鈴木千裕
鈴木 千裕(すずき ちひろ、1999年5月14日 - )は、日本の男性プロ総合格闘家兼キックボクサー。東京都三鷹市出身。クロスポイント吉祥寺所属。現RIZINフェザー級王者。現KNOCK OUT-BLACKスーパーライト級王者。
総合格闘家ながらキックボクシングの試合も行っている。兄はプロキックボクサーの鈴木宙樹。
来歴[編集]
兄弟で幼い頃から複数の格闘技を習っていたが、小学校の高学年になるとキックボクシングをやっている兄に勝つために、「総合格闘技をやれば全局面で強くなれる。キックボクサーは打撃しか出来ない。総合格闘家ならキックボクサーに勝てるし、何でも出来る」と考え、さらに「ボクシングでもキックボクシングでもなく、一番強いのは総合格闘技」と考えたことで総合格闘家になることを決意。小学5・6年生で総合の練習を少しずつ開始すると、中学1年の頃から田舎の道場で本格的に総合格闘技の練習を週2ペースで始め、その後、17歳でRIZINのアマチュア大会にエントリーした。
アマチュアRIZIN[編集]
2016年12月30日、RIZINが開催した、『RIZIN FF アマチュアMMA 2016 カンカCUP』のフライ級部門に出場し優勝。総合格闘技プロデビューが決定した。
総合格闘技[編集]
2017年2月5日、PANCRASE 284でプロデビュー、廣中克至と対戦し、パウンドでTKO勝利。
2018年3月11日、PANCRASE 294のフライ級ネオブラッド・トーナメントの1回戦で水谷健人と対戦し、グラウンドの肘打ちでTKO勝利。
2018年7月1日、PANCRASE 297のトーナメント準決勝で猿飛流と対戦し、3-0の判定勝ち。
2018年9月9日、PANCRASE 299のトーナメント決勝戦で杉山廣平と対戦し、3-0の判定勝ち。ネオブラッドトーナメント優勝を果たした。
2018年12月9日、PANCRASE 302で中村龍之と対戦する予定だったが、計量前日に脱水で倒れ、計量オーバーにより試合中止。
この頃は体が成長する中で過度の減量を繰り返したことで過食症のような症状になっており、階級変更を決意。また、本人曰く『総合格闘技への未練を残したまま』ではあったが、ジムの会長の意向により総合格闘技のキャリアを一時的に中断した。
キックボクシング[編集]
2019年5月26日、キックボクシングデビュー戦となったSHOOT BOXING 2019 YOUNG CEASAR CUP CENTRAL #25で、SB日本スーパーライト級7位のイモト・ボルケーノと対戦し、3-0の判定勝ち。
2019年10月4日、KNOCK OUT × REBELSで、MuayThaiOpenスーパーライト級王座とINNOVATIONライト級王座の二冠を持つ橋本悟と対戦し、1Rわずか45秒でKO勝利。
2020年2月11日、KNOCK OUT CHAMPIONSHIP.1で開催された無法島GP 64kg級トーナメントに出場。1回戦でのちのK-1王者の与座優貴(英語版)に勝利。同日の準決勝で西岡蓮太に判定で敗れた。
2021年3月13日、KNOCK OUT-BLACKスーパーライト級王座決定トーナメントの準決勝で久保政哉と対戦し、1RKO勝ち。
2021年7月18日、KNOCK OUT-BLACKスーパーライト級王座決定トーナメントの決勝で宮越慶二郎と対戦し、試合開始わずか43秒でKO勝ち。初代KNOCK OUT-BLACKスーパーライト級王座を獲得し、勝利者マイクで総合格闘技への再挑戦を発表した。
RIZIN[編集]
2021年9月19日、総合格闘技再起戦、及びにRIZINデビュー戦となったRIZIN.30で昇侍と対戦し、カウンターの左フックによりダウンを奪われるとそのままパウンドを受けて、1Rわずか20秒でTKO負けを喫した。
2021年11月28日、RIZIN TRIGGER 1stで山本空良と対戦し、3R判定勝ち。
2022年3月6日、RIZIN LANDMARK vol.2で平本蓮と対戦。1R序盤に右ストレートでフラッシュダウンを奪うなど打撃で優勢に試合を進め、その後も組みと寝技の展開で平本を圧倒し、3-0の判定勝ちを収めた。鈴木は1R開始直後の打ち合いで拳を骨折したまま試合を行っていた。
2022年9月25日、RIZIN.38で萩原京平と対戦し、カーフキックを効かされるものの2Rにリアネイキッドチョークで一本勝ちを収めた。
2022年11月6日、RIZIN LANDMARK 4で今成正和と対戦し、3-0の判定勝ちを収めた。
2022年12月31日、RIZIN.40で中原由貴と対戦し、序盤は打撃でやや苦戦する展開となるが1Rに右ストレートでKO勝ちを収めた。
