TOYO TIRE
TOYO TIRE株式会社(トーヨータイヤ、英: Toyo Tire Corporation)は、兵庫県伊丹市に本社を置く、タイヤ・自動車部品等のメーカーである。
「タイヤ」の部分の英字表記に関して、法人名は「TOYO TIRE」と単数形であるが、ブランド名としては「TOYO TIRES」と複数形である。ただし、日本語での読みはいずれも「トーヨータイヤ」とされている。
概要[編集]
主に自動車タイヤ、自動車用防振ゴムの製造・販売を行う大手企業として知られる。また創業当初より、旧三和銀行の融資筋にあったことから、みどり会(UFJグループ)に属する企業の一社でもある。
TOYO TIRES(トーヨータイヤ)のブランド名で、「専用タイヤ発想」をコンセプトに、それぞれの車種に合う自動車タイヤを製造しており、特に海外での評判は高い。また対米向けにはNITTO(ニットー)ブランドもあり、これまでは日本では逆輸入でしか入手できなかったが、2005年以降、NITTOブランドのタイヤも日本で販売。タイヤのメーカー別シェアでは国内第4位に位置する。
モータースポーツではサーキットレースの供給はほとんど行わず、もっぱらオフロードレースやドリフト競技に供給を行っている。
箱根ターンパイクのネーミングライツを取得し、2007年3月1日から2014年7月31日まで「TOYO TIRES ターンパイク」に名称が変更された。
2008年5月16日、同業のトップメーカーであるブリヂストンと業務・資本提携を発表した。
沿革[編集]
- 1945年8月 - 東洋ゴム化工株式会社と株式会社平野護謨製造所が合併し、東洋ゴム工業株式会社(資本金950万円)設立。
- 1947年8月 - トラックタイヤ初輸出。
- 1949年5月 - 株式を大阪証券取引所に上場。
- 1955年5月 - 株式を東京証券取引所に上場。
- 1961年10月 - 株式を名古屋証券取引所に上場。
- 1964年9月 - ポリウレタンフォームの生産・加工のため、兵庫工場(兵庫県加古郡)新設。
- 1966年7月 - 米国でのタイヤ販売を促進するため、業界に先駆け、「Toyo Tire (U.S.A)Corp.」設立。
- 1971年4月 - 公害防止機器、工業用ゴム製品の生産のため、明石工場(兵庫県加古郡)新設。
- 1974年2月 - オーストラリア「バキュラグ社(現、Toyo Tyre Australia Pty Ltd. )」に資本参加。
- 1975年
- 7月 - 業界初のタイヤ試験場(宮崎県児湯郡都農町)開設。
- 9月 - 三菱商事株式会社との合弁で欧州に自動車タイヤの販売会社「Toyo Reifen GmbH(現・Toyo Tire Europe Holdings of GmbH)」を設立。
- 1978年4月 - 東北トーヨーゴム株式会社を合併。
- 1979年2月 - 日東タイヤ株式会社(現・日東化工株式会社)と生産、技術、販売、管理等業務全般にわたり提携。
- 1986年4月 - 自動車部品技術センター(愛知県みよし市)開設。
- 1987年11月 - 株式会社オルビス(現・CACオルビス)設立。
- 1996年10月 - 菱東タイヤ株式会社を吸収合併。
- 2000年2月 - 国内全8製造事業所で ISO 14001を認証取得。
- 2001年
- 2月 - 米国(ケンタッキー州)に自動車用防振ゴム製品の生産・販売会社「Toyo Automotive Parts (USA),Inc.」を設立。
- 11月 - 「TOYO TECHNICAL CENTER(現・タイヤ技術センター)」(兵庫県伊丹市)開設。
- 2002年10月10日 - 伊丹工場(兵庫県伊丹市)跡地にダイヤモンドシティ・テラス(現・イオンモール伊丹)オープン。
- 2003年1月 - 三菱商事株式会社との合弁で自動車タイヤの販売会社「東洋輪胎(上海)貿易有限公司(現・通伊欧輪胎(上海)貿易有限公司)」を中国(上海)に設立。
