篠栗男児餓死事件

Lua エラー package.lua 内、80 行目: module 'Module:Message box/configuration' not found Lua エラー package.lua 内、80 行目: module 'Module:Message box/configuration' not found 篠栗男児餓死事件（ささぐりだんじがしじけん）とは、2021年（令和3年）3月に福岡県篠栗町にて発覚した児童虐待事件。

概要[編集]

2020年4月18日、福岡県篠栗町に暮らしていた当時5歳の男児が餓死した。死亡当時男児の体重は10キロ程度しかなく、死亡前の10日間は水だけしか与えていなかった^[1]^[2]。

2021年3月、福岡県警察は男児の母親 I（当時39歳）とIの友人 A（当時48歳）を保護責任者遺棄致死容疑により逮捕^[1]^[2]。Aは2020年12月にも詐欺容疑で逮捕されていた^[2]。

AはIにマインドコントロールを行い、長期に渡り多額の金銭を搾取し、虐待を行い、I家を管理していた^[2]^[3]。

IとAの異常な関係[編集]

Iは一軒家に住む主婦であり、3人の息子がおり、男児は三男だった^[4]^[5]。2016年4月、IとAは福岡県内の子供が同じ幼稚園に通う縁で知り合った^[6]。知り合いが少なかったAにIが「ママ友」のグループに誘った^[6]^[7]。 Aはママ友らには偽名を名乗っており、「虚言癖のクレーマー」としてママ界隈ではかなり有名で、一度見たら忘れられない容姿で、化粧もせずに目立っており、34歳と10歳年齢詐称していた^[5]^[8]。また、年上であることを理由に学校の雑務を押し付けるたり、態度が横柄で、言葉遣いも汚かったとされている^[5]。2018年5月頃から、Aは「悪口を言われているよ」などとIに嘘を言い、Iに他のママ友と顔を合わせても挨拶をせずに逃げたりさせるなど、Iと他の友人たちを疎遠にさせた上に、Iに対して「ママ友があなたの悪口を言っている」「あなたの夫が浮気している」「信用しているのは私だけ」などと口説き、マインドコントロールを行った^[2]^[3]。県警はIの元夫が浮気をした事実はないことを確認している^[9]。

2019年5月、Iは夫と離婚し、3人の息子を連れて福岡県篠栗町のアパートに転居し、10月に生活保護や児童扶養手当を受給し始め、11月にはI家は篠栗町や児童相談所の協議会の支援対象となる^[2]^[3]。Aは「浮気調査費用」や「裁判費用」などと言い、Iから多額の金銭を騙し取った上に、「（元夫との）裁判で勝つためには質素な暮らしをしないといけない」とIに話し、子供達に過酷な食事制限を指示し、「Iの男児が他の子に砂を投げて訴訟になる」「私が間に入って示談してあげる」「この問題のバックにはヤクザがいて話をまとめてもらう」などと次々に架空のトラブルをでっち上げてIを脅し、I家に入ってくる生活費、生活保護費、児童手当、児童扶養手当など、I家に入る毎月の平均25万円や貯金などを全て騙し取る形で1000万円以上を搾取し、口座に振り込まれた現金をATMで引き出させて受け取り、その後、AはIの預金通帳を預かるようになった^[6]^[3]^[10]^[11]。またAは生活費などだけではなく、フリーマーケットアプリや消費者金融においてもIに金銭を工面させていた^[12]。AはIから搾取した金銭を、家族旅行、パチンコなどの遊興費、ブランド品購入に使っていた^[13]。更にAはI家の食事量を管理しており、I家への支出を抑えるためにI家に僅かな食事を運んでいた^[6]^[3]^[10]^[11]。Iは知人に毎日1週間ほど合計で数百件、金を無心する電話を度々かけていたが、Iの知人によると、Iは元々他人に泣きつくような人間ではなかったという^[3]。また、Iはほんわかした雰囲気で、根が優しくていい人であるが、流されやすい部分もあり、詳しくないのに勧められた絵画を買い、夫に怒られたこともあったという^[5]。IはAを「トラブルを解決してくれる友人」として頼り、「監視されていると信じ、食べ物が与えられないのが怖くて言うことを聞いてしまった。その日を生きることで精一杯だった」と供述^[14]。

