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新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安

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概要[編集]

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の可能性のあるものが各都道府県の帰国者・接触者相談センターに相談するための目安について定められている。

相談目安[編集]

2020年2月17日版[編集]

健康な小児・成人の場合、次のいずれかに該当する場合を相談目安[1]としている。

  • 風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続く者
  • 強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある者

上記の例外として次に該当する者は連続2日以上を相談目安としている。

  • 高齢者
  • 糖尿病、心不全、呼吸器疾患(COPD)など基礎疾患や透析治療を受けている者
  • 免疫抑制剤や抗がん剤治療を用いている者
  • 妊婦

2020年5月8日版[編集]

以下のいずれかに該当する場合にはすぐに相談することを求め、さらに「これらに該当しない場合の相談も可能です。」とする。補足説明として「症状が4日以上続く場合は必ずご相談ください。症状には個人差がありますので、強い症状と思う場合にはすぐに相談してください。解熱剤などを飲み続けなければならない方も同様です。」と書かれている[2]

  • 息苦しさ(呼吸困難)、強いだるさ(倦怠感)、高熱等の強い症状のいずれかがある場合
  • 重症化しやすい方(※)で、発熱や咳などの比較的軽い風邪の症状がある場合
(※)高齢者、糖尿病、心不全、呼吸器疾患(COPD等)等の基礎疾患がある方や透析を受けている方、免疫抑制剤や抗がん剤等を用いている方
  • 上記以外の方で発熱や咳など比較的軽い風邪の症状が続く場合

行政検査[編集]

Lua エラー package.lua 内、80 行目: module 'Module:Message box/configuration' not found 行政検査については「目安」とは別に各都道府県保健所設置市特別区衛生主管部(局)に対して事務連絡「新型コロナウイルス感染症に関する行政検査について(依頼)」[3]と事務連絡「新型コロナウイルス感染症に関する行政検査について」[4]が出されている。

帰国者・接触者相談センターへ相談を行い、相当と認められた者は、季節性インフルエンザ検査および、その他の一般的な呼吸器感染症の病原体の検査を行い、陰性となった場合、新型コロナウイルス感染症のPCR検査実施につき保健所へ相談を行う[5]

厚生労働省が示す行政検査指針[3]は次の通り[6]

  • 発熱(37.5度)以上または呼吸器症状を有し、確定者との濃厚接触歴のある者
  • 発熱(37.5度)以上かつ呼吸器症状を有し、過去2週間以内に海外流行地域に渡航もしくは居住していた者 あるいはその者と濃厚接触歴のある者
  • 発熱(37.5度)以上かつ呼吸器症状を有し、入院を要する肺炎が疑われる者
  • 医師が総合的に判断し、新型コロナウイルス感染症が疑われる場合

経緯[編集]

新型コロナウイルス感染症対策専門家会議で「通常の風邪やインフルエンザは発熱が平均3日~4日で回復することに対し、新型コロナウイルス感染症ではさらに長く続く」と指摘されたことを受け、相談・検査の指針を4日以上に設定[7]

専門家会議 尾身茂副座長は「『4日間は自宅で経過観察』というのは、PCR検査のキャパシティーとのバランスを現実的に考えたから」としている[8]

2020年2月16日 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議 第1回の厚生労働省提出資料に受診目安は風邪の症状が長く続く場合(3日~4日)と記載がある。この素案の段階においては強いだるさ(倦怠感)、〇度以上の発熱、息苦しさ(呼吸困難)がある場合は4日を待たずに相談とされていた[9]

2020年2月17日 厚生労働省が「新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安」を公表[10]

同日、厚生労働省が保健所を管轄する地方公共団体あてに「新型コロナウイルス感染症に関する行政検査について(依頼)」を発した[3]

2020年2月18日 NHKが「新型コロナウイルス 相談先のお知らせ」と題した広報を開始[11]

2020年2月24日 専門家会議が『新型コロナウイルス感染症対策の基本方針の具体化に向けた見解』[12]を公表。PCR検査が新型コロナウイルスを検出できる唯一の検査法であり、必要とされる場合に適切に行われる必要があるとした。感染症予防政策の観点からすべての人にPCR検査を行うことは有効ではなく、また、設備や人員リソースからも実現不可能としている。今後の急激な感染拡大に備え、限られたPCR検査の資源を重症のおそれがある者の検査に集中させる必要があると主張している。迅速診断キット(簡易検査キット)については開発中であるとの記述にとどまった。

