阿部慎之助
阿部 慎之助(あべ しんのすけ、1979年3月20日 - )は、千葉県浦安市出身の元プロ野球選手(捕手・内野手、右投左打)、プロ野球監督。第20代読売巨人軍監督。
愛称は「慎之助」「阿部ちゃん」「慎ちゃん」
読売ジャイアンツ第18代主将(2007年から2014年まで)。
巨人では正捕手、一塁手として、8度のリーグ優勝、3度の日本シリーズ優勝に貢献。日本代表では1度のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)優勝も経験。2013年のWBCでは日本代表の正捕手を務めた。
2020年からは、読売ジャイアンツで二軍監督やコーチを務め、2024年からは原辰徳の後任として指揮を執ることとなる。
経歴[編集]
プロ入り前[編集]
元実業団野球チーム・電電東京に所属した阿部東司の第2子(1歳上の姉と3歳下の妹がいる)として誕生。慎之助の名は母親が池畑慎之介(ピーター)の大ファンだったことから名付けられた。父は掛布雅之と習志野市立習志野高等学校で同期であり、掛布とクリーンナップを組み、掛布が3番・父が4番を打ち、全国高等学校野球選手権大会に出場経験がある。その影響もあり、幼い頃から阪神タイガースファンで掛布に憧れ左打ちになった。ただし、掛布の存在も大きかったが直接的な理由は小学校低学年で右目を悪くしたことで父親から勧められたことだという。また父もポジションは捕手、中央大学と共通している。父の勧めもあり、浦安市野球協会学童部所属・軟式少年野球チーム・浦小クラブに所属。その縁で浦安市野球協会で阿部慎之助杯争奪少年野球大会を協賛している。
浦安市立浦安中学校から安田学園高等学校へ進学。高校では通算38本塁打を打つ。中央大学商学部に進学し3年生春まで東都大学野球連盟2部リーグでプレーする。2部リーグ通算51試合出場、186打数58安打、打率.312、12本塁打、41打点。花田真人との強力バッテリーで、3年生春に2部優勝し、入替戦を制したことで秋にチームは1部昇格。1部リーグ通算28試合出場、92打数27安打、打率.293、5本塁打、19打点。ベストナイン1回。2000年9月にはシドニーオリンピック代表に選ばれた。 大学3年時にはアマチュアの有力選手をプロのキャンプへの派遣する制度によって日本ハムのキャンプに参加。シート打撃で当時日本ハムのエースだった岩本勉からバックスクリーンへ特大の本塁打を打った。 中大時代は打撃には定評があり、(捕手以外の)野手への転向を勧められることもあったが固辞した。2000年11月のドラフト会議において、ドラフト1位(逆指名)で読売ジャイアンツに入団。契約金の最高標準額(1億円プラス出来高払い5000万円)で契約した。
タイトル[編集]
- 首位打者:1回(2012年)
- 打点王:1回(2012年)
- 最高出塁率:1回(2012年)
表彰[編集]
- 最優秀選手:1回(2012年)
- ベストナイン:9回(捕手部門:2002年、2007年 - 2014年) ※捕手部門で9度受賞はセ・リーグ最多タイ(他に古田敦也)、8年連続は歴代2位タイかつセ・リーグ最長タイ(他に森昌彦)
- ゴールデングラブ賞:4回(捕手部門:2002年、2008年、2013年、2014年)
- セ・リーグ連盟特別表彰:1回(功労賞:2019年)
- 正力松太郎賞:1回(2012年)※選手として表彰
- 月間MVP:6回(2004年4月、2009年9月、2010年6月、2012年6月、2012年8月、2012年9月)
- 日本シリーズMVP:1回(2009年)
- 日本シリーズ優秀選手賞:1回(2012年)
- 日本シリーズ特別賞 - みんなで選ぶコナミ賞:1回(2012年)
- 最優秀バッテリー賞:6回 ※6回選出は歴代最多タイ記録
- 2002年 投手:上原浩治
- 2007年 投手:高橋尚成
- 2008年 投手:セス・グライシンガー
- 2009年 投手:ディッキー・ゴンザレス
- 2012年 投手:内海哲也
- 2014年 投手:菅野智之
- オールスターゲームMVP:2回(2007年第2戦、2010年第1戦)
- オールスターゲーム敢闘選手賞:1回(2015年第1戦)
- ホームランダービー優勝:1回(2012年第3戦)
- 優秀JCB・MEP賞:2回(2004年、2005年)
- 最優秀JA全農Go・Go賞:1回(2011年)
- JA全農Go・Go賞:2回(最多盗塁阻止賞:2011年8月、最多二・三塁打賞:2011年9月)
- 東京ドームMVP:3回(2005年、2011年、2012年)
- 日韓クラブチャンピオンシップMVP:1回(2009年)
- セ・パ交流戦 日本生命賞:1回(2010年)
- 月間サヨナラ賞:1回(2012年8月)
- 「ジョージア魂」賞:1回(2011年度第7回)
- 日本プロスポーツ大賞:1回(2012年)
- スピードアップ賞:1回(2013年)
