順天堂大学
順天堂大学(じゅんてんどうだいがく、英語: Juntendo University)は、東京都文京区本郷2-1-1に本部を置く日本の私立大学。1838年創立、1946年大学設置。大学の略称は順大,順天(じゅんだい, じゅんてん)。
概要[編集]
医学部を中心とした6学部構成である。江戸時代後期の1838年(天保9年)、下総佐倉藩主堀田正睦が招聘した佐藤泰然が江戸薬研堀(現在の東京都中央区東日本橋二丁目6番8号)に蘭方医学塾(和田塾)を開学。これが現在の順天堂大学の起源である。複数の大学附属病院を有する順天堂大学医学部は、約180年の日本の医学校としての歴史と伝統がある。佐藤泰然の後を継いだ順天堂の堂主(理事長)となった佐藤尚中は、1869(明治2)年、明治政府から大学大博士に任ぜられ、大学東校(東京大学医学部の前身)創設時の初代校長となり、1873年(明治6年)には順天堂医院(現在の順天堂大学医学部附属順天堂医院)を開設した。そのため東京大学医学部から病院長や教授などを多く受け入れていたが、近年は順天堂大学出身者が教授の多数を占めるようになっている。
建学の精神[編集]
「順天堂」の「順天」とは、”天道に順(したが)う”の意味。また、順天堂大学のロゴマークの基である「仁」は、順天堂大学の学是「仁」である。これは、「人ありて我あり、他を思いやり、慈しむ心」を、医療の基本として、この精神は「仁」に尽きるということである。
教育および研究[編集]
「健康総合大学・大学院大学」を自認し、医学、医療看護学、保健看護、保健医療、スポーツ健康科学、国際教養学の教育・研究を行っている。医学部では医師の育成と共に附属6病院(計約3800床)を運営している。また2つの看護学部を擁し多数の看護師・保健師を輩出している。スポーツ健康科学部では多くのアスリートやスポーツ関連の人材を輩出している。近年では臨床工学技士やデータサイエンティストを養成する学部を開設し、医療分野の人材育成を拡大している。
沿革[編集]
- 1838年(天保9年) - 佐藤泰然が、江戸薬研堀に蘭方医学塾「和田塾」を創立する。
- 1843年(天保14年) - 和田塾が佐倉に移転し、医学塾順天堂を開設する。
- 1873年(明治6年) - 東京の下谷練塀町九番地に移転し、順天堂医院を開院する。
- 1875年(明治8年) - 下谷練塀町より湯島、本郷に移転する。
- 1943年(昭和18年) - 順天堂医院が、順天堂医事研究会を母体に順天堂医学専門学校を開設する。
- 1946年(昭和21年) - 大学に昇格する。(順天堂医科大学)
- 1947年 (昭和22年) - 千葉県習志野市の旧陸軍騎砲兵連隊跡地に習志野キャンパス開設。
- 1951年 (昭和26年) - 新制大学として順天堂大学開学。体育学部(I類:体育学専攻、健康教育学専攻、II類:医学進学課程)開設。
- 1952年 (昭和27年) - 新制の医学部医学科開設。
- 1967年 (昭和42年) - 静岡県田方郡伊豆長岡町(現在の伊豆の国市)の町立伊豆長岡病院を譲り受け、順天堂伊豆長岡病院(現在の静岡病院)とする。
- 1968年 (昭和43年) - 埼玉県越谷市に順天堂越谷病院を開院。
- 1971年(昭和46年) - 体育学部を改組、体育学科と健康学科を設置。
- 1984年 (昭和59年) - 千葉県浦安市に浦安病院を開院。
- 1988年 (昭和63年)4月1日 - 習志野キャンパスを千葉県印旛郡印旛村(現在の印西市)に移転し、さくらキャンパスとして開設。
- 1989年 (平成元年) - 順天堂看護専門学校を改組し順天堂医療短期大学を開設。浦安キャンパス開設。
- 1993年 (平成5年)
- 3月 - 放送大学と単位互換協定を締結。
- 体育学部をスポーツ健康科学部に改組。
- 2002年 (平成14年) - 東京都江東区で東京都江東高齢者医療センター(現在の順天堂東京江東高齢者医療センター)の運営開始。
- 2004年 (平成16年) - 順天堂医療短期大学を改組し、医療看護学部を開設。
- 2005年 (平成17年) - 東京都練馬区に練馬病院を開院。
- 2010年 (平成22年) - 静岡県三島市に三島キャンパスを開設、保健看護学部を設置。
- 2015年 (平成27年) - 国際教養学部を設置。
- 2018年 (平成30年) - 東京医科大学が性別などによる減点操作をしていたことを発端に、医学部医学科がある全国81大学を対象に文部科学省が行った2018年の調査において、合格率の男女差が最も顕著であるという結果が出た(男子9.16%に対して女子5.50%)。これを受けて第三者委員会が設置され、調査が行われた。12月10日、大学側は女子や浪人生に対して基準点が不利になるような処理を2008年から行っていたことを認めた。(詳細は2018年に発覚した医学部不正入試問題の項目を参照のこと)。
- 2019年 (平成31年) - 保健医療学部を開設。
- 2022年(令和4年)- 7つ目の学部となる医療科学部を、新キャンパス「浦安日の出キャンパス」に開設。臨床検査技師及び臨床工学技士を養成する。
- 2023年(令和5年) - 8つ目の学部となる健康データサイエンス学部健康データサイエンス学科を開設する。このところ、毎年度連続で新学部を続々と展開し、勢力を拡大している。
- 2024年(令和6年) - 9つ目の学部となる薬学部薬学科を浦安日の出キャンパスに開設予定。また、浦安日の出キャンパスは、既存の浦安キャンパス及び順天堂大学医学部附属浦安病院からも近く、地上5階建ての校舎や体育館、テニスコート、グラウンドが設置される計画である。