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北九州児童養護施設虐待事件

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北九州児童養護施設虐待事件
別名「双葉学園事件」

北九州児童養護施設虐待事件位置図

― 政令指定都市 / ― 市 / ― 町 / ― 村

場所 日本の旗 日本 福岡県北九州市 小倉南区にある児童養護施設
日付 【第1の事件】2019年3月発生
【第2の事件】2018年12月発生
【第3の事件】2019年9月発生
【第4の事件】2015年1月頃発生
【第5の事件】2017年6月発覚
【第6の事件】2019年11月発覚
【第7の事件】2019年11月発覚
【第8の事件】2019年11月発覚
【第9の事件】2000年6月発生
【第10の事件】2019年7月発覚
【第11の事件】2019年9月発覚
【第12の事件】2019年9月発覚
【第13の事件】2017年10月発覚
【第14の事件】2013年2月発覚
【第15の事件】2018年8月発覚
【第16の事件】2019年3月発覚
【第17の事件】2018年12月発覚
【第18の事件】2018年9月発覚
【第19の事件】2019年9月発覚
【第20の事件】2019年11月発覚
【第21の事件】2018年9月発覚
【第22の事件】2022年3月発生
【第23の事件】2022年5月発生
【第24の事件】2022年8月発生
概要 【第1~第9の事件】職員4名が入所する男子児童8名及び女子児童1名を虐待した。【第10~第12の事件】入所男子児童間で性的虐待が少なくとも3件はあった。【第13の事件】双葉会の理事Tらが補助金等約6,000万円を不正受給をした。【第14の事件】公職選挙法違反で理事ら3名が逮捕された。【第15の事件】約1,400万円の支出を裏付ける書類の紛失。【第16~18の事件】西田一市議議員が双葉会の事業収入1,700万円を横領などした。【第19の事件】施設長Wは長男に双葉会の業務用の携帯電話を海外で使用させていた。【第20の事件】施設長が職員にパワハラをしていた。【第21の事件】施設長Wが1年以上の間性的虐待の防止策の履行を懈怠した。【第22~第23の事件】元入所児童らが双葉会の元職員を脅迫等していた。
原因 【第1~第12の事件】職員4名・入所男子児童3名による不法行為及び施設を運営する法人理事会及び施設長の放漫な施設運営。
被害者 【第1~第12の事件】施設に入所する男子児童11名及び女子児童1名の計12名。
犯人 【第1~第9】児童養護施設の男性児童指導員の計4名。【第10~第12の事件】児童養護施設の入所男子児童3名。【第13~第15の事件】双葉会の理事ら。【第16~第18の事件】西田一市議会議員。【第19~第21の事件】児童養護施設の施設長。【第22~第23の事件】元入所男子児童とその姉。
容疑 【第1~第4の事件】Xが強制性交等、児童福祉法違反(児童に淫行をさせる行為)、児童ポルノ法違反(製造)、児童買春、強制わいせつ容疑で逮捕・書類送検された。【第14の事件】理事ら計3名が公職選挙法違反で逮捕され、そのうちT1名のみ起訴され有罪となった。【第22の事件】元入所男子児童Aが脅迫罪で書類送検された。
動機 【第1~第4の事件】Xの性的欲求の発散。【第5の事件】男性職員Yの入所女子児童に対する恋愛感情。【第6~第8の事件】男性職員Uは、いずれの暴行も、入所児童から殴られそうになったことから、やむを得ず先に児童を殴打していまったと主張していた。【第9の事件】男性職員Sは注意した入所児童が反抗的な態度だったので1回だけ平手打ちをしたしている。【第10~第12の事件】入所男子児童の性的欲求の発散。【第16~18の事件】金員欲しさ。【第22~24の事件】金員欲しさ。
対処 【第1~第4の事件】①被害児童・第三者による事件の通告・通報。②北九州市議会での追及。③北九州市役所の特別指導監査。④福岡県弁護士会へ人権救済の申立て。【第5の事件】施設側から北九州市役所への申告。【第6~第8の事件】北九州市役所の特別指導監査。【第10~第15の事件】第三者の通告等。【第19の事件】第三者による住民監査請求の申立て。【第20の事件】北九州市役所の特別指導監査。【第21の事件】市議会の追及。【第22~第24の事件】刑事告訴・民事訴訟の提起など。
賠償 【第1~第4の事件】男性職員X個人と一部の入所児童の親権者とは2019年に示談が成立している。しかし、双葉会と被害児童間では一切賠償はされていない。
刑事訴訟 【第1~第4の事件】福岡地方裁判所小倉支部の鈴嶋晋一裁判長より、2019年12月2日、懲役8年(求刑懲役9年)の判決が下され、同判決は同年12月に確定した。【第14の事件】理事ら計3名が逮捕され内1名に実刑が下された。
影響 【第1~第4の事件】男性職員Xは佐賀県内の刑務所に収監された。【第5の事件】男性職員Yは自主退職に追い込まれた。【第1~第12及び第19~第21の事件】施設長V及びWの放漫な施設運営が発覚し両施設長は解任された。【第6~第8の事件】男性職員Uは事実上退職に追い込まれた。
被害者の会 福岡県福岡市中央区六本松4-9-38 六本松ハナマンビル2階にある六本松中央法律事務所が元入所男子児童の親族の支援にあたっている。
管轄 【第1~第12の事件】北九州市役所子育て支援課。北九州市子ども総合センター(児童相談所)。福岡地方検察庁小倉支部。福岡県警察本部少年課及び福岡県小倉南警察署の生活安全課少年係。
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北九州児童養護施設虐待事件(きたきゅうしゅうじどうようごしせつぎゃくたいじけん)とは、福岡県北九州市内に本部を置く社会福祉法人が運営する児童養護施設において、施設職員又は入所児童によって小学4年生を含む累計12名の児童が虐待を受けていたことなどが発覚した事件である。

【0】本事件の概要[編集]

事件の名称[編集]

福岡県北九州市小倉南区内にある児童養護施設において、主に2018年前後に発覚した北九州児童養護施設虐待事件は、その施設の名称から「双葉学園事件」又は施設を運営する社会福祉法人の名称から「双葉会事件」などと呼称される場合がある。

事件の構成[編集]

本事件は、児童養護施設を運営する双葉会の男性「職員Xによる事件」(第1~第4の事件)を中核とし、次に挙げる7分類、累計24個の事件から構成される[1][2][3][4][5]

分類 事件の概要 事件の番号 事件の個数
【1】 職員Xによる事件 第1~第4 4個
【2】 他の職員による事件 第5~第9 5個
【3】 入所児童間の事件 第10~第12 3個
【4】 理事による事件 第13~第15 3個
【5】 西田一による事件 第16~第18 3個
【6】 施設長による事件 第19~第21 3個
【7】 退所児童による事件 第22~第24 3個
累 計 24個

事件の概要[編集]

施設長が市役所の指導に従わず放漫な施設運営をしていたために(第21の事件)、児童養護施設の男性職員による入所児童への虐待(第1~8の事件)、入所児童間の性的虐待(第10~12の事件)などが見過ごされた。他方、当該施設を運営する双葉会の理事らは、放漫な施設運営をしている当該施設長を放置したほか、理事が双葉会の事業収入約1,700万円を横領するなど違法・不法な施設運営をしていた事件である(第13~18の事件)。

事件の影響[編集]

前述の第1~第4、第14及び第22の事件について、福岡県警双葉会の理事2名・職員2名の計4名を逮捕したほか、元入所児童Aを書類送検した。また、北九州市役所は第13の事件につき不正受給した補助金等約6,000万円の返還を双葉会に指導したほか、第10〜第12の事件につき性的虐待の加害入所男子児童3名の身柄を児童相談所に移した。他方、当該施設を運営する双葉会は第16の事件、第19及び第20の事件について、西田一市議会議員、施設長W及び施設長Vを解雇するとともに西田一及びWに対して損害賠償を求める民事訴訟を福岡地方裁判所小倉支部に提起した[1][2][3][4][5]

事件の歴史[編集]

