ボカロ (音楽ジャンル)
ボカロ | |
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様式的起源 | ポピュラー音楽、J-POP、ロック、アニソン、エレクトロスウィング、ヒップホップ、ゲームミュージック、ダンスロック、EDM等 |
文化的起源 |
2000年代、2010年代 日本の旗 日本 |
使用楽器 | DTM、音声合成ソフト |
融合ジャンル | |
ミクノポップ、VOCAROCK、ミックホップ、ポストミック | |
関連項目 | |
歌ってみた |
ボカロ(別名: VOCALOID曲、ボカロ曲、ボーカロイド曲)は、ヤマハが開発した音声技術「VOCALOID」、及び「VOCALOID」の技術を応用したソフトウェアを使用して製作された楽曲を総称する音楽ジャンルを指す言葉である[1][2]。そのため、ボカロ曲は「初音ミク」や「鏡音リン・レン」を始めとしたVOCALOIDだけでなく、「UTAU(重音テトなど)」や「CeVIO(可不など)」などを始めとしたジャンルも含んだ広義で使用されることが多い[3]。ボーカロイド曲は、通称「UGC」と称される「自主制作コンテンツ」の文化を生み出した存在として知られている[1]。また、ボカロ曲を制作する音楽家はボカロPと呼ばれる[4]。
歴史[編集]
VOCALOID開発から初音ミク開発まで[編集]
2000年、当時、打ち込み音源で唯一表すことができなかった「歌声」を音源として表現できるものを目指して剣持秀紀とバルセロナのポンペウ・ファブラ大学の共同開発が始まった[5]。2004年には最初のバージョンが出来上がり、同年3月にZERO-Gから男声の「LEON」と女声の「LOLA」として発売されたが、商業的には失敗した[5][1]。2004年11月発売の日本初のVOCALOIDである女声の「MEIKO」はクリプトン・フューチャー・メディアから発売され、3000本ほどの売上を達成し、大ヒットを記録した[1]。しかし、2006年2月発売の男声のVOCALOID「KAITO」は500本しか売れず、商業的には失敗した[1]。この期間、muzieなどの音楽配信サイトにMEIKOの楽曲が投稿されることはあったものの、「ボカロシーン」と称されるものや、多数のリスナーの存在はなかった。これには2006年12月にサービスを開始したニコニコ動画などの存在がなかったことも影響していると考えられている[4]。2007年8月31日にはVOCALOID「初音ミク」が発売された[1]。
初音ミクの登場[編集]
2007年8月31日発売のVOCALOID「初音ミク」の登場からボカロ業界が動き出したとされている[4][6]。1週間で1000本、半年間で3万本という大ヒットを記録した初音ミクの誕生は、次第に音楽業界へと影響を与えていった[7]。2007年9月3日投稿の動画『初音ミクが来ないのでスネています』の投稿者が「ワンカップP」と命名されたことからボカロ曲などを製作する人を指す言葉「ボカロP」という言葉も生まれたのもこの頃である[4]。当時、公式イラストが3枚しかなかったが、2021年9月4日にはOtomaniaによって『VOCALOID2 初音ミクに『Ievan Polkka』を歌わせてみた』が投稿され、初音ミクのデフォルメキャラ「はちゅねミク」が創作されるなど、音楽に付随する要素の創作も進められた[7][8]。また、2007年9月13日に投稿されたOSTER projectの『恋スルVOC@LOID』、同年9月20日に投稿されたika_mo(鶴田加茂)の楽曲『みくみくにしてあげる♪【してやんよ】』、同年9月25日に投稿された『Packaged』、2007年10月5日に投稿された『celluloid』などの楽曲を筆頭に、VOCALOIDとしての「初音ミク」に焦点を当てた楽曲が数多く投稿された[4][9][10]。また、当時は「ボカロ」というカテゴリがニコニコ動画に存在していなかったことから「演奏してみた」などのカテゴリでボカロ曲を投稿していた人が多かった[6]。この頃、初音ミクの歌は恋愛ソングが多く、次第にコメントを通して作り手と受け手の間で広まりを見せていった[7]。また、ボーカロイド音楽論の講師を務める東大教員の鮎川ぱては、初音ミク発売後1年ほどは「萌えカルチャー」としてのボカロ曲が多かったと語っている[11]。
