九州新幹線
九州新幹線(きゅうしゅうしんかんせん)は、福岡県福岡市博多区の博多駅から鹿児島県鹿児島市の鹿児島中央駅までを結ぶ九州旅客鉄道(JR九州)の高速鉄道路線(新幹線)、およびその列車である。
整備新幹線としての九州新幹線のうち、「鹿児島ルート」(かごしまルート)と呼ばれていた区間に相当し、旅客向けには単に「九州新幹線」と案内されている。
概要[編集]
1972年(昭和47年)に、全国新幹線鉄道整備法第4条第1項の規定による『建設を開始すべき新幹線鉄道の路線を定める基本計画』により公示され、1973年(昭和48年)11月13日に整備計画が決定された5路線(いわゆる整備新幹線)の路線の一つである。国鉄の財政悪化により建設が一時凍結されたが、1991年(平成3年)に八代 - 西鹿児島(現 鹿児島中央)間がスーパー特急方式で着工された。その後、起点が新八代に変更され、1998年に新八代駅 - 船小屋信号場(現 筑後船小屋駅)がスーパー特急方式で着工、2000年(平成12年)に残る博多駅 - 船小屋信号場間が着工、同時に全区間がフル規格化された。2004年(平成16年)3月に新八代駅 - 鹿児島中央駅間がフル規格で開業した。また、新八代駅では博多駅 - 新八代駅間の在来線特急「リレーつばめ」と同一ホームで接続することで、博多駅 - 鹿児島中央駅間の所要時間は大幅に短縮された。その後、2011年(平成23年)3月に博多駅 - 新八代駅間が開業し、九州新幹線(鹿児島ルート)は整備計画の決定から38年を経て全線開業し、同時に山陽新幹線との直通運転を開始した。鉄道建設・運輸施設整備支援機構が鉄道施設を建設・保有し、九州旅客鉄道(JR九州)により運営されている。
整備新幹線としての九州新幹線には鹿児島ルートのほかに福岡市と長崎市を結ぶ西九州ルート(長崎ルート)があり、整備計画では西九州ルートは福岡市(博多)- 分岐点(新鳥栖)間を鹿児島ルートと共用する計画となっている。2022年(令和4年)9月23日には武雄温泉駅 - 長崎駅間が「西九州新幹線」として開業したが、鹿児島ルートと分岐する先の新鳥栖 - 武雄温泉間の整備方針は2022年時点で未決定である。
なお、九州新幹線は整備新幹線だが、「JR線路名称公告」上では、博多駅 - 新八代駅間および川内駅 - 鹿児島中央駅間は鹿児島本線の無名枝線という扱いで、営業キロは鹿児島本線の営業キロを採用している。一方、並行在来線が肥薩おれんじ鉄道線として経営分離された新八代駅 - 川内駅間は「九州新幹線」という独立した線路として扱われ、営業キロも実キロを採用している。ただし、事業基本計画や国土交通省監修『鉄道要覧』では全区間ともに鹿児島本線とは別の路線として掲載されている。
路線データ[編集]
- 営業主体:九州旅客鉄道(JR九州)
- 建設主体:独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構
- 路線距離(実キロ):博多駅 - 鹿児島中央駅間 256.8 km(営業キロは288.9 km)
- 線内の距離標は東京駅起点として設置されている。鹿児島中央駅付近には日本国内の鉄道路線の距離標が示す距離としては最長のものである東京駅起点1,325 kmを示す距離標が設置されている。
- 軌間:1,435 mm(標準軌)
- 駅数:12(起終点駅含む)
- このうち、新幹線単独駅は4駅(新大牟田駅・新玉名駅および肥薩おれんじ鉄道線併設の新水俣駅・出水駅)である。また、JR九州公式サイトの会社案内の「交通・営業データ」[1] においては、JR西日本管理となる博多駅を計上せず、11駅としている。
- 複線区間:全線複線
- 電化区間:全線(交流25,000 V・60 Hz、架空電車線方式)
- 最高速度:
- 260 km/h(博総分岐 - 鹿児島中央)
- 120 km/h(博多 - 博総分岐)[要出典]
- 保安装置:ATC、車内信号式
- KS-ATC(博総分岐 - 鹿児島中央)
- ATC-NS(博多 - 博総分岐)
- 道床:スラブ軌道・バラスト軌道
- 架線吊架方式
- 博多駅 - 博総分岐:ヘビーコンパウンドカテナリ式(耐荷速度320 km/h)
- 博総分岐 - 新八代駅:PHCシンプルカテナリ式(耐荷速度350 km/h)
- 新八代駅 - 鹿児島中央駅:CSシンプルカテナリ式(耐荷速度300 km/h)
- 車両基地:
- 熊本総合車両所(熊本県熊本市)
- 川内駅留置線(川内旧車両基地、鹿児島県薩摩川内市)
- 保線基地:新鳥栖・熊本・出水
- 運転指令所
- 博多総合指令センター(新幹線総合指令室)(博総分岐 - 鹿児島中央)
- 東京指令所(新幹線総合指令所)(博多 - 博総分岐)
- 列車運行管理システム
- 九州新幹線指令システム (SIRIUS)(博総分岐 - 鹿児島中央)
- 新幹線運行管理システム (COMTRAC)(博多 - 博総分岐)
全線を本社鉄道事業本部内の新幹線部が管轄している。ただし、博多駅から博多総合車両所分岐(博総分岐)にかけての区間はJR西日本山陽新幹線統括本部の管理に置かれており、博多駅から博多総合車両所分岐(博総分岐)の間は、博多南線と線路を共用するため、博多南駅から400メートルほど新鳥栖寄りに会社境界が存在する。ただし九州新幹線上には博多南駅は存在せず、別系統である。
博多駅 - 新八代駅間の約3割、新八代駅 - 鹿児島中央駅間の約7割がトンネル区間で構成され、山陽新幹線と同様に総延長の半分(49%)がトンネルで占められる路線である。工費を節減するために新幹線としてはやや簡素な仕様で建設されている部分があり、筑紫トンネル博多側坑口側や、新八代駅 - 鹿児島中央駅間 に、新幹線では最急の35パーミル勾配区間が設けられるなどの影響が出ている。
構造種別延長割合は以下の通り。
- 博多駅 - 新八代駅間
- 路盤 5%
- 橋梁 14%
- 高架橋 51%
- トンネル 30%
- 新八代駅 - 鹿児島中央駅間
- 路盤 12%
- 橋梁 7%
- 高架橋 12%
- トンネル 69%