シリアルキラー
シリアルキラー(英: Serial killer、serial=連続の、順列の)とは、複数の殺人をある程度の間隔を置いて繰り返す連続殺人犯に対し使われる言葉である[1]。
概要と定義[編集]
「シリアルキラー」という英単語は、元FBI捜査官のロバート・K・レスラーが、テッド・バンディ(Ted Bundy、米国で36人以上の女性を殺害した連続殺人犯、1989年死刑執行)を表すために1984年9月に提唱したとされている。同様の意味を持つシリアルマーダラー (serial murderer)、シリアルホミサイド (serial homicide) などは以前から使用されてきた。
シリアルキラーの定義は複数あるが、FBIのレポートによると[1]、下記の共通項にまとめられる。
- 1人、またはそれ以上の犯人
- 2人以上の殺人の被害者がいること
- 殺人事件が、それぞれ別個のものであり、別の時に起きていること
- 犯行が一定の間隔を置いて行われることが大量殺人 (mass murder) と連続殺人 (serial murder) を区別する
シリアルキラーは、複数の殺人を一定の期間(冷却期間)を置いて繰り返すのが特徴である。一度に多数の人間を殺害する場合(FBIの定義では1日以内に4人以上)は大量殺人に分類され、その犯人を大量殺人犯、大量殺人者 (Mass murderer) という。さらに、短時間内に2か所以上の場所で殺人を犯した者はスプリー・キラーと呼ばれ、これも区別される。
被害者の人数については、少なくとも3人以上の殺人の被害者がいることをもってシリアルキラーとしての定義を満たすと、専門家によって広く考えられている[2]。法的にも、1998年に米国議会で制定された、H.R.3494 - Protection of Children From Sexual Predators Act of 1998[3]の中で、「ここでいう連続殺人 (serial killings) とは、連続した3件以上の殺人で、そのすべてが米国内で行われ、犯行が同一の犯人または犯人たちによって行われたと合理的に推察されるもの」としている。
2005年、FBIはテキサス州サンアントニオで学際的シンポジウムを開催した。これは、連続殺人に関する知識の共通点を特定する目的で、さまざまな分野から135人の連続殺人専門家を集めたものである。同グループはまた、FBI捜査官がその標準として広く受け入れている連続殺人の定義についても「別々の事件における同じ犯罪者による2人以上の犠牲者の不法殺害」とまとめた。しかし、この定義は殺害の動機を考慮に入れておらず、冷却期間を定義していない。
動機[編集]
多くの場合、異常な一種の快楽殺人と言うことができる。FBIのリポートによれば、その直接の動機は性的なものに限らず、怒り、営利、スリルや注目を集めるため、といったものもあるという[1]。
一部のシリアルキラーは金銭目的や快楽主義者、暴力的な文化が彼らに殺人を犯すように影響したと主張する。また、幻想的なシリアルキラーは、現実との精神病の勃発に苦しみ、時には別の人であると信じたり、悪魔や神などの実体によって殺人を犯してしまうこともある。
犯人像[編集]
大多数のシリアルキラーは、一見したところ普通の人で、仕事や家・家族を持ち、通常の社会の一員に見える。また、特定の人種に偏りはなく、その国の人種構成に比例する。多くの場合、さまざまな程度の精神障害や精神病質を患っており、それが殺人行動に寄与している可能性がある[1][4]。家族による精神的、身体的、性的な虐待を経験しており、不安定な家庭の出身者も多い[5]。また、少年・青年時代に頻繁にいじめに遭い、社会的な隔離を受けていることもある。詐欺、窃盗、破壊行為などの犯罪に関与している者もいる[6]。孤独感や幻想があり、自慰行為を好む傾向もある。動物を虐待していた者も見られる。
雇用に就くのに苦労し、劣悪な環境で働く者もいるが、FBIは連続殺人犯はしばしば正常に見え、家族や安定した仕事を持つ者もいると指摘している[1]。研究では、シリアルキラーは一般的にIQが平均以上の範囲にあると記述されているが、実際は平均か平均以下であることが示唆されている[5]。
女性のシリアルキラーは男性のそれと比べて稀である[7][8][9][10]。女性のシリアルキラーは、アメリカでは1800年から2004年の間に6人の連続殺人犯に1人以下(416名の既知女性犯罪者のうち64名)、アメリカの連続殺人犯のうち15%が女性で被害者総数は427人から612人の間とされる[11][12][13]。女性の連続殺人犯についての本「Lethal Ladies」の著者アマンダ・L・ファレル、ロバート・D・ケッペル、ヴィクトリア・B・ティンティントンは、「司法省は、前世紀の間に36人の女性連続殺人犯が活動していると指摘している」と書いている[13]。The Journal of Forensic Psychiatry & Psychologyは、すべての連続殺人犯のうち16%が女性であるという証拠を示している[14]。
著名なシリアルキラー[編集]
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日本[編集]
- 岩淵熊次郎 - 鬼熊事件
- 梅川昭美 - 大竹市強盗殺人事件・三菱銀行人質事件
