飲み会
飲み会(のみかい、呑み会)は、お酒を「飲む会」を意味する[1]。
概要[編集]
基本的に居酒屋など個室で仕事の時間外に開催される。田端信太郎へのインタビューの際に新R25副編集長の天野俊吉は社内飲み会のイメージについて、飲まされる、毎回同じ話題、気を遣うとの意見を述べている[2]。田端は社内の飲み会だろうが社外のだろうが、意味が込められていない「親睦」名目でマンネリ化しているルーチンワークな飲み会は無駄だとし、飲み会の幹事とは社内で一番仕事ができる人物がやる仕事と述べている[2]。田端は「本当に優秀なマネージャー」の適性があるために飲み会の幹事が上手い人は、組織のメンバーが勝手に動きだすように仕向けるのが最高に上手なリーダーであり、抜擢人事の対象にすると述べている[2]。マイナビは2018年に「飲みニケーション」が悪しき習慣と言われることが増えているという否定的な意見と共に、「同僚上司との距離感が縮まったり、コミュニケーションが取りやすくなった」との肯定的意見を伝えている[3]。職種によっては「会食」「接待」とよばれる社外の飲み会が行われる。企業同士で揉めごとが起きたときに、双方の幹部同士の会食で解決するセーフティネットの役割を果たすことがある[2]。
飲み会におけるハラスメント[編集]
参加者の中で立場の強い者による飲酒の強要などアルハラ・パワハラ[4][5][6][7][8]や若い女性へのセクハラや性行為強要の場とする飲み会における事件が起きている[5][9][10][11]。人事院はセクハラのチェック項目サイト[12]を設け、男性が女性職員だけを集めた飲み会を定期的にすることを、女性職員を仕事のパートナーとして見ていないセクハラ行為としている[13]。栃木県は「労働相談Q&A」で、取引先の部長に「打合せ」と称した呼び出しや飲み会への誘いに困ってる際にどうすれば良いかのかの問いに、自社の労働者がセクハラやパワハラを受けた際に対応しない場合、雇用企業の責任が問われると回答している [14]。岡山県立図書館の公式サイトにおいて、公益財団法人岡山県産業振興財団は「上司から女子社員に飲み会の頻繁な誘いがある場合、セクハラに該当するか」の質問に対して、上司の男性による部下の女子社員への飲み会の誘いが頻繁又は残業後に誘われることが多い場合は、性的な意味が否定できないと回答している。更に、上司が誘いを断ったことを理由に職務上の不利益を与えた場合だけでなく、部下の女子社員への飲み会の誘いが精神的なダメージ又は職場環境の悪化させていると判断された場合に、誘っていた上司男性及び所属企業等は損害賠償責任を負うことになる可能性を指摘している。そして、女性が明確に飲み会への誘いを拒否していなくても、セクシャル・ハラスメントとされる可能性があるとしている[15]。
会社が従業員に参加を強制できる法的根拠は無いものの、部下らは事実上意に反して、上が望む飲みニケーションに強制参加させられてきた[16]。コロナの感染拡大で会社による飲み会禁止がされた際に、職員の飲み会への参加強制反対派の男性は「時間と金の無駄以外何物でもなかった」「一刻も早く廃れてほしい悪しき風習である」との意見を述べている[7]。大塚商会は勤務後の飲み会強制反対の人々の不満として、気遣いで疲れること、アルコールへの体質、時間やお金を費やしてまで上司の説教や愚痴を聞きたくないこと[17]、職場の飲み会はパワハラ・セクハラなどハラスメントの温床との意見を紹介している[18][17]。東洋経済は職場の飲み会が事実上の強制参加扱いになっている背景について、自由参加にすると若手社員は参加に消極的であるからとしている[16]。中国新聞は2020年7月に、後輩に迷惑がられて下手したら「アルハラ」にもなるから誘いにくいのではないかとの上司の立場の意見を伝えた。逆にコロナ以降に飲み会がなくなった際に、部下の立場から家飲みの方が断然お酒が美味しいと語る男性の意見も紹介している[17]。
飲みニケーション・飲み会賛否調査[編集]
マイナビは2018年に、どれくらいの若者が飲み会に行きたがらないのかを調査する独自のアンケートを行った [3]。調査では若者の内、「職場の飲み会に行きたくない」のが53%で、「職場の飲み会に行きたくない」の47%を上回った[3]。上司世代に同様のことを尋ねた調査では、「職場の飲み会に行きたい」が52.3%、「職場の飲み会に行きたくない」が47.7%であり、上司世代も約2人に1人が「職場の飲み会に行きたくない」と思っていることが判明した[3]。
日本生命保険相互会社の調査で、コロナ禍の2021年10月には「飲みニケーション」が不要だという声が初めて過半数を超えた。内訳は「必要だとする人」は38.2%。「不要だとする人」は61.9%であった[1]。男性の内不要派は55.8%で、女性の内不要派は67.8%で男性より12ポイントも多かった。更には全年代で不要派が必要派を上回った[1]。2021年12月にFNNは、事実上の強制参加となっていた就業時間外の飲み会は淘汰されていくことになると報道している[1]。
関連項目[編集]
脚注[編集]
- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 ““飲みニケーション”はもう古い?「不要派」6割で初めて多数派に…会社の飲み会が今後どうなるか聞いた”. FNNプライムオンライン. 2022年4月6日閲覧。
- ↑ 2.0 2.1 2.2 2.3 “「飲み会は“意味”を込められるかが勝負」田端信太郎が教える“飲み会・接待”の極意|新R25 - シゴトも人生も、もっと楽しもう。” (日本語). 新R25. 2022年4月6日閲覧。
- ↑ 3.0 3.1 3.2 3.3 “飲みニケーション2.0(1) 若者は、なぜ仕事の飲み会に行きたくないのか?” (日本語). マイナビニュース (2018年6月6日). 2022年4月6日閲覧。
- ↑ “元川越市議に賠償命令 セクハラ「力利用で悪質」(共同通信)” (日本語). Yahoo!ニュース. 2022年4月6日閲覧。 “斎藤憲次裁判長は、飲み会での飲酒の強要もあったとし「地位や権力を利用した行為の態様は悪質だ」と指摘した”
- ↑ 5.0 5.1 “中国の「飲み会」カルチャーに大ブーイング──飲酒強要を若者も政府も大批判 | セクハラや性暴力の実態が次々と明らかに” (日本語). クーリエ・ジャポン (2021年10月8日). 2022年4月6日閲覧。 “アリババの女性従業員が上司に飲酒を強要されて性的暴行を受けたと告発──これをきっかけに、中国国内で、飲み会参加や飲酒の強要、その場での性差別に対する批判が高まっている。中国は変われるだろうか。”
- ↑ “飲み会解禁で憂鬱な人も「パワハラと業務」の境目 | ワークスタイル” (日本語). 東洋経済オンライン (2021年10月29日). 2022年4月6日閲覧。
- ↑ 7.0 7.1 “飲みニケーション不要派の声「キャバクラまで連れて行かれる。ただのパワハラ」「苦痛でしかない」” (日本語). キャリコネニュース (2021年12月19日). 2022年4月6日閲覧。 “時間と金の無駄以外何物でもない」と言い切る。そのうえで 「ちゃんとコミュニケーション取れる人は酒に頼る必要などない。会社の飲み会での話題なんて大体が仕事の話か人の悪口か先輩上司の説教聞かされるだけで苦痛でしかない。会社の飲み会は一刻も早く廃れてほしい悪しき風習である」”
- ↑ “「飲み会はパワハラ」と言われたらどうコミュニケーションを取る? マネジメントに効くコミュニケーション相談所 │ ハイクラス転職ならリクルートダイレクトスカウト” (日本語). ハイクラス転職ならリクルートダイレクトスカウト. 2022年4月6日閲覧。
- ↑ 郁子, 竹下 (2022年3月29日). “榊英雄監督の性被害を告発した女優らが語る、映画業界3つの「罠」” (日本語). BUSINESS INSIDER JAPAN. 2022年4月6日閲覧。
- ↑ “警察署長「女の人に手を握られると、うれしいんだよ」…若手女性署員4人と飲み会 : 社会 : ニュース” (日本語). 読売新聞オンライン (2022年3月12日). 2022年4月6日閲覧。
- ↑ “59歳男性教諭「取り返しのつかないことを…」 飲み会帰りに同僚の手を握り抱きつく セクハラで停職処分 千葉県教委(千葉日報オンライン)” (日本語). Yahoo!ニュース. 2022年4月6日閲覧。
- ↑ “これってセクシャル・ハラスメント〜理解度チェク〜” (日本語). www.jinji.go.jp. 2022年4月6日閲覧。
- ↑ “これってセクシャル・ハラスメント〜理解度チェク〜回答” (日本語). www.jinji.go.jp. 人事院. 2022年4月6日閲覧。
- ↑ 栃木県. “セクハラ・いじめ・パワハラ (Q17)” (日本語). 栃木県. 2022年4月6日閲覧。
- ↑ 上司から女子社員に飲み会の頻繁な誘いがある場合、セクハラに該当するか岡山県立図書館
- ↑ 16.0 16.1 “飲み会解禁で憂鬱な人も「パワハラと業務」の境目 | ワークスタイル” (日本語). 東洋経済オンライン (2021年10月29日). 2022年4月6日閲覧。
- ↑ 17.0 17.1 17.2 “【この働き方大丈夫?】第4部 パワハラが怖い<2>飲み会リスク、上司も部下も | 中国新聞デジタル | 広島を中心とした中国地方のニュース・情報サイト” (日本語). 【この働き方大丈夫?】第4部 パワハラが怖い<2>飲み会リスク、上司も部下も | 中国新聞デジタル | 広島を中心とした中国地方のニュース・情報サイト. 2022年4月6日閲覧。 “職場の飲み会がハラスメントの温床となっていることに危機感を覚える社員もいます。それなら、最初から飲み会に参加しないという選択をする人も増えているよう。楽しいはずの酒席に潜むリスクとは―。 コロナ以降は飲み会がなくなり、正直ちょっとせいせいしています。家飲みの方が断然お酒がおいしいですから。”
- ↑ 働き方改革で大きな変革期を迎える会社の「飲み会」 大塚商会
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