アレクシス・ワイセンベルク
アレクシス・ジギスムント・ワイセンベルク（ブルガリア語: Алексис Сигизмунд Вайсенберг, ラテン文字転写例：Alexis Sigismund Weissenberg, 1929年7月26日[1] - 2012年1月9日[2]）は、ブルガリア出身のピアノ奏者、作曲家。[3]ピアノ奏者としての活動初期にはシギ・ワイセンベルク(ブルガリア語: Зиги Вайсенберг, ラテン文字転写例：Sigi Weissenberg)名義で活動していた。[4][5][6]
ソフィア出身。[7]３歳の頃からピアノ奏者の母セシリアにピアノの手ほどきを受けた。５歳でパンチョ・ヴラディゲロフにピアノと作曲を師事[8]し、８歳で演奏会を開いた。[9]第二次世界大戦中の1941年[10]には、ユダヤ系の家系だったため、家族で国外脱出を試みたが捕縛され、ブルガリア国内の強制収容所に送られることとなった。しかし、ワイセンベルクの弾くアコーディオンを音楽好きの看守が耳にし、その看守の手引きでイスタンブールに逃れることが出来た。1945年[11]にイスラエルに行き、エルサレム放送管弦楽団やイスラエル・フィルハーモニー管弦楽団とも共演。[12]またエルサレム音楽院でアルフレッド・シュレーダーにピアノ、ヨーゼフ・タルに音楽理論を学び、1946年にはレオ・ケステンベルクのヴラディーミル・ホロヴィッツやアルトゥル・シュナーベルへの紹介状を携えてアメリカに渡った。ホロヴィッツとシュナーベルには見識を広めること、個人レッスンではなく学校生活の経験を積むこと、できるだけ多くの音楽に触れること等の助言を受けた。また、シュナーベルとヴァンダ・ランドフスカのレッスンを受けてジュリアード音楽院に入り、オルガ・サマロフにピアノ、ヴィンセント・パーシケッティに作曲を学んだ。[13]1947年にはレーヴェントリット国際音楽コンクールで優勝し、カーネギー・ホールに於いて[14]ジョージ・セルの指揮するニューヨーク・フィルハーモニック交響楽団とセルゲイ・ラフマニノフのピアノ協奏曲第３番を演奏してニューヨーク・デビューを果たした。[15]1951年にはパリ、ウィーン、マドリード、ミラノの各都市に演奏旅行に出てヨーロッパでも名が知られるようになった。[16]1956年[17]から演奏活動を停止。[18]演奏活動に復帰した1966年にはヘルベルト・フォン・カラヤンの指揮するベルリン・フィルハーモニー管弦楽団と共演し[19][20]、カラヤンから「当世最高のピアノ奏者の一人」[21]と称賛されている。作曲家としても活動し、1979年にはパリでコメディ・ミュージカル《ラ・フーガ》を発表している。[22][23]
註[編集]
- ↑ “Ушел из жизни великий пианист Алексис Вайсенберг”. ТопГород. (2012年1月11日). オリジナルの2022年11月25日時点におけるアーカイブ。 2022年11月25日閲覧。
- ↑ Predota, Georg (2022年1月8日). “On This Day 8 January: Alexis Weissenberg Died”. Interlude. オリジナルの2022年11月25日時点におけるアーカイブ。 2022年11月25日閲覧。
- ↑ “Alexis Weissenberg (1929 - 2012) - Genealogy”. 2022年11月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月25日閲覧。
- ↑ Siek, Stephen (2016). A Dictionary for the Modern Pianist. Rowman & Littlefield Publishing Inc.. p. 238. モジュール:Citation/CS1/styles.cssページに内容がありません。ISBN 9780810888791
- ↑ “Живот за музиката. Спомени за Алексис Вайсенберг | Glasove.com”. 2022年11月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月25日閲覧。
- ↑ “Alexis Weissenberg dies at 82; French pianist’s music saved him from death camps”. Los Angeles Times. (2022年1月10日). オリジナルの2022年11月25日時点におけるアーカイブ。 2022年11月25日閲覧。
- ↑ アーカイブ 2022年11月25日 - ウェイバックマシン
- ↑ ヴラディゲロフの伝手でディヌ・リパッティの知己も得た。(Millington, Barry (2012年1月13日). “Alexis Weissenberg obituary”. The Guardian. オリジナルの2014年8月3日時点におけるアーカイブ。 2014年8月3日閲覧。)