双葉会が運営する当該児童養護施設においては、2000年に男性児童指導員が入所男子児童に身体的虐待をし当該児童が入院したことが発覚して以降(第9の事件)、2023年に退所した元入所児童が双葉会の元職員に対して脅迫し書類送検されるまで(第22の事件)、この23年間に公になった事件だけでも24件にのぼる[1][2][3][4][5]

【1】職員Xによる事件[編集]

事件の概要[編集]

双葉会が運営する児養護施設おいて、2012年から進路指導や健康管理などを担当していた男性職員Xは、パパ・兄ちゃんと呼ばれ入所児童から慕われていた。しかし男性職員Xは深夜に指導と称して入所する男子児童と空き部屋で2時間程度を過ごしたり、週末などに施設に無断で入所児童を連れ出したりするなどの不適切な行為があった。

このため双葉会は入所男子児童への過剰な接触を理由に、2018年に男性職員Xを訓戒処分にしたものの、改善が見られなかったことから翌年2月に諭旨免職処分とし、男性職員Xは約7年勤務した施設を退職することとなった。2019年2月以降、被害児童や第三者からの通報を受けた福岡県警本部少年課及び福岡県小倉南警察署の捜査によって、入所男子児童(小学生2名、中学生2名)計4名が性的虐待を受けていたことが2019年6月から同年8月に発覚した[6][7]

事件の遠因[編集]

第1~第4の事件の主因は男性職員Xの不法行為である。ただし、職員Xは勤務シフト以外の時間帯において頻繁に入所児童の居室に居残っているにもかかわらず入所児童の記録を一切記載しないなど、長期間にわたり異常な行動が確認されていたものの、当該施設の管理者である施設長Wは、これを数年にわたり放置していた。このように施設長Wが児童福祉法などが定める「最低限の技術的基準」を遵守していなかったために、男性職員Xによる性加害を防止できなかったなどとし、福岡県弁護士会は施設を運営する双葉会の理事会や施設長Wの放漫な施設運営が当該性的虐待事件の遠因であったとした[2]

X(第1)の事件[編集]

男性職員Xは、退職後の2019年3月8日、入所する男子児童C(当時中学1年生)を施設に無断で呼び出していた。そして同日午後10時30分ころ、福岡県北九州市八幡西区内のビジネスホテルの客室内において、わいせつな行為をさせたとして児童福祉法違反などの疑いで、2019年6月17日に逮捕された。男子児童Cは2019年3月8日に、施設に戻らなかったことから、施設側は同日中に福岡県小倉南警察署に行方不明届を提出していたものの男子児童Cは翌9日には自ら施設に戻った。男性職員Xは「ホテルに行ったが、わいせつな行為はしていない」などと容疑を否認していたものの、北九州市役所子ども家庭局は、当該施設及び双葉会に対する施設の特別指導監査を開始した[4][6]

施設関係者は、退職しても施設周辺で男性職員Xの姿を見かけたと言うほか、「子どもたちからの信頼は厚かった」。「かばうような口ぶり。被害者意識が薄く、驚いた」と言っていた。また、警察官は「みんな口々に『世話になった気持ちがある』と話し、被害の全容をなかなか言ってくれない」とする[8]

福岡県福岡市にある西南学院大学人間科学部社会福祉学科の安部計彦教授は、第1の事件について「小児性愛などの性的指向を持つ人にとって施設が犯行しやすい場となっている可能性があり不用心だ。採用で性的指向を確認する仕組みが必要」と指摘していた[6]

X(第2)の事件[編集]

男性職員Xは、2018年12月23日午前2時ころXの自宅において、13歳未満と知りながら施設に入所する男子児童D(当時小学4年生)にわいせつな行為をしたり、させたりしたなどとして、強制性交等と児童福祉法違反の疑いで2019年7月8日に再逮捕された。男性職員Xは、入所児童に家庭的な環境を経験させることを目的に週末や長期休みなどに施設職員の自宅に児童を宿泊させる「一日里親」の仕組みを利用して、勤務していた施設には無断で男子児童D(当時小学4年生)及びM(当時小学5年生)をXの自宅に宿泊させていた。なお男性職員Xは諭旨免職となった後、男子児童Dに対して(昨年の)「12月のことは言うな」と口止めをしていたほか、福岡県小倉南警察署の取調に対して「自宅に泊めたが、わいせつな行為はしていない」などと容疑を否認していた[9][10]

後述の男子児童Aの弟のM(当時小学5年生)は、施設の聞き取りに対して、職員Xと男子児童Dと一緒の部屋で就寝したが、性的な被害を一切受けていないとしていた。他方、男子児童D(小学4年生)は2019年6月になり、男性職員Xから性的被害を受けていることを告白した。Dは直ぐに告白できなかったことについて、男性職員Xより口止めがあったほか、「遊園地に連れて行ってくれ、お世話になっていたので言えなかった」と言っているという[9][10]

X(第3)の事件[編集]

男性職員Xは、2018年9月10日午前1時ころ、当時勤務していた施設2階の宿直室において当時中学2年生の入所男子児童Bに対し、わいせつな行為をさせたうえで、その様子をビデオカメラで撮影したとして児童福祉法違反、児童買春児童ポルノ法違反(製造)などの疑いで、2019年7月29日に再逮捕された。なお男性職員Xの自宅などの家宅捜索では、金属製の手錠のほかビデオカメラなどが押収されていたところ、当該カメラ内に今回のわいせつ動画が残っていた。これを受け男性職員Xは、これまで否認していた1回目と2回目の逮捕容疑を含め全ての容疑について認めた[11][12]

X(第4)の事件[編集]

第1から第3の事件で逮捕され福岡県小倉南警察署に留置されていた男性職員Xは、2015年1月ころ、当時勤務していた施設2階の宿直室において、当時小学校5年であった男子児童A(Mの兄)に対し、わいせつな行為をしたとして2019年8月に強制わいせつの容疑で書類追送検された。その後A自身も2022年3月に発生した後述の第22の事件において刑法222条の脅迫の容疑で書類送検された[13][14]

上記事件のまとめ[編集]

第1の事件 第2の事件 第3の事件 第4の事件
発生 2019年3月8日午後10時過ぎ 2018年12月23日午前2時ころ 2018年9月18日午前1時ころ 2015年1月ころ時間は午後8時
発覚 2019年6月17日 2019年7月8日 2019年7月29日 2019年8月
場所 福岡県北九州市内のビジネスホテル 北九州市若松区にある男性職員Xの自宅 当該児童養護施設2階にある宿直室 当該児童養護施設2階にある宿直室
児童 当時中学1年生の入所男子児童C Mを除く当時小学4年生の入所男子児童D 当時中学2年生であった入所男子児童B 当時小学5年生の入所男子児童A
容疑 児童福祉法違反 強制性交など 児童買春など 強制わいせつ
備考 外泊していたCは翌日には自力で当該施設に帰所した。 虐待当日はAの弟MもX宅に宿泊していたもののMは虐待はなかったとした。 Xの家宅捜索においては金属製の手錠とBのわいせつな映像が押収された 福岡県警はAを第21の事件において脅迫罪で書類送検している。

【2】他の職員による事件[編集]

他の職員による事件とは[編集]

双葉会の男性職員Y、U及びSは、いずれも双葉会が運営する児童養護施設において児童指導員として勤務していた。「第5の事件」の職員Yは女子入所児童1名に性的虐待を、「第6~第8の事件」の職員Uは男子入所児童3名に身体的虐待を行っていたほか、「第9の事件」の職員Sは男子入所児童1名に身体的虐待を行った。これらX以外の男性職員3名による第5の事件から第9の事件(計5つの事件)を指す。

職員Y(第5)の事件[編集]

男性職員Xの事件を追求していた2019年9月の北九州市議会で、この施設に勤務していた男性職員Yが、恋愛感情から入所する女子児童Eと施設外で会うなどの交際を続け、施設内の女子児童の居室などで不適切な関係をもっていたところを他の職員から発見された。このため当該職員は2017年6月に自主退職していたことが自民党市議会議員の質問で明らかになった[2][15]

この事件について、福岡県北九州市小倉北区にあるはたけやまクリニックの藤岡順子院長は、「虐待を受けた子どもは、過剰に保護者の期待に応えようとするケースも見られる。親代わりの立場を悪用したといえ悪質だ」と指摘している[15]

