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税理士

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税理士(ぜいりし)は、税理士法に定める国家資格およびそれを職業とする専門家であり、職務上請求を行うことができる八士業の一つである。

概要[編集]

徽章は、日輪に桜。他に、税理士会連合会から顔写真つきの登録者証「税理士証票」(通称「税理士バッジ」)を交付される。

税理士は、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とするとされ(同法1条)、業務として、他人の求めに応じ、各種税金の申告・申請、税務書類の作成、税務相談、税に関する不服申立て等を行う。

英名について、日本税理士会連合会は、国内外において一定程度普及しているとみられることなどを理由に、原則としてCertified Public Tax Accountantを用いることとし、場面により「ZEIRISHI」の併記も可としている。

沿革[編集]

税務代弁者の発生[編集]

江戸時代においても慶応4年(1868年)租税之章程対策 のように様々な租税改革がなされてきた。明治維新以後しばらくの間、税制は旧慣習によることとされていたが、版籍奉還・廃藩置県によって旧藩の債務を引き継いだ新政権は財政的な困難に陥り、これを契機として税制の整備がなされるようになった。 1873年(明治6年)に地租改正条例の公布がなされ、土地所有者が納税義務者となり、収穫力に応じて決められた地価が課税標準とされた。明治初期は国税収入に占める地租の割合が8割を占めるなど、当時の租税は農業への課税が中心であった。

財界においては、1878年(明治11年)3月、三菱財閥が慶應義塾の分校的教育機関である三菱商業学校を設立する等、急速に商業取引に関する社会制度が構築されていった。

その後、1887年(明治20年)に所得税、1897年(明治30年)には営業税が国税として創設され、徐々に商工業者への課税が税全体に占める割合を高めていった。税負担の増加に対して、商工業者のなかには、退職税務官吏や会計の素養がある者に税務相談等を行ったり、申告代理を依頼する者があらわれた。このような税務相談や申告代理が今日の税理士業務の発端ではないかといわれている。

1904年(明治37年)の日露戦争勃発で、財政需要が拡大し増税がなされたのに伴ってこの傾向は顕著となり、税務相談や申告代理を専門に行う者も増えた。彼らは税務代弁者あるいは税務代弁人と呼ばれた。しかし、無資格で業務が行われていたため、専門家として税務をおこなっていた国税従事者(いわゆる税務署 OB)、弁護士、計理士の他に悪質なものも税務代弁者として税務を行うことができ問題となった。

府県令による規制[編集]

税務代弁者が増える一方、これらの者の中に、納税者が税についての知識を有していないことに乗じて、不当な報酬を要求したり、税務官庁に対して何ら理由もなく異議申し立て等を提出させるなど税務官庁との紛争を起こさせようとする者があらわれるようになった。このような不適格者に対する規制として、大阪府で1912年(明治45年)に府令として「大阪税務代弁者取締規則」が制定され、同じく京都府では1937年(昭和12年)に「京都税務代弁者取締規則」が制定された。

この規則は、税務代弁者は警察の営業免許を受けるものとし、名義貸し禁止・信用保持義務を課すものであり、地域的な治安維持を目的として設けられたものであったが、問題解決には至らなかった。

税務代理士法の制定[編集]

1937年(昭和12年)の日中戦争勃発から第二次世界大戦の時期にかけて、増加する戦費を調達するため度重なる増税がなされ、また税制度はより複雑となっていった。さらに、税務当局においては官吏の多くが兵員として出征していたことから人員不足に陥り、税務行政の執行に支障をきたすほどの状況にあった。このため税務代弁者等の数が減少し、このような混乱した状況に乗じて、不適正な税務指導等を行って不当な報酬を納税者に要求する者が横行するようになっていった。このことから、税務代理士の制度を設け、その資質の向上を図ると共に、これらの者に対する取締りの徹底が必要であるとされ、1942年(昭和17年)に税務代理士法(昭和17年2月23日法律第46号)が制定されるに至った。弁護士、計理士、国税従事者は税務代理士に許可、強制入会されることとなるが、この税務代理士というものは税務を行う者の総称というものであり、この税務代理士なる名称が後の税理士の前身となった。

