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ハリー・フレデリック・ハーロー

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ハリー・F・ハーロー(Harry F. Harlow)
生誕 スクリプトエラー: モジュール「Separated entries」はありません。
死没 スクリプトエラー: モジュール「Separated entries」はありません。
墓地 スクリプトエラー: モジュール「Separated entries」はありません。
国籍 アメリカ合衆国
研究分野 心理学
出身校 リード大学、スタンフォード大学
博士課程
指導教員		 ルイス・ターマン(Lewis Terman)
博士課程
指導学生		 アブラハム・マズロー、スティーブン・スオミ(Stephen Suomi)
主な受賞歴 アメリカ国家科学賞（1967年）
Gold Medal from American Psychological
Foundation（1973年）
Howard Crosby Warren Medal（1956年）
プロジェクト:人物伝
テンプレートを表示
恐怖試験において、サルの被験体は、布の代理母に近づきつつある

ハリー・フレデリック・ハーロー（Harry Frederick Harlow、1905年10月31日 – 1981年12月6日）は、アメリカの心理学者である。アカゲザルを使った母子の分離、依存の欲求、および社会的隔離実験で最もよく知られている。これは社会的認知的発達にとっての介護および交際の重要性を明らかにした。ほとんどの研究をウィスコンシン大学マディソン校で行なったが、そこで人間性心理学者アブラハム・マズローは短期間彼と働いた。

ハーローの諸実験は物議をかもした。それらは、針金と羊毛を材料にアカゲザルの乳児らのための無生命な代理母らを作ることをふくんだ。それぞれの乳児は、その独特の顔を認識しながら、他の人よりもそれを好みながら、その特定の母親に執着するようになった。ハーローは次に、乳児らが裸の針金の母親らまたは布で覆われた母親らを選び好むかどうかを調査することに決めた。彼はこの実験のために、2つの状況の、服を着た「母親」("mother")と針金の「母親」("mother")とともに乳児を提示した。ある状況では、針金母親は食べ物の入ったびんを持っていて、布母親は食べ物を持っていなかった。またある状況では、布母親がびんを持っていて、針金母親は何も持っていなかった。また、彼の経歴の後半では、隔離室で最大24か月間、幼児のサルらを育てた。彼らはそこから激しく動揺して現れた[1]。一部研究者は、アメリカの動物解放運動の台頭におけるいち要因としてそれら実験を引証している[2]。2002年に発行された『Review of General Psychology』調査は、ハーローを、20世紀で引証された心理学者の26位にランク付けした[3]。

伝記[編集]

ハリー・ハーローは1905年10月31日にメーブル・ロック(Mabel Rock)とアロンゾ・ハーロー・イズレイアル(Alonzo Harlow Israel)の子として生まれた。ハーローはアイオワ州フェアフィールドで4人兄弟の3男として生まれ育てられた[4]。ハーローはオレゴン州ポートランドのリード大学で1年過ごした後、特別な適性検査を通じてスタンフォード大学への入学を許された。彼はほぼ悲惨な成績の英語専攻生としての半学年の後、心理学専攻生として本性を現わした[5]。

1924年にハーローはスタンフォードに通い、その後、心理学の大学院生になり、有名な動物行動学者カルバン・ペリー・ストーン(Calvin PerryStone)と視覚の専門家ウォルター・リチャード・マイルズ(Walter Richard Miles)の直下で働き、全員ルイス・ターマン(Lewis Terman)によって監督された[4]。ハーローは主にスタンフォード-ビネーIQテストの開発者ターマンの下で働き、ターマンはハーローの未来を形作るのを助けた。1930年にハーローは PhD を取得した後、名前をイズレイアルからハーローに変えた[6]。この変更は、彼の家族がユダヤ系でなかったけれども、一見ユダヤ系に見えるラスト・ネームを持っていることの悪影響を恐れるテルマンの促しで行われた[4]。

ハーローは博士論文を仕上げた直後に、ウィスコンシン大学マディソン校で教授職を引き受けた。ハーローは心理学部を説得して十分な実験室スペースを提供させることに失敗した。その結果、ハーローは大学から通り向こうにある空いている建物を取得し、大学院生らの助力を借りて、その建物を改装し、それはのちに霊長類研究所[2]の1つとして知られるようになり、それはその種で世界最初の1つであった。それは、ハーローの指導の下で最先端の研究の場となり、そこで約40人の学生が PhD を取得した