- 2004年
- 6月 - 米国(ジョージア州)に自動車タイヤの生産子会社「Toyo Tire North America,Inc.(現・Toyo Tire North America Manufacturing Inc.)」を設立。
- 9月 - 中華人民共和国(広東省)に自動車用防振ゴム製品の生産子会社「東洋橡塑(広州)有限公司」を設立。
- 2005年11月 - NITTOブランドの国内販売会社ニットージャパン(東洋ゴムが100%出資)を設立。
- 2008年5月20日 - ブランドステートメント「driven to perform」を制定。
- 2010年10月 - マレーシアのタイヤメーカー「シルバーストン」を傘下に置くと発表。
- 2011年6月 - 名古屋証券取引所上場廃止。
- 2012年4月 - 東京本社に置かれていた本社機能を大阪本社に移転。東京本社を東京支店に、大阪本社を本社に名称変更。
- 2017年5月 -本店を大阪市西区江戸堀一丁目17番18号から兵庫県伊丹市に移転。
- 2018年
- 11月 - 三菱商事株式会社と資本業務提携契約を締結。
- 12月 - 軟質ウレタン事業を譲渡。
- 2019年1月1日 - 商号をTOYO TIRE株式会社に変更。同年、ドイツにR&Dセンターを開設。
- 2022年12月14日 - セルビア工場を開設。
主要事業所[編集]
- 東京事務所 - 東京都品川区東品川
- 仙台工場 - 宮城県岩沼市吹上
- 桑名工場 - 三重県員弁郡東員町
- 兵庫事業所 - 兵庫県加古郡稲美町
- 基盤技術センター - 兵庫県川西市
- タイヤ技術センター - 兵庫県伊丹市
- 自動車部品技術センター - 愛知県みよし市
主な国内関連会社[編集]
- 福島ゴム株式会社
- 東洋ソフラン株式会社
- 綾部トーヨーゴム株式会社
- 山陽自動車運送株式会社(阪神電気鉄道の関連会社でもある)
- トーヨータイヤ物流株式会社
- オリエント工機株式会社
- 株式会社トーヨータイヤジャパン(2007年4月設立の全国統一販売会社・もと全国10社を統合。茨城県、新潟県、富山県、島根県、高知県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県を除く各都道府県に営業拠点を持つ。)
- 昌和不動産株式会社
- 株式会社エフ・ティー・ジー
主な製品[編集]
自動車用タイヤ製品[編集]
- PROXES(プロクセス)シリーズ
- TOYO TIRESのプレミアムブランドシリーズ。新車装着用のタイヤとして市販製品とは別パターンのタイヤも存在する。
- TRANPATH(トランパス)シリーズ
- ミニバンやSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)など、腰高で重量のある車に対応したシリーズで、国内向け主力商品。高い剛性と内外非対称パターンの採用により偏摩耗の防止と高い安定性の実現をコンセプトとしている。SUV向けフラッグシップのS/T IIIが上記の「PROXESシリーズ」であるのに対し、大型高級ミニバン向けのLu II(エル・ユー・ツー)はフラッグシップながらPROXESではなくこのシリーズに残されているところにブランド戦略が表れている。2022年1月にMPシリーズの7代目モデルとなるmp7が発売された。
- NANOENERGY(ナノエナジー)シリーズ
- 低燃費性能とウェット性能の両立をコンセプトとしたシリーズ。ナノレベルで制御された材料設計基盤技術「ナノバランステクノロジー」により、新トレッドコンパウンドを配合した「次世代低燃費タイヤ」と位置付けている。
- OPEN COUNTRY(オープンカントリー)シリーズ
