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記憶

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記憶(きおく)とは、

  • ものごとを忘れずに覚えていること。また覚えておくこと。
  • (心理学)過去の経験の内容を保持し、後でそれを思い出すこと。
  • (心理学)将来に必要な情報をその時まで保持すること。
  • (生物学)生物に過去の影響が何らかの形で残ること。
  • (コンピュータ)必要な情報を保持しておくこと。メモリ (曖昧さ回避)を経て各記事を参照のこと。

この記事では主として人間(ヒト)の記憶について説明する。

概説[編集]

人間の記憶の分類法はさまざまである。よって、ここではスクワイアの記憶分類を基にしたモデルについて述べる(他の分類も提唱されている)。記憶は感覚記憶、短期記憶、長期記憶の3つに大きく分類される。自伝的記憶、展望的記憶という概念を提唱する学者もいる。大脳辺縁系の海馬という部分で、記憶が作られる。

感覚記憶[編集]

感覚記憶(sensory memory)とは、外部からの刺激を与えた時に起こる、最大1~2秒ほどの最も保持期間が短い記憶である。各感覚器官に特有に存在し、瞬間的に保持されるのみで意識されない。外部からの刺激を与えた時の情報は、まず感覚記憶として保持され、そのうち注意を向けられた情報だけが短期記憶として保持される。

短期記憶[編集]

短期記憶(short-term memory, STM)とは、記憶の二重貯蔵モデルにおいて提唱された記憶区分の一つであり、情報を短時間保持する貯蔵システムである。一般に成人における短期記憶の容量は、7±2(5から9まで)程度と言われている。この仮説は心理学者のジョージ・ミラーが提示したものであり、7±2という数はマジカルナンバー(magical number)と言う。このマジカルナンバーは、まとまりのある意味のかたまりである「チャンク」という単位で示される。

短期記憶の情報は時間の経過とともに忘却されるが、維持リハーサルによって情報の保持時間を伸ばすことができる。リハーサルが妨げられた場合、数秒から十数秒で情報は忘却される。脳科学者は短期記憶の忘却が未使用の記憶を脳から取り除き、より新しく、より有用な記憶に道を譲るので、むしろ人間にとって有益であると考えている。

また短期記憶の情報はリハーサルにより長期記憶に転送されると言われている。

短期記憶の分かり易い例であると、感情がこもっているかこもっていないかで簡単に分けられる。長期記憶の場合は、自分が感じた感情が強ければ強い程覚える。反対に自分の感じた感情が弱い程覚えていないのが短期記憶である。

多くの研究によると、後ろ向きに歩いたり、後ろ向きに歩いていると想像したり、後ろ向きに歩いているビデオを見たりした人は、後ろ向きに歩くことはあなたの短期記憶を後押しするのに役立つかもしれないと示唆した。虚偽の記憶を誘発することなく、できるだけ正確な情報を入手できる。後ろ向きに歩いた人は、年齢やその他の要因に関係なく、より多くの目撃に関する質問に正しく答える可能性が非常に高いことを発見した。

ハーバード大学心理学部は、たとえば犯罪を目撃した場合など、最近の出来事の詳細を思い出すのに役立つと述べてる。人々が前進したときよりも後退したときの方が短期記憶が優れている。

短期記憶を発展させた作動記憶という概念が提唱されている。ワーキングメモリは短期的な情報の保存だけでなく、認知的な情報処理も含めた概念である。容量には個人差があり、その容量の差がある課題での個人のパフォーマンスに影響を与えていると言われている。ワーキングメモリは中央制御系、音韻ループ、視空間スケッチパッドからなる。

中央制御系
音韻ループと視空間スケッチパッドを制御し、長期記憶と情報をやりとりするシステムである。
音韻ループ
言語を理解したり、推論を行うための音韻情報を保存するシステムである。
視空間スケッチパッド
視覚的・空間的なイメージを操作したり、保存したりするシステムである。

長期記憶(long-term memory, LTM)とは、記憶の二重貯蔵モデルにおいて提唱された記憶区分の一つであり、大容量の情報を保持する貯蔵システムである。二重貯蔵モデルにおいては、一旦長期記憶に入った情報は消えることはないとされた。

長期記憶の忘却の原因については、減衰説と干渉説、さらに検索失敗説が存在する。減衰説とは、時間の経過とともに記憶が失われていくという説である。干渉説とは、ある記憶が他の記憶と干渉を起こすことによって記憶が消えるという説である。検索失敗説とは、想起の失敗は記憶された情報自体が消失しているのではなく、適切な検索手がかりが見つからないため、記憶内の情報にアクセスできないという説である。 β-エンドルフィン(=脳内ホルモンの一つ)が分泌されたり、A10神経が活性化すると、海馬における長期記憶が増強する。

長期記憶は陳述記憶・非陳述記憶の2つに分類される。長期記憶を近時記憶と遠隔記憶の2つに分類する説も存在する。



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