2007年12月3日、初音ミクの開発元「クリプトン・フューチャー・メディア」はコンテンツ投稿サイト「ピアプロ」を開設し、「キャラクター利用のガイドライン」を発表した[9]。以降、非営利の個人がキャラクターとしての初音ミクを自由に利用できるようになり、「ピアプロ」を通してのクリエイター間での結びつきが強まり、初音ミク関連の創作活動が活発化した[9][12]。また、2007年11月から始まった即売会「THE VOC@LOiD M@STER」(通称: ボーマス)は、ボカロPによる同人音楽CDの頒布などが実施される交流の場として定着した[13]。
キャラクターソングから一つの音楽ジャンルへ[編集]
2007年12月7日発表のryoのボーカロイド曲『メルト』は「VOCALOIDとしての初音ミク」でなく、「1人の少女としての初音ミク」を映し出した楽曲となり、以降、VOCALOIDではない「一人の個人としてのVOCALOID」を描く楽曲も誕生していった[6][9]。『メルト』の誕生は「歌ってみた」のブームを巻き起こしたということも相まって、『メルト』は初音ミクを「殺した」とまで形容される楽曲となった[4]。これは後に「メルトショック」と呼ばれている[14]。初音ミクが発売されてから1年を過ぎた頃からボカロ曲のリスナーの男女比が1対1となり、次第に「萌えカルチャー」としてのボカロ曲から「音楽ジャンル」としての初音ミクへと変化していった[11]。2008年4月に投稿されたcosMo@暴走Pの楽曲『初音ミクの消失』などの「ボカロならでは」の音楽も数多く製作されていた中で、2008年の中頃にはポップスや打ち込みサウンドを主流としていたボカロ曲に、バンド出身者によるロックが参入してくる、いわゆる「VOCAROCK」が隆盛したとされている[15]。164の初投稿作『shiningray』、DECO*27の初投稿作『僕みたいな君 君みたいな僕』、OneRoom(ジミーサムP)の楽曲『Scene』などがその代表例とされている[15]。2008年8月27日にはlivetune feat.初音ミク『Re:package』が初のメジャーで流通したボカロアルバムとなった[15]。同時期に、ニンテンドーDSiのソフト『うごくメモ帳』のサービスが開始し、ボカロ曲のカラオケが本格的に始まったことがボカロ曲の流行にも影響を与えたとされている[15]。
2009年5月にデビューしたWOWAKAやハチ(米津玄師)などを筆頭に、この頃から「VOCALOIDであること」に焦点を当てた作品だけでなく、「VOCALOIDっぽい」と形容されるような楽曲も多数生まれてきた[15][16]。例えば、WOWAKAは楽曲『裏表ラバーズ』でBPM159と16分音符を採用する早口歌唱の楽曲を採用し、ハチは楽曲『Persona Alice』でミのフラット(♭)を使用したり、楽曲『結ンデ開イテ羅刹ト骸』で通常音階に存在しないファのシャープ(#)とソのシャープ(#)を採用するなどの特徴も誕生した[16]。この頃から顕著に見られるようになり、後に「2010年の3大ヒットボカロ曲」と形容されるwowakaの『ワールズエンド・ダンスホール』、DECO*27の『モザイクロール』、ハチの『マトリョシカ』などの楽曲にも見られる「サビで転調する」歌が多く見られるようになったのもこの時期だとされている[16]。
また、2009年頃から当時の若年層がボーカロイド曲を耳にし始めたとされている[16]。2009年にはJOYSOUNDのカラオケランキングで『メルト』がランクイン、2010年にはトップ10曲中の5曲がボーカロイド曲となる程の人気を博した[16]。カラオケ「JOYSOUND×UGA」では、2011年のVOCALOIDの演奏回数は前年の1.7倍に達し、徐々にボカロ曲が裾野を広げていったことが窺える[17]。
後のWOWAKAやハチの活動停止を受けて、2011年から彼らの影響を受けたと考えられている楽曲も多数登場した[18]。例えば、2011年11月からボカロPとしての活動を開始したkemuのデビュー曲『人生リセットボタン』はBPM200という速いテンポに16分音符を使用したロック音楽となっている[18]。また、トーマは楽曲『バビロン』でロックジャンルの一つ「ポスト・ハードコア」とでも形容されるような楽曲を製作している[18]。他にも椎名もたの楽曲『ストロボラスト』はJust the Two of Us進行とリリースカットピアノを共に用いるという新たな音楽ジャンルを切り開いた[19]。「リリースカットピアノ」は、2012年に投稿されたlumoの楽曲『逃避ケア』、2013年に投稿された150Pの楽曲『孤独ノ隠レンボ』、2013年にスズム名義で投稿された楽曲『世界寿命と最後の一日』、2014年に投稿されたまふまふの楽曲『戯曲とデフォルメ都市』などにみられ、2016年以降のボーカロイド曲にも影響を与えた[19]。
