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花咲舞が黙ってない

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花咲舞が黙ってない』(はなさきまいが だまってない、英題: Hanasaki Mai Speaks Out)は、池井戸潤の経済小説『不祥事』『銀行総務特命』などを原作とするテレビドラマシリーズ、およびテレビドラマと同名の池井戸の小説。

2014年に漫画化され、テレビドラマ第2シリーズ終了後の2016年には同名タイトルの小説が『読売新聞』の朝刊に連載され、2017年9月に文庫本が中公文庫から刊行された(小説については後述を参照)。

「花咲舞が黙ってない」の表記は誤り。

本稿では便宜上、第1シリーズをS1、第2シリーズをS2、第3シリーズをS3とする表記を適時用いる。

概要[編集]

メガバンク・東京第一銀行の臨店班、花咲舞と相馬健のコンビが、銀行内の様々なトラブルを解決してゆく。

臨店班とは問題を起こした支店へ直接出向き、業務改善できるように指導・支援し、解決を図る部署である。支店の問題点を洗い出すという仕事の性質上、臨店先ではあまり歓迎されず、行員の協力もなかなか得られない中で、花咲と相馬が奮闘する。

S1・S2(概要)[編集]

原作は花咲シリーズの『不祥事』以外に同じ池井戸潤の、指宿修平を主役とした『銀行総務特命』『銀行狐』、黒部一石を主役とした『銀行仕置人』、恋窪商太郎を主役とした『仇敵』シリーズなどの短編が、アレンジされて使用されている。

主演は杏。前年に放送された同じく池井戸原作のTBSドラマ『半沢直樹』になぞらえて、「女性版・半沢直樹」的主人公の銀行員を演じると報道された。

第1シリーズは、2014年1月23日に作者の池井戸より製作が発表され、同年4月16日から6月18日まで日本テレビ系の「水曜ドラマ」枠で放送された。主演の杏は、『ごちそうさん』終了後継続出演であり、また継続主演でもあった。

2015年3月27日に第2シリーズの製作が発表され、同年7月8日から9月16日まで第2シリーズが前作と同じ水曜ドラマ枠で放送された。本作ではあえて続編を意図とする「パート2」や「続」といった文言をタイトルに入れず、相馬役の上川隆也は「花咲舞の物語は、何も変わらず、再び幕を開けるのです」と記者会見で述べている。

S3(概要)[編集]

2024年4月13日から第3シリーズが放送中。新ドラマ枠「土ドラ9」の第1作。

主演の花咲を今田美桜、相馬を山本耕史にキャストを一新し、ドラマと同名タイトルの『花咲舞が黙ってない』を原作として映像化される。

S1・S2で相馬を演じた上川は、S3では舞の叔父・花咲健役で出演する。また、原作に半沢直樹が登場することからドラマでも第5話から登場し、同役として、劇団ひとりが起用された。

舞が支店の窓口係から臨店班に異動するところから物語が再始動しており、S1・S2での出来事はリセットされている。

キャスト[編集]

キャストについては『不祥事』を下敷きにしている。詳細な人物説明は不祥事 (小説)#登場人物を参照。

主要人物[編集]

