焼肉
焼肉(やきにく)とは、肉を焼いたもの。また、牛・豚などの肉や内臓をたれにつけ、直火で焼きながら食べる料理。あるいは牛・豚などの肉をあぶり、またはいため焼きにしたもの。
概要[編集]
日本語の「焼肉」という言葉は大きく二つの意味を持ち、肉を焼いた料理全般を指す場合と、肉や内臓にたれをつけ焼きながら食べる日本の東洋料理を指す場合がある。本項では、「肉を焼いたもの全般」「東洋料理としての焼肉」をそれぞれ解説する。肉を焼く料理のうち、鉄板で焼く料理については「鉄板焼き」、串焼で提供するものについては「焼き鳥」という。
肉を焼いたもの全般[編集]
焼いた肉料理を指す「焼肉」という語の使用はより古く、例えば仮名垣魯文の『西洋料理通』(1872年〈明治5年〉)にはバーベキューの訳語として使用されている。同年出版の『西洋料理指南』においても、獣肉を焼いた料理の意味で使用されている。近年では水木しげるの漫画『墓場鬼太郎』シリーズの「鬼太郎夜話」(1961年〈昭和36年〉)に鶏の丸焼きを指して「焼き肉」と呼ぶ台詞がある。
東洋料理としての「焼肉」「焼肉店」[編集]
一方、東洋料理としての「焼肉」「焼肉店」は現在広く使用されており、調理器具として主に鉄板や焼網を用いたものをいう。この場合、串焼きなどとは区別して呼称する。日本初の「焼肉店」は、在日韓国・朝鮮人によって1946年頃に開店した東京の「明月館」と大阪の「食道園」だといわれている。しかし松浦達也によれば『両店とも創業当時はあくまでも「朝鮮料理店」であり、現代でイメージされるような「焼肉店」ではなく、後に焼肉も提供することになる、朝鮮料理店・冷麺店だと考えた方が自然だ。「元祖」というくくりなら、「現存する限り」などの註釈をつけるべき』としている。その後「焼肉店」は1950年代頃から徐々に数を増やし定着した。それまで日本人に受け入れられていなかったホルモンを、在日韓国・朝鮮人が戦後闇市で提供したことが今日の「焼肉」の起源となったというのは定説であり。「焼肉店」という領域は日本の代表的な民族集団である在日韓国朝鮮人が開拓したことは比較的知られており、焼肉の起源を純粋な韓国朝鮮の食文化とせず、ジャパナイゼーションされたことも強調されるべき点である。
日本の総務省統計では「焼肉店」を東洋料理としての「焼肉店」のものと限定しており、西洋料理(ステーキ店など)は含まない。
メニューの種類[編集]
店舗により違いはあるが、日本の「焼肉店」と称する店舗において提供されるメニューを記載する。以下、ウィキペディア上に単独記事の存在するものを中心に紹介する。
焼物[編集][編集]
- 牛肉
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- 骨付きカルビ
- 中落ちカルビ
- カルビ カルビ類は多くの部分があるため詳細は、ばら肉参照のこと
- ロース
- ハラミ
- サガリ
- ホルモン(小腸、大腸、直腸の区別あり)
- 牛タン
- ハツ
- レバー
- ミノ
- ハチノス
- センマイ
- ギアラ
- ヤン
- マメ
- コブクロ
- ナンコツ
- ブリスケット(ブリスケ)
- テッチャン(大腸)
- 豚肉
-
- 豚ロース
- 豚カルビ
- 豚タン
- 豚レバー
- 豚トロ(Pトロ)
- 豚ハツ(心臓)
- テング(鼻)
- ミミ
- ガツ(胃)
- ホルモン(小腸、大腸、直腸の区別あり)
- 豚サガリ
- コリコリ(血管)
- ノド軟骨
- 豚カシラ
- 豚マメ(腎臓)
- 鶏肉
-
- 鶏もも
- 鶏皮
- 鶏レバー
- 砂肝
- のど・首(ネックまたはセセリ)
- 尾(ぼんじり、三角)
- 鶏軟骨(やげん軟骨、膝軟骨)
- 手羽先
- 手羽中
- 鶏ハート(はつ)
- キンカン(未熟卵)
- ヒモ(卵管)
- 親モツ(ヒモとキンカン。別名チョウチン)
- 羊肉(ジンギスカン)
-
- ラム
- マトン
- その他の肉
-
- 馬肉
- 鴨肉
- 七面鳥肉
- 加工肉
-
- ハンバーグ
- ハム
- ソーセージ
- 魚介類
-
- 海老
- 蟹
- 烏賊
- 貝類
- 野菜
-
- キャベツ
- タマネギ
- ネギ
- とうもろこし
- ピーマン(パプリカを含む)
- カボチャ
- サニーレタス
- じゃがいも
- ナス
- もやし
- しいたけ
- ししとう
- トウガラシ
- にんじん
- オクラ
- エリンギ
- ニンニク
- アスパラガス(グリーン、ホワイト、パープル)
- その他の焼物
-
- 餅
- おにぎり
サイドメニュー[編集]
- 生肉類(生肉生食提供には調理基準の制約あり)
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- ユッケ
- たたき
- 牛刺し
- 生レバー(牛のレバーは現在、生食提供が禁止されている)
- 生センマイ
- 生タン
- 飯類
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- 白飯
- ビビンバ
- クッパ
- 麺類
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- 冷麺
- 温麺
- 汁物
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- 卵スープ
- ワカメスープ
- テールスープ
- チゲ(鍋料理)
- その他
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- キムチ
- ナムル
- サンチュ(チシャ)
- エゴマの葉
全国焼肉協会とその活動[編集]
全国焼肉協会によって毎年8月29日が焼肉の日と制定され、(1993年〈平成5年〉)一般社団法人日本記念日評議会に公式認定された(2013年〈平成5年〉)。全国焼肉協会は8月29日に向けて全国でボランティア活動や様々なイベントを開催している。
2002年(平成14年)、全国焼肉協会の企画により焼肉のキャンペーンソング「GO!GO!!カルビくん」(作詞・作曲:OK-D、歌:太平サブロー & SiSTA)がシングルCDで発売された。2003年(平成15年)2月時点で売上8000枚(『日本経済新聞』夕刊2003年2月22日)。
文化[編集]
焼肉をメインに据える祭り[編集]
- 北見厳寒の焼き肉まつり
- 白老牛肉まつり