ハーローは無数の賞と栄誉を受賞し、そのなかには Howard Crosby Warren Medal（1956年）、アメリカ国家科学賞（1967年）、American Psychological Foundationの金メダル（1973年）がふくまれる。彼は1950年から1952年まで陸軍省人事研究部門(Human Resources Research branch of the Department of the Army)の長、1952年から1955年まで、国立研究評議会人類学・心理学部門(Division of Anthropology and Psychology of the National Research Council)の長、1958年から1959年まで陸軍科学諮問委員会(Army Scientific Advisory Panel)のコンサルタント、とアメリカ心理学会会長をつとめた。

1932年にハーローは最初の妻クララ・ミアーズ(Clara Mears)と結婚した。クララはターマンがスタンフォード大学で研究したIQ150超の選ばれた学生の1人で、クララは、ハーローの学生で、その後彼とロマンティックに関わった。夫婦は合わせて2子ロバート(Robert)とリチャード(Richard)をもうけた。1946年にハーローとミアーズは離婚した。その同じ年、ハーローは児童心理学者マーガレット・クエンヌ(Margaret Kuenne)と結婚した。彼らは合わせて2子パメラ(Pamela)とジョナサン(Jonathan)をもうけた。1971年8月11日にマーガレットは癌との長期にわたる闘いの末に死亡した。1967年に彼女は癌と診断されていた[7]。彼女の死亡はハーローをうつ病に導いた。彼はそのために電気けいれん療法で治療された[8]。1972年3月に、ハーローはクララ・ミアーズとふたたび結婚した。夫婦は1981年にハーローが死亡するときまでアリゾナ州ツーソンに一緒に住んだ。

サルの研究[編集]

1930年にハーローはウィスコンシン大学マディソン校に来て[9]、その後スタンフォード大学で、カルバン・ストーンとルイス・ターマンを含む著名な研究者数人の指導の下で博士号を取得した。彼は人間以外の霊長類研究から経歴を始めた。彼はヘンリー・ビラス動物園(Henry Vilas Zoo)で霊長類らと一緒に働いた。そこで彼は、学習、認知および記憶を研究するためにウィスコンシン総合試験装置(Wisconsin General Testing Apparatus)（WGTA）を開発した。ハーローが一緒に働いていたサルらが彼の諸試験のための諸戦略を開発していることを発見したのは、これらの研究を通してであった。ハーローは、後に学習セット(learning sets)として知られるようになるものを、「学習することを学習する」("learning to learn")と説明した[10]。

ハーローは諸実験でアカゲザルのみを使用した。

ハーローはこれらの学習セットの開発を研究する目的で、発達中の霊長類へのアクセスを必要としたために、1932年にアカゲザルの繁殖コロニーを設立した。 ハーローは研究の性質のために、幼児霊長類への定期的なアクセスを必要としていたために、保護する母親とではなく保育園で、飼育することを選んだ[10]。母親の剥奪とも称されるこの代替飼育技術は、こんにちまで非常に物議をかもしており、霊長類の幼少期の逆境のモデルとして、さまざまな形で、使用されている。

「愛の性質」　針金と布の代理母ら

幼児アカゲザルの研究と世話は、ハーローにさらに霊感を与え、最終的に彼の最も有名な実験のいくつかにつながった――代理母の使用。ハーロー、彼の学生ら、同時代人ら、そして仲間らはすぐに彼らの幼いサルの肉体的必要を世話する方法を学習したけれども、保育園で育てられた乳児らは、母親で育てられた仲間らとはたいへん異なったままでいた。心理的学的に言えば、これら幼児は少し奇妙であった――彼らは隠士的であり、明確な社会的欠陥があり、布おむつにしがみついていた[10]。同時に逆構成では、母親とだけで遊び仲間のいない状態で育っていた赤子らは、恐怖あるいは攻撃性の兆候を示した[11]。

ハーローはおむつの柔らかい布への愛着と、母親の姿の欠如と相関する心理的変化に気づき、母-子の絆を調査しようとした。この関係は、20世紀前半に絶えず精査されていた。バラス・スキナーと行動主義者らは、子供の発達、彼らの関係の性質、および母子間の物理的接触の衝撃における母親の重要性の議論においてジョン・ボウルビィを仲間に入れた。