花咲舞〈26〉 → 〈27〉 / 〈27〉
演 - 杏(S1・S2) / 今田美桜(S3)
支店統括部 臨店班。かつて赤坂支店、中野支店で明るく親切で頼りになるテラー(窓口係)として同僚や顧客から人気があったが、突然臨店班に異動を命じられる。正義感が強く、不正行為やメガバンク独自の理不尽な慣習の犠牲になる人々を見過ごす事ができずに、間違っていると思った事は徹底的に追及する。しかし行員の粗探しをするような臨店の仕事には戸惑いを感じており、時に思い悩む。
臨店先では邪魔者扱いされる事が多く、そのことで不満を顔に出しそうになると、すぐに相馬からストップをかけられる。納得いかない命令に反論する時は「お言葉を返すようですが」と切り出し、悪事を暴かれた相手が「黙りなさい!」と声を荒らげると、「(いいえ)黙りません!」「そんなの絶対間違ってます!」と言い返すのがお約束。
テラーとしてのスキルは抜群に優秀で、臨店先でも一目置かれるほど。事件の解決も事務処理能力を駆使して行う事が多い。
相馬とは遠慮なく言い合いをする仲だが、食べる事が好きという点では意気投合する。
原作ではオヤジのようなキャラだが、ドラマ版の舞はより親しみやすくなっていて、仕事を離れれば同僚の女子行員達と飲み会で盛り上がったり、彼氏がいないことを周囲からからかわれたり心配されたりと、普通の女性らしい部分も描かれている。
相馬健〈42〉 → 〈43〉 / 〈45〉
演 - 上川隆也(S1・S2) / 山本耕史(S3)
支店統括部 臨店班 調査役。かつて中野支店でも舞の上司だったが、歯に衣着せぬ物言いをする舞は最も苦手な部下であった。第1シリーズから6年前は丸の内支店の優秀な融資課行員で部下だった松木に現在も尊敬されているが、当時の上司・新田の策略にはまり出世コースを外れ、地方店の営業課に異動させられる。その時は自暴自棄になっていて妻とも離婚し、現在は独身。
こうした挫折経験から銀行内の理不尽な慣習は仕方ないと諦めていて、臨店班に移った当初は波風のたたないよう心がけて仕事をしていたが、舞とコンビを組みその言動に呆れながらもサポートするうちに徐々に考えを改め、自らも事件の解決に動くようになる。
飄々としていながら冷静で的確な判断力の持ち主で、特に融資関係のトラブル処理では高い能力を発揮する。これまで培って来た幅広い人脈も強み。言いたい事をすぐ口に出す舞の暴走には日々手を焼いているが、困っている人に寄り添おうとする舞の姿勢には共感している。
食べ歩きが趣味でグルメガイドを持ち歩いており、臨店に行った街で何を食べるかが大きな関心事となっている。舞の父・幸三(S3では舞の叔父・健)が作る料理にはまり、居酒屋「花咲」(S3では花さき)の常連客になる。
S3では暇を見つけては臨店班の執務室や臨店先で筋トレに励んでいる。
真藤毅〈55〉 → 〈56〉
演 - 生瀬勝久(S1・S2)
常務執行役員 経営企画本部長 (S1)→常務取締役(S2)。
将来の頭取候補の一人で、真藤派閥を形成している。銀行の名誉と利益を第一に考え、行員の犠牲はやむを得ないという冷徹な思考の持ち主。次々に不祥事を暴く臨店班を快く思っておらず目の敵にする。問題が起きると外部に漏れない事を最優先にするが、銀行の名誉を傷つけるような不正をおかした者には厳しく対処する。何よりもまず銀行を守るという彼のポリシーとは相容れないものの、組織の間違いを正そうとする舞の事は青臭い、無鉄砲と言いながらも密かに買っているようである。組織の内部改革を押し進める中で臨店班の解体も考えていたが、銀行を変えたいという舞の決意を聞き、しばらく様子を見るという判断をくだして臨店班の存続が決まった。
S2では次期頭取の座を巡って堂島に激しいライバル心を抱く。堂島派の支店長の失態に表向きは寛容な態度を取るが、実は密かに喜んでいる。同時に、自分の派閥の支店長の首を飛ばした臨店班への警戒をますます強める。
しかしS2最終回で、5年前に蔵中建設からの賄賂が当時の融資部長だった真藤の銀行口座に振り込まれていた事が明るみに出る。実際に賄賂を受け取ったのは頭取の芹澤で、真藤の口座は利用されていたのだが、頭取のスキャンダルが発覚すれば銀行が潰れかねないと真実を隠して自分が罪をかぶろうとする。しかし役員会で臨店班が真実を暴き、「上司のミスの責任を部下に取らせるような銀行は変わらなければいけない」という舞の言葉もあって、隠蔽は銀行のためにならないと翻意し、芹澤頭取の不正を告発して自らもそれを知りながら黙認していた事を認めた。その責任を取って子会社へ出向となったが、去り際に、臨店の二人には、近いうちにまた東京第一銀行に戻って来るとの言葉を残した。
昇仙峡玲子(しょうせんきょう れいこ)〈42〉
演 - 菊地凛子(S3)
本部・経営企画部に所属し、いずれは東京第一銀行初の女性取締役、頭取を狙えると言われるエリート。企画部長の紀本からの行内の不都合な事実を隠ぺいする特命担当の任を受け、臨店班の花咲や相馬と対立する。

東京第一銀行本部[編集]