職員U(第6~8)の事件[編集]

施設に勤務していた30歳代後半の男性指導員Uは、入所児童が男性職員Xから性的虐待を受ける期間において、入所する男子児童3名を手拳で殴るなどの身体的虐待をしていた[4][16]。当該事件の発覚のきっかけはとなったのは、福岡県小倉南警察署が、2019年4月、男性職員Uを、あくまでも男性職員Xの事件の捜査のため電話で呼び出した際、突然の呼び出しに動揺した男性職員Uは、2018年9月以降の自身による身体的虐待が警察にばれたと勘違いし、施設長Wに対して、Uが虐待の事実を告白したことによるものであった。しかし、施設長WはUの虐待を警察や児童相談所などに通告をしなかったが、2019年6月からの北九州市役所家庭子ども家庭局による特別指導監査により、Uの虐待が発覚した[4]

職員S(第9)の事件[編集]

入所する男子児童Iが、2000年6月24日、施設内でゲーム遊びをめぐって別の児童と口論になったことから20歳代の男性指導員Sは、これを制止したものの、男子児童Jが口応えするなど反抗的な態度に出たため、男子児童の左ほうを1回平手打ちにした。しかし、同月26日になり患部が化のうしたため、1週間の入院を要する事態となったことが、2008年8月に発覚した[3]。また、この事件においては、施設職員が子どもの了解を得ないで持ち物検査をしていたことも判明したことから、北九州市役所は、➀入所児童の権利擁護に配慮すること。➁勝手な持ち物検査はプライバシーの侵害に当たること。➂問題が発生したときは即時報告することなど5項目についても行政指導した[3][17]

この事件について、北九州市役所の駒田英孝市保健福祉局長は、児童相談所に第三者から「指導員が園児に暴行した」と第三者から電話で通告があり、市役所が関係者から聞き取り調査をして事件が発覚したとしている[18][19]

上記事件のまとめ[編集]

第5の事件 第6~8の事件 第9の事件
発生時期 2017年6月 2018年9月以降 2000年6月
発覚時期 2019年9月 2019年11月 2000年8月
加害職員 男性児童指導員Y 男性児童指導員U 男性児童指導員S
被害児童 女子児童1名 男児児童3名 男子児童1名
虐待内容 性的虐待 身体的虐待 身体的虐待
発覚経緯 施設の申告 市役所の調査 第三者の通告

【3】入所児童間の事件[編集]

第10~12の事件とは[編集]

職員Xによる第1~第4の事件が発覚した前後にあたる2019年4月から9月の半年間だけでも、年長の男子児童が年下の男子児童を性的虐待するという、入所男子児童間の性的虐待事件が少なくとも3件は発生した。いずれにおいても加害児童は児童相談所(北九州市子ども総合センター)にその身柄を移された。

第10~12の事件の背景[編集]

2019年4月から9月の半年間だけでも、3名以上の男子児童が実質的な退所に追い込まれ、その一部は福岡県久留米市内にある精神科に長期措置入院となった[2][20][21][22]。このようななか、処遇の厳しい入所児童が増える一方で職員の離職があとを絶たなかったことから、2021年以降、当該施設においてはケースワーカー(保育士や児童指導員)が不足する事態に陥っていた[23]

北九州市役所は従前より、➀施設の消灯時間に夜警の専門職員を配置、②入所児童の心のケアを担当する心理療法専門職員を配置、③入所児童への体系的な性教育、④施設職員に対する体系的な虐待防止研修などを行うよう行政指導を続けていた。しかし、施設長Wは長期間にわたりこれをらの対応を放棄していたことから、入所する男子児童間の性的虐待事件が数ヶ月にわたり公然と見過ごされていた。ちなみに当該児童間の事件の加害男子児童のうち1名は、男性職員Xから性的虐待を受けていた被害児童であった[2][20][21][22]

上記事件のまとめ[編集]

第10の事件 第11の事件 第12の事件
発生時期 2019年6月と7月 2019年9月 2019年4月
発覚時期 2019年7月 2019年9月 2019年9月
虐待場所 2階の居室内 2階の脱衣場 2階の居室内
加害児童 男子小学生1名 男子中学生1名 男子中学生1名
被害児童 男子小学生1名 男子中学生1名 男子小学生2名
虐待内容 性的虐待 性的虐待 性的虐待の指示
発覚要因 施設の届出 第三者による通報 市役所による調査

【4】理事による事件[編集]

双葉会の理事について[編集]

双葉会では50年以上にわたり西田稔夫(2017年死去)が理事長を務めていた。その長男の西田一は2013年3月に双葉学園に入職し、2013年からは双葉会の理事に就任していたほか、2019年2月からは福岡県北九州市の市議会議員でもあった[24]

Tは西田一市議会議員の弟で、2013年当時双葉会が運営する介護老人福祉施設双葉苑の施設長であり双葉会の理事でもあった。またRは2013年当時双葉苑の一般職員であり双葉会の理事でもあった[25]

理事T(第13)の事件[編集]

理事Tらは、2011年~2017年の間、「児童養護施設分園型自活訓練事業」などにおいて、児童指導の業務に従事していない事務員をケースワーカー(児童指導員保育士)として位置づけるなどし、北九州市役所からの補助金など約6,000万円を不正に受給していたことが2017年10月までに発覚した[5]。ちなみに、この不正受給は2017年10月に双葉会の職員が市役所に内部告発したことで発覚していた。

2018年6月から8月行われた北九州市役所の双葉会に対する特別指導監査では、293万円もの使途不明金が発覚した。また、デパートの商品券230万円分及びホテルの商品券100万円を換金するなどした使途不明金が約600万円にのぼったほか[5][26]、計25件の不適切な業務運営が発覚した[27][28]

理事R(第14)の事件[編集]

市役所の補助金を不正受給(第13の事件)をしている2013年1月、双葉会が運営する特別養護老人ホーム双葉苑において、認知症で意思表示できない高齢者の投票用紙を使い在者投票をしたとして、理事T(双葉苑の施設長)・理事R(双葉苑の職員)など計3名が公職選挙法違反の疑いで2013年2月に逮捕された。その後理事Tのみが公職選挙法違反(投票偽造)の罪により懲役1年2カ月執行猶予5年の刑が2013年10月に確定している[25][29][30]。ちなみに、当該選挙は北九州市議会議員選挙であり西田一がその候補者となっていた[25]

1,400万円の立証書類(第15)紛失事件[編集]

双葉会では、2017年4月に新しい児童養護施設(分園)を福岡県北九州市八幡西区内に開設しているが、その開設に必要な物品等の経費の一部(1,400万円)について、これに係る見積書、発注書、契約書、請求書などの書類のほとんどを紛失していたことが、北九州市役所が2018年6月から8月に行った特別指導監査で発覚した[31]

上記事件のまとめ[編集]

第13の事件 第14の事件 第15の事件
発生時期 2011年~2017年 2013年1月 2017年~2018年
発覚時期 2017年10月 2013年2月 2018年8月
不正内容 約6,000万円不正受給 西田一候補への不正な投票 約1,400万円分の書類紛失
不正場所 児童養護施設 特別養護老人ホーム 児童養護施設
関係人物 理事長V及びT・西田一等 西田一及び理事Tら計3名 不明

【5】西田一による事件[編集]

日本の旗 日本の政治家
西田一
にしだ はじめ
生年月日 (1971-08-19) 1971年8月19日(53歳)
出生地 福岡県北九州市小倉南区
出身校 北九州市立長行小学校
北九州市立菅生中学校
福岡県立小倉高等学校
慶應義塾大学商学部
前職 全国農業協同組合連合会職員
JA全農の職員)
社会福祉法人双葉会職員
現職 社会福祉法人高塔会理事長
所属政党 自由民主党
称号 商学士(慶應義塾大学)
公式サイト 西田一市議会議員オフィシャル

選挙区 北九州市小倉南区選挙区
当選回数 4回
任期 2009年~ - 現職
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西田一とは[編集]