これら研究は、世界保健機関が後援した1950年のジョン・ボウルビィの研究と報告「"Maternal Care and Mental Health"」によって動機づけられた。ボウルビィはその中で、制度化が子どもの発達に及ぼす影響と、母親から離れたとき子どもが経験する苦痛に関する以前の研究をレビューした[12]、たとえばルネ・スピッツ(René Spitz)[13]、そしてさまざまな設定で育てられた子供らに関する彼自身の調査。1953年に、彼の同僚ジェームズ・ロバートソン(James Robertson)は母親分離のほぼ即時な影響を示しながら、『A Two-Year-Old Goes to Hospital』というタイトルの物議を醸す短いドキュメンタリー映画を制作した[14]。ボウルビィの報告は、ロバートソンのフィルムと相まって、ヒトとヒト以外の霊長類の発達における主介護者の重要性を示した。ボウルビィは、強い母子関係の発展の基礎としての摂食における母親の役割を強調しなかったが、しかし、彼の結論は多くの議論を生んだ。ハーローが代理らとの研究で取り組んだのは、母親のケアにたいする実証された必要の背後にある理由に関する議論であった。乳児らとの身体的接触は彼らの発達に有害であると考えられたし、この見解は国じゅうの無菌な無接触な保育園につながった。ボウルビィは、母親は、子供の発達と精神的健康にポジティブに影響する独特の絆を含む、食べ物以上のものを乳児に提供していると主張しながら、意見を異にした。

ハーローは論争を調査するために、針金と木からアカゲザルの乳児のために無生命な代理母を作成した[10]。それぞれの乳児は特定の母親に愛着を持ち、その独特の顔を認識し、他の何よりもそれを好んだ。ハーローは次に、乳児らが裸-針金の母親または布で覆われた母親を好むかどうかを調査することを選択した。彼はこの実験において、服を着た母親と針金の母親を、2つの条件下で、乳児らに提示した。ある状況では、針金母親は食べ物の入ったびんを持っていて、布母親は食べ物を持っていなかった。またあるの状況では、布の母親がびんを持っていて、針金の母親は何も持っていなかった[10]。

圧倒的に、幼児のマカクザルらは布母親にしがみついて時間を費やすことを選び好んだ[10]。針金母親だけが栄養を与えることができたときでさえ、サルらはものを食べるためだけに彼女のもとを訪ねた。ハーローは、母親と乳児の関係には、ミルクよりもはるかに多くのものがあった、この「接触の快適さ」("contact comfort")は、幼いサルと子供たちの心理的発達と健康にとって本質的であった、と結論を出した。愛と母子の相互作用の重要性に関するボウルビィの主張に強い経験的な支持を与えたのは、この研究であった。

連続した実験は、乳児らは代理らを探索の拠点として、新奇で恐ろしい状況でも快適さと保護の源として使用した、と結論づけた[15]。幼児らは「オープン・フィールド試験」("open-field test")と呼ばれる実験では、新奇な物体のある新しい環境に置かれた。乳児の代理母がいるときそれは彼女にしがみついたが、しかしその後おもいきって離れ探検した。もしおびえるならば、乳児は代理母のところに走り戻り、しばらくの間彼女にしがみついた後、ふたたびおもいきって外に出た。それらサルは代理母の存在のないままでは、恐怖のために麻痺し、集まりボール1つになり、親指をしゃぶった。

「恐怖試験」("fear test")では、乳児らは恐ろしい刺激、しばしば音を立てるテディ・ベアを提示された[15]。それら乳児は母親がいないままでは、身をすくめその物体を避けた。しかしながら、その乳児は代理母がいるときは、大きな恐怖反応を示さず、しばしば装置に接触した――それを探索ながら攻撃しながら。

別の研究では、針金母親または布母親のいずれか一方のみで育てられた、差別化された効果を調べた[15]。両方のグループともに同じ割合で体重が増えたが、しかし、針金母親で育てられたサルはしばしば下痢に苦しみながら、便が柔らかく、ミルクを消化するのに苦労した。まだ広く受け入れられているこの行動のハーローの解釈は、接触の快適さの欠如はサルにとって心理的にストレスを起こすということであったし、消化器系の問題はそのストレスの生理学的症状である[15]。

