J-POPとK-POPの格差
Lua エラー package.lua 内、80 行目: module 'Module:Message box/configuration' not foundJ-POPとK-POPの格差(ジェー・ポップとケー・ポップのかくさ)では、2000年代から2010年代にかけてK-POPの台頭によって発生したJ-POPとK-POPの格差、2020年代からのJ-POPの再生現象について解説する。
概要[編集]
1990年代まで日本はアジア音楽の中心地であり、日本の音楽産業は世界2位(1位はアメリカ)であったが、1990年代から2020年代初頭までの30年間で、アジアやヨーロッパを含めた世界音楽市場でのJ-POPとK-POPの地位は完全に逆転したとされている[1][2][3]。
K-POPの基礎を築いたのはSMエンターテインメント、YGエンターテインメント、JYPエンターテインメントの三大韓国芸能事務所である。SMは日本のエイベックスを手本に、エンターテインメント企業として2000年に初めてKOSDAQに上場し、上場により得た信用力と巨額資金を基に事業を拡大させて急成長した[4][5][6]。SMはプロデュース面においてはジャニーズ事務所を参考にしたとされている[1]。SMはブルー・オーシャン戦略(競争の激しいレッド・オーシャン市場を避け、競争的ではなく未開のブルー・オーシャン市場に参入する戦略)[7]、CT(カルチャー・テクノロジー)理論(現地化戦略)[8][9][10][11][12]を推し進めてきた。
韓国は政府がK-POPの世界進出・輸出に大きく関与しているという[13][14][15][16]。韓国は1997年に強烈な金融危機に遭い、韓国政府は危機状態から韓国経済を立て直すために音楽産業に戦略的な投資を行ったとされている[16]。それに対し、日本政府もクールジャパン政策(大衆文化の世界進出・輸出)を施行したが、失速し、韓国の政策ほど大きく発展しなかった政治的背景が存在する[17]。MAG2 NEWSによると、日本はある予算がある場合、電通のような会社が必ず政府の代わりに動くことによって手数料を稼ごうとし、政府の費用を「甘い汁」だとしか考えていないシロアリのような人間が大勢集まることで悪い結果になるという[16]。
CD販売が低迷していた2000年代に日本企業や大手芸能事務所はデジタル・ストリーミングへの適切な転換を行わず[18][19]、CD販売やアナログ的な手法に固執していた[19][20][21]。文春オンラインによると秋元康がCD販売に重点を置いた「AKB商法」を行っていたとされているが[22]、多くの韓国企業は逸早く時代の変化に気付き、世界的基準でどの国よりも早くデジタル・ストリーミング音楽市場を作り上げ[20]、SMはそのデジタル・ストリーミングの流れに沿ってBoA、東方神起、SUPER JUNIOR、少女時代など先進的な音楽要素を基にしたグローバルコンテンツを世界に送り出し[23][24][25]、既成概念に囚われない柔軟な経営方針[23]によりK-POPの礎を築いた。また韓国ではK-POPアイドルの練習生は毎日過酷なレッスンを受けるといい、深夜まで練習するなどハードワークが特徴的であり、ダンスなどのパフォーマンスがスタイリッシュでレベルが高いこともヒット要因とされている[26][27][28]。2000年代の第1次韓流ブーム、2010年代前半の第2次韓流ブーム、2010年代後半の第3次韓流ブームと急成長を遂げ、K-POPの地位は確固たる存在となっていった。
世界で爆発的ヒットを記録したBTS[2][16]やBLACKPINKの快挙もあり、2020年代初頭にはJ-POPとK-POPの格差は世界認知度において一目瞭然な状態となっていた[2][22][29]。
K-POPの失速とJ-POPの再生[編集]
台頭を表してきたK-POPであったが、2020年代に入って失速し始めた。
2022年6月14日にBTSが活動休止を発表[30]。日本のSMAPや嵐のメンバーの結婚が大衆から祝福されていたのと異なり、BTSメンバーへの露骨なバッシングは様相が異なっていたという[31]。
K-POPは歌唱・ダンス・ルックスなどの完璧性を売りにしてきたが、クオリティが高くなりすぎるなどK-POPの完璧性が裏目に出て、ファンが真似できる隙がなくなり、爆発的ブームが生まれなく、新人グループの勢いが失速したという[31]。
韓国は逸早くストリーミングを取り入れ、長年に渡って実績を積み上げてきたK-POPとJ-POPの格差は既に絶対的な物となっていたが、2020年代になって日本の音楽業界もYouTubeなどにてストリーミングに力を入れ始めた[18]。
ジャニーズ事務所はストリーミングやITにあまり着手していなかったが、制限などを緩和し、積極的にITを開拓していき[32]、従来のジャニーズアイドル路線ではなく世界進出路線に意欲的になっていった[33]。2022年3月3日にTravis Japanがアメリカにて武者修行を行うことが発表され[34][35][36]、10月28日の壬寅年・甲寅日に世界デビューし、同時に事務所初の配信(ストリーミング)デビューとなった[37][38]。