西田一は、2013年から2017年の間は双葉会の理事の職に就いていたが[28]、2017年に補助金等約6,000万円を不正受給していたことが発覚し(第13の事件)、その責任をとり双葉会の理事を退任した。これとは別に2019年には双葉会の事業収入約1,700万円を西田一が横領していたことが2019年に発覚したことから双葉会を解雇された(解雇時は非常勤職員)。その後、双葉会から約1,700万円の返還を求める訴訟の提起を受けたが[32]、2021年、福岡県北九州市若松区に本部を置く社会福祉法人高塔会の理事長に就任した[33]

本事件の報道における西田一は市議会議員として一貫して実名報道がされた[5][28][32][34][35][36][37][38]

西田一(第16)の横領事件[編集]

西田一は、施設屋上にある携帯電話基地局の設置料を、理事在任中の2015年より毎月にわたり個人口座に振り込ませていた。西田一は13年9ヶ月にわたり振り込ませた双葉会の事業収入約1,700万円を、花見・カラオケ・懇親会など私的な支出にほぼ全額を使っていたことなどから[28][34]、国税庁小倉税務署は、仮装や隠蔽を伴う悪質な所得隠して2019年3月に無申告加算税を課していた。また、双葉会は、2019年5月に西田一を解雇(解雇時は非常勤職員)し、同年8月には約1,700円の返還を求める民事訴訟を提起したほか[32]、2020年には西田一を刑事告訴することを理事会で決議した[38]

西田一(第17)の条例違反事件[編集]

西田一は2009年以降北九州市の市議会議員を務めていることから、北九州市の資産公開条例により保有する資産を同年以降北九州市役所に報告する義務があった。しかし、13年以上にわたり受け取っていた双葉会からの事業収入(前述の第15の事件[28][34])累計約1,700万円について一切記載していなかった[35]

西田一(第18)の不正使用事件[編集]

北九州市議会議員でもあった西田一理事は、北九州市議会事務局に対して、双葉会が2010年に589万円で購入したワンボックスカー(日産エルグランド)で駐車場申請したうえで、登庁などの政務に当該ワンボックスカーを使用していたほか、当該車両で地域の行事に参加したり買い物したりするなどしていた。このため北九州市役所子ども家庭局は、2018年9月、双葉会に対し改善勧告を行った[36][37][39]

上記事件のまとめ[編集]

第16の事件 第17の事件 第18の事件
発生時期 2005年~2018年 2018年3月 2013年以降
発覚時期 2018年3月 2018年12月 2018年9月
不正内容 約1,700万円の横領 市の資産公開条例の違反 双葉会の車両の不正使用

【6】施設長による事件[編集]

施設長W及びVとは[編集]

双葉会の理事長を50年以上にわたり務めていた西田稔夫が2017年8月に死去したことで[40]、その妻Vが後任の理事長に就き、その長女Wが双葉会が運営する児童養護施設(本園)の施設長に就いた[2]。しかし2017年に補助金等約6,000万円の不正受給(第13の事件)が発覚したことにより、Vは理事長の職を辞し2018年4月には双葉会が運営する児童養護施設(分園)の施設長に就いた[41]。しかし、次にある事件などが要因となり双葉会の理事会は2020年1月に分園の施設長V及び本園の施設長Wを解任した[2]

施設長W(第19)の事件[編集]

施設長Wは、 2017年に施設長に就任した際、自身の給与を給与規定に基づかずに昇給されていた[42]

施設長Wはアメリカニューヨーク州内の高校に進学しているWの長男に、双葉会がソフトバンクと法人契約している業務用の携帯電話を2016~2020年の4年間にわたり貸し出し、児童養護施設の業務では発生しないはずの海外パケット代金49万円も発生させていた。このため公金である措置費から私用の携帯電話料を賄うのは違法、不法であるとして、福岡県北九州市の住民が、2019年9月に住民監査請求を申し立てていた(市役所HP2019年10月8日公表分)[43][44]。これに受け双葉会は2021年2月になって、施設長Wに対し電話使用料金の返還を求める訴えを福岡裁判所小倉支部に提起した[45][46]。その他Wの施設長としての勤務実態(パワハラ)などについては後述の「社会福祉審議会の提言」を参照下さい。

施設長V(第20)の事件[編集]

施設長Vは、2017年~2018年、月額44万円であった自身の給料を段階的に74万円に引き上げたほか、定められた勤務時間に就業せず、勤務先とは別の施設の給食を「検食」と称して自宅に持ち帰っていたなどから[4]、北九州市役所はVに対し改善勧告を出した経緯がある[37]。その他Vの施設長としての勤務実態などについては後述の「社会福祉審議会の提言」を参照下さい[4][20][21]

施設長W(第21)の事件[編集]

前述の性的虐待事件(第5の事件)発覚後の2017年10月、施設長Wは自ら、虐待防止研修の定期的な開催すること、防犯カメラの録画内容を翌日に確認することなどを柱とする再発防止策を策定し市役所に提出していた。しかし、施設長Wはこれらの再発防止策の履行を1年余りも放置したことで、前述の男性職員Xによる性的虐待事件(第1~第4の事件)及び入所児童間の性的虐待事件(第10~第12の事件)を阻止できていなかった[1][2]

上記事件のまとめ[編集]

第19の事件

(施設長Wの事件)

第20の事件

(施設長Vの事件)

第21の事件

(施設長Wの事件)

発生 2016年~2020年 2017年~2019年 2017年~2018年
発覚 2019年 2018年~2019年 2019年
概要 Wの給料の不正昇給、双葉会の携帯電話を海外で使用、施設職員へのパワハラ。 Vの給料の不正昇給、施設の給食を自宅に持ち帰った。施設職員へのパワハラ。 Wが虐待防止策の履行を1年以上懈怠しため第1~第4の事件を防止できなかった。

【7】退所児童による事件[編集]

退所児童Aとその弟Mとは[編集]

A及びその弟のM(前述の第2の事件参照)は、幼少期に双葉会が運営する児童養護施設に入所していたものの[47]、Aのみが小学5年生の1月ころ職員Xから性的虐待を受けた(前述の第4の事件)[11]。そしてAのみが中学2年生であった2018年12月に、施設長Wの依頼で児童相談所に移され、その後当該施設に戻されることはなかった[47]

退所児童Aの姉とは[編集]

退所児童Aの姉は、2019年7月、前述の第1の事件の取材のためAの姉宅を訪れた朝日新聞の記者に対し、双葉会の元職員も入所中の未成年のAにわいせつな行為をしたなどと放言していたほか、その後元職員の自宅を暴力団員風の男性を伴い訪問したAの姉は、当該自宅を退去しなかった[47][48]

退所児童Aの姉(29歳)は、2022年6月、 「お前は弟(A)の体を触った」、「警察に訴える」などと言って双葉会の元職員を脅迫したうえ当該元職員の自宅敷地内に侵入したことから敷地外への即時退去を求められた。するとAの姉は、同行していたAの男性親族に当該元職員から暴力を振るわれていると虚偽の内容を110番通報させ警察官を出動させていた[47][48]

元入所児童Aらによる事件のまとめ[編集]

第22の事件

(脅迫)

第23の事件

(恐喝)

第24の事件

(横領)

加害者 退所児童A 退所児童A 退所児童A及びその姉
被害者 双葉会の元職員 双葉会の元職員 双葉会の元職員
適用罪名 脅迫罪 恐喝罪 横領罪及び横領の幇助犯
適用法令 刑法222条 刑法249条 刑法252条及び62条
被害内容 虚偽の刑事告訴の予告 金100万円の恐喝等 金30万円相当の物品の横領
発生時期 2022年3月 2022年5月 2022年8月
発生場所 福岡市内の駐車場 北九州市内の銀行 双葉会の元職員の自宅敷地内
刑事判断 2023年3月に書類送検済み 2023年4月より警察に相談開始 2023年4月より警察に相談開始
管轄裁判所 小倉簡易裁判所 福岡簡易裁判所
裁判所の判断 Aの預金138万円の仮差押え Aの姉の預金30万円の仮差押え
銀行の対応 Aの預金を全額供託した Aの姉の預金全額を供託した

脅迫(第22)事件[編集]