これらの調査結果の重要さは、子供を甘やかしてだめにするのを避けようとして身体的接触を制限するまたは回避するという伝統的な教育的アドバイスと、感情は無視できるほどだという心理学の支配的な行動主義学派の主張との両方に矛盾した。食べ物を与えることが、母子の絆を形成する上で最も重要な要素であると考えられていた。しかしながら、ハーローは、看護はそれが提供する親密な身体的接触ゆえに母子の絆を強める、と結論づけた。彼は自分の実験を愛の研究として説明した。彼はまた、接触の快適さは母親か父親のいずれか一方によって提供されるとも信じた。この考えは、今や広く受け入れられているけれども、愛の諸研究に関する諸考えや諸価値観を刺激するという点で当時は革命的であった[16]。

ハーローの最後の実験のいくつかは、うつ病の研究のための動物モデルを作成するために社会的剥奪を調査した。この研究はいちばん物議をかもしたものであり、さまざまな期間の乳児と少年のマカクザルの隔離が含まれていた。隔離されたサルらは、仲間のグループに導入されたまたは再導入されたとき社会的欠陥を示した。彼らは同種のものとどのように相互作用するかその方法がわからないように見え、ほとんどグループから離れていて、サルの発育中、そして比較的には、子供らにおいて、同種のものと相互作用する能力を形成する上での社会的相互作用と刺激の重要性を実証した。

ハーローの研究の批判者らは、しがみつくことは若いアカゲザルの生存の問題であり、しかしヒトのではないと述べており、彼の結論は、ヒトに適用されるとき接触の快適さの重要性を過大評価し、看護の重要さを過小評価していることを示唆している[17]。

ハーローは、1958年8月31日にワシントンD.C.で開催されたアメリカ心理学会の第66回年次大会への演説のタイトル「"The Nature of Love"」の中で、これらの実験の結果を最初に報告した[18]。

幼児サルの部分的、完全な隔離[編集]

1959年から、ハーローと彼の学生らは、部分的および全体的社会的隔離の影響に関する観察結果を発表し始めた。部分的な隔離には、サルをむきだしの針金ケージで飼育し、他のサルを見たり嗅いだり聞いたりすることができたが、しかし物理的な接触の機会はなかった。完全な社会的隔離には、他のサルとのあらゆる接触を妨げる隔離室の中でサルを飼育することが含まれた。

ハーローその他は、部分的な隔離が、空白の凝視、ケージ内でのステレオタイプの反復的な旋回、自傷行為のようなさまざまな異常をもたらした、と報告した。その後、これらのサルはさまざまな設定において観察された。一部のサルは研究のために、15年間一匹ずつ隔離されていた[19]。

完全隔離実験では、赤子サルらは放置されていたものであった、3、6、12、または24日間[20][21]、複数月間の「完全な社会的剥奪」("total social deprivation")。これら実験はひどく心理学的に乱されたサルらを生んだ。ハーローは書いた――

隔離中に死亡しているサルはない。しかしながら、彼らは最初に完全な社会的孤立から取り除かれたとき、通例、感情的ショックの状態におちいり、その特徴は...自閉的な自己クラッチングとロッキング。3ヶ月間隔離されたサル6匹のうち1匹は、解放後食べることを拒否し、5日後に死亡した。剖検報告は、死亡を感情的な食欲不振のせいに帰した....6か月間の完全な社会的隔離の影響はたいへん壊滅的で衰弱させるために、当初は12か月間の隔離はそれ以上の減少をもたらさないであろうと想定していたほどである。この仮定は誤りであることが証明された。12か月間の隔離により、これら動物は社会的にほぼ全滅した...(No monkey has died during isolation.When initially removed from total social isolation, however, they usually go into a state of emotional shock, characterized by ... autistic self-clutching and rocking.One of six monkeys isolated for 3 months refused to eat after release and died 5 days later. The autopsy report attributed death to emotional anorexia....The effects of 6 months of total social isolation were so devastating and debilitating that we had assumed initially that 12 months of isolation would not produce any additional decrement.This assumption proved to be false; 12 months of isolation almost obliterated the animals socially ...)[1]

