ミシェル・オークレール
ミシェル・オークレール（Michèle Auclair, 1924年[1]11月16日[2] - 2005年[3]6月8日[4][5]）は、フランスのヴァイオリン奏者。[6]本名はミシェル・ガブリエル・アリス・ブロット(Michèle Gabrielle Alice Blot)。[7]
パリ出身。父親と祖父は画家であったが、熱心なアマチュアの音楽であった。４歳の時にルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンのクロイツェル・ソナタを聴いてヴァイオリンに夢中になり、リーヌ・タリュエルにヴァイオリンの手ほどきを受けるようになった。[8]その後、パリ音楽院でジュール・ブーシュリの門下となり、ジャック・ティボー[9]とボリス・カメンスキーにも師事。[10]1943年のロン＝ティボー国際音楽コンクールのヴァイオリン部門で優勝し、[11][12]1945年にシャルル・ミュンシュの指揮するパリ音楽院管弦楽団と共演してヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第３番を演奏して本格的に演奏活動を始めた。[13]また、1945年のジュネーヴ国際音楽コンクールのヴァイオリン部門で優勝している。[14]1948年にはミュンシュの指揮するアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団と共演。[15] 1949年にはアメリカに行き、テオドールとアリスのパシュカス夫妻のレッスンも受けた。[16][17]1951年にはボストンでミュンシュの指揮するボストン交響楽団と共演してピョートル・チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を演奏してアメリカ楽壇に登場し、その翌年にはオットー・マツェラートの指揮するベルリン・フィルハーモニー管弦楽団と共演してフェリックス・メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を演奏している。[18]1956年にはジャクリーヌ・ボノーとデュオを組み、[19]1962年からジュヌヴィエーヴ・ジョワと共演するようになった。[18]1957年にはモスクワでキリル・コンドラシンの指揮するモスクワ・フィルハーモニー管弦楽団と共演して成功を収めた。[15]1960年代半ばに自動車事故に巻き込まれて負傷したことで独奏者として活動できなくなった。[20][21][22]1969年から1989年までパリ音楽院、1989年から2002年までボストンのニューイングランド音楽院で後進の指導に当たり、[23]1977年には初来日して桐朋学園でマスター・クラスを開講。[24]私生活では、２度の結婚歴があり、相手は作曲家のアントワーヌ・デュアメル[25]と批評家のアルマン・パニジェル[26]であったが、結婚前は俳優のジョルジュ・ブレアと不倫関係にあったという。[27]
パリの自宅にて睡眠中に死去。[28]
脚注[編集]
- ↑ “Carnet Décès : Michèle AUCLAIR : avis de décès”. 2023年8月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月28日閲覧。
- ↑ Roux, Marie-Aude (2005年6月17日). “Michèle Auclair, violoniste et pédagogue”. Le monde. オリジナルの2023年8月28日時点におけるアーカイブ。 2023年8月28日閲覧。
- ↑ アーカイブ 2023年8月27日 - ウェイバックマシン
- ↑ アーカイブ 2023年8月28日 - ウェイバックマシン
- ↑ 命日を6月10日とする資料もある。(Dyer, Richard (2005年6月18日). “Michele Auclair, 80, violinist who became renowned teacher”. Boston.com News. オリジナルの2023年8月28日時点におけるアーカイブ。 2023年8月28日閲覧。)
- ↑ ミシェル・オークレール - Discogs
- ↑ “Article - Grande chancellerie de la Légion d'honneur Au grade d'officier - Légifrance”. 2023年8月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月28日閲覧。
- ↑ “COUP LP/CD011”. 2013年9月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年9月28日閲覧。
- ↑ 濱田によれば「ティボーはこの天才的な少女の才能を愛で、彼女の卒業演奏に際しては自ら指揮を買って出たと伝えられる。また、オークレールがハイドンの協奏曲を録音したさいも、ティボーは指揮者を務めた」という。(濱田, 滋郎 (2001). “ミシェル・オークレールの芸術―優美さと”粋”の極意”. メンデルスゾーン＆チャイコフスキー：ヴァイオリン協奏曲 オークレール (Universal Classics & Jazz) (UCCP-9061): 5. ASIN B00005J44K.)
