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生物

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生物(せいぶつ、英: life、独: Organismus、Lebewesen)は、無生物と区別される属性、つまり「生命」を備えているものの総称。そしてその「生命」とは、生物の本質的属性として生命観によって抽象されるものであり、その定義はなかなか難しいものとなっている。生き物(いきもの)とも。

定義[編集]

「生命現象を示すもの」というのが一応の定義であるが、これ以外の定義も存在し、統一は困難であるとされる。生物が持ち、無生物が持たない能力や特徴としては「自己増殖能力」「エネルギー変換能力」「自己と外界との明確な隔離」が挙げられ、これに「進化する能力」を加えることも多い。また、生物は外界とのやりとりを絶やすことのない開放系を取りながら、恒常性(ホメオスタシス)を維持する能力を持ち、常に変化する。生物はすべて細胞を基礎としており、細胞によって構成されていないウイルスなども寄生する細胞がなくては増殖できない。

動物・菌類・植物・原生生物・古細菌・細菌などの総称。多くの場合ウイルスを含めないが、立場によっては含めることもある。なお、『岩波生物学辞典』ではウイルスは生物であるか断言できないとしている 。

生物の分類[編集]

現在生きている生物は少なくとも300万種、おそらくは1000万種に達するが、これらをその特徴に応じて大小の分類階級に所属させ、それによって生物を整理し秩序を与えることを分類という。分類階級のうち、次に掲げるものは必ず設置される(基本分類階級)。すなわち大きいほうから順に界、門、綱、目、科、属である。

歴史的に最も古くは生物は植物と動物からなるとした二界説(植物界、動物界)があり、その後の生物観の進展とともに、三界説、五界説、八界説などが登場した。一般によく知られる五界説ではモネラ界、原生生物界、植物界、菌界、動物界に分類する。しかし近年では分子系統学の成果を反映して、界よりさらに上位の枠組みとしてドメインが設けられており、細胞特性に従い生物全体を真核生物、細菌(バクテリア)、古細菌(アーキア)に分類する三ドメイン説が一般的になってきている。三ドメイン説においては、動物、植物、菌類、原生生物はすべて真核生物という単一のドメインに属する。一方、モネラ界は細菌および古細菌という2つの大きなドメインに分割される。見た目の大きさという点では、細菌および古細菌はすべて微生物であるため、真核生物と違って日常で目にすることはまずないが、生態の多様さという点では細菌および古細菌ドメインは真核生物よりはるかに大きい。

また近年では、真核生物が細菌および古細菌が融合して誕生したとする説が有力となりつつあり(参照: 真核生物#起源)、この場合、地球上には本来2つのドメイン(細菌と古細菌)しか存在しなかったことになる。ちなみに古細菌は、かつて細菌よりも起源が古い可能性が示唆されたため付けられた名前であるが、実際のところは、細菌と古細菌は両者とも同等に古い起源をもっている。

生物相互の関係[編集]

上でも説明したが地球上には少なくとも300万種の生物が生きていると言われており、それらの多様な生物の間には複雑な関係が成立している。たとえば寄生、共生などという関係があり、また動物が植物を食べるという関係や、ある生物が天敵に捕食される、というかなり直接的な関係もあり、ほかにもある生物が花粉を媒介する、といった関係もある。

こうして生物どうしは互いに「他の生物にとっての環境」となっている。これを <<生物的環境>> という。ある地域に共存している生物種の間ではさまざまな関係が成立しており、どの生物種に関しても、<<生物的環境>>つまり他のさまざまな生物との関係を分析してやっとその生活が理解できるようになる。

この生物相互の関係は、地球環境が変化するとともに変化してきた。そして生物が地球の環境にも影響を与えている(生物が地球の環境の影響を受け、また地球の環境を変化させていることは次節で解説)。



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