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頭髪

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頭髪(とうはつ)は、ヒトの頭部に生える毛である。毛髪(もうはつ)、髪の毛(かみのけ)、また単に(かみ)ともいう。

構成[編集]

毛およびそれを囲む組織である毛包から構成される器官を毛器官(hair apparatus)という。毛器官は口唇、手掌、足底などを除く全身の皮膚に存在し、一般に頭部には約10万本が存在している。毛器官には触覚に関わる知覚神経の補助的役割があり、頭髪の場合は外力や光線からの頭部の保護、高温や低温からの保温の役割がある。

毛の構造[編集]

毛は3重構造になっており、内側から毛髄質(メデュラ、medulla)、毛皮質(コルテックス、hair cortex)、毛小皮(キューティクル、hair cuticle)という。

毛は通常の乾燥した状態で水を12%程度含まれており、毛髪の成分中に保持されている。この中には200℃の熱で毛から離れる結合水を含む。そのほか、湿度の影響を受ける自由水や湿潤状態で毛が吸収した吸着水がある。

毛皮質同士や毛小皮同士、または毛皮質・毛小皮間をつなぎ合わせる役割としてCMCがあり、水や薬剤の通り道にもなる。特に毛小皮同士のCMCは外側からlower-β層、σ層、upper-β層の3層に分かれている。

毛色の成分となるメラニンは毛髄質及び毛皮質に存在し、黒毛ではユーメラニン、赤毛ではフォオメラニンが多い。

毛髄質[編集]

毛髄質は役割が未解明な部分が多いものの、髪の透明感やツヤに影響を与えることが判明している。同じ人物の毛であっても、存在している・していない場合がある。規則正しい構造を持たず、ケラチンがスポンジ状で無秩序に並び、空隙や袋状の空胞を多く持つ。細い毛の場合はこの部分を持たないことが多い。

毛皮質[編集]

毛皮質は葉巻状の構造をしたもので、毛の延長方向に規則正しく並んでいる。毛の体積の85~90%を占める領域で、毛髪の水分保持や強度、髪色に大きな影響を与える。毛皮質を詳細に見ると、マクロフィブリルが数個から数十個の集まってできている。このマクロフィブリルの間には親水性の非ケラチンタンパク質があり、この中にメラニンNMF(天然保湿因子、髪の水分を一定に保つ役割を持つ)がある。マクロフィブリルは更に数個から数十個のミクロフィブリルとマトリックスで構成される。ミクロフィブリルは8本のプロトフィブリルで構成され、プロトフィブリルはフィブリル4本で構成されている。

毛皮質で形成されるケラチンは他の上皮細胞で形成されるケラチンよりも、シスチン、グリシン、チロシンの含有量が多い。シスチン、グリシン、チロシンの含有量が多い特殊なケラチンは爪などにもみられ硬ケラチン(hard keratin)という。

毛小皮[編集]

毛小皮は無色透明をした鱗状の皮。皮1枚で毛の外周の1/3~1/2程度を包み、全体としてタケノコの皮や瓦屋根のように重なった構造をしている。毛小皮(キューティクル)そのものは外側からエピキューティクル、A-層、エキソキューティクル、エンドキューティクル、inner-層の順に構成されている。

毛の体積の10~15%を占める領域で、毛のツヤや手触り、硬さに影響を与える。ブラッシングなどの物理的刺激や水・薬剤などの化学的刺激から毛を保護する役割がある。

化学的特徴[編集]

毛髪の構成は全体の8割がタンパク質でできている。その中でシスチンを含むケラチンタンパク質の割合が毛髪全体の70%程度を占め、シスチンを含まない非ケラチンタンパク質が全体の10%程度を占める。タンパク質を除いた残りがCMC脂質(脂肪酸、セラミド、コレステロール)・水分・メラニン色素・NMFなどである。

毛髪の形状が最も落ち着く等電点はpH4.5~5.5の弱酸性のとき。パーマやヘアカラーで毛髪を膨潤させるためにアルカリ性の薬剤を用いるが、施術後は弱酸性の薬剤を用いてアルカリに傾いた毛髪を元の状態を安定させる。



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