2011年9月17日にニコニコ動画上に投稿された黒うさPの楽曲『千本桜』は、カラオケなどを介して広く伝搬していった[20]。2011年から2012年にかけて、メディアを通してボカロ曲が世間に広まっていった[18]。また、2013年3月に投稿された日向電工のヒット曲『ブリキノダンス』では16分音符の早口歌唱を始めとした、WOWAKAの影響を受けたと考えられるような特徴も数多く見受けられる[18]。
ポップスの流行[編集]
2013年中頃にkemuとトーマの活動が一時的に中断され、『カゲロウプロジェクト』のメディア展開も一旦完結した[21]。それに伴って、高速を特徴としたロック風の楽曲からポップス風の楽曲が流行した[21]。この頃に流行した曲としてスズム名義で投稿された楽曲『世界寿命と最後の一日』、TOKOTOKO(西沢さんP)の楽曲『夜もすがら君想ふ』、ユジーの『ミルクラウン・オン・ソーネチカ』、想太の『いかないで』、n-bunaの『ウミユリ海底譚』や『夜明けと蛍』、Orangestarの『イヤホンと蝉時雨』や『アスノヨゾラ哨戒班』などが挙げられる[21]。HoneyWorks、とあ、40mPなどのボカロPも同時代に活動している[21]。これは、高速ロックの流行が落ち着いたことに伴ってポップスが表面化したことが関係していると考えられている[21]。2014年にはニコニコ動画において海外Pとしては初めてミリオンを達成したCrusher-Pの『ECHO』が投稿されている[21]。
一方、人気なPのメジャー移行やプロジェクト系の終了、曲のマンネリ化などの影響で黎明期からの勢いは衰え、ボカロは一時的に「衰退期」「焼け野原」と呼ばれるようになる[19]。
2014年のJOYSOUNDカラオケ年代別ランキングでは10代のトップ20のランキングで、20曲中11曲がボカロ曲であるという結果となった[11]。また、同ランキングでは40代で『千本桜』が第5位にランクインしている[11]。
「衰退期」を超えて[編集]
前述の「焼け野原」の時代とポップスの時代を超えて、2016年1月にDECO*27が楽曲『ゴーストルール』を投稿し、その後、2016年4月に投稿されたナユタン星人の楽曲『エイリアンエイリアン』、Neruの『脱法ロック』、和田たけあきの『チュルリラ・チュルリラ・ダッダッダ!』、有機酸(神山羊)の『lili.』などが人気を集め、再び勢いが盛んになった[19]。この時期にはコンピレーションアルバムシリーズ『ドンツーミュージック』や『モノカラーガールスーパーノヴァ』に代表されるようなダンスロックの流行が見られた[19]。
同年9月にぬゆりが発表した『フラジール』は、エレクトロスウィングや、音がスパッと切れることが特徴となっている「リリースカットピアノ」の流行に寄与した[19]。また、『フラジール』は同年10月に有機酸(神山羊)が投稿した『lili.』とともに「エレクトロニックミュージック」の枠組みで語られることもある[19]。また、バルーン、ぬゆり、有機酸などのボカロPのヒット曲で「v flower」が使用されたのもこの時期である[19]。同年10月にはバルーン(須田景凪)が『シャルル』のボカロバージョンを投稿した数日後に自ら『シャルル』を歌ったセルフカバーのミュージックビデオを発表したことからボカロP自身がボカロ曲を歌うことも増加したと和田たけあきは話している[6]。これらの楽曲には前述のJust the Two of Us進行が使用されているという共通点がある。邦楽においてこの進行はネオ・シティポップ、Kawaii Future Bassなどで使用されており、R Sound Designの「帝国少女」はこの流れを汲んでいるといえる[19]。
初音ミク10周年とYouTubeの台頭[編集]
