LED
LED照明(エルイーディーしょうめい、英: LED lamp, LED light bulb)は、発光ダイオード (LED) を使用した照明器具のことである。
LEDを使用しているため、低消費電力で長寿命といった特徴を持つ。定格範囲内で使用する限り発光素子自身は比較的長寿命であり、熱による劣化が寿命の決定要因となる[要出典]。
LEDは、1970年代から普及している発光素子だが、当初は赤色や黄緑色といった、比較的波長の長い光しか出すことができなかった。その後、1990年代に青色LEDや純緑色LEDが発明されたことにより、光の三原色が揃い、一般的な照明に求められる白色の発色が可能となったため、照明としての応用が始まり、照明器具の主力光源となっている。
LED照明は、蛍光灯や白熱電球といった従来型の照明器具と比較すると以下の特徴を備える。
- 長寿命・高信頼性
- 白熱電球や蛍光灯の数倍以上の設計寿命で、一度設置すれば管球交換のような頻繁な交換の手間が省け、LED照明が寿命を迎えるまでの管球の購入費用を削減できる。
- 低消費電力・低発熱性
- 供給される電力の多くが発光に使われる(発光効率が高い)ため、消費電力が少ない。また、ジュール熱となって失われる電力が少ないため、熱くなりにくい。
- 耐衝撃性
- 真空管やフィラメントを必要としないため、衝撃に対して比較的強い。
- 小型・点光源
- 点光源のため発光部が小さく作れる。設置空間を小さくできるためデザイン上も利点ではあるが、放熱の工夫や配光角、すなわち光の照射範囲を広くする設計が求められる。比較的古くから存在する「下方向タイプ」などと称されるものの配光角は約120度しかなかった。これは配光角が約330度の白熱灯の1/3にも及ばず、部屋全体を見ると暗かった。その後の技術の進展はめざましいもので、2011年末にはパナソニックが約300度を達成したと発表、2015年現在では最大で約350度にまで向上している。その一方で、120度の製品は淘汰されていない。
- 高速応答性
- 熱慣性がほとんど無いLED照明は、供給電源が断続すれば、それに応じて高速度で明滅するため、蛍光灯、白熱電球や水銀灯と比較すると極めて高速で明滅するほか、明滅を繰り返すような場所にも効果がある。ヒトの目では感知できないが、点滅速度は電源が交流の場合、商用電源周波数に依存するため、ビデオカメラで映像として記録した場合に、問題となることもある。
- 直流低電圧駆動
- 1つ1つのLED発光素子は直流低電圧の電源によって発光するので、100V交流の商用電源に接続する、通常の照明のように使用するためには(基本的には)複雑な電源回路設計が必要になる。家庭の照明器具の場合は電源回路を内蔵しており、基本的に大電流をかけて高輝度発光を行うため、発熱によって素子自身や周囲の封止パッケージが劣化して行き、最悪の場合にはLED素子が損傷を受け、発光不良を起こす。これを避けて長寿命・高信頼性を実現するには、放熱性の高い筐体設計や外周に冷却用のフィンを備え付けるなど正しい放熱が求められる。そのため、LED電球は、発熱が放熱を上回らない限界の「白熱電球100W相当」ルーメンのものが目安上限として市販されている。
- その他
- 他の特徴として、内蔵した各色LEDの発光を切り替えることで、発光色を容易に変えられる。そのほか、赤外線を出さないため、放射熱も出さない。また、紫外線を出さないことで紫外線を好む虫類がほとんど寄ってこない利点がある。
基本的な発色[編集]
詳細は「発光ダイオード#白色発光ダイオード」を参照
LED素子の帯域はレーザーのような線スペクトルほどではないが、既存の光源に比べるとずっと狭く、単一のLEDで白色光を出すことはできない。
ただし、蛍光体により短波長の光を長波長の光に変換することができるので、LED自体は青色のみにして他の色は蛍光によって出すこともできる。いずれも青色LEDが必須であり、青色LEDの発明によって初めてLED照明は現実的となった。
青色LEDと黄色発光体を使ったものが最も普及している。青色LEDと赤色・緑色発光体を使ったものもあり、演色性には優れるが、高価でエネルギー効率に劣る。蛍光の帯域は広く、帯域が広いほうが演色性に優れた良質な照明なので、照明には主に蛍光体が使われる。