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能登半島地震 (2024年)

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能登半島地震(のとはんとうじしん)は、2024年(令和6年)1月1日16時10分(JST)に、日本の石川県能登半島にある鳳珠郡穴水町の北東42 kmを震央として発生した地震。地震の規模は気象庁マグニチュード(Mj)7.6、震源の深さは16 km(いずれも暫定値)。観測された最大震度は、石川県輪島市と羽咋郡志賀町で観測された震度7。地震による家屋倒壊や土砂災害、津波などにより、死者が200人を超えるなど、甚大な被害が発生した。

能登地方では2020年12月頃から活発な群発地震活動が続いており(能登群発地震)、2024年の地震はその中で発生した。気象庁はこの地震並びに2020年12月以降の一連の地震活動を「令和6年能登半島地震」と命名した。地震災害に対して気象庁が命名を行うのは、2018年(平成30年)9月の北海道胆振東部地震以来。

地元紙の『北國新聞』では1.1大震災能登大地震石川大震災という名称も用いられる。

概要[編集]

能登地方では、2018年ごろから地震が断続的に続いており、特に2020年12月ごろから地震活動が活発化していた(能登群発地震)。その中で、2024年1月1日16時06分に、石川県能登地方を震央とするMj5.5の地震が発生し、最大震度5強が観測された。その4分後、同日16時10分にMj7.6の地震が発生し、能登地方で最大震度7が観測されたほか、本州・四国のほぼ全域と九州・北海道の一部など、長崎県と沖縄県を除く45都道府県で震度1以上の揺れが観測された。このMj7.6の地震は、石川県能登地方で観測した地震としては、記録が残る1885年(明治18年)以降で最大規模であり、兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)や熊本地震 (2016年)のMj7.3を上回っている。この地震以降、佐渡島の西方から能登半島西方にかけての約150 kmの範囲にわたって、地震活動域が広がっている。それ以降も、余震が断続的に続いている。

この地震の発震機構は、北西 - 南東方向に圧力軸を持つ逆断層型であった。また発震機構と地震活動の分布及びGNSS観測の解析から、震源断層は北東 - 南西に延びる150 km程度の、主として南東傾斜の逆断層であると考えられている。地震調査委員会委員長で東京大学名誉教授の平田直は地震翌日の会見で、この断層は既知のものではないと説明している。

断層運動と震源周辺の活断層[編集]

宍倉正展らの研究によれば、能登半島には更新世チバニアン以降の海成段丘が発達しており、完新世に形成された3段の低位段丘面も認められていた。これは、過去数十万年からごく最近まで地盤が隆起していたことを示しており、この隆起は主に地震時の断層運動によって生じたという。本地震では能登半島北部で最大約4 mの隆起が生じており(後述)、鹿磯漁港の北では約3.6 mの隆起により波食棚が干上がった様子が確認された。宍倉らはこれを4段目の完新世低位段丘面が新たに生じたと解釈している。

東京大学地震研究所の石山らや産総研の宍倉によると、2024年の地震で大きな隆起が観測された地域では、宍倉らの研究で報告された完新世低位段丘面も周囲と比べて標高が高く、本地震による隆起量と低位段丘面の旧汀線高度が近似しているという。これはこの地域では本地震のようなマグニチュード7級の地震の繰り返しで低位段丘面を形成していった可能性があるとしている。

2007年能登半島地震以降の沿岸海域調査によって、能登半島の北岸沿岸に沿って南東側隆起の逆断層の海底活断層群が分布していることが知られていた。井上・岡村(2010)では西から東に、門前沖・猿山沖・輪島沖・珠洲沖の4つのセグメントに区分している(国交省ほか(2014)のF43に該当)。本地震は、これらの断層による活動である可能性が指摘されている。また、珠洲沖セグメントの北東延長上には北西傾斜の逆断層が分布しており、余震もこの断層に沿っても分布しているが、本地震とこの断層との対応関係は不明。

本地震以前に提示されていた断層モデル資料としては、日本海における大規模地震に関する調査検討会(2014)のF43、日本海地震・津波プロジェクト(2015)のNT4、石川県(2023)の津波浸水想定区域図における能登半島北方沖などが存在していた。一方で、石川県(2023)の想定地震断層には含まれておらず、地震調査委員会も一連の群発地震活動の評価にて能登半島北岸の活断層の存在を記述していたが、長期評価は行われていなかった。

