火災避難階段の崩壊
火災避難階段の崩壊（かさいひなんかいだんのほうかい、Fire Escape Collapse）[1]は、マールボロー・ストリートの火災（マールボローストリートのかさい、Fire on Marlborough Street）としても知られ、1976年にスタンリー・フォーマン(Stanley Forman)が受け取ったピューリッツァー賞_ニュース速報写真部門[1]とワールド・プレス・フォト・オブ・ザ・イヤーのタイトルを受賞したモノクロ写真である[2]。この写真はシリーズの一部であり、写っているのは、1975年7月22日、ボストンのマールボローストリートの燃えているアパートメントの建物の崩壊した火災避難階段から、19歳のダイアナ・ブライアント(Diana Bryant)と彼女の2歳の名付け娘(goddaughter)ティアレ・ジョーンズ(Tiare Jones)が、落下しているところである。消防車のターンテーブルはしご(turntable ladder)が2人を拾いあげるために約50フィート（15メートル）の高さに延ばされつつあったとき、5階の火災避難階段が崩壊した。
写真は電動カメラで撮影されたし、鉢植えの植物複数が落ちているのも写っている。シリーズの他の写真複数に写っているのは、ブライアントとジョーンズがターンテーブルはしごを待っているところと、両犠牲者が乗った状態で非常階段が崩壊した瞬間であった。もともと『Boston Herald American』に掲載された写真は、100超の新聞に掲載され、アメリカで新しい火災避難規制の採用につながった[3]。
事象[編集]
現場に最初に到着した消防車のティラーマン（はしご車後部を操縦する消防士） ロバート・オニール(Robert O'Neill)は、19歳のブライアントに、2歳の名付け娘ジョーンズを屋根の上で自分にかかえ上げるように頼んだが、ブライアントはそうすることができず、はしごが彼女らに届く前にオニールは助けるために跳び降りた。火災避難階段が崩壊したとき、オニールは、ブライアントの周りに片腕を回し、はしごの横木を片手で持っていた。オニールはなんとか片手でぶら下がって救助されたが、ブライアントとジョーンズは約50フィート（15メートル）落下した。ブライアントは頭と身体に複数の傷を負い、複数時間後に死亡した。ジョーンズはブライアントの上に落ち、衝撃を和らげたので落下後も生きのびた[2]。交通情報を提供し、近くの屋根に着陸したヘリコプターのパイロット、ジョー・グリーン(Joe Green)は、ブライアントとジョーンズを拾い上げようと申し出て、しかし消防士からの返答はなかったと伝えられている[4]。
警察は、建物の背後でのゴミの火災で、建物の所有者フレッド・ダーラムの逮捕状を取得した[4]。警察の苦情により、ダーラムは無免許の下宿屋を経営したとして訴えられた[4]。建物の背後の3回のゴミ火災が、事故の複数週間前に、報告された[4]。
フォーマンの回想[編集]
事故を思い出して、フォーマンは、自分が『Boston Herald』のオフィスを去ろうとしていたとき、火事の電話の後、消防車の1台に続いて自分が現場に急いだ、と言った[5]。はしご車の叫び声を聞いて、フォーマンは燃えている建物の後ろに走った。そこで彼にはダイアナ・ブライアントとティアレ・ジョーンズが非常階段に乗っているのが見えた[5]。背後の火の熱のために、ブライアントとジョーンズは建物から最も遠いところで「基本的に傾いていた」("basically leaning")[5]。その後、フォーマンは自分の言葉で「差し迫った日常の救助」("an impending routine rescue")だと思うものを写真に撮ることができる位置をとった[5]。火災避難階段の崩壊の後、フォーマンは認めた――「何が起こっているのかがじょじょにわかり、彼らが地面にぶつかるのを見たくなかった。振り返って揺れているのを今でも覚えている」("It dawned on me what was happening and I didn't want to see them hit the ground.I can still remember turning around and shaking".)。けれども、フォーマンは、自分はブライアントとジョーンズが「ゴミ箱があった柵の後ろに落ちたため」("as they fell behind a fence where the bins were")地面にぶつかる瞬間を見ることができなかったと述べた。[5]
公表と影響[編集]
この事件の写真と他の写真複数は、もともと『Boston Herald』で公開された。フォーマンは、AP通信向けに一連のプリントを作成した。AP通信は、128のアメリカの新聞といくつかの外国の新聞に写真を配布した[6]。
24時間以内に、ボストンで市内のすべての非常階段の安全性を向上させるための措置が講じられた[6]。火災安全グループは、他の米国の都市で同様の取り組みを促進するために写真を使用した[6]。
受賞[編集]
- 1975年: ワールド・プレス・フォト・オブ・ザ・イヤー[2]
- 1976年: ピューリッツァー賞_ニュース速報写真部門[1]
脚注[編集]
- ↑ 1.0 1.1 “1976 Winners”. Pulitzer.org. 2013年4月27日閲覧。
- ↑ 2.0 2.1 2.2 “1975, Stanley Forman, World Press Photo of the Year”. World Press Photo. 2012年7月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年4月27日閲覧。
- ↑ “The Pulitzer Prize”. Stanley Forman Photos. 2013年4月27日閲覧。
- ↑ 4.0 4.1 4.2 4.3 “Rescue effort fails”. Chicago Tribune. p. 1 (1975年7月24日). 2018年3月2日閲覧。
“Rescue was seconds away”. Chicago Tribune. p. 5 (1975年7月24日). 2018年3月2日閲覧。 - ↑ 5.0 5.1 5.2 5.3 “Picture power: Fire-escape drama”. BBC (2005年9月30日). 2015年2月20日閲覧。
- ↑ 6.0 6.1 6.2 “Ethics cases”. Department of Communication, Seton Hall University. 2015年7月21日閲覧。
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