I家は困窮を極め、電気やガスといったライフラインまで止められており、ネット回線も止められ、近所のコンビニへ行って無料Wi-Fiを繋げて使用していた^[12]。しかしAはIから金銭を騙し取り続けている代わりに僅かな米、パン、菓子を差し入れるだけであった。I家は米をお粥状にして食べるなどして飢えを凌いでおり、I家はAが時折差し入れるなど僅かな食料を分け合ったが、三男の男児には10日間水しか与えられないこともあった^[3]^[15]。更にAは「言いつけを守れない子には食事を与えるな。監視カメラ10数台で見張っている。」などと脅し、制限をかけていた^[3]。Aは事件と無関係のママ友を「ボス」と呼び、「ボスが監視カメラで見張っている。怒らせたらいけないので質素な生活をするように」と嘘を言ってIを従わせていた^[14]。

2020年3月、I家は家賃滞納により事件現場のマンションに転居し、家賃滞納による強制退居により、臨時の引っ越し費用など約230万円の公的扶助を受給^[2]^[15]。その後、約一ヶ月後の4月18日に三男の男児が死亡し、事後払いの葬儀代約20万円を含む50万円以上が公的扶助として支給された^[15]。男児の死後もAはIから生活費を搾取し、搾取された生活費には公的扶助の男児の葬儀代約20万円が含まれていた^[15]。捜査関係者によると、Iが県警の任意聴取を受けた後、捜査を気にしたAが証拠隠滅を図るため、Aが指示した上で携帯電話を破壊し、更にAはIに「警察に元夫の浮気（Aのでっち上げた嘘）については話すな」「（男児の）葬儀に親族を呼ぶな」と指示し、Iの生活が困窮した理由については、「金銭は（I自身が）パチンコで使った」と警察に言うように指示していた^[9]^[16]。前述の通り、県警はIの元夫が浮気をした事実はないことを確認している^[9]。また、男児の死後、AはIに別の携帯電話で毎朝「おはよう」と自分にメッセージを送るように指示。AはIに「あなたは母親だから逮捕される」と脅し、「毎朝メッセージを送る理由は、Iが警察に逮捕されたかを知るため」だとIに説明したという^[9]。事件後もIから金銭を騙し取っていたAは、2020年9月、篠栗町にある月6万5000円のオートロックの3LDKマンションに夫と3人の子供と引っ越した。Aは無職の一方、夫は定職に就いていたが、それほど高収入ではないと報道^[12]された。

男児への虐待[編集]

男児は虐待のストレスにより、臓器の一部が委縮していたことが捜査関係者への取材でわかっており、これは日常的に食べ物を与えられないなど強いストレスを受けた子供にみられる特徴とされている^[3]。AはIに対して食事を差し入れている際、兄弟ごとに食べさせる量を変えるように指示しており、長男には米を茶わんいっぱいにさせ、次男には少し減らさせ、三男の男児には長男の半分にするなどしたり、三男の男児には約10日間何も食べさせられず水しか飲んでいない時もあった^[3]^[15]^[17]。また「子供が太っていたら療育費が取れない。監視カメラで見張ってる」「監視カメラでボスが見ているため厳しくしつけないといけない」と称して食事の制限を厳命していたり、「留守番の練習」として男児を自宅の部屋で1人させ、無断で外に出たり食べ物を口にしたりすると、食事を与えず、押し入れに閉じ込めたり、叩くなどの虐待も行っていた^[6]^[14]^[18]。男児は幼稚園にて「昨日はたくさんご飯が食べられたよ」と話し、食べ物の絵を描いたりしていた^[4]。2019年11月に幼稚園を休み始め、その後退園^[2]。男児の死亡前、男児に歩行困難などの異変が起きていたにも関わらず、Aは「仮病」「寝れば治る」などとIに言い、適切な対応をしていなかった。男児が死亡した当日も、男児が搬送される数時間前にAは「大丈夫、大丈夫」などとIに言い、Iの家をあとにしていた^[19]。起訴状によると、男児が亡くなってからも詐取は続いたとされており、2020年6月に県警から任意の取り調べを受けたことで、Iはトラブルが全て架空だったことを知ったという^[6]。男児は小学生の兄2人と仲が良く、亡くなる少し前には母親のIを気遣うような言葉を口にしたこともあったと言う^[4]。

Aによる精神的支配[編集]

AはIを精神的にも支配していた。Iの自宅内に監視カメラを設置してAとIの共通の知人が見張っているという嘘を信じ込ませていた^[18]また共通の友人に暴力団が関わっているように装っていた^[20]。またAの指示をIが守らなかった場合、Iを屋外に長時間立たせたり、睡眠を取らせなかったりする体罰を与えてたとされる^[14]。