- ↑ “Michèle Auclair (violin) - Meloclassic MC2014 [SG] Classical Music Reviews: July 2014 - MusicWeb-International”. 2021年12月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年12月13日閲覧。
- ↑ “Aux origines du concours Long-Thibaud-Crespin”. Radio France. (2020年11月15日). オリジナルの2023年8月29日時点におけるアーカイブ。 2023年8月29日閲覧。
- ↑ コンクールの褒賞としてフランツ・ヨーゼフ・ハイドンのニ長調のヴァイオリン協奏曲の録音セッションが組まれ、ティボーがパリ音楽院管弦楽団を指揮して伴奏することになったが、オークレールがリハーサルのつもりでティボーの指揮下で演奏したところ、その演奏が既に録音されていた。演奏を終えてオークレールが「では今から録音しながら演奏しましょう。」とティボーに言ったところ、ティボーは「いや、リハーサルも録音していたのだけど、すごくいい。これをレコード用にするよ！」と述べたという。(“MICHÈLE AUCLAIR plays Ravel, Bartók, Telemann, Stravinsky and Schubert - 唱片 - 豆瓣”. 2023年8月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月29日閲覧。)
- ↑ MICHÈLE AUCLAIR plays Ravel, Bartók, Telemann, Stravinsky and Schubert - 唱片 - 豆瓣
- ↑ “MICHÈLE AUCLAIR - Encyclopædia Universalis”. 2013年7月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年7月2日閲覧。
- ↑ 15.0 15.1 “往年のフランスの名ヴァイオリニスト、名教授～ミシェル・オークレール特集 - TOWER RECORDS ONLINE”. 2023年8月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月28日閲覧。
- ↑ “Article - Grande chancellerie de la Légion d'honneur Au grade d'officier - Légifrance”. 2013年4月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年4月16日閲覧。
- ↑ 濱田によれば「ひところ、ユーディ・メニューインから、あらためて薫陶を受けたこともある」という。(濱田 2001, p. 5)
- ↑ 18.0 18.1 Waiblinger, Michael (2020). “Guila Adelina Teressina Bustabo”. Bustabo Auclair Bobesco Live Concert Performance (Melo Classic) (MC 2047): 5. ASIN B08QM746K1.
- ↑ “ERC047 Michèle Auclair & Jacqueline Bonneau play Debussy and Ravel Sonates Pour Violon Et Piano”. The Electric Recording Company. (2019年12月3日). オリジナルの2023年8月30日時点におけるアーカイブ。 2023年8月30日閲覧。
- ↑ “Michèle Auclair & Marie-Claire Alain play Bach Six Sonatas for Violin and Keyboard, BWV 1014–1019”. The Electric Recording Company. (2019年10月8日). オリジナルの2023年8月30日時点におけるアーカイブ。 2023年8月30日閲覧。
- ↑ 濱田はオークレールの録音の主なものとして、クルト・ヴェスと協演してアメリカのレミントン・レーベルに録音したチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲のほかに、「モーツァルト（第４・第５番）、メンデルスゾーン、ブラームス、チャイコフスキーの名作協奏曲のほか、シューベルトのヴァイオリン曲集（エラート、２枚）、ルクレールの協奏曲集（ディスコフィル）、バッハのソナタ集（オルガン伴奏による）、ドビュッシーとラヴェルのソナタなど」を挙げ、「これらの録音は'50年代後半からオークレールが左手の故障のため、早々と現役を退いてしまった'60年代前半までに行われた」と説明している。(濱田 2001, pp. 5-6)
- ↑ スペクトラム・サウンド・レーベルから復刻されたオークレールの録音には、1970年6月27日にロジェ・アルバンの指揮下で演奏したカミーユ・サン＝サーンスのヴァイオリン協奏曲第３番のライヴ録音が含まれている。(“ヴァイオリン協奏曲第3番、他：オークレール（ヴァイオリン）、ロジェ・アルバン指揮＆ストラスブール・フィルハーモニー管弦楽団 (アナログレコード/Spectrum Sound) : サン＝サーンス (1835-1921) | HMV&BOOKS online - LPSMBA011”. 2023年8月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月28日閲覧。)
- ↑ “>Guila Bustabo, Michèle Auclair, Lola Bobesco (violin) Legendary Violinists in Live Concert Performances MELOCLASSIC MC2047 [SG] Classical Music Reviews: January 2021 - MusicWeb-International”. 2023年8月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月28日閲覧。
- ↑ 濱田 2001, p. 6
- ↑ “Antoine Dominique DUHAMEL : Family tree by Pascal DUHAMEL (pascalduhamelfreefr) - Geneanet”. 2023年8月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月28日閲覧。
- ↑ Dyer 2005
- ↑ “Georges Bréhat - CinéArtistes.com”. 2023年8月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月28日閲覧。
- ↑ Waiblinger 2020, p. 6
 
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