ベッドフォード・レベル実験

オールド・ベッドフォード川　イギリス、ノーフォーク、ウェルニーの橋から撮影（2008年）。カメラは橋の南西、下流を見ている。

ベッドフォード・レベル実験（ベッドフォードレベルじっけん、Bedford Level experiment）は、19世紀と20世紀前半に、イギリスのケンブリッジシャー・フェンズのベッドフォード・レベルのオールド・ベッドフォード川の6マイル (9.7 km)の長さに沿って、地球の曲率を測定するために、実行された一連の観測である。1838年に最初の観測を行ったサミュエル・バーリー・ロウボサム(Samuel Birley Rowbotham)は、自分は地球は平坦であることを証明した、と主張した。しかしながら、1870年に、アルフレッド・ラッセル・ウォレスは大気差の影響を回避するためにローボサムの方法を調整した後、球体地球と一致する曲率を発見した。

ベッドフォード・レベル

この川は、すべての実験のために選択された地点では、ウェルニーの村の北東に伸びる6マイル (9.7 km)のストレッチのために、途切れない直線で流れるゆっくり流れる排水路である。これのためにこれは、ロウボサムが『Zetetic Astronomy』に書いたように、地球の曲率を直接に測定するのに理想的な場所になる――

もし地球が地球儀であり、円周が25,000英国法定マイルであるならば、すべてのよどんでいる水の表面は、ある程度の凸面を持たねばならない――各部分が円弧であらねばならない。そのような弧の頂上から、最初の法定マイルに8インチの曲率または偏差が存在するであろう。2マイル目では、落下は32インチになるであろう。3マイルでは、次の図に示すように、72インチ、つまり6フィート――

『Zetetic Astronomy』に示されている地球の曲率。垂直方向の誇張　1000倍。

...もし最初の数マイルの後、曲率が非常に大きいならばそのためにその実際の存在またはその比率を検出するのに問題はないであろう。ケンブリッジ郡には、「オールド・ベッドフォード」("Old Bedford")と呼ばれる、人工の川または運河がある。それは長さは20マイル以上あり、...「ベッドフォード・レベル」("Bedford Level")と呼ばれるフェンズのその部分を直線となって通過する。水はほぼ静止している――しばしば完全に静止しており、その全長にわたって、あらゆる種類の水門や水門からの中断はない。そのため、あらゆる点で、凸面が実際に存在するかどうか、またはどの程度存在するかを確認するのに適している。

(If the earth is a globe, and is 25,000 English statute miles in circumference, the surface of all standing water must have a certain degree of convexity—every part must be an arc of a circle.From the summit of any such arc there will exist a curvature or declination of 8 inches in the first statute mile.In the second mile the fall will be 32 inches;in the third mile, 72 inches, or 6 feet, as shown in the following diagram:...[A]fter the first few miles the curvature would be so great that no difficulty could exist in detecting either its actual existence or its proportion...In the county of Cambridge there is an artificial river or canal, called the "Old Bedford".The water is nearly stationary—often completely so, and throughout its entire length has no interruption from locks or water-gates of any kind;so that it is, in every respect, well adapted for ascertaining whether any or what amount of convexity really exists.)

実験

ベッドフォード・レベルでのロウボサムの実験の図　彼の著書「"Earth not a globe"」から取られた

この現場での最初の実験は、1838年夏にロウボサムによって実施された。彼は川に足を踏み入れ、水面上8インチ (20 cm)に持った望遠鏡を使って水面上のマスト3フィート (0.91 m)に旗を立ててゆっくりと自分から離れて漕ぐボートを見守った。彼は報告した、船はつねにウェルニー橋への完全な6マイル (9.7 km)の間、彼の視界に留まったいっぽうで、もし水面が球体地球の許容される円周とともに湾曲しているならば、マストの頂きは彼の視線線よりも約11フィート (3.4 m)下にあるであろう。彼は1849年に『Parallax』（視差の意）という仮名を使用してこの観測を公開し、その後それを1865年に刊行された『Earth Not a Globe』という書籍の中で拡張した。

自伝で再現されたウォレスのレベルを通しての眺め

ローボサムは何年にもわたって実験を数回繰り返したが、しかし、1870年にジョン・ハンプデン(John Hampden)という名前の支持者がローボサムの実験を繰り返すことによって地球が平坦であることを示し得る賭けを提供するときまで、彼の主張はほとんど注目されなかった。博物学者で資格のある測量士アルフレッド・ラッセル・ウォレスは賭けを受け入れた。ウォレスは、測量士の訓練と物理学の知識のおかげで、前の実験の誤りを避け、賭けに勝った。重要なステップは次のとおりである――

1. 水面上13フィート (4.0 m)に視線を設定し、それによって大気差の影響を減らすこと。
2. 2つの端点の間の地球の曲率によって引き起こされる「バンプ」("bump")を見るために使用され得るポールを中央に追加すること。

