ヨーゼフ・シゲティ

この項目では、インド・ヨーロッパ語族風に、名前を名姓順で表記していますが、ハンガリー語圏の慣習に従いシゲティ・ヨージェフと表記することもあります。（Template:ハンガリー人の姓名）

ヨーゼフ・シゲティ（Joseph Szigeti, 1892年 9月5日^[1] - 1973年 2月19日^[2]）は、オーストリア＝ハンガリー帝国出身のヴァイオリン奏者。^[3]^[4]

ブダペスト^[5]にてヨージェフ・シンガー(József Singer)^[6]として生まれる。父アドルフは、自らカフェのバンドを率いる音楽家だった。生後、程なくして母ドラが亡くなった為、ブダペストを引き払い、父方の祖母が住むマーラマロシゲトに預けられることとなった。その際に地名に合わせて、姓をシゲティ(Szigeti)に変更している。マーラマロシゲトでは、父のほか、親戚にパリやニューヨークでヴァイオリン奏者として活動していた叔父のデジェー、コントラバス奏者のベルナートなどがおり、幼少期より楽才を示したことから７歳を前に父や親戚に音楽の手ほどきを受けた。1903年から1905年までブダペストのハンガリー王立音楽院でイェネー・フバイにヴァイオリンを師事。1905年にはフバイの伝手により、ベルリンのベヒシュタイン・ホールでデビューを果たした。ベルリンではヨーゼフ・ヨアヒムの知己を得る。1906年には短期間、フランクフルトのアルベルト・シューマン・サーカスでヴァイオリンを披露。1907年にはロンドンのベヒシュタイン・ホールでイギリス・デビューを飾り、ネリー・メルバのリサイタルでフェルッチョ・ブゾーニと共演し、ブゾーニと親交を結ぶ。以降、1913年までイギリスに定住した。1910年にヴァンサン・ダンディと面会し、超絶技巧に偏らないよう助言を受けてから、あまり演奏されない作品や新作の研究に注力することとなった。1913年には結核に罹患し、スイスのダボスにて療養生活を送る。1917年からジュネーヴ音楽院でヴァイオリンを講じ始めて音楽活動を再開し、1924年まで同音楽院で後進の指導に当たった。1919年にはロシア人のワンダ・オストロフスカと結婚し、1920年には娘のイレーネを儲けている。1922年にフリッツ・ライナーの指揮するベルリン・フィルハーモニー管弦楽団と共演して名を上げ、イギリスへの演奏旅行のほかにソビエト連邦にも足を延ばした。1925年にはレオポルト・ストコフスキの指揮するフィラデルフィア管弦楽団と共演してアメリカ楽壇にも登場した。1926年にはベーラ・バルトークの教育用ピアノ作品集《子供のために》から７曲を選んで編曲するにあたり、バルトークと連絡を取って意気投合している。1931年には東欧への演奏旅行の一環で初来日を果たした^[7]。1940年からアメリカに活動の軸足を移し、1951年にはアメリカ市民権を取得。1960年に演奏活動から引退^[8]し、スイスに戻った。その後も後進の指導に意欲を示した。