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堀燐太郎

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Lua エラー package.lua 内、80 行目: module 'Module:Message box/configuration' not found Lua エラー package.lua 内、80 行目: module 'Module:Message box/configuration' not found [1]堀 燐太郎(ほり りんたろう、1952年8月9日 -)は、日本推理作家。長崎県佐世保市出身。本名は堀田 英俊(ほりた ひでとし)。

経歴[編集]

西九州の港町で生まれ育ち、高校生になった堀は丘の上の学校をエスケープしてさしたる目的もないまま海沿いの歓楽街にくだる。冬の寒さを避け、アーケード商店街の新刊書店に入ると表紙いっぱいのマリリン・モンロー風顔写真に「推理界」(昭和四十三年十二月号 浪速書房)という直截な書名、何となく気になる月刊誌が平台に置いてあった。モンローを手にとり、特に考えることなく巻頭新連載の「人食い舟」という短篇を読みはじめると、あっという間におしまいまで立読みしてしまい、読み終えたときには堀の頭はどこかへぶっ飛んでいた。両手で本を開いたまま呆然自失の体(てい)で立っている学生に気づき、書店員の女性が声を掛けてくれ、どうやら彼女の声で彼の頭は首の上へもどり、我に返ることができたようだ。もっぱら海外の推理小説ばかり読んでいた堀は、そのときはじめて都筑道夫という作家の存在を知り「日本にも本物の推理作家はいたのだ」と驚いた。「人食い舟(後に「よろいの渡し」と改題)」は〈なめくじ長屋捕物さわぎ〉シリーズの第一作で、堀はその日より砂絵のセンセーをはじめ異色の探偵たちが登場する【都筑道夫ワールド】の魔似悪(まにあつく)な読者となる。極端に細い帯がかかるユニフォームエディション『三一書房版 都筑道夫異色シリーズ全6巻(昭和43年)』は16歳の堀の宝物だった。あの日あの後、書店奥のカウンターで注文した全6冊が半月後に入荷するやその場で通覧し、自分ではそれが何だか分からずにずっと探していたものはこれだったのかと、堀は思った。爾来(じらい)堀の頭はツヅキデッカチのまま。

趣向に満ちて意表をつく遊戯文学としての都筑道夫の推理小説。縁日屋台の「ガラスの知恵の輪」から、MoMAのグッドデザインのアート作品までを凝縮して収録したような都会的で洗練された【都筑道夫ワールド】は堀にとって別誂えのエンターテインメントだった。

数年後、東京の大学へ進学した堀は、年に4.5回、都筑道夫の仕事場を訪ねて、映画や落語の話を聞き、不思議なパズルやゲーム、カードなど様々なおもちゃを見せてもらった。『カザノーヴァ・トランプ』に「タロウ・カード」。なまえも知らなかった「むべ山かるた」、「うんすん歌留多」。浅草仲見世は『助六(すけろく)』の「鼠(ねずみ)の風車(ふうしゃ)」。谷中『いせ辰(たつ)』の「組上絵(くみあげえ)」に「十六(じゅうろく)むさし」。フレンチポストカードはじめ変わった絵柄のジグソーパズル。『按摩(あんま)の根付(ねつけ)』『Super Egg(スーパーエッグ)』をデザインしたデンマークの『Piet Hein(ピートハイン)』の木製パズルの数々。『Mag-Nif(マグニフ)』のプラスチック製のパズル。同社製で特筆すべきは透明の立方体のなかを互い違いに仕切った九段のすべり板を無数の鉄球(ボールベアリング)がざわめきながらころがり落ちていく卓上玩具(デスクトイ)『Running Wild(ランニングワイルド)』。飛行機事故により急逝した製鉄王のジュニアが欧州経済界の巨悪に挑むJean-Paul Belmondo(ジャン=ポールベルモンド)主演の仏伊合作映画『相続人』(昭和48年制作)でも小道具としてつかわれ、主人公就寝まえの精神安定剤(トランキライザー)代わりの手なぐさみだったり、彼の孤独感や心のざわめきを表現する場面でも効果的に登場した。都筑道夫のデスクにもおなじものが置いてあるのを見て、堀は指をくわえて見ていた。球が落ちたあとは箱をひっくり返すと、またおなじ動きをする。遊びにいっていた最初の頃、問題編だけを聞かせてもらい解決編はお預けという興味を惹かれたもののついぞ見ることが叶わなかったおもちゃもあった。