当時の計理士の営業地域は全国(内地・外地を含む)に及ぶ広大な範囲だったことや税務調査手続時の立会・交渉等について、下記の記録が残っている。

横浜の開業者は県下一円はもとより東京市内あるいは遠く静岡県、大阪、神戸、名古屋、長野、新潟の各県下、さらには海を渡り朝鮮京城までも出張された人もいる。湯河原、熱海、伊豆半島の旅館業者はいち早く計理士に帳簿整理、税務交渉を依頼していた。熱海、湯河原の温泉旅館の関与者は、現在では東京の会計人が圧倒的に多いが、当時はほとんど横浜の計理士によって独占されていた。

税理士法の制定[編集]

税制において、1947年(昭和22年)以降、従前の賦課課税方式から自己申告方式である申告納税方式が採用される等民主化の観点からの見直しが行われた。日本の税制・税理士制度の近代化に大きな影響を与えたものとして1949年(昭和24年)に来日したコロンビア大学教授シャウプ博士を団長とするシャウプ税制使節団の報告書いわゆるシャウプ勧告がある。 この勧告は、税制において申告納税制度の普及定着のため青色申告制度をはじめ日本の税制を体系的に大きく改革させると同時に、税理士制度についても税務代理士制度を廃止させ新たに税理士法を制定させる契機となった。これは、各府県が徴収してきた地租を所得税中心の税制に転換し、徴税権を大蔵省へ集中する制度設計となっており、大蔵省主税局が政策立案し、外局である国税庁が税を徴収する組織となった。税理士は国民と行政庁との橋渡しをする代理人としての役割を担い、国税庁により税理士は監督下に置かれている。このような日本の税理士制度はシャウプ勧告の内容を理念として制定されている。シャウプ勧告では税理士制度について「納税者の代理人」という標題のもと論じている。この勧告の中では税に関する専門家である税理士の果たすべき役割として次のように記述されている。

「納税者の代理人を立派につとめ、税務官吏をして法律に従って行動することを助ける積極的で見聞のひろい職業群が存在すれば適正な税務行政はより容易に生まれるであろう。また、引き続いて、適正な税務行政を行うためには、納税者が税務官吏に対抗するのに税務官吏と同じ程度の精通度をもってしようとすれば、かかる専門家の一段の援助を得ることが必要である。したがって、税務代理士階級の水準が相当に引き上げられることが必要である。かかる向上の責任は主に大蔵省の負うべきところである。税務代理士の資格試験については、租税法規ならびに租税および経理の手続と方法のより完全な知識をためすべきである。」

つまり、税理士制度を「納税者の代理人制度」としてとられ、適正な税務行政を行うため「税務官吏をして法律に従って行動することを助ける」と同時に「納税者が税務官吏に対抗するのに税務官吏と同じ程度の精通度を持った援助者たる専門家」としての役割を求めている。また、そのためには「税務代理士階級の相当水準の資質の向上を図る必要がある」と勧告している。

この勧告を受け税務代理士制度の是正を行うため、新たな税理士制度として税理士法が1951年(昭和26年)3月30日に議員提案により国会に上程され、同年5月31日に可決され、直ちに6月15日に公布され同年7月15日に施行された。

税理士法の特徴としては、名称を「税務代理士」から「税理士」に改称したこと、そして何よりも税理士業務を行うための資格付与については許可制度を廃止し新たに試験制度を導入したことが挙げられる。税理士法制定の提案理由については、1951年(昭和26年)3月31日の衆議院議員大蔵委員会の国会議事録によると、「戦後申告納税制度および青色申告制度等が実施せられ、租税制度に根本的な改革があり、税務代理士の職責はますます重加し、その素質の向上をはかる必要が強く要望されていた」とあり、これを踏まえ「人格および能力ともに適切な人材が納税者の代理等の業務にあたり、租税負担の適正化を図りつつ、申告納税制度の適切な発展のため、従来の許可制度から原則として試験制度に改め資質向上を図った」とある。