- 大久保清 - 大久保清事件
- 勝田清孝 - 勝田清孝事件。一部は「警察庁広域重要指定事件112号」
- 木嶋佳苗 - 首都圏連続不審死事件
- 栗田源蔵 - おせんころがし殺人事件
- 小平義雄 - 小平事件
- 酒鬼薔薇聖斗 - 神戸連続児童殺傷事件
- 清水定吉
- 都井睦雄 - 津山事件
- 永山則夫 - 永山則夫連続射殺事件。「警察庁広域重要指定事件108号」
- 西口彰 - 西口彰事件
- 古谷惣吉 - 古谷惣吉連続殺人事件。「警察庁広域重要指定事件105号」
- 吹上佐太郎 - 関東連続少女殺人事件
- 宮崎勤 - 東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件。「警察庁広域重要指定事件117号」
海外[編集]
- アイリーン・ウォーノス
- アナトーリ・オノプリエンコ
- アルバート・フィッシュ
- アンドルー・クナーナン
- アンドレイ・チカチーロ
- ウィリアム・ユネック
- エド・ゲイン
- エドモンド・ケンパー
- オイゲン・ヴァイトマン
- カール・パンズラム
- 切り裂きジャック
- キングズベリー・ランの屠殺者
- グレアム・ヤング
- ゲイリー・ハイドニック
- ゲイリー・リッジウェイ
- ゴードン・ノースコット
- サミュエル・リトル
- ジェニーン・ジョーンズ
- ジェフリー・ダーマー
- ジャンヌ・ウェバー
- ジョゼフ・フランクリン
- ジョン・アレン・ムハンマド
- ジョン・ゲイシー
- ジル・ド・レ
- ゾディアック事件
- ソニー・ビーン
- ダニエル・カマルゴ・バルボサ
- チャールズ・ハッチャー
- チャールズ・マンソン
- チョン・ナムギュ
- テッド・バンディ
- デビッド・バーコウィッツ
- ド・ブランヴィリエ侯爵夫人
- トミー・リン・セルズ
- ハロルド・シップマン
- ピーター・サトクリフ
- ビリー・ザ・キッド
- ブラッディー・ベンダーズ
- フリッツ・ハールマン
- フレデリック・ウェスト
- H・H・ホームズ
- ペーター・キュルテン
- ペドロ・パブロ・ナカダ・ルデニャ
- ペドロ・ロペス
- ベーラム (タギー)
- ヘンリー・リー・ルーカス
- ボニーとクライド
- マルセル・プショー
- メアリー・アン・コットン
- メアリー・ベル
- ヤン・シンハイ
- ユ・ヨンチョル
- リチャード・チェイス
- リチャード・ラミレス
- ルイス・ガラビート
- レオポルドとローブ
シリアルキラー関連の事件[編集]
日本(事件)[編集]
以下、50音順に述べる。
- 尼崎事件
- 秋田児童連続殺害事件
- 大阪愛犬家連続殺人事件 - 「警察庁広域重要指定事件120号」
- 大阪・愛知・岐阜連続リンチ殺人事件
- 大阪姉妹殺害事件・山口母親殺害事件 - 同一犯による犯行
- 大阪連続バラバラ殺人事件 - 「警察庁広域重要指定事件122号」
- 大牟田4人殺害事件
- 川崎老人ホーム連続殺人事件
- 関西青酸連続死事件
- 北関東連続幼女誘拐殺人事件 - 冤罪事件となった足利事件も含まれている。
- 北九州監禁殺人事件
- 熊谷連続殺人事件
- 埼玉愛犬家連続殺人事件
- 堺市連続強盗殺人事件
- 佐賀女性7人連続殺人事件 - 「未解決事件」
- 座間9遺体事件
- 自殺サイト殺人事件
- 新宿歌舞伎町ラブホテル連続殺人事件 - 「未解決事件」
- スナックママ連続殺人事件 - 「警察庁広域重要指定事件119号」
- 鳥取連続不審死事件
- 富山・長野連続女性誘拐殺人事件 - 「警察庁広域重要指定事件111号」
- 長野・愛知4連続強盗殺人事件
- 浜松連続殺人事件
- 広島タクシー運転手連続殺人事件
- 福岡3女性連続強盗殺人事件
- 藤沢母娘殺人事件 - 同事件を含め連続殺人3件で5人死亡。「警察庁広域重要指定事件112号」
- 碧南市パチンコ店長夫婦殺害事件・闇サイト殺人事件 - 前者事件の主犯が後者事件にも関与。一連の連続強盗殺傷事件で3人死亡・1人負傷
- 本庄保険金殺人事件
- マブチモーター社長宅殺人放火事件 - 「警察庁広域重要指定事件124号」
海外(事件)[編集]
- ウクライナ21
- 禹範坤連続殺人事件
- 英国の売春婦連続殺害
- 至尊派連続殺人事件
- ソウル西南部連続殺人事件
- トロント連続殺人事件
- 華城連続殺人事件 - 「未解決事件」
- ハイルブロンの怪人 - 「未解決事件」
- バークとヘア連続殺人事件
- フィレンツェの怪物事件 - 「未解決事件」
- ムーアズ殺人事件
- ボストン絞殺魔事件 - 「未解決事件」
- ホワイトチャペル殺人事件 - 切り裂きジャックの犯行と考えられている。
- ラトクリフ街道殺人事件 - 犯人の冤罪説あり
脚注[編集]
- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 Serial Murder FBI
- ↑ A serial killer is most commonly defined as a person who kills three or more people for psychological gratification; reliable sources over the years agree.