2017年には、wowakaなどからの影響を受けて独自のメタル的なフレーズと特徴的な音色の合成を多用した楽曲を製作したボカロPのMARETUが同年に投稿した楽曲4曲全てで100万回再生を記録した[22]。また、kemuの影響を受けた後にシンセを排した独自の音楽路線に転向したかいりきベアもヒット曲を叩き出した[22]。同年12月投稿のツキミのヒット曲『トウキョウダイバアフェイクショウ』がヒットを記録するなど、リリースカットピアノや200を超える高BPMを特徴した楽曲の流行も見られた[22]。
2017年は初音ミク10周年を迎え、wowaka、kemu、ハチなどのボカロPの楽曲投稿再開が行われた[14]。例えば、wowakaの楽曲『アンノウン・マザーグース』でヒットを叩き出し、初音ミク10周年を記念した「マジカルミライ2017」のテーマソングであるハチの楽曲『砂の惑星』は歴代最速でニコニコ動画に投稿されたボーカロイド曲としてミリオン再生を記録した[14][22]。なお「砂の惑星」は2016年当時のボカロシーンを風刺したものと言われており、ナユタン星人やsyudouらがアンサーソングを発表した。 ヒット楽曲の主要な投稿先がニコニコ動画だけでなく、YouTubeに移行したのも2017年とされており、その先駆けの一つとされているカンザキイオリの楽曲『命に嫌われている。』がYouTube上に投稿されたのもこの時期である[22]。この頃から、YouTube上での活動に際して、こんにちは谷田さん(キタニタツヤ)、しーくん(seeeeecun)、有機酸(神山羊)、MI8k(YUUKI MIYAKE)、mao sasagawa(笹川真生)、はるまきごはん、Eve(歌い手としても活動していた)などに代表される、ボーカロイド曲のセルフカバーを投稿してシンガーソングライターデビューを果たすという流れが本格化した[22]。また、「和」の雰囲気の楽曲を作る羽生まゐごや一二三、その逆に洋楽に影響された[23]Guianoなどが登場している。
2018年2月にはみきとPの楽曲『ロキ』が投稿され、同年12月の「YouTube FanFest」でVTuberのキズナアイとミライアカリがmajikoとともに『ロキ』を熱唱するなどの展開を見せた[24]。2018年10月には煮ル果実の楽曲『紗痲』がヒットし、2019年2月にはBPM69という低速の楽曲となった煮ル果実の楽曲『ヲズワルド』がヒットした[22]。2019年1月にはエレクトロニックミュージックやJust the Two of Us進行の流れを組んだsyudouの楽曲『ビターチョコデコレーション』がヒットを記録するなどの現象も起こった[22]。煮ル果実とsyudouに代表されるトラップとヒップホップの流れは、ハチの楽曲『砂の惑星』の系譜を組んだものとなっている[22]。2019年4月には、エレクトロニックミュージックに位置づけられるAyase(YOASOBIのコンポーザーも務める)の楽曲『ラストリゾート』がYouTube上に投稿されている[22]。また、この頃すりぃが1分ジャストの曲の中で起承転結を成立させ、キャッチーさと物足りなさを作り出すことで中毒性を生む、という手法でヒット[25]。
2019年8月に楽曲『オートファジー』で、2020年4月に『ボッカデラベリタ』でヒットした柊キライは、クラブミュージックを中心とした幅広いジャンルの要素を取り込んだ曲風で人気を博した[26][27]。2020年5月に楽曲『百鬼祭』でデビューし、2作目の『KING』で大ヒットを記録したKanariaは、ロック調ではないシンセや電子ビートなどを特徴とした曲風、2分半という曲の短さなどで人気を博した[27]。この頃のボカロ史に名前を残す人物としてChinozo、john、Peg、wotaku、獅子志司、SEVENTHLINKS、マイキP、シャノン、Aqu3raなどの名前が挙げられる[27]。また、てにをはも2020年2月に『ヴィラン』で再度ヒットを果たしている[27]。
また、2020年5月にはボカロPのちいたなによって、Twitter上のハッシュタグ「#vocaloPost」が登場し、徐々に広がりを見せている[27][28]。2020年12月からはボカロの祭典「The VOCALOID Collection」が開催され、これを機に柊マグネタイトや卯花ロクなどのボカロPの楽曲への注目度が高まった[3][29][30][31]。その他、ポップスに属しながら、「混沌としていながら破綻はしておらず、不思議と統制は取れている」と評されるいよわや、wowakaやヒトリエへのリスペクトを感じさせる一方、ギターのエディットや歌愛ユキの使用などで独自色を見せている稲葉曇などが注目を浴びている[27]。
