鉄道路線の名称
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鉄道路線の名称(てつどうろせんのめいしょう)では、鉄道路線につけられる名称について記す。
正式な路線名の付け方[編集]
国鉄・JR[編集]
日本国有鉄道(国鉄)時代における路線の名称は、1909年に制定された「国有鉄道線路名称」を元にしていた。国鉄分割民営化後は、各社が各々に定めた「線路名称」に規定されている物が使われている。
路線の命名法は、概ね以下のように分類できる。
- 経由する地方、または路線に並行する街道の名称をつける:東海道本線・山陰本線・東北本線など
- 起点と終点、または経由地にある駅名、令制国名、かつての行政区分名、広域地名、都市名などを組み合わせる:常磐線・仙山線・両毛線・信越本線・太多線・阪和線・日豊本線など
- 起点、終端、経由地の駅名、令制国名、かつての行政区分名、広域地名、都市名などをそのままつける:大湊線・只見線・高崎線・奈良線・福知山線・長崎本線など
- 路線の性格から命名:中央本線・参宮線・大阪環状線・JR東西線など
- 買収した鉄道会社の名前から命名:水戸線・横浜線・相模線・山陽本線・関西本線など
なお、「国有鉄道線路名称」においては地域ごとの区分のため、ある程度の路線をまとめて「―線の部」としており、その代表となる路線には「山陽線の部」においては「山陽本線」といったように、「―本線」という名を与えていた。ただし、磐越線の部のように「―本線」が存在しない部もあった。さらに民営化後、四国旅客鉄道(JR四国)では「―本線」を廃して全て「―線」に改称している(予讃本線→予讃線など)。
建設に際し、南北ないし東西の両方向から将来結ぶ事を目的に路線が建設された場合には、「―北線」・「―東線」などの名が一時的に付けられ、後に「―線」と改称する場合が多いが、その建設が途中で中断してしまった場合などで、越美北線などのように「―(方向)線」がついたままになってしまっている例も見られる。但し、磐越東線や陸羽西線のように予定線が完成した場合でも、区分のためあえて「―(方向)線」をつけていることもある。また方角こそついていないが、建設予定区間が未成線になってしまった場合や、路線の一部区間が廃止または第三セクター鉄道に転換されたことで、命名の元となる地を通らなくなってしまった場合でも、路線名を存置している例もある(札沼線・山田線・名松線・片町線など)。
複数の地名から一文字ずつを組み合わせて路線名とする場合、実際の読み方にかかわりなくどちらも音読みとするのが原則である。ただし、現在営業中の路線では米坂線(よねさかせん)と大糸線(おおいとせん)が両文字とも訓読みとなっている。過去の国鉄路線では、木原線(きはらせん)・峰豊線(みねとよせん・のち宮津線に編入)が両文字とも訓読み、岡多線(おかたせん)は訓・音の湯桶読みであった。
私鉄[編集]
私鉄においても、概ね上記の方法で路線名をつけ、代表的な路線には「―本線」と命名することが多い。その会社の路線網の中枢となる1本の路線に、ただ単に「本線」あるいは「社名+本線」と命名する例もある(京急の本線、京阪本線など)。また西武や近鉄のように本線格の路線はあるが「本線」を名称に使わない(近鉄田原本線は「田原本」〈たわらもと〉が地名)会社もある。
路線が1本しかない私鉄の場合は、正式な路線名が与えられていないこと(筑豊電気鉄道線及び一部のケーブルカー路線が該当)や、会社名やその変形を路線名とすること(島原鉄道線や嵯峨野観光鉄道の嵯峨野観光線など)もある。
地下鉄[編集]
日本の地下鉄の路線は、建設計画段階においては路線に一連の「1号線」・「2号線」…のような番号による線名を付しており、この番号が開業後も各都市における路線の呼称として引き続き使用されることがある。一方、各都市においてはこのような番号による名称と別に路線名を定められることが一般的であり、各路線の正式な、あるいは一般的な線名呼称と、番号による呼称とは必ずしも同一でない(例えば、名古屋市の地下鉄「第4号線」が、愛称の「名城線」など)。
このほか、大陸に位置する他の国では路線番号をそのまま一般に使用する例も多い(例えば、パリ地下鉄、韓国の地下鉄(一部路線は路線名が使用される。)など)。
路線の系統名称・愛称[編集]
鉄道路線には、正式な名称以外に運転系統名や愛称をつけることもある。
