NTTグループ
NTTグループ(エヌ・ティ・ティグループ)は、日本電信電話公社(旧電電公社)の民営化によって誕生した日本電信電話株式会社(NTT)を中核とした日本の企業グループ。
概要[編集]
NTTグループは、統括持株会社の日本電信電話(NTT)および連結子会社952社、並びに関連会社141社で構成され、総合ICT事業、地域通信事業、グローバル・ソリューション事業を主力事業としている。また資産規模、人員数、顧客数、取引先数などを含め総合的に鑑みると日本最大級の企業体である。NTT本体は民営企業であるが、日本電信電話株式会社等に関する法律(NTT法)適用のグループ会社が存在する。 2002年11月1日に商業登記規則が改正されるまでアルファベットでの社名登記ができなかったため、改正法施行前に設立された「NTT」の名がつくグループ会社の多くは、登記上、「エヌ・ティ・ティ」となっている。
経緯[編集]
再編成前[編集]
旧電電公社時代では法的な制約が厳しく、事業運営上、必要最小限の範囲で委託会社などへの出資しか認められていなかった。しかし1985年4月1日の民営化によるNTT発足に伴い、NTT法の下で郵政大臣の認可を受けた上で、その目的を達成するために必要な業務を営むことができるとされ、組織のスリム化と事業領域の拡大をめざし、新しい分野への進出をはかった。
民営化後当初のNTTグループ戦略は、子会社の設立の性格から3つの分野に分けられる。第一の分野は「事業部をNTT本体から切り離した事業分離型会社」、第二の分野は「NTT本体の専門機能を集約特化して分社化する機能分社型会社」、第三の分野は「事業領域の拡大を目指した新規事業会社」である。第一の分野として、NTTデータ通信(現:NTTデータ)。第二の分野としてNTT電力建築事業企画(現:NTTファシリティーズ)、第三の分野としてNTTソフトウエア(現:NTTテクノクロス)、ぷらら等の会社が挙げられる。
また政府によるものとして、移動体業務の分社化がなされた。1990年3月30日、郵政省は「日本電信電話株式会社法附則第2条に基づき講ずるべき措置公表」の公正有効競争の促進に移動体業務についておいて、「移動体通信分野における公正有効競争を実現するため、移動体通信業務を一両年内を目途にNTTから分離し、移動体通信業務を営むこととなる会社については、これを完全民営化する。」と明記され、翌1990年NTTの出資によりNTT移動通信企画(現:NTTドコモ)が設立された。
1995年に始まったNTTの在り方の検討による再編成に控え、同社はNTT本体からグループ会社への業務の移管を更なる推進、これまで設立してきた既存の会社の整理、再編、統合、と再編成に向けた検討と改変を進めた。
再編成後[編集]
1999年7月の再編成後、NTT(持株会社)はグループ経営を進めていく上での基本的考え方を整理し、2000年4月から4年間「NTTグループ3ヵ年経営計画」を策定具体化を進めた。この策定において、グループ会社のミッションの明確化をはかるため、グループ会社を日本電信電話会社法の規制の有無と業態により第1類から第4類に分類した。
- 第1分類(規制会社 / NTT法対象)
- 東日本電信電話
- 西日本電信電話
- 情報流通基盤としてのアクセス回線の光化等サービスの高度化・低廉化・多様化
- 財務基盤の確立とユニバーサル・サービスの安定的提供
- 地域通信市場の競争の本格化に向けた競争力強化
- 第2分類(競争会社)
- NTTコミュニケーションズ
- NTTドコモ
- NTTデータ
- 自由競争下での情報流通サービス事業の拡大
- 国際展開競争力の強化
- 第3分類(経営資源活用会社)
- NTTファシリティーズ
- NTTコムウェア
- NTT-ME各社 等
- 受託業務の効率化によるサービス提供会社(第1類及び第2類)の競争力強化
- 受託業務での技術・ノウハウを活用した事業領域の拡大等
- 第4分類(新事業開拓会社)
- NTTイノベーティブデバイス
- NTTPCコミュニケーションズ
- GrRホームネット(現:NTTぷらら) 等
- 新規事業領域の開拓
- コアコンピタンスの確立、外部パートナーとの出資・提携等による競争力の強化
- 成長ステージに合わせて上場等を検討
NTTグループ会社は、時勢に応じ随時見直しが行われている。携帯電話事業を営むNTTドコモは、2008年(平成20年)7月に地域各社を統合して1社体制に移行した。
2018年、国際市場への競争力強化を図るため、中間持株会社・NTT, Inc.を設立。NTTコミュニケーションズ、NTTデータ他5社をNTT, Inc.の傘下に収める。
2020年、NTTがNTTドコモを完全子会社化。
2022年、NTT, Inc.傘下にあったNTTコム、NTTコムウェアをNTTドコモの子会社化。これによりグループ内の長距離・モバイル通信事業はドコモグループが一元で手掛ける形をとることになった。また同年10月には、2018年より進めてきたグローバル事業の再編について、NTT, Inc.をNTTデータの海外事業会社「NTT DATA, Inc.」(NTTデータ55%、NTT45%)とした上で、NTT Ltd.をNTT DATA, Inc.の子会社とした。
2023年、同年7月付でNTTデータを持株会社・NTTデータグループと、国内事業会社・NTTデータに分割することをもって、グループのグローバル事業再編を事実上の完了とする。
グループ主要会社[編集]
参照:NTT公式ホームページ「NTTグループについて」。その他、各社ホームページ
統括持株会社[編集]
日本電信電話株式会社(NTTグループ全体の経営戦略の策定および基盤的研究開発の推進)
総合ICT事業[編集]
:携帯電話事業、国内電気通信事業における県間通信サービス、国際通信事業、ソリューション事業、システム開発事業およびそれに関連する事業など(携帯電話サービス、ドコモ光など)
株式会社NTTドコモ(通信事業、スマートライフ事業など)
【機能分担子会社】
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【新規事業子会社】
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【その他子会社】
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アジア・パシフィック