退所児童A(当時17歳)は、すでに施設を退職していた双葉会の元職員を福岡市内に呼び出したうえで、特定危険指定暴力団の名称を用いて「お父さんは元ヤクザだ」。「男性職員Xのときのように、体を触られた」と訴えるぞなどと言い当該元職員を脅迫した。当該元職員から2022年11月16日に告訴状を即日受理していた福岡県警は、翌年の3月までに退所児童A(当時18歳)を脅迫罪の容疑で検察庁に書類送検した[13][14]

恐喝(第23)事件[編集]

退所児童A(当時17歳)が、2022年4月21日、すでに施設を退職していた双葉会の元職員を北九州市内に呼び出し、特定危険指定暴力団の名称を用いて「お父さんは元ヤクザだ」。「男性職員Xのときのように体を触られた」と訴えるぞなどと言い現金100万円を恐喝等したとする裁判において、小倉簡易裁判所は2023年4月17日、元職員側の申立て認め退所児童Aの銀行預金138万1660円を仮に差押える決定をした[49]。当該決定を受けた福岡銀行はA名義の預金全額を北九州法務局に供託した[50]。なお、恐喝した100万円等について、退所児童Aは元職員から一時借用したものであるとしたうえで、そもそも成人が未成年者と金銭消費貸借契約することは無効であるから、Aは当該元職員への返済義務を負わないとしていた[51][52]。これによりAは、東京や大阪に小学校のときの同級生(北海道釧路市在住)などと旅行をし大型リゾートホテルに連泊するなどしたほか、他の退所児童や児童養護施設に入所しているAの弟Mと高級焼肉店で飲食するなどして、恐喝した現金のほとんどを数ヶ月で使用していた[47][50]

横領(第24)事件[編集]

退所児童A及びその姉は、2022年8月29日、合鍵を使用し双葉会の元職員の自宅より40型のテレビ、ノートパソコンやiPhone12など、時価総額約30万円相当の金品を無断で持ち出したとする裁判において、福岡簡易裁判所は、2023年4月17日、元職員側の申立てを認め退所児童Aの姉の銀行預金29万7152円を仮に差押える決定をした[14][53]。当該決定を受けた福岡銀行はAの姉名義の預金全額を北九州法務局に供託した[54]。なお、退所児童A(当時18歳)は、2023年4月11日においても、持ち出したとされる当該テレビ等は元職員から無償譲渡されたものであると福岡県警に主張し続けている[47]

この事件について退所児童Aの姉(当時29歳)は、2022年、双葉会の元職員に対し「お前はiPhoneを5円で買っている。SIMカードを返却するからiPhone本体は返さない」、「お前は弟の体を触った」、「警察に訴える」、「お前に請求する権利はない」などと脅迫していた。このため元職員側は2023年4月に福岡県警に当該被害の相談を開始するとともに、同年5月には退所児童Aの姉のみを被告とする民事訴訟を刑事告訴に先んじて提起した[55]

事件の年表[編集]

出来事
1998年 3月 西田一が双葉会(児童養護施設双葉学園)に入職した(第16の事件)。
2000年 6月 男性職員Sが男子児童に身体的虐待をした(第9の事件)。
2005年 9月 西田一が双葉会の事業収入を横領することを開始した(第16の事件)。
2009年 1月 西田一が福岡県北九州市の市議会議員に初当選した[24]
2012年 4月 Xが双葉会の正職員に採用された(第1~4の事件)。
2013年 1月 理事Tら計3名が公職選挙法違反容疑で逮捕された(第14の事件)。
4月 西田一市議会議員が双葉会の理事に就任した(第16の事件)。
11月 理事Tに懲役1年2カ月執行猶予5年の刑が確定した(第14の事件)。
2015年 1月頃 男性職員Xが男子児童Aを性的虐待した(第4の事件)。
2017年 6月 男性職員Yが女子児童Eを性的虐待した(第5の事件)

第13の事件の責任をとり西田一と理事Tが双葉会の理事を退任した。

8月 西田稔夫双葉会理事長兼双葉学園施設長が死去した[56]
10月 市役所の補助金等約6,000万円の不正受給が発覚した(第13の事件)。
2018年 4月 双葉学園から、双葉学園みのりが分離独立した[57]
8月 双葉会において使途不明金600万円が発覚した(第13の事件)。

市役所の特別指導監査により第15の事件が発覚した。

9月 男性職員Xが男子児童Bに性的虐待した(第3の事件)

施設長V及びWが自身の給料を不当に増額した(第19・20事件)。

12月 男性職員Xが男子児童Dに性的虐待した(第2の事件)

第4及び第22~24の事件のAが児童相談所に移された。

2019年   2月 第1~第4の事件の男性職員Xが諭旨免職となった[6]
3月 男性職員Xが男子児童Cに性的虐待をした(第1の事件)

西田一による約1,700万円の横領が発覚した(第16の事件)。

5月 西田一市議会議員は双葉会により解雇された(第16の事件)。
6月 男性職員Xが第1の事件の容疑により逮捕された[6]

第13の事件により退任したTが双葉会の理事に復職した[2][58]

7月 福岡県警が職員Xの自宅等の家宅捜索を行った(第1~第3の事件)。

男性職員Xが第2及び第3の事件の容疑で逮捕された[9][10][11]

児童間の性交渉の加害児童が児童相談所に移された(第10の事件)。

8月 男性職員Xが第4の事件の容疑で追送検された[11]
9月 施設長V及びWが住民監査請求の申立てを受けた(第19の事件)。

Wが虐待防止策の履行を1年以上放置していた(第21の事件)。

児童間虐待の加害児童が児童相談所に移された(第11・12の事件)。

10月   男性職員Xが強制性交・児童買春などで起訴された(第1~4の事件)。
11月 男性職員Xは論告求刑で執行猶予付きの判決を求めた(第1~4の事件)。

男性職員Uの男子児童への身体的虐待が発覚した(第6~8の事件)。

男子児童間の性的虐待が発覚した(第10~12の事件)。

Tが理事に復職したため市役所は改善勧告をした(第13の事件)。

Vは規定時間に就業しないうえ他施設の給食を食べた(第20の事件)。

北九州市役所が双葉会等に対し改善勧告を執行した(第1~4の事件)。

12月 男性職員Xに懲役8年の実刑が下された(第1~4の事件)。
2020年 1月 VとWが施設長を解任された(第19~21の事件)。

双葉会は西田一について刑事告訴すべきと決議した(第16の事件)。

2月 男性職員Uが事実上退職に追い込まれた(第6~8の事件)。
4月 北九州市役所がアドボケイト(代弁者)[脚注 1]を配置した[59][60]
2021年 2月 元施設長Wは民事訴訟を提訴された(第19の事件)。
6月 西田一市議会議員が社会福祉法人高塔会の理事長に就任した[61]
12月 福岡県弁護士会が施設及び双葉会に人権救済勧告を執行した[2]
2022年 3月 双葉会の元職員が退所児童Aより脅迫を受けた(第23の事件)。
4月 双葉会の元職員が退所児童Aより現金を恐喝された(第23の事件)。
8月 退所児童Aは双葉会の元職員宅からTV等を持ち出した(第24の事件)。
11月 退所児童Aは脅迫罪で刑事告訴された(第22の事件)。
2023年 3月 福岡県警は退所児童Aを脅迫容疑で書類送検した(第22の事件)。
4月 裁判所は退所児童Aの銀行口座の仮差押えを決定した(第23の事件)。

裁判所はAの姉の銀行預金の仮差押えを決定した(第24の事件)。

5月 退所児童Aの姉のみを被告とする民事訴訟が提起された(第24の事件)。

被害児童との示談[編集]

施設を運営する双葉会及び施設長は、男性職員Xによる事件について、男性職員Xの個人的な性的嗜好の問題であり施設側や双葉会も被害者だとして、第1〜第4の事件の原因などについて、ほとんど双葉会の理事会で議論しなかった。また、男性職員UなどX以外の事件についても、被害児童やその保護者に対する慰謝料の支払いは一切行っていない[2][20]。ちなみに、男性職員X個人においては、2019年に一部の被害児童の保護者と示談を成立させている[62]