TikTokを中心に流行したChinozoの楽曲『グッバイ宣言』は2021年8月にハチの『砂の惑星』を超えてYouTubeでのボカロ曲再生回数の最高記録を塗り替えた[32][33][34]。『グッバイ宣言』は2021年10月に書籍化される[33]。
音楽的な特徴[編集]
Lua エラー package.lua 内、80 行目: module 'Module:Message box/configuration' not found
邦楽シーンへの進出[編集]
2009年8月12日にsupercellが『君の知らない物語』をリリースし、ボカロPのアーティストデビューの道を切り開いた[16]。
その後はkz(livetune所属)、ハチ(米津玄師)、wowaka(元ヒトリエ所属)などがメジャーデビュー。特に米津玄師は「Lemon」「感電」などで大ヒット。2017年にはNHK紅白歌合戦に出場するなど、日本を代表するトップアーティストの1人となっている。米津玄師が切り開いた「ネット発ミュージシャン」の道には、神山羊や須田景凪、キタニタツヤなどが追随する。
2020年、ボカロPのAyaseがコンポーザーを務めるYOASOBIの「夜に駆ける」がヒットを果たし紅白歌合戦に出場。同じくボカロPのn-bunaがコンポーザーを務めるヨルシカや、ぬゆり、煮ル果実らが編曲を務めるずっと真夜中でいいのに。と並んで「夜好性」アーティストと呼ばれている。
デビュー曲「うっせえわ(syudouが作曲)」で社会現象を巻き起こしたAdoや、「春を告げる(くじらが作曲)」で一躍有名になったyamaの楽曲には、多数のボカロPが作詞・作曲などで参加している。また元歌い手でボカロPとしても活動していたEveは、「ドラマツルギー」や「廻廻奇譚」で知名度を上昇させた。
その他、P丸様。の「シル・ヴ・プレジデント(ナナホシ管弦楽団が作曲)」、神山羊のYELLOW、Chinozoの「グッバイ宣言」、和ぬかの「ヨワネハキ(100回嘔吐が編曲)」などがTikTokを通じて若年層の間で流行している。
メディア展開[編集]
2010年8月、ボーカロイド曲をノベライズした「ボカロ小説」の先駆けとなった悪ノPの小説『悪ノ娘』シリーズが始まった[18][35][36]。
2011年2月に『人造エネミー』でボカロPデビューを果たしたじんは、ドラムンベースの楽曲からBPM200超えの楽曲が多いロック系の楽曲へ転向してから2011年9月30日にニコニコ動画に投稿した楽曲『カゲロウデイズ』で人気を博し、以後、「カゲロウプロジェクト」のメディア展開とともに、ニコニコ動画と音楽業界の一部からしか認知がなかった音楽ジャンルとしての「ボカロ」の認知度が急速に上昇した[6][18]。2012年5月には150Pの『終焉ノ栞プロジェクト』、同年7月にはてにをはの『女学生探偵シリーズ』、同年12月にはぷす(じっぷす)の『ヘイセイプロジェクト』が始動するなど、「プロジェクト系」の進行が見られた[18]。また、2013年3月には『千本桜』がノベライズされるなど、多種多様なボーカロイド曲のノベライズが実施されている[37]。2012年2月に刊行されたボカロ小説『桜ノ雨』が2015年に実写映画化されるなど、映画方面でのメディア利用も数多くなされている[38][39]。「プロジェクト系」は2013年中頃に衰退し、「焼け野原」などと表現される時代が到来した[18][21]。
2012年には、kzの楽曲『Tell Your World』が「Google Chromeグローバルキャンペーン」のCMソングに起用され、VOCALOID曲の存在の認知が広まっていった[9][40]。
2017年7月には、グラミー賞を受賞した経験を持つグループ「アウトキャスト」のメンバー「ビッグ・ボーイ」がアルバム『BOOMIVERSE』をリリースし、その中で初音ミクの楽曲をサンプリングした楽曲『Kill Jill』を収録している[14][41]。
2017年9月には初音ミク生誕10周年を記念して『初音ミク Sings “手塚治虫と冨田勲の音楽を生演奏で”』と題されたアルバムが出されている[14][42]。