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欧州
米州
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地域通信事業[編集]
:国内電気通信事業における県間通信サービスの提供およびそれに附帯する事業など(フレッツ光、コラボ光など)
東日本電信電話株式会社(東日本地域における地域電気通信業務、及びこれに附帯する業務、目的達成業務、活用業務)
【地域子会社】
【情報通信エンジニアリング】
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【SI・情報通信処理分野】
【電話帳・印刷・ビジネスマーケティング分野】
【電話帳ビジネス・印刷分野】
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【テレマーケティング分野】
【不動産分野】
【金融・カード分野】
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【ファシリティマネジメント・福利厚生分野】
【移動体通信分野】
【クラウド分野】
【国際分野】
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【食農分野】
【畜産・酪農・資源循環分野】
【ドローン分野】
【文化芸術分野】
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【eスポーツ分野】
【コンサルティング分野】
【リスクマネジメント分野】
【その他】
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西日本電信電話株式会社(西日本地域における地域電気通信業務、及びこれに附帯する業務、目的達成業務、活用業務)
【エンジニアリング・マーケティング・コンサルティング事業】
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【SI・情報通信処理分野】
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【不動産活用等分野】
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グローバル・ソリューション事業[編集]
:システムインテグレーション、ネットワークシステム、クラウド、グローバルデータセンターおよびそれに関連する事業など(クラウドサービス、データセンタサービスなど)
株式会社NTTデータグループ(NTTデータグループの統括など)
【研究開発】
- エヌ・ティ・ティ・データ先端技術株式会社
- 株式会社NTTデータ・ニューソン
株式会社NTTデータ(国内事業会社)
【公共・社会基盤】
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【金融】
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【法人・ソリューション】
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【その他】
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株式会社NTT DATA, Inc.(海外事業会社)
北米
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EMEA・中南米
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その他[編集]
:不動産事業、エネルギー事業など
NTTアーバンソリューションズ株式会社(街づくりに係る窓口業務など)
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NTTアノードエナジー株式会社(グリーン発電事業、地域グリッド事業など)
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NTTファイナンス株式会社(ビリング・ソリューション事業、クレジットカード事業、財務サービス事業)
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NTTイノベーティブデバイス株式会社(光電融合デバイスの企画・設計・開発・製造・販売等)
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NTTアドバンステクノロジ株式会社(先端技術
開発事業)
NTTテクノクロス株式会社(先端技術開発事業)
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NTT Research, Inc.(米国カリフォルニア州)
株式会社NTT ExCパートナー
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株式会社NTTロジスコ(3PL事業)
株式会社NTTアド(広告事業)
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日本情報通信株式会社(日本アイ・ビー・エム株式会社との共同出資)
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エヌ・ティ・ティ・インフラネット株式会社(情報通信設備関連事業など)
NTTライフサイエンス株式会社(データサイエンスに係る事業など) 新医療リアルワールドデータ研究機構株式会社(京都大学との合弁会社) |
NTT・TCリース株式会社(東京センチュリー株式会社との合弁会社)
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NTTセキュリティホールディングス株式会社(中間持株会社)
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NTT Innovation Laboratory Israel LTD(イスラエル)
NTTソノリティ株式会社 SI Tech B.V. |
NTT Global Sourcing, Inc.