ハンプデンが最初デモンストレーｰションを受け入れることを拒否したにもかかわらず、ウォレスは、レフェリー、スポーツ雑誌『The Field』の編集者John Henry Walshから賭けを授与された。その後、ハンプデンはパンフレットを発行し、ウォレスはだまし金銭を求めて訴えた、と主張した。いくつかの長引く訴訟が続き、その結果、ハンプデンはウォレスを殺すぞと脅迫したことと名誉毀損で投獄された。同じ裁判所は裁定した、賭けは無効であった、なぜならハンプデンが賭けを撤回し、ウォレスがハンプデンに金銭を返すことを要求したから。ローボサムの初期の諸実験に気づかなかったウォレスは、「最も基本的で確立された科学的事実を『決定』するための賭けへの『無思慮な』関与」("his 'injudicious' involvement in a bet to 'decide' the most fundamental and established of scientific facts")について仲間らによって批判された。

1901年に、ケンブリッジ、キングス・カレッジの地理学のreaderであるヘンリー・ユール・オールダム(Henry Yule Oldham)は、水面から同じ高さに固定されたポール3本を使用してウォレスの結果を再現した。経緯儀ごしに見ると、中央のポールは、それぞれの極よりもほぼ3フィート (0.91 m)高いことがわかった。実験のこのバージョンは、宇宙からの地球の写真が利用可能になるときまで、学校で教えられたテンプレート:Where?。

Picture of the Bedford Level: ベッドフォード・レベルの写真――「1904年5月11日に、レイディ・ブローント(Lady Blount)と数人の科学紳士の前で、霧のかかった非常に不満足な天候の中で行われた」("Carried out in misty and very unsatisfactory weather, on May 11th, 1904, before Lady Blount and several scientific gentlemen")。

しかしながら、平坦な地球の支持者らは阻止されなかった――1904年5月11日に、地球平坦協会(Flat Earth Society)の結成に影響力を持ち続けることになるレイディ・エリザベス・アン・ブローント(Lady Elizabeth Anne Blount)は、望遠レンズカメラを使ってウェルニーから彼女が置いた大きな白いシートの写真を撮るために商業写真家を雇った、ロウボサムの元の位置6マイル (9.7 km)から離れた川の表面近くの下端。Dallmeyer'sstudioの写真家エドガー・クリフトン(Edgar Clifton)は、ウェルニーの水面上2フィート (0.61 m)にカメラを取り付け、ターゲットの写真を取得し得ることに驚いた。カメラの低い取り付けポイントを仮定すると、彼はそれは自分に見えないであろうと信じていた。レィディ・ブローントは、写真を広範囲に公開した。

これらの論争は、1904年-05年に『English Mechanic』誌の定期的なフィーチャーになったし、それはブローントの写真を公開し、1905年に反対の結果を示す2つの実験を報告した。アッシュビー運河のクレメント・ストラットンによる、これらの1つは、水面上のみの視線にディップを示した。

屈折

大気差は、ロウボサムとブローントによって指摘された結果を生み出し得る。地球の大気中の空気の密度は地球の表面からの高さとともに減少するために、ほぼ水平に進むすべての光線は下向きに曲がり、そのために視線は曲線である。この現象は、水平測量と天文航法で日常的に説明されている。

大気差のために地平線の下にある物体が見えるようになる

もし測定値が表面に十分に近いならば、この下向きの曲線は、地球の表面の平均曲率と一致するかもしれない。その場合、想定される曲率と屈折との2つの効果は、互いに打ち消し合い得るし、そのとき地球は光学実験で平坦に見えるであろう。

これは、毎回、運河の上の高度とともに温度が上昇する大気の温度逆転によって、助けられたであろうし、これは上位蜃気楼の現象に似ている。これのような温度逆転は、一般的である。もし気温または高度1メートルあたり摂氏0.11度の減率の上昇があれば、平坦な運河の錯覚を引き起こすであろうし、地面近くで行われるすべての光学測定は、完全に平坦な表面と一致するであろう。もし減率がこれよりも高かったならば（気温は高さとともに　　上昇する）、すべての光学観測は「ボウル型の地球」("bowl-shaped Earth")、凹面と一致するであろう。平均的な条件下では、光学測定は、実際よりも約15％湾曲が少ない球体地球と一致している。多くの観測のそれぞれにとって必要とされる大気条件の繰り返しはありそうにないし、静かな水の上で暖かい日々は、有利な条件を生み出し得る。

別のところで行われた同様な実験

1896年7月25日に、新聞編集者ユリシーズ・グラント・モロー(Ulysses Grant Morrow)が、イリノイ州サミット、オールド・イリノイ・ドレナージ・キャナルで同様の実験を行なった。ローボサムとは異なり、彼は地球の表面が湾曲していることを実証しようとしていた――彼も、水位より上で5マイル (8.0 km)離れている、ターゲットマーカーである18インチ (46 cm)がはっきりと見えることに気づいたとき、彼は、彼のスポンサーら、Koreshan Unity協会の期待に沿って、地球の表面が『凹面に』(concavely)湾曲している、と結論付けた。調査結果は、批判者らによって大気屈折の結果として却下された。

脚注

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