2020年9月にはボーカロイド曲を主に取り扱ったアプリ『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat.初音ミク』がリリースされた[43][44]。
「殿堂入り」「伝説入り」「神話入り」[編集]
ボカロ曲の人気の高さを計る指標の1つとして、「VOCALOID殿堂入り」「VOCALOID伝説入り」「VOCALOID神話入り」タグが挙げられる[45][16]。このタグはニコニコ動画でそれぞれ10万回再生、100万回再生、1000万回再生を突破した曲に付けられ、特に「VOCALOID神話入り」タグは2020年時点で6曲にしか付けられていない[45][16]。2021年9月現在、「殿堂入り」タグは5000曲以上、「伝説入り」タグは800曲以上、「神話入り」タグは6曲に付けられている[46][47][48]。
ボカロ曲の著作権を巡る動き[編集]
2007年末にはボカロ曲がJASRAC管理楽曲になっていることから、初音ミクを使用したボカロ曲(二次創作)が制限される危惧が高まると考えたユーザーなどの間で騒動が発生し、2007年12月25日にドワンゴ・ミュージックパブリッシングとクリプトン・フューチャー・メディアが共同コメントを出すまでに至った[49][50]。このとき、今後は「初音ミク」関連のコンテンツを配信するケースでは、データ製作者との契約を優先し、契約締結までの間に自動的にJASRACに登録される事態は起こさないことなどが確約され、初音ミクの二次利用への規制に対する危惧は緩和された[49][50]。しかし、『みくみくにしてあげる♪【してやんよ】』がJASRACの信託楽曲になると、カラオケや着うたへの使用が増加した代わりに、ブログパーツの「ふるみっくプレーヤー」や初音ミクの楽曲のまとめサイトなどから歌詞や動画が消え、作詞・作曲のika_moは「もうけ主義」と批判を浴びて、ブログを閉じる事態にまで発展した[50]。この事態が影響して、「カラオケで使用されてもボーカロイド曲には著作権使用料が発生しない」という事態が発生した[51][52][53]。これに対して、デッドボールPは「JASRACに信託するのが現状ではほぼ唯一の方法」と語ったりもしたが、「作家の収入確保なんてケチ臭い」などの批判的な意見も多数寄せられる事態にもなった[52]。その中で、2010年11月にクリプトン・フューチャー・メディア株式会社はVOCALOID曲のクリエイターがカラオケなどの楽曲利用で発生する著作権使用料収入を正当に受けられるための音楽出版事業を始めたと発表した[51][53]。
ニコニコ動画でのボカロ曲の再生回数ランキング[編集]
順位 | 楽曲名 | 製作者 |
---|---|---|
1位 | 千本桜 | 黒うさP |
2位 | みくみくにしてあげる♪【してやんよ】 | ika_mo(鶴田加茂) |
3位 | メルト | ryo (supercell) |
4位 | マトリョシカ | ハチ |
5位 | ワールズエンド・ダンスホール | WOWAKA |
6位 | モザイクロール feat. GUMI | DECO*27 |
7位 | 初音ミクの消失(LONG VERSION) | CosMo@暴走P |
8位 | 六兆年と一夜物語 | kemu (堀江晶太) |
9位 | ゴーストルール feat. 初音ミク | DECO*27 |
10位 | アスノヨゾラ哨戒班 | Orangestar |
11位 | ワールドイズマイン | ryo (supercell) |
12位 | 砂の惑星 feat. 初音ミク | ハチ |
13位 | 脳漿炸裂ガール | れるりり |
14位 | 炉心融解 | iroha(sasaki) |
15位 | ドーナツホール | ハチ |
16位 | 裏表ラバーズ | WOWAKA |
17位 | ロミオとシンデレラ | doriko |
18位 | ローリンガール | WOWAKA |
19位 | 天ノ弱 | 164 |
20位 | ロキ | みきとP |
21位 | パンダヒーロー | ハチ |
22位 | ロストワンの号哭 | Neru |
23位 | ダブルラリアット | アゴアニキP |
24位 | カゲロウデイズ | じん |
25位 | ブラック★ロックシューター | ryo (supercell) |
26位 | エイリアンエイリアン | ナユタン星人 |