京都大学防災研究所の解析によると、震源となった石川県珠洲市付近から南西方向に延びる断層が動いた13秒後に北東方向に延びる断層が連動(いずれもM 7.3相当)して動いた連動型地震の可能性が指摘されており、前者は能登半島沿岸部の隆起、後者は津波の発生に関わっている可能性がある。

各地の揺れ[編集]

石川県輪島市・羽咋郡志賀町で震度7、七尾市・珠洲市・鳳珠郡穴水町・同郡能登町で震度6強、鹿島郡中能登町(以上いずれも石川県)と新潟県長岡市で震度6弱をそれぞれ観測した。日本で震度7を記録した地震は2018年(平成30年)の北海道胆振東部地震以来、7回目で、石川県では初めて震度7を観測した。

また富山県では震度観測が計測震度に移行した1996年以降初めて最大震度5強を観測し、これは2007年の能登半島地震で観測した震度5弱を上回り、同県内で観測された震度としては1996年以降最大である。

長周期地震動に関する観測情報
階級 都道府県 観測点名
4 石川県 七尾市本府中町、志賀町富来領家町
3 新潟県 上越市大手町、小千谷市城内、南魚沼市六日町、新潟空港、新潟市中央区美咲町 、新潟市秋葉区程島、新潟市西蒲区役所
富山県 魚津市釈迦堂、朝日町道下、高岡市伏木、小矢部市泉町
石川県 羽咋市柳田町、金沢市西念、津幡町加賀爪
長野県 諏訪市湖岸通り
2 秋田県 能代市緑町
山形県 酒田市亀ケ崎、遊佐町遊佐・小原田、河北町吉田、米沢市駅前
茨城県 坂東市岩井、筑西市舟生
埼玉県 熊谷市桜町、久喜市下早見、さいたま市浦和区高砂
千葉県 多古町多古、一宮町一宮、千葉市中央区中央港、千葉市美浜区ひび野、成田国際空港、柏市旭町、浦安市日の出
東京都 千代田区大手町、港区海岸、新宿区西新宿、墨田区横川、江東区青海、東京国際空港、杉並区阿佐谷、江戸川区中央
神奈川県 横浜市鶴見区大黒ふ頭、川崎市中原区小杉陣屋町
新潟県 上越市中ノ俣、長岡市幸町、出雲崎町米田、五泉市村松乙、胎内市新和町、佐渡市相川金山・相川三町目
富山県 富山市石坂・八尾町福島、立山町吉峰、南砺市天池
石川県 輪島市舳倉島・鳳至町、能登町宇出津、小松市小馬出町、加賀市直下町
福井県 福井市豊島
長野県 長野市箱清水、軽井沢町追分、安曇野市穂高支所
愛知県 名古屋市千種区日和町、愛西市稲葉町
三重県 四日市市日永、鈴鹿市西条
大阪府 関西国際空港
兵庫県 西宮市宮前町
和歌山県 紀の川市粉河

緊急地震速報[編集]

16時10分10.0秒の地震波の検知から6.0秒後の第1報で石川県能登地方で震度5弱から5強程度の揺れを観測すると予測され、緊急地震速報(警報)が発表された。検知から33.1秒後の第20報と57.1秒後の第30報においても警報が発表され、発表範囲は北陸から信越、東北、関東、東海、近畿地方に至る21県に拡大した。

一連の地震[編集]

2024年1月1日16時06分の最初の地震、それに続く最大震度7を観測した同日16時10分の地震以降、余震が数分おきに頻発しており、最大震度5弱以上の地震が度々観測されている。最大震度5弱以上の地震は以下の通り。