新興宗教の信者だったA[編集]

Aは新興宗教の信者であり、Iを勧誘し、入信させ、ママ友としての主従関係に、信者としての上下関係が加わっていた^[21]。

警察と児童相談所の対応[編集]

この事件に関して、福岡県警は主だった行動は行わなかった^[3]。警察がようやく動いたのは男児の死後であって、男児の死亡時の体重が平均値の半分の10kgほどしかないなど不審な点があったことから捜査に着手^[15]。児童相談所は2019年9月に幼稚園から「児童の元気がなく体重が減っている」と通報を受け、町などが16回に渡って家庭訪問を実施したが、男児に会えたのはたったの5回のみで、その際、Aによる妨害に面していた^[2]^[3]。更に、男児が死亡する1ヶ月前、Iの親族から児童相談所に男児を心配する相談があったが、これに対し、児童相談所は現地確認に行っていなかった^[16]。後の取材にて、記者の「痩せていなかったかどうか」という質問に対し、児童相談所の担当者は「捜査の都合で言えない」と回答^[3]。

Aの半生を知る関係者の発言[編集]

^[8]

Aは篠栗町から約50キロ離れた福岡県大川市で生まれ育った。家族は兄と姉がいる3人兄弟の5人家族。近所で知らない人はいないというほどの有名な家族で、近隣城民は「あの一家を良く思っている人は少ない」と語っている。Aの両親は、近所の従業員30人ほどの木工所で20年働いており、父親は工場長だったが、工場が突然倒産し、働き口が無くなり、両親は新聞配達の稼ぎだけになり、次第に生活に困るようになった上に、Aが結婚したため結婚式にも金がかかったとされている^[22]。2021年から20年前に、Aの両親が近隣住民と金銭トラブルを起こし、両親が近所の人たちに借金を電話で頼み、何人もの近隣住民から全部で数百万円ほど借りたが、ほとんどの人に返済することなく、Aの母方の祖父母だけ残して一家で夜逃げをした。近隣住民によると、Aの母方の祖父母時代から「うちは見張られていてる」「盗聴器が仕掛けられているから外すのに金がかかる」という理由で、A家が何度も借金を申し込んできたとされている^[22]。地元の小中学校に通っていた恵美子は当時からかなり目立った存在で、Aは小学生時から大柄で、明るい性格で、人気者だったというが、高価な物を買ってもらうことをしきりに周囲に自慢していたとされており、とにかく注目を浴びてクラスの中で上位になり、マウントを取るのが好きだったと当時の関係者は語っている。長い物には巻かれる性格で、相手を見て態度を変えていた。「イケイケな子たち」には媚びる一方、自分より立場が低いと思っている子に「パンを買ってこい」とパシリにしていたこともあった。中学卒業後は、中学の同級生があまり進学しない大川市外の高校へ進学し、高校入学と同時に中学の同級生への連絡も一切なくなった。Aは高校では素行が荒れており、アルバイト禁止だったのにもかかわらず飲食店でアルバイトをしていたが、高校の友人に知られて通告されてしまい、それを逆恨みしてその生徒をいじめていた。20代になってからは突然地元でスナックのママを始めたが、2、3年すると急にスナックを辞め、祖父母を残して夜逃げし、音信不通になった。その後、Aは大分で結婚し、子供を産んだが、借金を作って逃げてすぐに離婚した。Aの元実家周辺でも、AやAの家族に20-30万円を貸したが、返してもらっていないという証言が多数出ており、ある証言者からは300万円の借金が未返済という証言も出ている^[22]。2008年に公証役場で作成された証書には、Aが債務者となり、平成18年5月から平成19年6月までの間8回にわたり借り受けた金銭の合計は340万5000円と記されている^[22]。

出典[編集]