ハーローは、6か月間隔離されていたサルらを、正常に飼育されていたサルらと一緒に配置することによって再統合しようとした。リハビリテーションの試みは限られた成功しか収めなかった。ハーローは、人生の最初の6か月間の完全な社会的隔離は、「社会的行動の事実上すべての側面における深刻な赤字」("severe deficits in virtually every aspect of social behavior")を生み出した、と書いた[22]。正常に飼育された同年齢のサルらに曝露された隔離サルら」は、単純な社会的反応の限られた回復のみをとげた」("achieved only limited recovery of simple social responses")[22]。隔離して飼育されたそういう一部のサル母親らは、「複数か月間乳児接触を受け入れることを余儀なくされたとき、許容可能な母親的行動を示したが、しかしそれ以上の回復を示さなかった」("acceptable maternal behavior when forced to accept infant contact over a period of months, but showed no further recovery")[22]。代理母らに与えられた隔離サルらは、「自分らの間で粗雑な相互作用パターン」("crude interactive patterns among themselves")を発達させた[22]。これとは反対に、6か月の隔離サルらは、もっと若い、3か月齢のサルらに曝露されたとき、「試験されたすべての状況で本質的に完全な社会的回復」("essentially complete social recovery for all situations tested")をとげた[23][24]。その発見内容は他の研究者らによって確認された。彼らは同等な治療法を受けたサルらと母親が育てた乳児サルらとの間に違いを見つけなかったが、しかし人工的な代理らはほとんど効果がないことを見つけた[25]。

ハーローの、発達における接触研究の先駆的な研究以来、ラットでの最近の研究は乳児期の接触は、ストレスに関与するステロイド・ホルモンであるコルチコステロイドの減少と、脳の多くの領域でのグルココルチコイド受容体の増加をもたらす、という証拠を発見している[26]。シャンバーグ(Schanberg)とフィールド(Field)は、ラットにおける母子相互作用の短期間の中断でさえ、発達しつつある子犬のいくつかの生化学的過程に著しく影響するということを発見した――細胞の成長と分化の敏感な指標オルニチンデカルボキシラーゼ（ODC）活性における低下、成長ホルモン放出の減少（心臓と肝臓を含む、すべての体の器官において、そして大脳、小脳および脳幹を含む脳じゅうで）、コルチコステロン分泌の増加、そして投与された成長ホルモンに対する抑制された組織ODCの応答性[27]。さらに、接触を奪われた動物らは免疫系を弱めていることがわかった。調査者らは、乳児のサルが生後6か月の間に受ける接触の量とグルーミングとの間の直接的な正の関係と、1歳少し超で抗体チャレンジ（破傷風）に反応して抗体力価（IgGとIgM）を生む能力を測定した[28]。一部研究者は、「触覚の免疫学」のメカニズムを特定しようとしながら、覚醒および関連するCNS-ホルモン活動の調節を指摘している。接触の剥奪は、ストレスによって誘発される下垂体-副腎系の活性化を引き起こすかもしれず、こんどはこれが、増加された血漿コルチゾールと副腎皮質刺激ホルモンにつながる。同様に、研究者らは、皮膚の定期的「自然な」("natural")刺激は、これら下垂体-副腎反応をポジティブな健康的な方法で緩和するかもしれないと示唆している[29]。

絶望の淵[編集]

ハーローは、因襲的な用語法を拒否し、代わりに自分が考案した実験装置に故意に法外な用語を選択したことで有名であった。これは、因襲的な心理学的エスタブリッシュメントとの初期の対立から来たのであり、そこではハーローは、人気があり古風に正確な用語「愛着」("attachment")の代わりに用語「愛」("love")を使用した。そのような用語とそれぞれの装置は、彼と大学院生スティーブン・スオミによって開発された、彼が「レイプ・ラック」("rape rack")と呼んだ強制交尾装置、彼が「鉄の処女」("Iron maidens")と呼んだ代理母の装置ら、そして彼が「絶望の淵」("pit of despair")と呼んだ隔離室をふくんだ。

これら装置のうち、「絶望の井戸」("well of despair")とも呼ばれる最終者においては、赤子サルらは、生後最大1年間、暗闇の中で一人で放置され、あるいは仲間から繰り返し分離され、室内に隔離された。これら手順は、深刻に心理学的に障害され、ヒトのうつ病のモデルとして使用されるサルらをすばやく生み出した[30]。