- 報知プロスポーツ大賞:3回(2007年、2012年、2013年)
- ヤナセ・ジャイアンツMVP賞:2回(2007年、2012年)
- 月間アットホームヒーロー賞:5回(2013年3月・4月、2014年8月、2015年7月、2016年6月、2017年3月・4月)
- タニタ健康大賞(2019年)
- 紺綬褒章:1回(2021年)
記録[編集]
- 初記録
- 初出場・初先発出場:2001年3月30日、対阪神タイガース1回戦(東京ドーム)、8番・捕手で先発出場、5打数2安打4打点
- 初打席・初安打・初打点:同上、2回裏に星野伸之から右中間へ2点適時二塁打
- 初盗塁:2001年4月11日、対中日ドラゴンズ2回戦(ナゴヤドーム)、9回表に二盗(投手:井本直樹、捕手:鈴木郁洋)
- 初本塁打:2001年4月13日、対横浜ベイスターズ1回戦(東京ドーム)、5回裏に河原隆一から右中間へ先制ソロ
- 初死球:2001年4月15日、対横浜ベイスターズ3回戦(東京ドーム)、4回裏にシェーン・バワーズから
- 節目の記録
- 100本塁打:2005年8月10日、対横浜ベイスターズ14回戦(東京ドーム)、4回裏に三浦大輔から右越ソロ ※史上241人目
- 150本塁打:2008年5月3日、対東京ヤクルトスワローズ7回戦(明治神宮野球場)、9回表に五十嵐亮太から右越3ラン ※史上146人目
- 1000試合出場:2009年5月4日、対阪神タイガース6回戦(阪神甲子園球場)、8番・捕手で先発出場 ※史上430人目
- 1000安打:2009年6月8日、対東北楽天ゴールデンイーグルス4回戦(東京ドーム)、6回裏に井坂亮平から左前安打 ※史上253人目
- 200本塁打:2009年9月18日、対東京ヤクルトスワローズ20回戦(明治神宮野球場)、7回表に加藤幹典から中越3ラン ※史上95人目
- 250本塁打:2011年5月18日、対東北楽天ゴールデンイーグルス2回戦(日本製紙クリネックススタジアム宮城)、7回表に永井怜から右越ソロ ※史上55人目
- 100死球:2012年6月30日、対中日ドラゴンズ8回戦(東京ドーム)、3回裏に小笠原孝から ※史上18人目
- 1500試合出場:2013年4月4日、対横浜DeNAベイスターズ2回戦(横浜スタジアム)、4番・捕手で先発出場 ※史上177人目
- 1500安打:2013年4月7日、対中日ドラゴンズ3回戦(東京ドーム)、7回裏に小林正人から右前安打 ※史上113人目
- 300本塁打:2013年4月21日、対広島東洋カープ6回戦(MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島)、7回表に中村恭平から右越2ラン ※史上38人目(捕手では野村克也・田淵幸一に次いで3人目)
- 1000打点:2014年6月7日、対埼玉西武ライオンズ4回戦(東京ドーム)、5回裏に岸孝之から右越ソロ ※史上42人目(捕手では野村克也・田淵幸一・古田敦也・谷繁元信に次いで5人目)
- 3000塁打:2014年7月25日、対中日ドラゴンズ13回戦(ナゴヤドーム)、2回表に大野雄大から遊撃内野安打 ※史上53人目
- 300二塁打:2014年9月21日、対東京ヤクルトスワローズ22回戦(東京ドーム)、1回裏に小川泰弘から左中間へ適時二塁打 ※史上62人目
- 350本塁打:2015年7月1日、対広島東洋カープ13回戦(東京ドーム)、8回裏に戸田隆矢から中越ソロ ※史上28人目
- 2000試合出場:2017年5月20日、対横浜DeNAベイスターズ8回戦(横浜スタジアム)、4番・一塁手で先発出場 ※史上50人目
- 3500塁打:2017年8月3日、対東京ヤクルトスワローズ16回戦(明治神宮野球場)、1回表に星知弥から中前安打 ※史上29人目
- 2000安打:2017年8月13日、対広島東洋カープ20回戦(MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島)、9回表に今村猛から右前安打 ※史上49人目
- 400本塁打:2019年6月1日、対中日ドラゴンズ10回戦(東京ドーム)、6回裏に田島慎二から右越ソロ ※史上19人目
- 350二塁打:2019年6月13日、対埼玉西武ライオンズ3回戦(メットライフドーム)、7回表に粟津凱士から中越二塁打 ※史上42人目。
- 150死球:2019年8月9日、対東京ヤクルトスワローズ18回戦(東京ドーム)、5回裏に小川泰弘から ※史上5人目
- その他の記録
- 月間16本塁打:2004年4月 ※プロ野球2位タイ
- 捕手としての年間最高打率記録:.3404(2012年)
- 捕手として通算400本塁打・350二塁打 ※セ・リーグ初、史上2人目
- 通算死球:152(左打者最多記録)
- 奪本塁打投手人数:233 ※歴代2位、セ・リーグ記録
- 交流戦通算60本塁打 ※セ・リーグ記録
- オールスターゲーム出場:13回(2003年、2004年、2006年 - 2015年、2017年)