- R. Barri Flowers (2012). The Dynamics of Murder: Kill or Be Killed. CRC Press. p. 195. モジュール:Citation/CS1/styles.cssページに内容がありません。ISBN 1439879745 2016年6月15日閲覧. "In general, most experts on serial murder require that a minimum of three murders be committed at different times and usually different places for a person to qualify as a serial killer."
- Harold Schechter (2012). The A to Z Encyclopedia of Serial Killers. Simon and Schuster. p. 73. モジュール:Citation/CS1/styles.cssページに内容がありません。ISBN 1439138850 2016年6月15日閲覧. "Most experts seem to agree, however, that to qualify as a serial killer, an individual has to slay a minimum of three unrelated victims."
- ↑ H.R.3494 - 105th Congress (1997-1998): Protection of Children From Sexual Predators Act of 1998 | Congress.gov | Library of Congress
- ↑ Skeem, J. L.; Polaschek, D. L. L.; Patrick, C. J.; Lilienfeld, S. O. (2011). “Psychopathic Personality: Bridging the Gap Between Scientific Evidence and Public Policy”. Psychological Science in the Public Interest 12 (3): 95–162. doi:10.1177/1529100611426706. モジュール:Citation/CS1/styles.cssページに内容がありません。PMID 26167886 .
- ↑ 5.0 5.1 Scott, Shirley Lynn. “What Makes Serial Killers Tick?”. truTV. 2010年7月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年1月9日閲覧。
- ↑ Mount, George (2007). “Predicting Dangerousness”. Journal of Police Crisis Negotiations 7: 131–133. doi:10.1300/j173v07n01_11 .
- ↑ “Your Questions Answered About Black Widow Case. Forensic Psychiatrist Dr. James Knoll Answers Viewers' Questions About Stacey Castor”. ABC News. (2009年4月27日) 2009年4月27日閲覧。
- ↑ Kelleher 1998, p. 12.
- ↑ Wilson, W.; Hilton, T. (1998). “Modus operandi of female serial killers”. Psychological Reports (Ammons Scientific) 82 (2): 495–498. doi:10.2466/PR0.82.2.495-498. モジュール:Citation/CS1/styles.cssページに内容がありません。PMID 9621726.
- ↑ Frei, A.; Völlm, B.; Graf, M.; Dittmann, V. (2006). “Female serial killing: Review and case report”. Criminal Behavior and Mental Health (Wiley InterScience) 16 (33): 167–176. doi:10.1002/cbm.615. モジュール:Citation/CS1/styles.cssページに内容がありません。PMID 16838388.
- ↑ Eric W. Hickey, Serial Murderers and Their Victims, [Fifth Edition], Belmont, CA: Wadsworth, 2010. p. 187, 257,266.
- ↑ Peter Vronsky, Female Serial Killers: How and Why Women Become Monsters, New York: Berkley Penguin, 2007. p.9
- ↑ 13.0 13.1 Amanda L. Farrell; Robert D. Keppel; Victoria B. Titterington (August 2011). “Lethal Ladies: Revisiting What We Know About Female Serial Murderers”. Homicide Studies 15 (3): 228–252. doi:10.1177/1088767911415938 2014年2月25日閲覧。.
- ↑ Michael, Newton, (2000). The Encyclopedia of Serial Killers. New York: Checkmark Books (1st ed.). Facts on File. モジュール:Citation/CS1/styles.cssページに内容がありません。ISBN 0-8160-3978-X
関連項目[編集]
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