成田悠輔
成田 悠輔(なりた ゆうすけ、1985年〈昭和60年〉 - )は、日本の経済学者、起業家。 イェール大学アシスタント・プロフェッサー。
専門はデータ・アルゴリズム・数学・ポエムを使ったビジネスと、公共政策の創造とデザイン。
東京大学卒業後、同大大学院を修了。米マサチューセッツ工科大学(MIT)で博士号取得。多くの企業や自治体と共同研究・事業を行う。メディアの露出も多い。
「高齢者集団自決」発言は、差別的であると批判を浴び、米紙『ニューヨーク・タイムズ』などでも大きく報道された(後述)。
来歴・人物[編集]
1985年、東京都生まれ。北区立滝野川小学校を経て私立の中高一貫校である麻布中学校・高等学校卒業。睡眠障害などにより中高は不登校だった。麻布中学在学時には柄谷行人のNAMや青木昌彦のVCASIに出入りしていた。高校生のとき、父親が借金を残して失踪し、その3年後、母親がクモ膜下出血で倒れて身体に麻痺が残った。高校卒業後、一浪の後に東京大学に入学。
2008年夏に東京のリーマンブラザーズでインターンとして働いた経験があるが、終了して2週間後にリーマンが破綻した。
2011年に東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。大学院在学中に東京財団仮想制度研究所(VCASI、主宰・青木昌彦)研究助手。
2011年に渡米し、2016年にマサチューセッツ工科大学(MIT)Ph.D.取得。同年、イェール大学経済学部アシスタント・プロフェッサーに就任し、確率論、統計学、計量経済学、教育経済学や労働経済学のコースを担当。一橋大学特任准教授、スタンフォード大学客員助教、ヂンチ株式会社代表などを兼歴任。独立行政法人経済産業研究所(RIETI)客員研究員。ZOZO、サイバーエージェントなどの組織と、共同研究や事業に携わる。
丸と四角メガネがトレードマーク。
弟は、クラウドワークス取締役兼CINO(最高イノベーション責任者)の成田修造。
受賞歴など[編集]
- 東京大学経済学部の最優秀卒業論文の中から数年に一度授与される「大内兵衛賞」
- 内閣総理大臣賞・オープンイノベーション大賞
- MITテクノロジーレビューInnovators under 35 Japan・KDDI Foundation Award貢献賞
- 第8回World OMOSIROI Award(ナレッジキャピタル主催)
- 2023年3月、世界経済フォーラム(ダボス会議)の2023年度ヤング・グローバル・リーダーズに選出。
主張[編集]
「幸福なデータ奴隷」[編集]
データやエビデンスを活用することによって自己の存在理由や目的を発見し、最適化された行動を取ることで、人々は日常の小さな判断から解放され、真の幸福が訪れるという「幸福なデータ奴隷」論を提唱している。
教育[編集]
- 日本の知識詰め込み型・ペーパーテスト偏重のエリート教育制度(受験教育)を、自身の経験を踏まえ「学力以外の多様性が保証される」「『公平』な仕組みであり、どんな場所に生まれた人であろうが、親にお金があろうがなかろうが、その受験というゲームを乗り越えさえすれば学校に入れるというのが保証されている仕組みである。他の側面はどうでもいいわけで、どんなに友達がいない人でもどんなに性格が悪い人でも関係ない、日本の入試は多様な人材を包み込める仕組み」という観点から評価している。
- アメリカの大学や教育が多様性を尊重し、幅広い人に機会を与えているという考えは「誤解 (misconception)」であると主張している。
- 2021年11月の『報道ステーション』で「学歴中心の履歴書から経験中心の履歴書へ」と主張した平原依文に対して、「経験重視は、最も格差を作り出すタイプのもの」「(アメリカの高校生が)多様な経験と称するものを手に入れるために、2週間で100万円といった、経験を買うためのパッケージツアーなどに参加します」「家の豊かな子ほどその経験をしっかりと蓄えられる」と反論した。
少子高齢化[編集]
- 『選挙ステーション2021』(テレビ朝日)において、「若者たちはどうすれば選挙に行きたくなるのか」という問いに対する解決策として、「若者は選挙に行くより、独立国をつくるべし」と提案した。これについて、日本では若者はマイノリティであるし、高齢者とも投票行動は変わらないことから、若者が選挙に行くようになったくらいでは日本は変わらず、革命レベルの変化が必要であるとその意図を説明した。
- 2022年6月25日、『ABEMA Prime』の竹中平蔵がゲストに登場した回において、現役を引退する年齢を超えると賃金を下げて働く人が多い傾向があり、それによって現役世代の賃金も下げてしまうことを懸念していると述べた。