施設の概要[編集]

児童養護施設の概要[編集]

当該事件が発生した児童養護施設は、大舎制[63]を採用した70年以上の歴史があり、3階建てのコンクリート造の施設には計21部屋もの児童用の居室がある[64]。しかし、今後は大舎制から「ユニット制[脚注 2]」(最大6名以下の生活単位に構成する)に移行するため、これに係る改修工事を2023年9月に開始し翌年6月末に完了する予定である[65]

項目   内  容   備 考
創立者名  西田好之助
運営法人 双葉会
団体種類 社会福祉法人 1954年1月設立
起  源 戦災孤児収容所
施設名称 双葉学園 1945年開設
施設長名 下田 俊 2020年1月就任
所在場所 福岡県北九州市小倉南区
活動地域 福岡県北九州市
活動内容 児童養護施設の運営
施設職員 30名 2019年2月現在 
児童定員 45名 2019年2月現在
入所児童 29名 2022年2月現在
分  園 地域小規模児童養護施設×1ヶ所  2022年4月開設
関連施設 双葉学園みのり 2018年4月開設

入所資格と入所児童数[編集]

当該施設は 児童福祉法に定める児童福祉施設の一つであることから、入所できる児童は福岡県北九州市内に住む2歳〜概ね18歳の児童(延長措置あり)で、保護者のいない児童又は虐待されている児童、もしくはその他環境上養護を要する児童に限られる(児童福祉法41条)。

当該施設の入所児童定員は2018年3月まで110名であったものの、同年4月の分園の開設に伴い同月以降入所児童定員は45名となった。当該定員に対し2019年2月における入所児童は男子が19名、女子が13名の計32名(稼働率71%)であった。しかし2019年に北九州児童養護施設虐待事件が発覚した後の2022年2月の入所児童は男女合計29名(稼働率64%)となっている[66]

施設の職員数[編集]

当該施設の職員の人数及び構成は、施設長が1名、児童指導員4名、保育士10名、看護師1名、心理士2名、栄養士1名、調理師4名、事務員2名、非常勤職員5名の計30名である(2019年2月現在)[2]。しかし、北九州児童養護施設虐待事件が発覚した2019年以降、処遇の厳しい入所児童が増える一方で直接処遇の職員の離職者があとを絶たなかったことにより、遅くとも2021年2月ころにはケースワーカー(保育士や児童指導員)が不足している[23]

児童家庭支援センター(関連施設)[編集]

児童家庭支援センターとは全国に130ヶ所以上ある子育て中の家庭を対象とした相談事業所で、福岡県北九州市南区では、北九州市役所の委託を受け2000年に双葉学園の1階に開設された。相談は電話のほかLINE(匿名可能)でも受付しており[65]、年間の延べ相談件数は、2020年が2000件以上、2021年が3000件以上となっている[67]

地域小規模児童養護施設(分園)[編集]

当該施設では、入所児童が家庭に近い環境で生活できるよう施設の小規模化・地域分散化を進めており、その1つ目の取り組みとなる地域小規模児童養護施設「壱葉(いちは)」が2022年4月に開設され、幼児2名、小学生3名、中学生1名の計6名の女子児童が当該施設での生活をスタートさせた[68]。2023年度には同様の地域小規模児童養護施設(分園)「弐葉」及び「参葉」が開設される[65]

施設の運営法人[編集]

施設の運営法人とは[編集]

当該児童養護施設の運営法人である社会福祉法人「双葉会」は、福岡県北九州市小倉南区に本部を置く社会福祉法人である。主な事業としては、児童養護施設など計5ヶ所における「児童福祉事業」、双葉苑や第二双葉苑(施設長はいずれも西田一の弟のT[69][70])など計10ヶ所における「高齢者福祉事業」がある(2019年2月現在[2])。

約6,000万円の不正受給が発覚した翌年の2018年からは北九州市役所のOBが業務執行理事(常勤)に就任したほか、北九州児童養護施設虐待事件が発覚した翌年の2020年からは弁護士などが理事に就任した。ちなみに、2021(令和3)年度の事業運営の公費は10億8500万円、施設・設備に係る公費は800万円が投入されている[71]

施設の運営法人の概要[編集]

項目  内  容   備 考
法人種類 社会福祉法人
法人名称 双葉会
設立年月 1954年1月
所在場所 福岡県北九州市小倉南区(双葉学園内)
理事長名 柏木 修(非常勤) 2020年就任 
業務執行理事 高田 照男(常勤) 2018年就任
活動内容 主に児童養護施設及び高齢者福祉施設の運営 
職員の数 222名 2017年現在
児童養護施設 双葉学園双葉学園みのりを運営

議会の審議[編集]

審議の概要[編集]

2019年9月20日、北九州市議会「平成30年度決算特別委員会 第2分科会不議事件」(於:北九州市役所議事堂・第一委員会室)における自由民主党の市議会議員の質問で、以下のことが明らかになった[1]

施設長Wの懈怠(第21)事件[編集]

当該施設の児童指導員であった男性職員Yが、入所する女子児童Eを性的虐待していたことが2017年6月に発覚した(第5の事件)[2][15]。このため、施設長Wは、2017年10月、虐待防止研修の定期的な開催すること、防犯カメラの録画内容を翌日に確認することなどを柱とする再発防止策を定めていた。しかし施設長Wは、これらの再発防止策の履行を1年余りも放置したことで、この間に発生した前述の男性職員Xによる性的虐待事件(第1~第4の事件)及び入所男子児童間の性的虐待事件(第10~第12の事件)の発覚が遅れていたことが、当該議員の質問で明らかになった[1][2]

理事会の機能不全[編集]

施設を運営する双葉会の理事会は、男性職員Xによる事件が理事会で報告されても、事件は男性職員Xの個人的な問題と結論付け、事件の原因や再発防止策などについて、ほとんど議論しなかったうえ、適正を欠く施設長V及びWを放任していたことが明らかになった。また、当該審議において、北九州市役所は男性職員Xによる事件について北九州市社会福祉審議会に調査審議の依頼していることを明らかにした[1][2]

職員Xの刑事裁判[編集]

裁判の概要[編集]

男性職員Xは勤務していた双葉会が運営する児童養護施設に入所していた児童A・B・C・D(前述の第1~第4の事件)に対する強制わいせつ罪1件、強制性交等罪1件、児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造)1件、児童福祉法違反(淫行させる行為)4件、計7件の容疑で起訴された[72][73]。ちなみに、男性職員Xに関する起訴は2019年10月11日午前10時、論告求刑は翌月5日午後1時30分、判決は2019年12月3日午後1時30分、いずれも福岡地方裁判所小倉支部で最も広い207号法廷において開かれた[74][75]

項目   内  容   備 考
裁判所 福岡地方裁判所小倉支部 207号法廷
裁判長 鈴嶋晋一 福岡地方裁判所小倉支部
書記官 大石哲也 福岡地方裁判所小倉支部
検察官 鯰越敦子 福岡地方検察庁小倉支部
被 告 男性職員X 児童養護施設の元職員 
弁護士 水波知也 平和通り法律事務所
起 訴 2019年10月11日午前10時 207号法廷
論告求刑 2019年11月5日午後1時30分 207号法廷
認 否 男性職員X及び弁護士は起訴事実を全て認めた
情状証人 男性職員Xの父親のみ
判決日時 2019年12月3日午後1時30分 207号法廷
判決主文 懲役8年 求刑懲役9年
収監先 佐賀県内の刑務所 判決は2019年12月に確定

被告の認否[編集]

福岡地方検察庁小倉支部の鯰越敦子検察官は、2019年10月11日、男性職員Xは勤務する児童養護施設に入所する男子児童らにタブレット端末で遊ばせる、旅行に連れて行くなどして親しくなったうえで、「自身の性欲を満たすため、嫌がる被害者に行為を要求していた」とし、わいせつな行為を長年続けていたと主張した。また諭旨免職後の2019年2月以降も、中学校近くの私道にXの自家用車を駐車して男子中学生に1回あたり数千円を提供して児童買春を続けていたとする、これら起訴状にある事実についてXは「間違いありません」と起訴事実を全面的に認めた。また、Xの担当弁護士も[脚注 3]、起訴内容を全部認めて争わないとしたうえで、次回の論告求刑で性犯罪加害者を対象とした臨床心理士の治療計画書を提出すること[脚注 4]及びXの父親を情状証人とすることを主張し、裁判所はこれを認めた[72][76][77]