辛島伸二朗〈56〉 → 〈57〉 / 〈54〉
演 - 榎木孝明(S1・S2) / 神尾佑(S3)
支店統括部長。穏やかな人格で行内の実力者。銀行の旧弊な体質を変える事を期待して若い舞を抜擢し、相馬とコンビを組ませる。
芝崎太一〈44〉 → 〈45〉 / 〈50〉
演 - 塚地武雅(S1・S2) / 飯尾和樹(ずん)(S3)
支店統括部・次長。舞と相馬の直属の上司に当たり、常に「大変だー」と言いながら臨店班に仕事を持ち込んで来る。行内の噂話に詳しい。幼少期には警察官(刑事)に憧れていた。
児玉直樹〈42〉 → 〈43〉
演 - 甲本雅裕(S1・S2)
経営企画本部・次長(S1)→秘書室次長(S2)。
真藤派閥のリーダー。真藤の事を恐れながらもその忠誠心は厚く、真藤がトラブルに巻き込まれたときは救おうとする。真藤の命を受け臨店班の動向を監視している。相馬とは同期入社。
堂島正吾〈58〉
演 - 石橋凌(S2)
専務取締役。ニューヨーク支社から戻り次期頭取争いに名乗りをあげた豪腕バンカー。着任早々、真藤に「君のやりたいようにはさせない」と宣言し、真藤への牽制のために臨店班を利用する時もある。
S2最終回にて、役員会議で芹澤頭取の不正が発覚した際にすかさず解任に追い込み、新頭取の座を掴んだ。前頭取の背任行為発覚で銀行の信用が落ち困難な中での頭取就任であったが、就任挨拶では行員達に向け、旧い銀行を変えて行くために行員達の力を貸してほしいと訴えた。
松木啓介〈30〉
演 - 成宮寛貴(S2)
五反田支店 融資課。入行当時は丸の内支店に所属していて相馬が直属の上司で熱心に指導してくれたため彼を尊敬している。また花咲にはその熱い仕事ぶりに好意を抱いていて何度か食事に誘うが、花咲はその思いに気づかず、毎回相馬も一緒に3人で食事をする事になる。
S2の第7話で担当した会社のクレジットファイルを盗まれるという事件を起こしてしまい、責任を負って岡山支店(営業課)へ異動になる。一度バツがついたら銀行では終わりだと落ち込むが、舞から励まされた事で、どこにいても自分に出来る事をやろうと再起を誓いながら新しい赴任先へと旅立って行った。
紀本平八〈48〉
演 - 要潤(S3)
経営企画部長。産業中央銀行との合併を前に行内を見渡して不都合な事実を洗い出し、東京第一銀行側の不利益になることを隠ぺいする特命担当に昇仙峡を任命する。
川野直秀
演 - 平原テツ(S3)
昇仙峡の亡き恋人。相馬の同期。元京橋支店 融資課長。
牧野治
演 - 矢島健一(S3)
頭取。紀本や昇仙峡が属する派閥のトップ。

産業中央銀行[編集]

半沢直樹(はんざわ なおき)
演 - 劇団ひとり(S3)
経営企画部次長。
野村芳行
演 - 森下じんせい(S3)
経営企画部長。
景山誠吾(かげやま せいご)
演 - 三浦浩一(S3)
頭取。

舞の家族[編集]

花咲幸三〈60〉 → 〈61〉
演 - 大杉漣(S1・S2)
舞の父。自宅の一階を改装した居酒屋「花咲」を営む。ドラマオリジナルキャラクター。妻を早くに亡くし、男手ひとつで舞を育てて来た。元々はサラリーマンだったが妻亡き後、家の食事を作るようになり、そこから発展して現在の店を開き、今では近所の人や舞の同僚達の憩いの場となっている。
気立てがいい好人物で、娘の将来を心配する。娘の夢はバンカーの妻になる事だと信じていて、独身の男性バンカーが店を訪れるとすぐに舞と結びつけたがる。
S3の第2話で北海道で農家になると店を弟の健に引き継いだと舞が語っている。
花咲健(はなさき けん)〈58〉
演 - 上川隆也(S3)
舞の叔父。「酒肴処・花さき」の店主。舞からは健ちゃんと呼ばれている。舞が銀行に就職したのをきっかけに、ある企業の法務担当だったが脱サラして兄の店を引き継ぐ。姪の舞に悪い男が近づかないか気を揉んでいる。 妻の直美とは5年前から別居中。


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