- 2022年9月20日、経済同友会の機関誌の『経済同友』において成田は、経済同友会代表幹事でありSOMPOホールディングスCEOの櫻田謙悟と対談をし、その中で物理学者のマックス・プランクの「科学は葬式のたびに進歩する」という言葉を引用し、「経済同友会解散、重鎮経営者の引退」を呼びかけた。成田によると明治維新や第二次世界大戦後の焼け野原からの再出発で共通していたのは、日本社会を支配していた重鎮たちがいなくなったことであるという。成田の発言に対して櫻田は「『経済同友会解散』は刺激的な言葉ですが、意図は大いに賛成します」と答えた。
「集団自決」発言[編集]
2019年2月9日、グロービスが主催した社会保障制度改革のパネル討論で、成田は「『葉隠』の「武士道というは死ぬことと見つけたり」という一節を引き合いに、高齢化し老害化しないために『人は適切な時期に”切腹”すべし』と発言し、「皆さんのようなリーダーが次々と切腹するような日本社会になれば、それは単なる社会保障政策ではなく、最強の『クールジャパン』政策になる」と語った。
2021年12月17日放送の『ABEMA Prime』にて、高齢化について「唯一の解決策ははっきりしている」として、「結局、高齢者の集団自決、集団切腹みたいなのしかないんじゃないか。僕はこれを大真面目に言っていて、やっぱり人間は引き際が重要だと思う。別に物理的な切腹ではなくて、社会的な切腹でもいい。過去の功績を使って居座り続ける人がいろいろなレイヤーで多すぎる。これがこの国の明らかな問題だ」と語り、スタジオのアナウンサーや専門家を驚かせた。
これらの発言はその後、世界中で多くの物議を醸した。
MMT経済理論の否定[編集]
2023年1月6日、『ABEMA Prime』でMMT(現代貨幣理論)論者の池戸万作と対談し、「とても複雑なことが起きている時に、根拠もなしに、特定の原因さえ摘めば(お金を刷りまくればすべて)問題が解決しますと断言するのは単なる情弱ビジネス。そういう人たちがテレビやネットで蔓延っていることを心の底から軽蔑している」と批判した。成田は、テレ東のネット番組でもMMTを主張する著名人や漫画家を、「全員ただの馬鹿かポジショントーク」と批判している。
社会的分断[編集]
2021年7月11日開催の、ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパンでの講演会「社会的分断・断絶を超えるためにできること」で、「他の国と比べて日本は経済的な格差や政治的な大きな分断はない。日本で起きている問題は全員で貧しくなって、なんとなく現状でグダグダしている状態」「社会の大きな進化は、行き過ぎた断絶と、それを壊そうとして排除された側が支配している側を殺すことで成立する。相手を殺さざるを得ない分断をどう生み出すかが分断を解決する近道」「分断を作り出す論点として、安楽死を容認するか強制するかがある」と述べている。
著書[編集]
論文[編集]
- 成田悠輔の出版物 - Google Scholar
単著[編集]
- 『22世紀の民主主義 選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる』(2022/07/07、SBクリエイティブSB新書)ISBN 978-4815615604
共著[編集]
- 『使える! 経済学 データ駆動社会で始まった大変革』(2022/7/9、日本経済研究センター編集、日経BP 日本経済新聞出版) ISBN 978-4296113736
- 『天才たちの未来予測図』(2022年9月29日、高橋弘樹 編著 ,斎藤幸平 、小島武仁 、内田舞 著、マガジンハウス新書)ISBN 978-4838775095
翻訳[編集]
- (小川一仁、川越敏司、佐々木俊一郎と共訳)ハーバート・ギンタス『ゲーム理論による社会科学の統合』(NTT出版〈叢書制度を考える〉, 2011年 ISBN 9784757122406)
- 『迷走しない!英語論文の書き方 秘密は「構造」作りにあり』(2022/01、ヴァランヤ・チョーベー著・成田悠輔監訳・布施雄士訳、講談社)ISBN 4065259797
監修・解説[編集]
- 馬の首風雲録 (2022年10 月7日、筒井康隆 著) ISBN 978-4838775095
- ゴースト・ワーク ――グローバルな新下層階級をシリコンバレーが生み出すのをどう食い止めるか(2023年4月25日発売予定 メアリー・L・グレイ シッダールタ・スリ 著 柴田裕之 訳 監修:解説:成田悠輔(経済学者、イェール大学助教授)晶文社
出演[編集]
ウェブ番組[編集]
- 日経テレ東大学 - 成田悠輔×ひろゆきのトーク番組(2021年8月1日 - 2023年3月、YouTube)
- ABEMA Prime(2021年12月17日 - 12月12日、 ABEMA) - 不定期MC