- ↑ “Alexis Weissenberg - Munzinger Biographie”. 2022年11月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月25日閲覧。
- ↑ Huizenga, Tom (2012年1月13日). “Pianist Alexis Weissenberg Dies At 82”. NPR. オリジナルの2015年12月15日時点におけるアーカイブ。 2015年12月15日閲覧。
- ↑ 1944年にイスラエルでデビューしたという資料もある。(アーカイブ 2022年11月25日 - ウェイバックマシン)
- ↑ “Alexis Weissenberg The Sigi Recordings 1949-1955 (2CD) | HMV&BOOKS online : Online Shopping & Information Site - DHR7987 [English Site]”. 2022年11月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月25日閲覧。
- ↑ アーカイブ 2022年7月26日 - ウェイバックマシン
- ↑ アーカイブ 2022年11月25日 - ウェイバックマシン
- ↑ “Alexis Weissenberg - Arthur Rubinstein International Music Society”. 2022年11月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月26日閲覧。
- ↑ アーカイブ 2022年11月26日 - ウェイバックマシン
- ↑ 1957年に演奏活動を停止したという資料もある。活動停止期間中は、技術的鍛錬に留まらず、哲学や文学等に対する造詣も深めた。(アーカイブ 2022年8月8日 - ウェイバックマシン)
- ↑ “アレクシス・ワイセンベルク - CDJournal”. 2022年11月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月26日閲覧。
- ↑ アーカイブ 2022年11月26日 - ウェイバックマシン
- ↑ カラヤンはスヴャトスラフ・リヒテルとピョートル・チャイコフスキーのピアノ協奏曲第１番の演奏の映像化を企画し、その映像化のための監督を探していた。その一環でオーケ・ファルクの映像を鑑賞したが、そのフィルムに使われていたワイセンベルクによるイーゴリ・ストラヴィンスキーの《ペトルーシュカからの３楽章》の演奏にカラヤンは感銘を受け、カラヤンとの共演が実現することとなった。(Kirkup, Sarah (2022年1月10日). “Pianist Alexis Weissenberg has died”. Gramophone. オリジナルの2022年11月27日時点におけるアーカイブ。 2022年11月27日閲覧。)
- ↑ “Bulgaria-born Piano Virtuoso Alexis Weissenberg Dies at 82”. Novinite.com. (2012年1月9日). オリジナルの2022年11月27日時点におけるアーカイブ。 2022年11月27日閲覧。
- ↑ アーカイブ 2022年7月9日 - ウェイバックマシン
- ↑ アーカイブ 2022年11月27日 - archive.today
- ↑ Fox, Margaret (2012年1月9日). “Alexis Weissenberg, Pianist of Fire and Ice, Dies at 82”. New York Times. オリジナルの2012年9月8日時点におけるアーカイブ。 2012年9月8日閲覧。
- ↑ 亡くなる30年ほど前からパーキンソン病で闘病していた。(“Virtuoso pianist Alexis Weissenberg dies aged 82”. Daily News Egypt. (2012年1月10日). オリジナルの2022年11月27日時点におけるアーカイブ。 2022年11月27日閲覧。)
- ↑ ルガノの介護施設で亡くなったとする資料もある。(“Décès du pianiste Alexis Weissenberg”. Le martin.ch. (2012年1月9日). オリジナルの2022年11月27日時点におけるアーカイブ。 2022年11月27日閲覧。)
- ↑ ルガノの自宅で亡くなったとする資料もある。(アーカイブ 2022年11月27日 - ウェイバックマシン)
- ↑ ルガノの病院で亡くなったとする資料もある。(“ワイセンベルクDG録音BOX～超絶技巧と洗練の極みをゆく芸風で一世を風靡した名手”. Tower Records Online. (2016年3月18日). オリジナルの2022年11月27日時点におけるアーカイブ。 2022年11月27日閲覧。)
 
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