論告求刑[編集]

福岡地方検察庁小倉支部の鯰越敦子検察官は、2019年11月5日、「犯行は自身の性的欲求を満たすためで指導員の立場を悪用している。被害者に与えた精神的苦痛も相当大きい」。「施設の職員が入所児童にわいせつ行為をしたということが、社会に与えた不安も大きい」と指摘し、懲役9年を求刑した。他方、男性職員Xの弁護士である平和通り法律事務所の水波知也弁護士は[脚注 3]、Xの父親からXに対する情状証言及び臨床心理士からX(性犯罪加害者)を対象とした治療計画の証言をさせたうえで[脚注 4]、Xは「反省している。」などと述べ執行猶予付きの判決を求め結審した[78][79]

判決の内容[編集]

福岡地方裁判所小倉支部の鈴嶋晋一裁判長は、2019年12月3日、男性職員Xは入所児童を指導・監督する立場にあったうえ、被害男子児童4名に慕われていた面もあったにも係わらず「児童指導員の立場を悪用して自らの性欲のはけ口として犯行に及んだものであり酌むべき点はない」と指摘した。その上で裁判長は、男性職員Xは「以前から同様の行為を繰り返しており常習性は明らか」、「職員から被害を受けた精神的苦痛は多大。(被害者の)将来への悪影響も懸念される」。「社会に与えた不安も無視できない。」などとし、Xに対して懲役8年(求刑懲役9年)の実刑判決を言い渡した[74][75][80][81]。なお、当該判決は2019年12月に確定し、Xは佐賀県内の刑務所に収監された[2][82][83]

提言・勧告[編集]

社会福祉審議会の「提言」[編集]

2019年11月、北九州市社会福祉審議会は下記の事由により、西田一市議会議員の母V及びその妹Wの解任を施設を運営する双葉会の理事会に求めるべきと北九州市役所に提言をした[2][20]

<提言の概要>

  • 施設長Wは、男性職員Xによる指導記録の不記載、勤務時間外の不用意な居残り等について労務管理できていなかった。
  • 施設長Wは、事件発覚前・後において夜警を強化しなかったことから、入所する男子児童間の性暴力が見過ごされていた。
  • 男性職員Xから虐待を受けていた一部の被害児童は、男子児童間の性暴力においては、加害者に転化していた。
  • 施設長Wは、事件発覚前・後において心理療法担当職員2名を欠員させ、入所児童に対する心のケアができていなかった。
  • 施設長Wは、男性職員Xによる事件について、男性職員Xの個人的な性的嗜好の問題と断じ、あたかも施設や理事会側も被害者であるとの誤った認識を持ち続けていた。
  • 施設を運営する法人の理事会においても、男性職員Xによる事件は、男性職員Xの個人的な問題と結論付け、当該事件の原因などについて、ほとんど議論しなかった。
  • 施設長V及びWは、日頃より高圧的な姿勢で職員に接していたことから、職員は施設長に何も言えない状態になっていた。
  • 施設を運営す双葉会の理事会は、適格性を欠いている施設長V及びWを放任するなど、内部統制システムが機能不全の状態に陥っていた。
  • 施設を運営する双葉会の理事会は、不祥事により退任した理事を再任させるなど、改革を目指す組織としてあり得ない法人運営をしていた。

弁護士会の「勧告」[編集]

第三者から「子どもの人権救済申立書」を受理していた福岡県弁護士会人権擁護委員会)は、2021年12月2日、双葉会を訪問し「人権救済勧告」を執行した[2][84][85]。このなかで福岡県弁護士会は、施設が児童福祉法などが定める最低限の技術的基準を遵守していなかったために、男性職員Xによる加害を防止できなかったとした。また、被害を拡大させたことは被害児童が有する「人格権」(憲法13条)、「子どもの成長発達権」(児童の権利に関する条約前文、6条、19条)や、「虐待から保護される権利」を侵害することとなるとした[2][86]

改善勧告[編集]

市役所の双葉会にに対する勧告[編集]

2019年6月より特別指導監査を続けていた北九州市役所子ども家庭局は、前述の社会福祉審議会の提言を受け、社会福祉法などの規定に基づき、施設の管理体制の見直しを求める「改善勧告」を2019年11月27日に行った。なお、その内容は、2019年12月26日までに法人が北九州市役所に提出する報告書の内容次第では、新たに双葉会に「業務停止命令」などの措置を講ずるとした厳しいものであった[4][21][87][88]

市役所の双葉会に対する指導内容[編集]

北九州市役所子ども家庭局は特別指導監査において双葉会に対し主に次の事項を指摘した[4][89]

  • 理事会体制を改め、児童福祉の専門知識や経験を有するなど、理事の資質が確保できるような人材配置を行いガバナンスの強化を図ること。
  • 不祥事等の問題が生じた場合、速やかに原因の究明や再発防止の審議を行い、十分な対策を講じるなど、形骸化しない議事の活発化・透明化を図ること。
  • 内部統制システムが機能しているかを客観的にチェック・モニタリングするために、➀外部の有識者を加えた「第三者委員会」などを設置すること、➁提案書や改善勧告で指摘した問題点や課題を再検証すること、➂適切な施設運営の再構築及び児童の処遇向上に向けた改善策を策定すること。

市役所の施設に対する指導内容[編集]

北九州市役所子ども家庭局は特別指導監査において当該児童養護施設に対し主に次の事項の指摘をした[4][89]

  • 児童養護施設の長の資格として必要とされる適格性の要件を満たす人材を配置し、施設の管理運営体制の再構築を図ること。
  • 施設の管理運営や再発防止が適正に実施されるよう、内部統制に係る体制・システムを構築すること。
  • 虐待やケアの質を高める研修等を定期的、計画的に行い、職員の処遇スキルと倫理意識の向上を図っていくこと。
  • 職員から児童への暴力、児童間の暴力、児童から職員への暴力の3種の暴力に包括的に対応する具体策を検証すること。

再発防止策[編集]

双葉会の防止策[編集]

施設を運営する双葉会は、北九州市役所の改善勧告を受け、次の対応策を実施した[2]

  • 理事長を含む3名の理事が退任し、児童福祉の専門知識や経験を有する新たな理事を新たに就任させた。
  • 施設長V及びWを2020年1月に解任し、適格性の要件を満たす人材を同年同月に新たに就任させた。
  • 今回の事件の「原因の究明」、「再発防止策の策定及び実施」を行い再発防止策の徹底を図った。
  • 「内部管理体制の基本方針」に沿った業務実施を徹底するようにした。
  • 職員の育成は法人の責務と位置づけ、研修体系等を明確にし、体系に従った研修を実施するようにした。
  • 施設内に職員を主体とした「安全・安心委員会」(仮称)を設置した。
  • 双葉会の理事会とは独立した立場から、双葉会が定めた「内部管理体制の基本方針」などに基づく経営が行われているか、履行状況に関するモニタリングを行う「第三者によるモニタリング委員会」を設置した。

施設の防止策[編集]

施設は北九州市役所の改善勧告を受け、次の対応策を実施した[2]

  • 入所児童への性教育の実施。
  • 「権利ノート」を利用した人権教育の実施。
  • 「意見箱」の設置。
  • 児童相談所作成の「24時間子ども相談ホットライン」カードの配付。
  • 施設職員への性暴力防止研修の実施。
  • 施設職員への「報連相」の周知。
  • 「性暴力等の対応マニュアル」の作成及び研修の実施。
  • 被害児童・加害児童について新たに「自立支援計画」の策定。
  • 施設の安全点検の実施。
  • 児童自治会活動の活性化。

市役所の防止策[編集]

