間法が支配する世界であると説かれている。
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これは八つの出世間法、すなわち八正道(正見、正思惟、正語、正業、正命、正精進、正念、正定)と対比される。
出世間[編集]
大乗仏教が後世にさらに発展すると、この娑婆における苦の多い現実世界の中で仏法を活かすということから、世法を完全否定せず、世間の法則を肯定的に捉えるようになった。またこれは、世間法即如来法(世法即仏法)と対立する2つの概念を不二法門として説かれるようになった。
三世間[編集]
三種世間ともいい、移ろいゆくこの世の現象世界、つまり世間を3種類に分類したもの。これらの境界が、いわゆる物質的なものを含めて、環境一般をも意味するようになると、以下の三世間が説かれる。
大智度論では、以下の名称で説かれている。
仮名世間 ()とは、衆生世間ともいい、生命のあるもの国土世間 ()とは、山河大地など五蘊世間 ()とは、人間を構成し、世界を構成している構成要素をいう。これらも五蘊 ()が色受想行識であることから考えると、単なる物質的要素でなく、精神的なものを主としている。
華厳経疏では、以下の3種類を立てるが、3つめは大智度論とは異なる。
衆生世間 ()、智度論の仮名世間と同じ器世間 ()、智度論の国土世間と同じ智正覚世間 ()、仏の世界
なお、サーンキヤ学派では、以下の3種類を立てる。
- 天上
- 人間
- 獣道
三界[編集]
三界の項を参照。
なお、大乗仏教では、この三界を離れ、さらにその上に声聞、縁覚や菩薩、そして仏国土や浄土があると位置付ける。また天台宗などでは、迷悟両界をあわせて十界があるとする。
文学における世間[編集]
世間・世の中を意味する言葉として『万葉集』では「うつせみ(現身)」「よのなか(世間)」の用例が見られ、「世間」の用例は45首(作者・年代が確定可能なものは35首)が見られる[1]。
脚注[編集]
- ↑ 阿部(1995)、pp.32-33
参考文献[編集]
- 阿部謹也『「世間」とは何か』講談社現代新書 1995年
- 山本七平『「空気」の研究』文春文庫 1983年
- 鴻上尚史『「空気」と「世間」』講談社現代新書 2009年
- 佐藤直樹『「世間」の現象学』青弓社 2001年
関連項目[編集]
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