日本カーソリューションズ(東京センチュリー株式会社との共同出資)
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医療機関[編集]
旧逓信病院のうち以下の病院がNTTの管轄となっている。このほか東京逓信病院は日本郵政の管轄となる。NTTグループ関係者以外の患者も利用可能となっている。
- NTT東日本関東病院
- NTT東日本伊豆病院
- NTT東日本札幌病院
他の医療法人などに経営移管した病院・診療所[編集][編集]
- NTT東日本東北病院(旧東北逓信病院) - 東北医科薬科大学若林病院に改称。
- NTT東日本長野病院(旧長野逓信病院) - 朝日ながの病院に改称。
- NTT西日本金沢病院(旧金沢逓信病院) - 恵寿金沢病院に改称。
- NTT西日本東海病院 (旧東海逓信病院) - 大須病院に改称。
- NTT西日本京都病院(旧京都南逓信病院) - 洛和会東寺南病院に改称。
- NTT西日本大阪病院(旧大阪逓信病院) - 第二大阪警察病院に改称。
- NTT西日本高松診療所(旧高松逓信病院) - オリーブ高松メディカルクリニックに改称。
- NTT西日本松山病院(旧松山逓信病院) - 松山まどんな病院に改称。
- NTT西日本九州病院(旧熊本逓信病院) - くまもと森都総合病院に改称。
- NTT西日本長崎病院(旧長崎逓信病院) - 長崎あじさい病院に改称。
グループ外の類似名企業[編集]
下記はNTTのOBが設立した会社であり、当初はNTTグループ企業であったが、グループから独立したものである。現在も社名に「NTT」を付けているが、東京コンピュータサービス(TCS)のグループ企業であり、NTTグループの子会社ではない。当該企業は、創業時から下請けとしてNTTおよびNTT関連会社のソフトウェアの受託開発を中核の事業とするシステムインテグレーターである。
- NTTシステム開発株式会社(エヌ・ティ・ティ・システム開発(株))※TCSグループ企業
- NTTシステム技研株式会社(エヌ・ティ・ティ・システム技研(株))※2019年1月1日付けで、NTTシステム開発株式会社に統合された
脚注[編集]
注釈[編集]
- ^ 近年は国際的にみても通信業者の巨大化が進められ、NTT分割のモデルとされたAT&Tにおいても、かつての同根企業を再び傘下に収めるなどの動きがある。このため一部には、NTT中核企業を再統合し、世界と対抗すべきだとする意見も上がっている。
- ^ 地域会社は役員の選任・解任、利益処分について郵政省の認可が不要となったが特殊法人としての政府規制が残るものとされた。
出典[編集]
- ^ “第37期 有価証券報告書”. 日本電信電話. 2023年2月22日閲覧。
- ^ NTTグループ3ヵ年経営計画について-「グローバル情報流通企業グループ」への変革-(日本電信電話株式会社 平成12年4月12日)
- ^ “NTTグループにおけるグローバル事業の更なる成長に向けて”. 日本電信電話. 2018年8月7日閲覧。
- ^ NTTコミュニケーションズとNTTコムウェアを子会社化<2021年10月25日>(NTTドコモ)
- ^ “NTTがグループの法人向け海外事業を再編、NTTデータ傘下に統合してグローバル展開強化”. インプレス. 2023年2月22日閲覧。
- ^ “「NTT, Inc.」「NTT Limited」がNTTデータ傘下に--NTTがグローバル事業を再編”. 朝日インタラクティブ. 2023年2月22日閲覧。
- ^ “海外事業会社名称を「株式会社NTT DATA, Inc.」に決定”. 日本電信電話. 2023年2月22日閲覧。
- ^ “持株会社名称を「株式会社NTTデータグループ」、国内事業会社名称を「株式会社NTTデータ」に決定”. NTTデータ. 2023年2月22日閲覧。