福岡県北九州市内にある児童養護施設7ヶ所の入所児童から本音を引き出し、保護などにつなげる「アドボケイト(代弁者)[脚注 1]」を配置した。アドボケイトは虐待などを受けても第三者に打ち明けづらい立場にある子どもの意思表明を支援するのが役割である。具体的には心理士などの資格を持つ相談員3名を福岡県北九州市にある「子ども・若者応援センターYELL(エール)」に配置し、2020年度より同市内に7ヶ所ある児童養護施設を毎月1回ずつ巡回している[59][60]

出典・注釈[編集]

出典[編集]

  1. 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1.6 平成30年度決算特別委員会 第2分科会不議事件 9月20日第1委員会室議事録. 北九州市議会事務局. (2019年9月) 
  2. 2.00 2.01 2.02 2.03 2.04 2.05 2.06 2.07 2.08 2.09 2.10 2.11 2.12 2.13 2.14 2.15 2.16 2.17 2.18 2.19 2.20 2.21 2.22 2.23 「勧告書」. 福岡県弁護士会. (2021-12-2). pp. 1,4-6,12-13,18 
  3. 3.0 3.1 3.2 3.3 3.4 “養護施設指導員が平手打ち、園児が入院 - 北九州市、施設を行政指導”. 毎日新聞. (2000年8月31日) 
  4. 4.00 4.01 4.02 4.03 4.04 4.05 4.06 4.07 4.08 4.09 4.10 令和元年度 児童養護施設に係る社会福祉法人に対する特別監査の結果(改善勧告). 北九州市子ども家庭局. (2019-11-27). pp. 1-6 
  5. 5.0 5.1 5.2 5.3 5.4 5.5 北九州市議、個人口座に法人収入 13年で1600万円 資産報告不記載”. 西日本新聞me. 2022年12月5日閲覧。
  6. 6.0 6.1 6.2 6.3 6.4 “児童養護施設 相次ぐ性犯罪”. 西日本新聞. (2019年6月18日) 
  7. “淫行させた疑い 元施設職員逮捕 福岡県警 入所の中学生に”. 朝日新聞. (2019年6月18日) 
  8. 「淫行させた疑い、元施設職員逮捕 入所の中学生に 福岡県警」『朝日新聞』、2019年6月18日。
  9. 9.0 9.1 9.2 “入所男児にわいせつ容疑 北九州 元施設職員を再逮捕”. 朝日新聞. (2019年7月9日) 
  10. 10.0 10.1 10.2 “「一日里親」男児にわいせつ容疑 福岡 自宅に泊まらせ 元施設職員を逮捕”. 毎日新聞. (2019年7月9日) 
  11. 11.0 11.1 11.2 11.3 “元施設職員を再逮捕 わいせつ行為をさせ生徒を撮影容疑”. 朝日新聞. (2019年7月30日) 
  12. 児童にわいせつ行為させ撮影容疑 養護施設元職員を逮捕”. 朝日新聞デジタル. 2022年8月5日閲覧。
  13. 13.0 13.1 『告訴状』(福岡県警は即日正式受理2023年3月までに書類送検した)、2022年11月16日。
  14. 14.0 14.1 14.2 『決定書』福岡簡易裁判所、2023年4月17日。
  15. 15.0 15.1 15.2 “養護施設 別の職員も不祥事 北九州わいせつ 2年前 生徒と交際”. 西日本新聞. (2019年6月19日) 
  16. “養護施設わいせつ 他職員の虐待も確認 北九州市 管理体制の改善勧告”. 西日本新聞. (2019年11月28日) 
  17. 「児童体罰で北九州市 双葉学園を行政指導」『西日本新聞』、2000年8月31日。
  18. 「体罰受け、小4入院 北九州・小倉南区の養護施設」『朝日新聞』、2000年6月30日。
  19. 「養護施設職員が体罰、小4男児が入院 反抗され、顔たたく--北九州・小倉」『毎日新聞』、2000年6月30日。
  20. 20.0 20.1 20.2 20.3 20.4 「提言書」(被措置児童虐待に関する調査審議). 北九州市社会福祉審議会 児童福祉専門分科会審査部会. (2019-11-26). pp. 1-4 
  21. 21.0 21.1 21.2 21.3 “北九州市 改善勧告 児童養護施設運営 理事会正常化など”. 毎日新聞. (2019年11月28日) 
  22. 22.0 22.1 『子どもの人権救済申立書』福岡県弁護士会申立分、2019年9月17日、6-8頁。
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  24. 24.0 24.1 西田一市議会議員オフィシャルサイト”. 西田一. 2023年2月10日閲覧。
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  27. 補助金3千万円を不正受給 市議が元理事の社会福祉法人”. 朝日新聞デジタル. 2022年9月6日閲覧。
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  29. 「猶予2年「軽過ぎ」、一審破棄し「5年」 北九州・投票偽造で高裁」『朝日新聞』、2013年10月16日。
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  80. 『判決書(事件番号:令和元年第1991号)』福岡地方裁判所小倉支部、 エラー: year に「年」の漢字は付けないでください。月や日まで含める場合や「年」の漢字を付ける必要のある場合は year を使用せず date に記入してください。
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  82. 『確定証明書(事件番号:令和元年第1991号)』福岡地方裁判所小倉支部第2刑事部合議係 大石哲也書記官、2019年12月28日。
  83. 『通知書(様式第9号の1)』福岡地方検察庁執行係、2022年4月27日。
  84. “児童施設性犯罪 信頼を悪用 北九州の法人に虐待防止勧告 県弁護士会”. 西日本新聞. (2021年12月3日) 
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  87. “児童虐待など判明 親族を重視の理事会 北九州市が改善勧告”. 朝日新聞. (2019年11月28日) 
  88. 北九州市、児童養護施設運営の改善勧告 理事会正常化など /福岡”. 毎日新聞. 2022年8月26日閲覧。
  89. 89.0 89.1 特別指導監査結果”. 北九州市役所子ども家庭局. 2022年12月1日閲覧。

注釈[編集]

  1. 1.0 1.1 「代弁」や「養護」を意味する「アドボカシー」の担い手。子ども、障害者や高齢者など、自分の意思を表示するのが難しい人を手助けする。子どもの意思表明権を保障する「マイク」とも例えられ、先進国では英国やカナダで導入されている。
  2. ユニットケア・グループホーム等の別は、児童養護施設#分類を参照のこと。
  3. 3.0 3.1 Xが逮捕された2019年6月当時はベリーベスト法律事務所の稲葉清二弁護士が就いていたが、裁判前までには当該弁護士は解任され、平和通り法律事務所の水波知也弁護士(当時30歳・九州大学卒・登録番号55778)が就いた。
  4. 4.0 4.1 NPO法人性犯罪加害者の処遇制度を考える会が運営する「性障害専門医療センター」(SOMEC)が,裁判中の性犯罪加害者が,円滑に社会復帰をして再犯を起こさないことを目的として提供しているサポートプログラム(意見書・精神鑑定書・治療計画書の作成など)を利用していた。なお,意見書の作成には少なくとも200,000万円が必要である。

参考文献[編集]

職員Xの刑事裁判[編集]

  • 判決書(事件番号:令和元年第1991号)福岡地方裁判所小倉支部第2刑事部合議係 鈴嶋晋一裁判長
  • 起訴状(事件番号:令和元年第1991号)福岡地方検察庁小倉支部鯰越敦子検察官
  • 令和元年12月28日付け確定証明書(事件番号:令和元年第1991号)福岡地方裁判所小倉支部第2刑事部合議係 大石哲也書記官

元入所児童Aの祖母の民事裁判[編集]

  • 答弁書(事件番号:令和4年(ワ)第687号)六本松中央法律事務所

元入所児童Aの姉の民事裁判[編集]

  • 決定書(事件番号:令和5年(ト)第09号)福岡簡易裁判所 山中金雄裁判官
  • 決定書(事件番号:令和5年(ト)第24号)福岡簡易裁判所 山中金雄裁判官

元入所児童Aの民事裁判[編集]

  • 決定書(事件番号:令和5年(ト)第02号)小倉簡易裁判所 清山智生裁判官

関連項目[編集]

双葉会関係[編集]

児童虐待事件[編集]

その他[編集]

外部リンク[編集]

双葉会関係[編集]

政府系・国際機関[編集]

その他[編集]


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