- SUV / CCV(クロスカントリー・ビークル) / ピックアップトラック向けブランド。北米で先行展開した後、日本国内にも導入された。
- OBSERVE(オブザーブ)シリーズ
- スタッドレスタイヤのシリーズ。「アイスバーンに対する引っかき性能を高めるため」として鬼グルミの殻を粉砕した粒を配合しているのが特徴。2020年8月にOBSERVE GIZ2が発売された。
提供番組および協力作品[編集]
- 2022年10月現在
- 行列のできる法律相談所→行列のできる相談所(日本テレビ)※2017年10月より。
- その他、不定期で様々な番組に提供する事がある。
- クルマでいこう!(tvk) - 「新車情報」および「新車ファイル クルマのツボ」、「岡崎五朗のクルマでいこう!」から継続。2009年度〜2013年度の間は一時降板していたが、2014年度から提供再開し2018年現在もスポンサーを務める。2015年の免震・防振ゴムの性能データ改ざん問題(後述)発覚時前後には一時CM・提供クレジットを自粛、2016年度には再開している。
- おぎやはぎの愛車遍歴 NO CAR, NO LIFE! (BS日テレ)
- 過去
- 日本テレビ日曜8時連続ドラマ(日本テレビ)※ニットータイヤ時代
- 知っとこ!(毎日放送)
- 新車情報 → 新車ファイル クルマのツボ → 岡崎五朗のクルマでいこう!(tvk)
- SPORT(フジテレビ)
- 激スポ!(テレビ東京)
- 水曜ロードショー(日本テレビ)
- JNNニュースデスク(JNN系) - 1970年代の一時期のみ
- 金曜ロードショー(日本テレビ)
- 土曜映画劇場(NETテレビ)
- 驚きももの木20世紀(ABCテレビ)
- 世界まる見え!テレビ特捜部(日本テレビ)※長年提供していたタケダの後継。
- NEWS ZERO(日本テレビ・水曜中盤ナショナルセールス枠)※2017年4月より2019年3月まで。
- 平井堅 NOW ON AIR 〜やっと逢えたね〜(レディオキューブ FM三重)
- モシモワールド supported by TOYO TIRES(TOKYO FM)
- おはようパーソナリティ道上洋三です(ABCラジオ)
- トラック野郎シリーズ(東映)※ニットータイヤ
- トラック野郎・御意見無用(1975年)
- トラック野郎・爆走一番星(1975年)
- トラック野郎・望郷一番星(1976年)
- トラック野郎・度胸一番星(1977年)
- ワイルドスピードX2及びワイルドスピードX3 TOKYO DRIFT ※ニットータイヤ
- 新潟日報第752号別刷「創刊70周年特集 漫画家が描くふるさと新潟 新潟マンガ王国」 - 2012年11月3日
- トーヨータイヤの広告イラストを新潟県出身者の新沢基栄が手掛け、自身の作品である『ハイスクール!奇面組』とのコラボレーションとして掲載。
CM[編集]
過去に『GARIT』・『TRANPATH』に竹野内豊・天海祐希を起用。2015年7月から放送中の『TRANPATH』テレビCMには、このCMのために書き下ろされたの楽曲『愛にこだわれ』(歌唱:平井堅)を使用している。
2022年11月からはサッカー日本代表のスポンサーに就任したことに伴い、日本代表選手をイメージモデルにしたCMが放送されている。
関連項目[編集]
- 日本ジャイアントタイヤ
- レスター・シティFC 2014-15シーズンからのオフィシャルタイヤパートナー(2018年6月末契約終了)
- ガンバ大阪 2016シーズン途中よりパートナー契約を締結
- 東急バス - 旧・日東タイヤが東急グループだったこともあり、2022年現在でもトーヨータイヤ製品を使う他、ラッピングバスの出稿や新製品のテストなどで関係がある。
脚注[編集]
注釈[編集]
- ^ かつての業務提携先企業であった日東タイヤ(後の日東化工)の社名でありブランド。1980年に製造を子会社の菱東タイヤに移管したのちに本項の東洋ゴム工業が吸収合併したことからブランドを引き継いだ。