平成14年4月より、税理士業務報酬規定は廃止となった。また、時同じくして、日本税理士会連合会は、昭和58年4月20日付日連第36号(登第12号)「税理士の広告に関する取扱いについて」示達を廃止し、広告に関する規制が自由化された。日本税理士会連合会は税制審議会がまとめた答申を毎年、関係省庁に提出する税制改正建議書に反映させている。

業務[編集]

税理士法上の業務[編集]

税理士は、他人の求めに応じ、租税に関し、次に掲げる事務を行うことを業とする(税理士法2条1項)。

  1. 税務代理(同法2条1項1号)
    税務代理とは、税務官公署に対する租税に関する法令もしくは行政不服審査法の規定に基づく申告、申請、請求もしくは不服申立て(以下「申告等」という。)につき、または当該申告等もしくは税務官公署の調査もしくは処分に関し税務官公署に対してする主張もしくは陳述につき、代理し、または代行することをいう(同法2条1項1号)。 詳細は「国税不服審判所#裁決」を参照
  2. 税務書類の作成(同法2条1項2号)
    税務書類の作成とは、税務官公署に対する申告等に係る申告書、申請書、請求書、不服申立書その他租税に関する法令の規定に基づき、作成し、かつ、税務官公署に提出する書類で財務省令で定めるもの(以下「申告書等」という。)を作成することをいう(同法2条1項2号)。
  3. 税務相談(同法2条1項3号)
    税務相談とは、税務書類の作成の前提として、税務官公署に対する申告等、第1号(税務代理)に規定する主張もしくは陳述または申告書等の作成に関し、租税の課税標準等の計算に関する事項について相談に応ずることをいう(同法2条1項3号)。
  4. 補佐人(同法2条の2第1項)
    税理士は租税に関する事項について、裁判所において、補佐人として、訴訟代理人とともに出頭し陳述をすることができる(同法2条の2第1項)。税理士会と各地の大学(慶應義塾大学、早稲田大学等)で研修が行われている。

その他の業務[編集]

税理士は、税理士の名称を用いて他人の求めに応じ、税理士業務に付随して、財務書類の作成、会計帳簿の記帳の代行その他財務に関する事務を業として行うことができる(同法2条2項)。

税理士は、業務に付随する範囲において社会保険労務士業務の一部をなすことができる(社会保険労務士法27条・同施行令2条)。また、税理士となる資格を有する者は行政書士登録を受ければ無試験で行政書士となることができる(行政書士法2条)。

業務のIT化[編集]

e-Tax (いーたっくす・国税電子申告・納税システム)の普及に伴い、税理士業務のIT化が進んできている。税理士業務のIT化は、コンピュータ 利用により、自動的に貸借対照表と損益計算書が作成できる等の利便性が増して税務と会計の全自動化が進んでいる。日本税理士会連合会会長神津信一は財界_(雑誌)(2022.2.22号,pp64⁻69)にて、デジタル技術の活用により多くの顧問先を得ることができるようになった点を指摘し、税理士が提供する付加価値の重要性を述べている。専門家間での競争は激化している。クラウド会計ソフト会社が税務調査対応のパッケージプランを開発する等、新しい技術の進歩が税理士の利便性を高め、より多くの顧客獲得に繋がっているといえる。

現在、民間企業における業務に関して、クラウド会計ソフトが普及している。2016年1月以降の行政手続における個人番号(マイナンバー)の利用なども税理士業務の更なる IT 化を後押ししている。2019年5月24日、行政手続の原則オンライン化を目的としたデジタル手続法 が成立した。

広告とIT[編集]

平成14年から広告が解禁された。

また、日本税理士会連合会が作成した税理士情報検索サイト において、日本税理士会連合会に登録された税理士/税理士法人につき、「主要取扱業種」「主要取扱業務」などの情報が公開されている。

税理士と企業結合[編集]

税理士は、税理士試験にて企業結合の際の会計処理を学んでいる。税理士試験の出題分野というだけではなく、税理士となって実務についてからも、相続、事業承継、組織再編(企業買収)などの多岐にわたる場面で重要となる。



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