J-POPとK-POPの格差となった原因[編集]
プロデュース面[編集]
- J-POPは余計な要素が多く入り、表現がストレートではなく、2010年代後半頃より覚えにくいメロディが増え始め、音楽面にてビルボード入りや世界ヒットしにくいアニメ・ボカロ・歌い手要素などのオタク要素が入り、ダンスなどのパフォーマンスの向上にも注力しなかった[22]。またJ-POPにはAKB48などの多人数グループが存在するが、人数が多いために視聴者がメンバーを認識しにくいというデメリットがある。これに対してK-POPは表現がストレートでシンプルであり[39]、無駄な要素が入っていなく[22][39]、世界の外国人に伝わりやすいことが挙げられる。また韓国ではK-POPアイドルの練習生は毎日過酷なレッスンを受けるといい、深夜まで練習するなどハードワークが特徴的であり、ダンスなどのパフォーマンスがスタイリッシュでレベルが高いとされている[26][27][28]。
- モーニング娘。やハロー!プロジェクトをプロデュースしたつんく♂はK-POPの優位性について述べており、韓国は国策としてK-POPをちゃんと世界に売り出す・ビジネスするという指針があるが、日本はそういったビジョンがなく、訓練されていないためにK-POPとは勝負にならないという[40]。
- K-POPはプロデュースにおいてシンプルで基本的な事をきちんと行っており[22]、英語教育を行い、宗教的理由でタブーとされているジェスチャーや言葉をダンスの振り付けに取り入れてしまったり、SNSで炎上を招く投稿をしないようにしっかりと教育とするなど、基本に特化することで世界で戦えるアーティストを育成した[13]。
戦略面[編集]
- 日本企業やジャニーズ事務所などはデジタル・ストリーミングへの適切な転換を行わず[18]、秋元康やAKB商法などのCD販売・アナログ手法に依存していたとされており、日本の音楽業界は閉塞的・退歩的な老廃体質であったとされている[20][21][22]。日本の音楽業界はデジタル・ストリーミングへの転換に保守的に対応したため、2022年のJ-POP市場の規模は15年前に比較して半分になったといい、K-POPはオリコンランキングアルバム販売量の37%を占める影響力を拡大させた[18]。そのためK-POPアイドルを志望する日本人が増加した[18]。また日本は国内重視で世界に注力しなかったが[22]、韓国は世界進出・輸出を積極的に行った[13]。
- チン・ダルヨン(サイモンフレーザー大学 教授)によると、J-POP衰退の最大理由は「閉鎖性」であるという[1]。日本の音楽業界は著作権保護などに執着し[41]「YouTubeなどのストリーミングでの音源公開はレコード会社の収益下落に繋がる」という非合理的・老廃的な理由で、ストリーミングなどの新技術の導入を極度に敬遠したが、これがJ-POPの認知度下落に繋がったという[1][18]。これに対し、韓国は新しい模索や試行を止めず、先進技術に集中して市場を開拓していき、著作権の規制はある程度緩和し、ストリーミングでK-POPを拡散したといい、キム・スギョン(UCLA 教授)はYouTubeの存在なくしてK-POPは成り立たなかったと述べている[1]。
J-POPの打開策[編集]
- Zoppによると昔の曲のメロディの方が歌いやすく[42]、最近の曲は覚えにくかったり[42]「お皿を洗いながらでも口ずさめるメロディ」が減ったという[42]。2010年代より覚えにくいメロディが増え始めており[42]、メロディ[40]や歌詞[43]を強くし、日本がアジア音楽の中心地であった1990年代・2000年代のJ-POPのような覚えやすく記憶に残る濃いメロディを作るという事が挙げられる[44]。またつんく♂はK-POPのメロディはしっかりしていると語っている[40]。K-POPのような商業音楽やビジネス路線ではなく、芸術的・アーティスティックな面を強化することも打開策の1つである[13]。現在ではK-POP市場は競争の激しいレッド・オーシャンとなっており、K-POPアイドルに日本が勝つ事は物理的に完全不可能な状態となっているため、ブルー・オーシャン戦略を積極的に用いることが打開策として挙げられる[7][13]。サッカーに例えるならば、韓国のK-POPが攻撃的なポゼッションフットボールの戦い方であるとすれば、日本のJ-POPは堅守速攻的なカウンター戦法が必要とされる。
- 時代の変化に気付いて先読みし[20]、デジタル・ストリーミング[21]や先進技術[1]を積極的に使う事が挙げられる。
- AAAのSKY-HIはJ-POPとK-POPの格差について危惧を示しており、日本の音楽を再興させるべく自らプロデュースを開始した[29](ただしプロデュース対象がアイドルであるためレッド・オーシャン市場である)。
脚注[編集]
- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 “J-POPを真似ていたK-POP…30年ぶりに「大逆転」実現した秘訣は - 韓国経済新聞”. web.archive.org (2022年9月24日). 2022年10月23日閲覧。