最大震度5弱以上の地震
発生日時 震央 震源の深さ 地震の規模 最大震度 最大震度観測地 出典 備考
2024年1月1日16時06分 石川県能登地方 12 km M5.5 震度5強 珠洲市 前震
2024年1月1日16時10分 石川県能登地方 16 km M7.6 震度7 輪島市、志賀町 本震
2024年1月1日16時18分 石川県能登地方 11 km M6.1 震度5強 七尾市、穴水町 最大余震
2024年1月1日16時56分 石川県能登地方 14 km M5.8 震度5強 穴水町 余震
2024年1月1日17時22分 石川県能登地方 12 km M4.9 震度5弱 珠洲市
2024年1月1日18時03分 能登半島沖 14 km M5.5 震度5弱 珠洲市
2024年1月1日18時08分 能登半島沖 14 km M5.8 震度5弱 珠洲市
2024年1月1日18時39分 能登半島沖 6 km M4.8 震度5弱 志賀町
2024年1月1日20時35分 石川県能登地方 2 km M4.5 震度5弱 志賀町
2024年1月2日10時17分 石川県能登地方 10 km M5.6 震度5弱 穴水町
2024年1月2日17時13分 能登半島沖 6 km M4.6 震度5強 志賀町
2024年1月3日2時21分 石川県能登地方 12 km M4.9 震度5強 珠洲市
2024年1月3日10時54分 石川県能登地方 13 km M5.6 震度5強 輪島市
2024年1月6日5時26分 石川県能登地方 12 km M5.4 震度5強 穴水町
2024年1月6日23時20分 能登半島沖 5 km M4.3 震度6弱 志賀町 余震
2024年1月9日17時59分 佐渡付近 27 km M6.1 震度5弱 長岡市 最大余震
2024年1月16日18時42分 石川県能登地方 3 km M4.8 震度5弱 志賀町 余震

本震発生後3週間の震度1以上の地震発生回数は以下の通り。

最大震度別地震回数表
発生日 最大震度別回数
1 2 3 4 5弱 5強 6弱 6強 7
2024年1月1日 130 135 67 18 5 3 0 0 1 359
2024年1月2日 269 98 37 8 1 1 0 0 0 414
2024年1月3日 114 41 16 4 0 2 0 0 0 177
2024年1月4日 59 19 5 3 0 0 0 0 0 86
2024年1月5日 56 19 9 2 0 0 0 0 0 86
2024年1月6日 38 13 3 1 0 1 1 0 0 57
2024年1月7日 20 11 3 3 0 0 0 0 0 37
2024年1月8日 19 11 1 0 0 0 0 0 0 31
2024年1月9日 25 4 2 0 1 0 0 0 0 32
2024年1月10日 30 3 2 0 0 0 0 0 0 35
2024年1月11日 13 5 2 0 0 0 0 0 0 20
2024年1月12日 21 2 2 1 0 0 0 0 0 26
2024年1月13日 14 3 0 1 0 0 0 0 0 18
2024年1月14日 15 4 1 0 0 0 0 0 0 20
2024年1月15日 5 7 0 0 0 0 0 0 0 12
2024年1月16日 13 5 1 1 1 0 0 0 0 21
2024年1月17日 9 1 1 0 0 0 0 0 0 11
2024年1月18日 9 2 0 0 0 0 0 0 0 11
2024年1月19日 12 3 2 2 0 0 0 0 0 19
2024年1月20日 8 1 0 0 0 0 0 0 0 9
2024年1月21日 5 1 0 0 0 0 0 0 0 6
884 388 154 44 8 7 1 0 1 1487

地殻変動[編集]

鹿磯漁港の地震前後の隆起状況比較空中写真。

2画像とも、国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成。

GNSS観測によると、この地震に伴い輪島観測点で西南西方向に1.2 mの変動、上下方向では1.1 mの隆起(いずれも暫定値)が確認されるなど、大きな地殻変動が観測された。また、だいち2号による観測データの解析によると、輪島市西部で最大約4 mの隆起および約2 mの西方向への変動、珠洲市北部で最大約2 mの隆起および約3 mの西向きの変動(いずれも暫定値)が観測された。約4 mの隆起は、関東地震(1923年、関東大震災)や熊本地震(2016年)で発生した約2 mの上下動と比べても大きなものであった。

1月2日に東京大学地震研究所が行った現地調査でも輪島市西部沿岸で顕著な隆起が実測された。五十洲漁港で約4.1 m、鹿磯漁港では約3.9 mの隆起が推定されるなど、同漁港の南北約4 kmの範囲で3 m以上の隆起が確認されたほか、鹿磯漁港東の砂浜海岸では海岸線が海側に約250 m移動した。また、同調査では志賀町赤崎漁港で約0.25 mの隆起が推定された(速報値)。隆起が著しかった港湾には津波は遡上しなかった。

日本地理学会が国土地理院およびAxelspaceの航空写真・人工衛星写真をもとに、能登半島の沿岸全体の総延長約300 kmの海岸線に対して行った調査で、1月8日時点で石川県志賀町から珠洲市に至る能登半島北部の海岸線の合わせて90 kmの区間において、沖に向かって前進したことが確認された。調査範囲内における陸化面積は約4.4 km2であり、前進量の最大値は輪島市門前町黒島町付近で240 mであった。