2020年2月27日、厚生労働省が保健所を管轄する地方公共団体あてに「新型コロナウイルス感染症に関する行政検査について」を発し、「新型コロナウイルス感染症に関する行政検査について(依頼)」(令和2年2月17 日厚生労働省健康局結核感染症課事務連絡)を廃止した[4]

2020年3月22日に厚生労働省は「2条件がそろわないと相談できない」という誤った受け止め方をされている可能性があるとして「いずれか」であることを確認する文書を発表した[13]

2020年5月6日、厚生労働省が「37.5度以上の発熱が4日以上続く」を削除し、「息苦しさや強いだるさがあればすぐに相談する」ように明記する相談目安の見直しを行っていることが報道された[14]

2020年5月8日、厚生労働省は「新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安」の改定を発表した[15]

妥当性[編集]

3日までの発熱はほかの感染症でも見られるのに対し、4日以上持続する発熱は鑑別できる発熱性疾患が限定され[16][17]、肺炎への進行は発症から5日~7日かかることから、4日の有症状期間を設定することに妥当性がある[18]

また、検査希望者の殺到による濃厚接触や院内感染のリスク、個人防護具(PPE)の消耗や人員配置といった医療リソースの観点からも妥当性が認められる[19]。 そのほか、PCR検査の感度が70%程度にとどまる[20]ことから、偽陰性となった感染者が自宅療養を続けず、職場や市中で感染を広める可能性がある[19][21]ことからも検査の制限は妥当とされる。

日本感染症学会、日本環境感染学会も軽症例へのPCR検査を非推奨とし、「入院治療の必要な肺炎患者で、ウイルス性肺炎を強く疑う症例」に限定すべきだとしている[22][23]

問題点[編集]

新型コロナウイルス感染症に対しても効果が期待される抗インフルエンザ薬アビガンは早期の投与が有効であり、4日間の待機によって治療機会を逸する可能性がある。[24]

「発熱4日以上もしくは感染を疑う行動歴」といった粗い網による、見逃しを前提としたPCR検査体制である。[25]

また、放射線治療を受けた者に対して、医師が4日~5日の自宅療養を要請し、期間中に容体急変、死亡するケースも出てきている。[26][27]ただし、放射線治療による免疫力低下については、日本乳癌学会理事長や日本放射線腫瘍学会が否定している。[28][29]

WHO事務局長・上級顧問を務める渋谷健司教授は、「感染症対策の一番の基本は“検査”と“隔離”であり、検査をしない国はない」「日本は検査を絞ったことで経路を追えない市中感染が増え、院内感染により医療危機を迎えている」「検査をして医療崩壊が起こったのではなく、むしろ、検査をしなかったことにより院内感染が広まり、医療崩壊が起こっている」と指摘[30]している。

文書の趣旨[編集]

  • 加藤勝信厚生労働大臣は2020年4月29日の参議院予算委員会集中審議で37.5度以上4日間は受診の目安であり検査の要件ではない旨表明した[31]
  • 加藤勝信厚生労働大臣は2020年5月8日の記者会見において「受診の目安が基準のように誤解された」という趣旨の発言を行った[32]

脚注[編集]