ハーローは、さまざまな形態の治療法を使用しながら、さまざまな程度の隔離を受けたサルらをリハビリテートさせようとした。「われわれの精神病理学の研究において、われわれは異常を生み出そうとしているサディストとして始まった。こんにち、われわれは正常と平静を達成しようとしている精神科医らである。」("In our study of psychopathology, we began as sadists trying to produce abnormality.Today, we are psychiatrists trying to achieve normality and equanimity.")[31](p458)

批判[編集]

ハーローの実験の多くは――ハーローのそれらの記述のみならずその性質においても――今や非倫理的と見なされているし、それらは両者ともに研究所動物の治療の意識を高めるのに貢献し、こんにちの倫理規則の作成を推進するのを助けた。実験中のサルらは母親の愛情を奪われ、今やパニック障害として知られるものに潜在的につながっている[32]。ハーローの博士課程の学生の1人ワシントン大学教授ジーン・サケット(Gene Sackett)は、ハーローの諸実験がアメリカの動物解放運動を促進した、と述べた[2]。

ウィスコンシンを立ち去った後剥奪実験をし続けたハーローの学生の別の1人ウィリアム・メーソン(William Mason)は[33]言った、ハーローは「この仕事が本当に普通の感性をふみにじっていること、生命を尊重する人はだれであれあるいは人々はこれを不快に感じるだろうということが多くの人に明らかである点にまでこれを行かせ続けた。それはまるで彼が腰を下ろしこう言うかのようだ『わたしはあと10年くらい立ち働いているつもりなだけだ。そのときできればやっておきたいことは、大きな混乱をあとに残すこと』。もしそれが彼の目的であったならば、彼は完璧な仕事をした」("kept this going to the point where it was clear to many people that the work was really violating ordinary sensibilities, that anybody with respect for life or people would find this offensive.It's as if he sat down and said, 'I'm only going to be around another ten years. What I'd like to do, then, is leave a great big mess behind.' If that was his aim, he did a perfect job.")[34]

スティーブン・スオミは、元ハーローの学生であり、いまや国立衛生研究所(National Institutes of Health)でサルらをつかった母親剥奪実験を行なっており、動物の倫理的扱いを求める人々の会と米国議会のメンバーから批判されている[35][36]。

ハーローのさらに別の学生レナード・ローゼンブラム(Leonard Rosenblum)も、ボンネットとブタオザルのマカクザルを使った母親の剥奪実験その他を、人間のパニック障害を「モデル化」しようとサルを薬物-母親-剥奪の組み合わせにさらすことをふくむ他の研究を行いつづけた。ローゼンブラムの研究とそれの彼の正当化も批判されている[32]。

演劇化[編集]

ハーローの生涯と研究を基にした演劇『The Harry Harlow Project』は、ビクトリアで制作され、オーストラリアで全国的に上演されている[37]。

時系列[編集]

Year Event
1905年 Born October 31 in Fairfield, Iowa Son of Alonzo and Mabel (Rock) Israel
1930年–44年 Staff, University of Wisconsin–Madison
Married Clara Mears
1939年–40年 Carnegie Fellow of Anthropology at Columbia University
1944年–74年 George Cary Comstock Research Professor of Psychology
1946年 Divorced Clara Mears
1948年 Married Margaret Kuenne
1947年–48年 President, Midwestern Psychological Association
1950年–51年 President of Division of Experimental Psychology, American Psychological Association
1950年–52年 Head of Human Resources Research Branch, Department of the Army
1953年–55年 National Research Council
1956年 Howard Crosby Warren Medal for outstanding contributions to the field of experimental psychology
1956年–74年 Director of Primate Lab, University of Wisconsin
1958年–59年 President, American Psychological Association
1959年–65年 Sigma Xi National Lecturer
1960年 Distinguished Psychologist Award, American Psychological Association
Messenger Lecturer at Cornell University
1961年–71年 Director of Regional Primate Research Center
1964年–65年 President of Division of Comparative & Physiological Psychology, American Psychological Association
1967年 National Medal of Science
1970年 Death of his spouse, Margaret
1971年 Harris Lecturer at Northwestern University
Remarried Clara Mears
1972年 Martin Rehfuss Lecturer at Jefferson Medical College
Gold Medal from American Psychological Foundation
Annual Award from Society for the Scientific Study of Sexuality
1974年 University of Arizona (Tucson) Honorary Research Professor of Psychology
1975年 Von Gieson Award from New York State Psychiatric Institute
1976年 International Award from Kittay Scientific Foundation
1981年 Died December 6