- WBCでの記録
- 1イニング2本塁打(第3回WBCオランダ戦:2013年3月12日)
背番号[編集]
- 10(2001年 - 2019年)
- 80(2020年 - 2023年)
- 83(2024年 - )
登場曲[編集]
- 「We Will Rock You」Five feat. Queen(2001年)
- 「Shining Star」Backstreet Boys(2001年)
- 「Punk」Gorillaz(2001年)
- 「Nasty Girl」Destiny's Child(2001年)
- 「September」Earth, Wind & Fire(2002 - 2003年、2007年 - 2019年)
- ファンや応援団が歌詞に合わせて「ホームラン、阿部 慎之助」とコールすることがある。
- ビジター戦での打席入場の際にも、応援団がトランペットで演奏するケースがある。この場合でも、上記のコールが起きる場合もある。
- 歌詞の序盤に「Do you remember The 21st night of September?(9月21日の夜を覚えているかい)」とあるが、阿部は首位打者と最多打点を獲得した2012年と現役を引退した2019年の2度、9月21日のナイトゲームに出場し優勝を経験している。
- 「Minority」Green Day(2002年)※走者なし時
- 「Touch the sky」Zeebra(2004年)
- 「Shake Ya Tailfeather」Nelly, P. Diddy & Murphy Lee(2004年)
- 「Lose My Breath」Destiny's Child(2005年)
- 「We Will Rock You(グアムDJ MIX)」Queen(2006年)
- 「FRIENDS」MINMI(2006年)
- 「サマータイム!」MINMI(2010年)※ランダム使用
- 「ライバル」湘南乃風(2016年)※1打席目
- 「前向き」lecca(2017年)※1打席目
- 「ど真ん中」lecca(2017年)※2打席目
- 「TODAY」lecca(2017年 - 2019年)
- 「Higher」lecca(2018年)※1打席目
- 「みんながみんな英雄」AI(2018年)※2打席目
- 「Turn Around (5,4,3,2,1)」Flo Rida(2018年9月28日のみ)※村田修一引退セレモニーに合わせて1打席目のみ使用
- 「Azukita」Steve Aoki(2019年開幕 - 8月16日、8月25日 - 同年終了)※1打席目
- 「Boom Boom」RedOne(2019年開幕 - 8月16日、8月25日 - 同年終了)※2打席目
- 「First Sight feat. 三浦大知」lecca(2019年8月17日 - 8月24日まで)※1打席目
- 「忍」lecca(2019年8月17日 - 8月24日まで)※2打席目
- 「熱ク」lecca(2019年8月17日 - 8月24日まで)※4打席目
代表歴[編集]
- 2000年シドニーオリンピックの野球競技・日本代表
- 2008年北京オリンピックの野球競技・日本代表
- 2009 ワールド・ベースボール・クラシック日本代表
- 2013 ワールド・ベースボール・クラシック日本代表
関連情報[編集]
出演番組[編集]
- 志村けんのバカ殿様(フジテレビ、2003年1月4日) - 「日本一の男」として当時チームメイトだった元木大介と共にゲスト出演。
- 中井正広のブラックバラエティ(日本テレビ) - 当番組のレギュラー出演者達との「野球対決」では、本職の「捕手」ではなく、「投手」として、出場した。
- とんねるずのみなさんのおかげでした(フジテレビ、2012年12月13日) - とんねるずの2人にセ・リーグ二冠王達成記念のバットをプレゼントした[要出典]。
- 炎の体育会TV(TBS系)
- 2013年1月1日、- 坂本勇人、内海哲也、澤村拓一、山口鉄也、長野久義と共に出演し、ストラックアウトに挑戦した。
- 人生が変わる1分間の深イイ話(日本テレビ、2013年1月7日) - 矢野謙次と共に出演。
- 徳光和夫の週刊ジャイアンツ(日テレG+、2013年1月14日) - 坂本勇人、長野久義、藤村大介と共に出演。
- しゃべくり007(日本テレビ、2013年12月2日) - 内海哲也、長野久義、村田修一と共に出演。
著書[編集]
- 阿部慎之助の野球道(徳間書店、2020年9月29日)ISBN 978-4198650919 - ※橋上秀樹との共著。
関係文献[編集]
- 『巨人軍5000勝の記憶』 読売新聞社、ベースボールマガジン社、2007年。ISBN 9784583100296。p.88 月間16本塁打記録について。「リードと打撃の両立」、入団当時投手陣の信頼を得ることに苦労したこと等