  1. 1.0 1.1 新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安について”. 厚生労働省健康局結核感染症課 (2020年2月17日). 2020年4月23日閲覧。
  2. 新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安” (2020年5月8日). 2020年5月15日閲覧。
  3. 3.0 3.1 3.2 3.3 新型コロナウイルス感染症に関する行政検査について(依頼)”. 厚生労働省健康局結核感染症課 (2020年2月17日). 2020年4月23日閲覧。
  4. 4.0 4.1 4.2 新型コロナウイルス感染症に関する行政検査について”. 厚生労働省健康局結核感染症課 (2020年2月27日). 2020年5月15日閲覧。
  5. 留意点として、2020年2月17日版では「結果判明までに時間がかかる培養検査などについては、当該検査結果を待つ必要はないこと」、2020年2月27日版では「結果判明までに時間がかかる培養検査などについては、当該検査と並行してPCR検査を行うこと」と記載されている。
  6. 2020年2月17日版[3]では「症状や新型コロナウイルス感染症患者の接触歴の有無など医師が総合的に判断した結果、新型コロナウイルス感染症と疑う者」とあった個所が2020年2月27日版[4]では「医師が総合的に判断した結果、新型コロナウイルス感染症を疑う」と変更されている。ただし、この記述の引用元である「<参考>」は変更されていない
  7. 「37.5度以上の発熱4日以上」なら新型コロナ相談を、厚労省”. 医療維新 (2020年2月17日). 2020年4月23日閲覧。
  8. 羽鳥アナ 厚労省「37・5度4日間」根拠に「キャパシティーの問題だったんだっていうことにオーッと」”. Sponichi Annex (2020年3月11日). 2020年4月24日閲覧。
  9. 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議(第1回)”. 内閣官房 (2020年2月16日). 2020年4月24日閲覧。
  10. 発熱4日以上は電話を 厚労省、新型肺炎の相談目安公表”. 日本経済新聞社 (2020年2月17日). 2020年4月23日閲覧。
  11. NHK 番組表 | 新型コロナウイルス 相談先のお知らせ |【キャスター】上原光紀”. NHK. 2020年4月23日閲覧。
  12. 新型コロナウイルス感染症対策の基本方針の具体化に向けた見解”. 厚生労働省 (2020年2月24日). 2020年4月24日閲覧。
  13. 新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安について”. 厚生労働省 (2020年3月22日). 2020年5月11日閲覧。
  14. PCR検査、相談目安見直しへ 「37.5度以上」基準を削除”. 日本経済新聞. 日本経済新聞社 (2020年5月6日). 2020年5月8日閲覧。
  15. 新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安について”. 厚生労働省 (2020年5月8日). 2020年5月10日閲覧。
  16. Q&A Vol.119 発熱4日のルールとは”. 日本離床学会. 2020年5月15日閲覧。
  17. 緊急寄稿(1)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のウイルス学的特徴と感染様式の考察(白木公康)”. 日本医事新報社 (2020年3月18日). 2020年4月23日閲覧。
  18. 【識者の眼】「新型コロナウイルス感染症:軽症者の早期受診を推奨すべきでない」山本啓央”. 日本医事新報社 (2020年3月14日). 2020年4月23日閲覧。
  19. 19.0 19.1 【識者の眼】「新型コロナウイルス感染症:軽症者に外来でPCR検査を行ってはいけない理由」川口篤也”. 日本医事新報社 (2020年3月2日). 2020年4月23日閲覧。
  20. 新型コロナ検査、どれくらい正確? 感度と特異度の意味”. 朝日新聞デジタル (2020年3月23日). 2020年4月23日閲覧。
  21. 楽天の検査キット販売に懸念 日医”. 時事通信社 (2020年4月22日). 2020年4月24日閲覧。
  22. 新型コロナウイルス感染症に対する臨床対応の考え方―医療現場の混乱を回避し、重症例を救命するためにー”. 日本感染症学会 (2020年4月2日). 2020年4月24日閲覧。
  23. PCR検査、軽症者に推奨せず―新型コロナ感染2学会「考え方」まとめる”. 時事通信社 (2020年4月17日). 2020年4月24日閲覧。
  24. 新型コロナ「発熱4日ルール」に根拠なし 「疑いあれば早期治療を」医師が具体策を提言”. AERA.com (2020年3月12日). 2020年4月23日閲覧。
  25. 「ウイルス戦争」に日本は“切り札”必要だ! 国民の命を脅かす感染症は国防の問題 医師・村中璃子氏が緊急寄稿”. zakzak by 夕刊フジ (2020年4月10日). 2020年4月23日閲覧。
  26. 弊社所属 岡江久美子に関するご報告”. 株式会社 スタップ・アップ (2020年4月23日). 2020年4月25日閲覧。
  27. 【おくやみ】岡江久美子さん死去 コロナ感染で入院中 63歳、俳優”. 東京新聞 (2020年4月24日). 2020年4月25日閲覧。
  28. 俳優の岡江久美子さんが肺炎で死去 63歳 新型コロナに感染”. NHKニュース (2020年4月23日). 2020年4月25日閲覧。
  29. 乳癌術後の放射線治療について -会員の皆様へのお願い-”. 公益社団法人 日本放射線腫瘍学会 (2020年4月24日). 2020年4月25日閲覧。
  30. PCR検査拡充急務もWHO上級顧問「日本は遅れた」”. テレビ朝日 (2020年4月17日). 2020年4月24日閲覧。
  31. [1]
  32. 家賃支援や大学生支援「対策講じるべく検討」 菅官房長官会見詳報”. 毎日新聞. 毎日新聞社 (2020年5月8日). 2020年5月11日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

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