- ^ それ以前は、阪神タイガース在籍時の掛布雅之、GARITは宮川俊二を、TRANPATHは唐沢寿明や工藤静香、ジャン・アレジ・後藤久美子夫妻〈ジャン・アレジは『PROXES』のCMにも出演していた〉をそれぞれ起用していた時期があった。
出典[編集]
- ^ “沿革 | 日東化工”. 2023年5月21日閲覧。
- ^ “日本製タイヤなのに北米で大人気! ニットータイヤっていったい何者?”. ベストカーWeb. 2023年5月21日閲覧。
- ^ 伊丹新本社を稼働 東洋ゴム工業プレスリリース 2017年5月29日
- ^ 東洋ゴム、社名を「TOYO TIRE」に変更 日本経済新聞 2018年2月15日
- ^ 東洋ゴム工業株式会社を「TOYO TIRE株式会社」に社名を変更 - 東洋ゴム工業 2018年2月15日(2019年1月9日閲覧)
- ^ 株式会社インプレス (2022年12月15日). “トーヨータイヤ、欧州初の自動車用タイヤ生産工場をセルビア共和国に開所”. Car Watch. 2022年12月18日閲覧。
- ^ “トーヨータイヤのセルビア工場開所式、ヴチッチ大統領が出席”. レスポンス(Response.jp). 2022年12月18日閲覧。
- ^ 株式会社インプレス (2022年12月15日). “トーヨータイヤ、欧州初の自動車用タイヤ生産工場をセルビア共和国に開所”. Car Watch. 2022年12月18日閲覧。
- ^ 研究開発・技術開発TOYO TIRES
- ^ 鈴木則文、宮崎靖男、小川晋 『映画「トラック野郎」大全集:日本最後のアナーキー・プログラム・ピクチャーの伝説』 洋泉社〈別冊映画秘宝 洋泉社MOOK〉、2010年。ISBN 978-4-86248-468-0。35頁。
- ^ 杉作J太郎、植地毅 『トラック野郎 浪漫アルバム』 徳間書店、2014年。ISBN 978-4198637927。18頁。
- ^ 『トラック野郎 浪漫アルバム』 21頁。
- ^ 『映画「トラック野郎」大全集:日本最後のアナーキー・プログラム・ピクチャーの伝説』 55頁。
- ^ 『トラック野郎 浪漫アルバム』 25頁。
- ^ 『映画「トラック野郎」大全集:日本最後のアナーキー・プログラム・ピクチャーの伝説』 75頁。
- ^ 『トラック野郎 浪漫アルバム』 33頁。
- ^ キャンペーンを後押しする新聞広告 - アドバタイムズ
- ^ 平井 堅の新曲が「TOYO TIRES」CM曲に決定、「ソレデモシタイ」をtofubeatsがリミックス - CD Journal
- ^ サッカー日本代表応援サイト
- ^ 東洋ゴム本社捜索…無許可業者に産廃委託の疑い 読売新聞 2010年12月16日
- ^ 当社に対する家宅捜索に関するお詫びとお知らせ 東洋ゴム工業ニュースリリース 2010年12月16日
- ^ “東洋ゴム工業(株)が製造した免震材料の大臣認定不適合等について”. 国土交通省住宅局建築指導課・住宅生産課 (2015年3月13日). 2015年3月18日閲覧。
- ^ http://www.chunichi.co.jp/s/article/2015101401001297.html?ref=rank
- ^ “東洋ゴム前社長ら18人書類送検 免震ゴム性能偽装容疑”. 朝日新聞 (2017年7月27日). 2017年7月27日閲覧。
- ^ “東洋ゴム子会社を起訴=免震性能偽装-大阪地検”. 時事通信 (2017年7月27日). 2017年7月27日閲覧。
- ^ “東洋ゴム子会社に罰金1千万円 免震性能のデータ偽装”. 朝日新聞 (2017年12月12日). 2020年12月20日閲覧。
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