↑ ^1.0 ^1.1 5歳男児餓死　10日連続、水のみ　母は知人女性に1000万円超渡す-毎日新聞 2021年3月3日11時46分公開、同日閲覧。
↑ ^2.0 ^2.1 ^2.2 ^2.3 ^2.4 ^2.5 ^2.6 ^2.7 ^2.8 “「幸せな一家なぜ」篠栗町5歳児餓死母から借金申し込まれた人も” (日本語). 西日本新聞ニュース. 2021年3月5日閲覧。
↑ ^3.00 ^3.01 ^3.02 ^3.03 ^3.04 ^3.05 ^3.06 ^3.07 ^3.08 ^3.09 ^3.10 ^3.11 ^3.12 １０００万円“詐取”も　５歳児餓死　母親を“ママ友”が洗脳か　福岡・篠栗町-テレビ西日本 2021年3月3日19時45分配信、同日閲覧。
↑ ^4.0 ^4.1 ^4.2 “「昨日はご飯食べられたよ」死亡の5歳、幼稚園で食べ物描き” (日本語). 西日本新聞ニュース. 2021年3月5日閲覧。
↑ ^5.0 ^5.1 ^5.2 ^5.3 「文春オンライン」特集班. “「Aユウナ、34歳です」福岡5歳児餓死逮捕の“虚言大女”は周囲に偽名、10歳年齢詐称も”. 文春オンライン. 2021年3月7日閲覧。
↑ ^6.0 ^6.1 ^6.2 ^6.3 ^6.4 ^6.5 “母の知人女、暴力団と関係装う篠栗･男児餓死” (日本語). 西日本新聞ニュース. 2021年3月5日閲覧。
↑ 5歳児”餓死”母親ら2人逮捕　異様な「ママ友」関係　福岡・篠栗町-Yahooニュース(RKB毎日放送) 2021年3月2日14時59分配信、3月3日閲覧。
↑ ^8.0 ^8.1 “《20代はスナックの名物ママ》福岡5歳児餓死 A容疑者の夜逃げ人生「えーしゃんは“盛り上げ隊長”だった」” (日本語). 文春オンライン. 2021年3月7日閲覧。
↑ ^9.0 ^9.1 ^9.2 ^9.3 “餓死した男児の母、聴取後に携帯を壊す「知人の指示」” (日本語). 朝日新聞デジタル. 2021年3月5日閲覧。
↑ ^10.0 ^10.1 “"ママ友”「バックにヤクザ」母親にも罰か５歳児餓死事件福岡・篠栗町” (日本語). TNCテレビ西日本. 2021年3月4日閲覧。
↑ ^11.0 ^11.1 日本放送協会. “5歳児餓死事件逮捕の知人の女毎月25万円余を搾取か”. NHKニュース. 2021年3月6日閲覧。
↑ ^12.0 ^12.1 ^12.2 “＜福岡5歳児“餓死”事件＞ママ友・A容疑者、I容疑者の長男・次男にも「虐待」か” (日本語). 週刊女性PRIME. 2021年3月7日閲覧。
↑ “福岡・篠栗５歳児餓死事件知人の女搾取した約１２００万円は家族旅行・パチンコなど遊興費に” (日本語). news9612ac8fddgu5m9y9i.html. 2021年3月7日閲覧。
↑ ^14.0 ^14.1 ^14.2 ^14.3 「子どもに笑いかけるな」母にも体罰　篠栗・5歳餓死-西日本新聞 2021年3月4日14時00分更新、同日閲覧。
↑ ^15.0 ^15.1 ^15.2 ^15.3 ^15.4 ^15.5 “ママ友、母から男児の葬儀代も搾取か福岡5歳児餓死” (日本語). 毎日新聞. 2021年3月5日閲覧。
↑ ^16.0 ^16.1 “福岡・男児餓死親族相談も児相として安否確認せず” (日本語). news96p196zagvlshbpay7.html. 2021年3月7日閲覧。
↑ 5歳男児餓死事件知人の女の指示で10日間何も食べない時も-NHKニュース、2021年3月3日18時45分配信、同日閲覧。
↑ ^18.0 ^18.1 「子供が太ってたら養育費取れない」5歳男児餓死　その裏に“ママ友”の精神的支配…嘘を吹き込み“食”も管理-FNNニュース 2021年3月3日19時46分更新、3月4日閲覧。
↑ 日本テレビ放送網株式会社. “篠栗町で５歳児餓死男児の歩行困難に「仮病」｜NNNニュース” (日本語). 日テレNEWS24. 2021年3月13日閲覧。
↑ 母の知人女、暴力団と関係装う　篠栗･男児餓死-西日本新聞 2021年3月4日18時00分公開、同日閲覧。
↑ “福岡5歳児餓死、“ママ友”が“母親”を創価学会に勧誘宗教上の“上下関係”も影響か” (日本語). デイリー新潮. 2021年3月13日閲覧。
↑ ^22.0 ^22.1 ^22.2 ^22.3 “＜福岡5歳児餓死事件＞A容疑者に300万円踏み倒された人物が“借用書”を手に怒りの告発！” (日本語). 週刊女性PRIME. 2021年3月13日閲覧。