2023年6月24日、RIZIN.43で王者クレベル・コイケとRIZINフェザー級タイトルマッチで対戦。しかし、クレベルが前日計量でフェザー級の規定体重を400g超過し王座を剥奪された。そのため鈴木が勝った場合のみ王座獲得、クレベルが勝った場合はノーコンテスト、クレベルにイエローカード(減点20%)が課された条件で行われた。試合は、クレベルにテイクダウンを奪われるとマウントポジションからパウンドを受け続け、最後は腕ひしぎ逆十字固めにより1R一本負け。王座獲得に失敗した。試合記録は規定によりノーコンテストとなり、王座は空位となった。
2023年7月30日、超RIZIN.2でBellator PFP 1位・元Bellatorライト級王者・現Bellatorフェザー級王者のパトリシオ・ピットブルと70kg契約で対戦し、1Rに左フックをテンプルに当ててぐらつかせると、右ストレートでKO勝ちを収めた。この勝利によりFight Matrixでライト級世界ランク12位にランクインした。また、この試合はRIZIN公式動画『RIZINファンが選ぶ2023年上半期ベストバウト』で1位に選ばれた。
RIZIN世界王座獲得
2023年11月4日、RIZIN LANDMARK 7 in アゼルバイジャンでRIZINフェザー級タイトルマッチを行い、王者ヴガール・ケラモフと対戦。1R序盤でケラモフにテイクダウンされるも、グラウンドで下の状態からケラモフの顎をかかとで打ち抜き、崩れたケラモフに下からのパンチの連打でKO勝ちを収め王座を獲得。この勝利によりFight Matrixフェザー級で世界13位から世界6位にランクアップすると共に、第5代RIZINフェザー級王者となった。
2024年5月6日、有明アリーナで行われるRIZIN.47で、RIZINフェザー級タイトルマッチを行い、金原正徳と対戦予定。
人物[編集]
密着動画[編集]
- RIZIN公式YouTubeチャンネルによる、鈴木千裕の密着動画『RIZIN Preparation』(2023)
人物[編集]
- ペルー人の父親を持つハーフ。
- 子供の頃から様々な格闘技を習っていたが、小学校高学年の時点で「全局面で強い総合格闘家が一番であり、一番カッコいいと気付いた」としている。その後も「最終的に、格闘技の本質である『一番強いのは何か?』ということを考えたら総合格闘技に行き着いた」と話している。
- 総合挌闘技のキャリア中断中にキックボクシングで王者になったが、本人はあくまで自分が『総合格闘家』であることを度々強調している。自身のYouTubeチャンネルでも稀にキックボクサーと間違われる件について、「俺は別にキックボクサーじゃないです。総合格闘家です。元々、総合格闘家なのでキックの試合でも総合格闘技の打撃と総合のスタイルで戦っています」「構えもほぼ総合格闘技の構えのままでキックのチャンピオンになれて、それを通せた」と語り、総合格闘家としての自分に誇りを持っている。また、総合に再挑戦する際にも、「元々総合格闘技がベースなので、ただ打撃能力の上がった総合格闘技の選手が総合に戻るだけ」と語っている。
- 2023年11月にRIZINフェザー級王者になったことで、KNOCKOUT(キックボクシング)とRIZIN(総合格闘技)の両団体の2冠王者となった。
戦績[編集]
総合格闘技[編集]
総合格闘技 戦績 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
16 試合 | (T)KO | 一本 | 判定 | その他 | 引き分け | 無効試合 |
12 勝 | 6 | 1 | 5 | 0 | 0 | 1 |
3 敗 | 1 | 0 | 2 | 0 |
勝敗 | 対戦相手 | 試合結果 | 大会名 | 開催年月日 |
金原正徳 | 試合前 | RIZIN.47
【RIZINフェザー級タイトルマッチ】 |
2024年5月6日 | |
○ | ヴガール・ケラモフ | 1R 1:28 KO(グラウンドパンチ) | RIZIN LANDMARK 7
【RIZINフェザー級タイトルマッチ】 |
2023年11月4日 |
○ | パトリシオ・ピットブル | 1R 2:32 KO(右ストレート) | 超RIZIN.2 | 2023年7月30日 |
- | クレベル・コイケ | 1R 2:59 無効試合(クレベルの体重超過) | RIZIN.43
【RIZINフェザー級タイトルマッチ】 |
2023年6月24日 |
○ | 中原由貴 | 1R 4:44 KO(右ストレート) | RIZIN.40 | 2022年12月31日 |
○ | 今成正和 | 5分3R終了 判定3-0 | RIZIN LANDMARK 4 | 2022年11月6日 |
○ | 萩原京平 | 2R 2:14 リアネイキッドチョーク | RIZIN.38 | 2022年9月25日 |