津波[編集]

日本[編集]

気象庁は16時12分、山形県・新潟県上中下越・佐渡島・富山県・石川県能登・加賀・福井県・兵庫県北部の各津波予報区に津波警報を、その他日本海沿岸各地の津波予報区にも津波注意報をそれぞれ発表した。その後16時22分、石川県能登の津波警報が大津波警報に切り替えられた。大津波警報の発表は、2011年(平成23年)3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災を引き起こした巨大地震)以来である。

その後、20時30分に石川県能登に出ていた大津波警報は津波警報に切り替えられた。2日1時15分に津波警報は全て津波注意報に切り替えられた。2日7時30分、山口県日本海沿岸と島根県の隠岐に発表していた津波注意報は解除された。2日10時00分、すべての津波注意報は解除された。

気象庁の観測によると、石川県輪島市の輪島港では最大1.2 m以上の津波が観測された。ただし輪島港観測点では、16時21分の1.2 mの観測以降入電がなく、さらに高い津波が観測されている可能性があることから、観測値を「1.2 m以上」として発表した。この輪島港と、珠洲市にある津波観測計のデータは、地震以降入らなくなった。その後、珠洲市の珠洲市長橋観測点では、地震後の国土地理院による空中写真により、観測地点の周辺一帯で地盤隆起によるとみられる海底の露出が確認され、観測が不可能な状態であると判明した。気象庁と国土交通省港湾局は、輪島港に代替観測点を設置し、8日正午から津波観測を再開した。

気象庁機動調査班(JMA-MOT)による現地調査結果によると、津波が斜面を駆け上がった高さ(遡上高)は、新潟県上越市船見公園で5.8 mあった。また建物に残された津波の痕跡(痕跡高)は石川県能登町白丸で4.7 mが確認された。なお、地震発生後に欠測となった輪島港および珠洲市長橋の観測点付近では、津波による浸水の痕跡は認められなかった。また東京大学地震研究所の現地調査によると、志賀町の赤崎漁港から安部屋漁港にかけて津波の痕跡が確認され、このうち赤崎漁港では遡上高がおよそ4.2 mまで達していたことが推定された。

国土地理院が撮影した空中写真の日本地理学会による判読結果によると、津波による浸水範囲は約190 ヘクタールに及んでいた。特に能登半島の東側にあたる珠洲市南部から能登町東部で家屋の流失・損壊が起きるなど内陸への浸水が集中し、輪島市舳倉島南部や志賀町の一部、能登町南部、穴水町、七尾市能登島でも浸水が見られた。陸上で津波が到達した標高は、輪島市の舳倉島や志賀町の赤崎漁港で5mを超え、能登町白丸では4mを超えたとみられる。能登町白丸や珠洲市宝立町鵜飼では、住宅の流失や損壊が見られた。

一方、能登半島の北岸では津波による浸水が認められなかった。地震時の地盤隆起の影響で浸水が起きなかった可能性がある。

新潟県上越市の関川河口付近では津波が局所的に高くなり、関川と支流の保倉川が合流する付近で川沿いの住宅15棟が浸水した。津波は関川を逆流し、河口から5km付近まで押し寄せたとみられる。

北陸電力は2日夜、志賀原発内の機器の冷却に使う海水を取り込む取水口付近に設置した水位計において、1日17時45分から18時までの間におよそ3 mの水位の上昇を観測していたことを発表した。ただし、水位計は海面ではなく敷地内に取り込んだ海水の水槽の水位を計測しているため、上昇した水位値が直接津波の高さに対応するものではない。そのため、このデータを使って原発西側の海の水位変動を解析した結果、地震発生から約1時間半後に約3 mの津波が到達していたことが分かったと9日、発表した。

今村文彦らによる分析によれば、珠洲市には地震発生から1分以内に津波が到達していたと推測される。地震発生当時、珠洲市役所近くにいた北國新聞珠洲支局記者の谷屋洸陽によれば、揺れが少し収まってきたころには海から瞬く間に波が近づいてきており、後に海岸から約100 m地点まで津波が押し寄せてきたという。

富山市の検潮所では、地震発生3分後の16時13分に津波が到達しており、地震を起こした断層からの津波としての予想より早く到達している。今村文彦らの研究グループは、地震の揺れによって富山湾で海底地滑りが発生し、富山湾での津波を引き起こした可能性があると指摘している。



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