27位 | ウミユリ海底譚 | n-buna |
28位 | ダンスロボットダンス | ナユタン星人 |
29位 | いーあるふぁんくらぶ | みきとP |
30位 | ECHO | Crusher-P |
脚注[編集]
- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 知恵蔵,デジタル大辞泉. “ボーカロイド曲とは” (日本語). コトバンク. 2021年9月20日閲覧。
- ↑ “ボーカロイド発売から15年 当初は酷評、転機はやはり「初音ミク」 ヤマハの開発者が歴史を振り返る” (日本語). 毎日新聞. 2021年9月21日閲覧。
- ↑ 3.0 3.1 “ニコニコ動画的ボーカロイドの歴史を“970,686本の投稿動画”とともに振り返ってみた” (日本語). ニコニコニュース オリジナル. 2021年9月20日閲覧。
- ↑ 4.0 4.1 4.2 4.3 4.4 4.5 “ボカロ曲の流行の変遷と「ボカロっぽさ」についての考察(1)初音ミク主体の黎明期からクリエイター主体のVOCAROCKへ” (日本語). Real Sound|リアルサウンド. 2021年9月19日閲覧。
- ↑ 5.0 5.1 “ボーカロイドは音楽の歴史を変えたのか?初音ミクだけでないブームの背景とは|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社” (日本語). ニュースイッチ Newswitch. 2021年9月19日閲覧。
- ↑ 6.0 6.1 6.2 6.3 6.4 “短いけど深〜〜〜いボカロの歴史を、 和田たけあきさんに聞いてみた【VVmagazine73】” (日本語). www.village-v.co.jp. 2021年9月19日閲覧。
- ↑ 7.0 7.1 7.2 “初音ミクが開く“創造の扉”” (日本語). ITmedia NEWS. 2021年9月19日閲覧。
- ↑ (日本語) VOCALOID2 初音ミクに「Ievan Polkka」を歌わせてみた 2021年9月20日閲覧。
- ↑ 9.0 9.1 9.2 9.3 9.4 “初音ミク:21世紀の音楽革命をもたらした電子の歌姫” (日本語). nippon.com (2021年3月26日). 2021年9月19日閲覧。
- ↑ “DTMブーム再来!? 「初音ミク」が掘り起こす“名なしの才能”” (日本語). ITmedia NEWS. 2021年9月20日閲覧。
- ↑ 11.0 11.1 11.2 11.3 “「初音ミク」10周年 知れば知るほど奥深いボカロの世界 | 東大新聞オンライン” (日本語). www.todaishimbun.org (2017年10月5日). 2021年9月19日閲覧。
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- ↑ ASCII. “音楽の「ナマ感」伝えたい ボーカロイドイベント主催が語る (1/4)” (日本語). ASCII.jp. 2021年7月17日閲覧。
- ↑ 14.0 14.1 14.2 14.3 14.4 “祝!初音ミク10周年 ボカロの歴史を紐解く” (日本語). KKBOX. 2021年9月20日閲覧。
- ↑ 15.0 15.1 15.2 15.3 15.4 “ボカロ曲の流行の変遷と「ボカロっぽさ」についての考察(1)初音ミク主体の黎明期からクリエイター主体のVOCAROCKへ ページ2” (日本語). Real Sound|リアルサウンド. 2021年9月20日閲覧。
- ↑ 16.0 16.1 16.2 16.3 16.4 16.5 16.6 16.7 “ボカロ曲の流行の変遷と「ボカロっぽさ」についての考察(2)シーンを席巻したwowakaとハチ” (日本語). Real Sound|リアルサウンド. 2021年9月20日閲覧。
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外部リンク[編集]
- ニコニコ動画的ボーカロイドの歴史を“970,686本の投稿動画”とともに振り返ってみた - ニコニコニュース
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