「アメリカ製で『Dr. Nim(ドクター・ニム)』っていう「三山崩し」をゲーム機にしたで、機械が人間と対戦するんだって。知合いが輸入するって言っていたから、あたしの分も頼んでいたのだけれど、あれ、どうなったのだろう」

「三つの山からマッチ棒を取っていくゲームですね」

「そう。デンスケ博打でもおなじみだけど、いろいろな応酬パターンが機械に記憶させてあるらしいのね」

中国で生まれたnim(ニム)は十六世紀はじめに西ヨーロッパで基本ルールができた。昭和40年頃にそれをゲーム機として機械化した『ドクター・ニム』はアメリカのJohn Thomas Godfrey(ジョントーマスゴドフリー)が開発した初期のコンピュータゲームで、教育玩具の製造で有名だったESR株式会社が商品化した。その後、コンピュータゲーム機の開発は飛躍的に進歩したが、当時は「SF小説の未来社会でもあるまいに人工知能を搭載した小さな箱型ゲーム機がある、そんな時代が現実にやってきている」とは思ってもいなかったから、堀は驚いた。結局、都筑道夫はそれを入手せず、堀も見る機会はなかったが、近年、堀は実物を見る機会があり、懐かしく当時を思い出したようだ。箱絵には煙管をくわえた中国人、怪人フー・マンチュー博士ほどには怖くないニム博士が描かれていた。

また、別の日には、上部分が楕円形の輪になった純銀製の十字架(縦7×横4㎝)を見せてもらい、エジプトの生命の木をかたどった「Ankh(アンク)」だと教わった。

「悪い魔法使いの魔法を除けるためにいい魔法使いがするおまじないで、イギリスの魔法学の研究書にあったアンクの形を自分でトレースしてジュエリーデザイナーに特別注文したんだ。正統なアンクの精巧な形だよ」

後年、九州で、堀の挙式に列席したときの都筑道夫の出立ちは、黒いシャツに黒のダブルのスーツ、黒尽くめの胸元には銀のアンクのペンダント、ほとんどが黒紋付羽織袴や礼服姿の地方の列席者たちのなかにあって、都筑道夫のアンクは、もとい、アンクの都筑道夫は、ひときわ目立つ存在だった。

「ホームズは冒険小説だね。あたしはホームズ譚は好みじゃない」

「映画の『Sleuth(スルース)』は見たかい。真っ白のジグソーパズルとか、おもしろいおもちゃが出てくるよ」


「都筑センセーといっしょに過ごせた昭和は、カラフルで輝きに満ちた時代だった。と昔日少年は目を細めて来し方を見霽(はる)かす」

などと堀が気どって感傷にひたるくらい、10代後半に都筑道夫の知遇を得て以来、おもちゃ愛好家として都筑道夫と晩年まで交流した。


そんな体験が、のちに推理小説を書くことになる礎となっているのだろう。

作品リスト[編集]

小説(シリーズ)[編集]

おもちゃ探偵 物集修(もずめ おさむ)シリーズ

2002年と2008年 二階堂黎人選の『新・本格推理(光文社文庫)』入選

2014年 おもちゃ探偵・短篇集『ジグソー失踪パズル』刊行。収録作の「ドールズ密室ハウス」が日本推理作家協会賞短編部門の候補となる。

2022年 『都筑道夫創訳ミステリ集成』にエッセイ「センセーとボク」を掲載

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. 都筑道夫創訳ミステリ集成』Michio Tsuzuki, 道夫 都筑、作品社、2/28 2022、440-455頁。モジュール:Citation/CS1/styles.cssページに内容がありません。ISBN 978-4861828881モジュール:Citation/CS1/styles.cssページに内容がありません。OCLC 1307028495


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