○ | 平本蓮 | 5分3R終了 判定3-0 | RIZIN LANDMARK vol.2 | 2022年3月6日 |
○ | 山本空良 | 5分3R終了 判定3-0 | RIZIN TRIGGER 1st | 2021年11月28日 |
× | 昇侍 | 1R 0:20 TKO(左フック→パウンド) | RIZIN.30 | 2021年9月19日 |
○ | 杉山廣平 | 3分3R終了 判定3-0 | PANCRASE 299
【ネオブラッド・トーナメント フライ級 決勝】 |
2018年9月9日 |
○ | 猿飛流 | 3分3R終了 判定3-0 | PANCRASE 297
【ネオブラッド・トーナメント フライ級 準決勝】 |
2018年7月1日 |
○ | 水谷健人 | 1R 3:00 TKO(グラウンドでの肘打ち) | PANCRASE 294
【ネオブラッド・トーナメント フライ級 1回戦】 |
2018年3月11日 |
× | 鮎田直人 | 3分3R終了 判定0-3 | PANCRASE 290 | 2017年10月8日 |
× | 川端康太 | 3分3R終了 判定0-3 | PANCRASE 287 | 2017年5月28日 |
○ | 杉山廣平 | 1R 0:08 TKO(グラウンドパンチ) | PANCRASE 285 | 2017年3月12日 |
○ | 廣中克至 | 1R 0:30 TKO(グラウンドパンチ) | PANCRASE 284 | 2017年2月5日 |
キックボクシング[編集]
キックボクシング 戦績 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
13 試合 | (T)KO | 判定 | その他 | 引き分け | 無効試合 | |
12 勝 | 10 | 2 | 0 | 0 | 0 | |
1 敗 | 0 | 1 | 0 |
勝敗 | 対戦相手 | 試合結果 | 大会名 | 開催年月日 |
○ | マルコス・リオス(英語版) | 1R 46秒 KO(右フック) | KNOCK OUT 2023 SUPER BOUT "BLAZE" | 2023年3月5日 |
○ | タップロン・ハーデスワークアウト
(英語版) |
1R 2分17秒 KO(右フック) | KNOCK OUT 2022 vol.1 | 2022年1月22日 |
○ | 宮越慶二郎 | 1R 43秒 TKO(パンチ連打) | KNOCK OUT 2021 vol.3
【KNOCK OUT-BLACKスーパーライト級王座決定トーナメント 決勝戦】 |
2021年7月18日 |
○ | 久保政哉 | 1R 1分25秒 KO(右フック) | KNOCK OUT ~The REBORN~ 1
【KNOCK OUT-BLACKスーパーライト級王座決定トーナメント 準決勝】 |
2021年3月13日 |
○ | 渥美尚也 | 1R 31秒 KO(スタンドパンチ連打) | REBELS.69 | 2020年12月6日 |
○ | 康弘 | 1R 1分17秒 KO | REBELS.67 | 2020年11月8日 |
○ | 昇也 | 3R 2分19秒 TKO | KNOCK OUT CHAMPIONSHIP.2 | 2020年9月13日 |
× | 西岡蓮太 | 3R終了 判定0-3 | KNOCK OUT CHAMPIONSHIP.1
【無法島GP 64kgトーナメント 準決勝】 |
2020年2月11日 |
○ | 与座優貴(英語版) | 3R終了 判定2-0 | KNOCK OUT CHAMPIONSHIP.1
【無法島GP 64kg級トーナメント 1回戦】 |
2020年2月11日 |
○ | 耀織 | 2R 1分39秒 KO(右ストレート) | KNOCK OUT 2019 BREAKING DAWN | 2019年11月1日 |
○ | 橋本悟 | 1R 45秒 TKO | KNOCK OUT × REBELS | 2019年10月4日 |
○ | 洋介 | 1R 1分18秒 TKO | REBELS.62 | 2019年8月10日 |
○ | イモト・ボルケーノ | 3R終了 判定3-0 | SHOOTBOXING 2019 YOUNG CEASER CUP CENTRAL #25 | 2019年5月26日 |
獲得タイトル[編集]
- 総合格闘技
- RIZIN FF アマチュアMMA 2016 フライ級 優勝
- パンクラス 第24回ネオブラッド・トーナメント フライ級 優勝(2018年)
- 第5代RIZINフェザー級王座(2023年)
- キックボクシング
- 初代KNOCK OUT-BLACKスーパーライト級王座(2021年)