- ↑ 2.0 2.1 2.2 “「JポップよりKポップ」日韓両国とも多数派、日本の70歳以上は「認めたくない」?…日韓世論調査 : 読売新聞オンライン”. web.archive.org (2022年6月9日). 2022年10月24日閲覧。
- ↑ “パリっ子も韓国アイドルに夢中!|ヨーロッパでJ-POPがK-POPに“負けた”理由を仏紙が分析 | クーリエ・ジャポン”. web.archive.org (2019年4月5日). 2022年10月24日閲覧。
- ↑ “海外企業を買う:エスエム・エンタテインメント 韓国最大手芸能プロ、K-POP人気後押し | 週刊エコノミスト Online”. web.archive.org (2022年10月24日). 2022年10月24日閲覧。
- ↑ “創立20年迎えたSMエンタ Kポップの世界展開に道筋 | 聯合ニュース”. web.archive.org (2021年4月11日). 2022年10月24日閲覧。
- ↑ “BTS会社社長、韓国8位の株式富豪に…「共通点はオタクなこと」J.Y.Parkが語った素顔 | 文春オンライン”. web.archive.org (2020年10月25日). 2022年10月24日閲覧。
- ↑ 7.0 7.1 “意外に類似点があるブラジルと韓国の近代史 – ブラジル知るならニッケイ新聞WEB”. web.archive.org (2020年2月21日). 2022年10月23日閲覧。
- ↑ “日本と香港を押しのけ、韓国エンタメが30年前に躍進し始めた理由|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト”. web.archive.org (2022年10月22日). 2022年10月23日閲覧。
- ↑ “SMエンタ、イ・スマンが掲げた「CT理論」との関連性 - Real Sound|リアルサウンド”. web.archive.org (2021年4月18日). 2022年10月24日閲覧。
- ↑ “[芸能]少女時代ら所属事務所の会長、欧州音楽界に韓流紹介 | 聯合ニュース”. web.archive.org (2022年10月24日). 2022年10月24日閲覧。
- ↑ “「3段構えの現地化戦略、次は中国市場」 李秀満SM会長が韓流拡散構想を語る : 東亜日報”. web.archive.org (2022年10月24日). 2022年10月24日閲覧。
- ↑ “李秀満氏、MIT・MBA学生らに「韓流」講演” (日本語). 中央日報 - 韓国の最新ニュースを日本語でサービスします. 2022年10月24日閲覧。
- ↑ 13.0 13.1 13.2 13.3 13.4 “K-POPが世界で勝つ理由、Perfumeに感じたJ-POPの“余裕” | 日刊SPA!”. web.archive.org (2019年4月25日). 2022年10月24日閲覧。
- ↑ 酒井美絵子『なぜK‐POPスターは次から次に来るのか : 韓国の恐るべき輸出戦略』朝日新聞出版、2012年3月13日。モジュール:Citation/CS1/styles.cssページに内容がありません。ISBN 978-4022734433。
- ↑ “新書マップ”. web.archive.org (2022年10月23日). 2022年10月23日閲覧。
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- ↑ “少年隊以来ジャニーズ38年ぶり!Travis Japanが米LA武者修行「何かを成し遂げて帰ってきたい」インスタライブで発表:中日スポーツ・東京中日スポーツ”. web.archive.org (2022年3月3日). 2022年10月29日閲覧。
- ↑ “Travis Japan世界デビューに宮近海斗「ジャニーさんが夢を語っている姿が浮かびます」(日刊スポーツ)” (日本語). Yahoo!ニュース. 2022年9月29日閲覧。
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- ↑ 42.0 42.1 42.2 42.3 “作詞家 zoppが考える、“流行歌”が更新されない理由 「日本人の琴線に触れるメロディが減った」 - Real Sound|リアルサウンド”. web.archive.org (2022年2月22日). 2022年11月23日閲覧。
- ↑ “J−POPの歌詞は本当に劣化したのか? 磯部涼×中矢俊一郎が新たな価値を問う - Real Sound|リアルサウンド”. web.archive.org (2015年1月13日). 2022年10月23日閲覧。
- ↑ 割田康彦『一発で記憶に残る曲を作る!「9つのルール」』ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス、2018年11月24日。モジュール:Citation/CS1/styles.cssページに内容がありません。ISBN 978-4636958386。
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