日本の首都圏のJR電車特定区間においては「京浜東北線」や「埼京線」が運転系統名に該当する。これらにおいては一般の旅客案内においては系統名のみが使用され、とりわけ1985年に設定された埼京線の場合、同線の一部区間の正式路線名である「赤羽線」があまり利用者に認知されなくなったということも起きている。
また、ある路線を走る列車が隣接する他路線に乗り入れる場合は、乗り入れ先の路線の区間も含めて乗り入れ元の路線名で案内される場合もある。JRでは「山手線」・「横須賀線」・「湖西線」などが、他社線では東急電鉄「目黒線」・「大井町線」、南海電気鉄道「高野線」、阪急電鉄「京都線」、京阪電気鉄道「京阪本線」などがこれに該当し、これらは系統名称としての意味も持っている。
なお国鉄分割民営化後、JR各社[注 1]では各路線にさまざまな愛称をつける例が増えている。
- 都市圏では、運転系統の実情に合わせ誤解を防ぐため、路線が経由する地名・都市や沿線の名所などを路線名に取り入れる例があり、「宇都宮線」(東北本線)や「JR京都線」(東海道本線)などが該当する。また「湘南新宿ライン」(東北本線・山手貨物線・品鶴線)、「上野東京ライン」(東北本線・東海道本線)や「琵琶湖線」(北陸本線・東海道本線)「JR神戸線」(東海道本線・山陽本線)「瀬戸大橋線」(宇野線・本四備讃線・予讃線)、および「福北ゆたか線」(筑豊本線・篠栗線・鹿児島本線)などのように、複数の路線および他社線にまたがる運転系統を一本の路線として案内し、わかりやすくする目的でつけることもある。
- ローカル線では、親しみを持ってもらうために愛称が付けられることがある。「森と水とロマンの鉄道」(磐越西線)、「男鹿なまはげライン」(男鹿線)、「十和田八幡平四季彩ライン」(花輪線)、「ドラゴンレール大船渡線」(大船渡線)、「奥の細道湯けむりライン」(陸羽東線)、「奥の細道最上川ライン」(陸羽西線)、「八ヶ岳高原線」(小海線)、「九頭竜線」(越美北線)、「万葉まほろば線」(桜井線)、「桃太郎線」(吉備線)、「阿波室戸シーサイドライン」(牟岐線)、「しまんとグリーンライン」(予土線)、「ゆふ高原線」(久大本線)、「阿蘇高原線」(豊肥本線)など。
- JR以外の鉄道事業者でも同じく親しみを持ってもらうために愛称が付けられることがあり、大手私鉄では東武鉄道の「東武スカイツリーライン」(伊勢崎線)、「東武アーバンパークライン」(野田線)、京成電鉄の「成田スカイアクセス」(成田空港線)、南海電気鉄道の「こうや花鉄道」(高野線[注 2])などが[注 3]、大手私鉄以外では弘南鉄道の「りんご畑鉄道」(大鰐線)、秋田内陸縦貫鉄道の「スマイルレール秋田内陸線」(秋田内陸線)、野岩鉄道の「ほっとスパ・ライン」(会津鬼怒川線)、埼玉高速鉄道の「埼玉スタジアム線」(埼玉高速鉄道線)、東京都電車の「東京さくらトラム」(都電荒川線)、大井川鐵道の「南アルプスあぷとライン」(井川線)、神戸市営地下鉄の「みどりのUライン」(西神・山手線)、神戸市営地下鉄の「夢かもめ」(海岸線)などが、複数会社をまたぐ愛称はOsaka Metroと近畿日本鉄道の「ゆめはんな」(Osaka Metro中央線、近鉄けいはんな線)が存在する。
このほか路面電車においては、多くの場合で旅客案内に路線名を用いず、運行系統名を用いている。系統番号を用いる事業者もある。
改称[編集]
鉄道路線は、必要に応じて改称されることがある。主な要因としては、以下のようなものがある。
- 路線が延伸されたため(伝法線→西大阪線→阪神なんば線など)
- 路線が一部廃止されたため(宮地岳線→貝塚線など)
- 運行系統の変更のため(目蒲線→目黒線・東急多摩川線など)
- 運営事業者が変わったため(国鉄・矢島線→由利高原鉄道・鳥海山ろく線など)
- その他(都営地下鉄1号線→浅草線など)
なお、片町線(京橋駅 - 片町駅間廃止。愛称「学研都市線」)、江差線(木古内駅 - 江差駅間廃止、2016年3月まで存在していた木古内駅 - 五稜郭駅間を愛称「津軽海峡線」)など、これらの事情があっても正式な路線名はそのままで、愛称や運行系統名で対応している場合もある。
脚注[編集]
注釈[編集]
関連項目[編集]
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