- ABEMAヒルズ(2021年12月23日 - 、ABEMA)ワンショットを映し続ける「成田悠輔カメラ」がYouTube配信されることがある。
- PIVOT 日本再興ラストチャンス 成田悠輔×経済同友会 (2022年10月‐YouTube)
- ReHacQ−リハック−(2023年3月5日 - YouTube)
テレビ番組[編集]
- こちら『トレンディマーケット』編集部(2022年5月22日 - 、日本テレビ)
- 報道ステーション(2021年3月5日 -、テレビ朝日)
- クローズアップ現代(2022年3月17日 -、NHK)
- サンデージャポン(2022年3月27日-、TBSテレビ)
- ビートたけしのTVタックル(2022年5月15日-、テレビ朝日)
- 日曜日の初耳学(2022年4月17日-、毎日放送)
- スッキリ(2022年6月3日、日本テレビ)
- サバイバーズ~激流の時代を生き延びろ!~(2022年7月1日-、テレビ東京)
- 「選挙の日2022」私たちの明日(2022年7月10日、TBSテレビ)
- ハートネットTV(2022年7月13日-、NHK)
- ありえへん∞世界SP (2022年7月19日、テレビ東京)
- 世界一受けたい授業2時間スペシャル!(2022年7月23日、日本テレビ)
- Nスタ(2022年8月11日-、TBSテレビ)
- 羽鳥慎一モーニングショー(2022年8月12日-、テレビ朝日)
- 「はなしちゃお!〜性と生の学問〜」の第2弾「夏休み特集」(8月19日、NHK Eテレ)
- ゴゴスマ(2022年8月25日、TBSテレビ)
- 欲望の資本主義2022夏 特別編 「メタバースの衝撃 デジタル経済のパラドックス」(2022年9月23日、NHK)
- クローズアップ現代(2022年10月4日、NHK)
- 「ありえへん∞世界」『衝撃映像37連発&“ヤバい昭和の流行”懐かし映像満載SP』(2022年10月18日、テレビ東京)
- 経済スペシャルサバイバーズ (2022年11月13日、テレビ東京)
- NEWS23(2022年11月23日、TBSテレビ)
- バラいろダンディ(2022年11月23日、TOKYO-MX)
- めざまし8 (2022年12月9日、フジテレビ)
- 特番『秒で伝わる!神図解』(2022年12月27日、テレビ朝日)
- 新春!お笑い名人寄席(2023年1月2日、テレビ東京)
- アナザースカイ (2023年1月6日、日本テレビ)
- SDGsミライ~小谷真生子 成田悠輔氏と考える持続可能な「生き方」「働き方」(2023年1月20日、BSテレビ東京)
- 夜明け前のPLAYERS(2023年1月23日-、日本テレビ):番組MC
- 『日曜日の初耳学【新進気鋭の経済学者・成田悠輔一夜限りの授業!スタジオ絶賛】』(2023年2月19日-、毎日放送)
- ドーナツトーク(2023年2月19日、CBCテレビ)
- ありえへん∞世界「昭和世代vs令和世代 ヤバい昭和の流行 懐かし映像満載」(2023年2月28日、テレビ東京)
- バラいろダンディ(2023年3月15日-、TOKYO-MX)
- 一発でわかる!神図解(2023年3月24-、テレビ朝日 )
- アウト×デラックス2023 マスクとアウトは個人の判断に任せまSP(2023年3月30日、フジテレビ)
- ソレいる?六本木会議(2023年4月7日 - 、テレビ朝日) - メインキャスト
- 正解の無いクイズ(2023年4月3日 - 、テレビ東京)
ラジオ[編集]
- AWESOME COLORS(2022年6月17日、J-WAVE)ナビゲーター:長谷川ミラ
- ロンドンブーツ1号2号 田村淳のNewsCLUB(2022年7月30日、文化放送)
- ORIENT STAR TIME AND TIDE(2022年8月27日、J-WAVE)ナビゲーター:市川紗椰
- INNOVATION WORLD(2022年9月23日、J-WAVE)ナビゲーター:川田十夢
- 大竹まことゴールデンラジオ!(2022年10月17日、文化放送)
- 山崎怜奈の誰かに話したかったこと。(2022年10月18日、エフエム東京)
- TOPPAN INNOVATION WORLD ERA(2022年11月13日、J-WAVE)ナビゲーター:後藤正文
- 成田悠輔のオールナイトニッポン0(ZERO)(2022年11月20日、ニッポン放送) - パーソナリティ
- TOKYO SPEAKEASY(2022年12月22日、エフエム東京): 秋元康との対談
- 反田恭平のLIFE without END | ポッドキャスト (2023年3月3日 Amazon Audible)
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