初期の論文[編集]

  • The effect of large cortical lesions on learned behavior in monkeys. Science. 1950年.
  • Retention of delayed responses and proficiency in oddity problems by monkeys with preoccipital ablations. Am J Psychol. 1951年.
  • Discrimination learning by normal and brain operated monkeys. J Genet Psychol. 1952年.
  • Incentive size, food deprivation, and food preference. J Comp Physiol Psychol. 1953年.
  • Effect of cortical implantation of radioactive cobalt on learned behavior of rhesus monkeys. J Comp Physiol Psychol. 1955年.
  • The effects of repeated doses of total-body x radiation on motivation and learning in rhesus monkeys. J Comp Physiol Psychol. 1956年.
  • The sad ones: Studies in depression "Psychology Today". 1971年

脚注[編集]

  1. ↑ 1.0 1.1 Harlow, H. F.; Dodsworth, R. O.; Harlow, M. K. (June 1965). “Total social isolation in monkeys.”. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America (Proceedings of the National Academy of Sciences) 54 (1): 90–97. Bibcode: 1965PNAS...54...90H. doi:10.1073/pnas.54.1.90. モジュール:Citation/CS1/styles.cssページに内容がありません。ISSN 0027-8424. PMC: 285801. モジュール:Citation/CS1/styles.cssページに内容がありません。PMID 4955132. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC285801/. 
  2. ↑ 2.0 2.1 2.2 Blum, Deborah (2002). Love at Goon Park: Harry Harlow and the Science of Affection. Perseus Publishing. p. 225 
  3. ↑ Haggbloom, Steven J.構文エラー:「etal」を認識できません。 (2002). “The 100 most eminent psychologists of the 20th century”. Review of General Psychology 6 (2): 139–152. doi:10.1037/1089-2680.6.2.139. http://www.apa.org/monitor/julaug02/eminent.aspx. 
  4. ↑ 4.0 4.1 4.2 McKinney, William T (2003). “Love at Goon Park: Harry Harlow and the Science of Affection”. American Journal of Psychiatry 160 (12): 2254–2255. doi:10.1176/appi.ajp.160.12.2254. 
  5. ↑ Suomi, Stephen J. (8 August 2008). “Rigorous Experiments on Monkey Love: An Account of Harry F. Harlow's Role in the History of Attachment Theory”. Integrative Psychological and Behavioral Science 42 (4): 354–69. doi:10.1007/s12124-008-9072-9. モジュール:Citation/CS1/styles.cssページに内容がありません。PMID 18688688. 
  6. ↑ Rumbaugh, Duane M. (1997). “The psychology of Harry F. Harlow: A bridge from radical to rational behaviorism”. Philosophical Psychology 10 (2): 197. doi:10.1080/09515089708573215. 
  7. ↑ Blum, Deborah (2011). Love at Goon Park: Harr Harlow and the science of affection. New York: Basic Books. p. 228. モジュール:Citation/CS1/styles.cssページに内容がありません。ISBN 9780465026012 
  8. ↑ “Keith E Rice - Attachment in Infant Monkeys”. 2012年5月1日閲覧。 Key study: attachment in infant monkeys
  9. ↑ Van De Horst, Frank (2008). “When Strangers Meet": John Bowlby and Harry Harlow on Attachment Behavior”. Integrative Psychological and Behavioral Science 42 (4): 370–388. doi:10.1007/s12124-008-9079-2. モジュール:Citation/CS1/styles.cssページに内容がありません。PMID 18766423. 
  10. ↑ 10.0 10.1 10.2 10.3 10.4 10.5 Suomi, S. J.; Leroy, H. A. (1982). “In memoriam: Harry F. Harlow (1905–1981)”. American Journal of Primatology 2 (4): 319–342. doi:10.1002/ajp.1350020402. モジュール:Citation/CS1/styles.cssページに内容がありません。PMID 32188173. 
  11. ↑ “A Science Odyssey: People and Discoveries: Harry Harlow”. PBS. 2020年12月21日閲覧。
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