港区 (東京都)
港区(みなとく)は、東京都の区部中央部に位置する特別区。東京都の都心部にあたる。
概要[編集]
千代田区・中央区とともに「東京都心」、「都心3区」とされる。放送局などのマスコミ・広告代理店やIT企業などの本社、外資系企業の日本支社などが多数集積しており、日本経済の中心の一端を担っている。テレビ放送における民放キー局の多くの本社は港区に所在しているほか、東京のランドマークでもある東京タワーも位置している。虎ノ門や新橋・汐留、赤坂、六本木、芝、港南(品川駅東口)などは大規模なオフィス街となっており、これらのビジネスエリアは再開発により超高層ビルが林立している。青山・表参道、赤坂、六本木、お台場などは商業エリアという面も強く、麻布や白金台、高輪といった多くの高級住宅街を擁する。赤坂御用地、迎賓館赤坂離宮をはじめとして芝公園、白金台の自然教育園など緑地も多い。明治維新後に大名屋敷跡地を各国政府に提供した歴史的経緯や政府主要機関へのアクセスのよさから、現在日本に存在する約150の駐日大使館のうち半数以上が港区に集積している。大使館の他にも外資系企業も多数立地しているため、区の人口の約1割が外国人居住者という国際色豊かな街である。区の一人あたりの平均年収は1000万円を超え、東京23区内では最も高い。
1947年に旧芝区・旧麻布区・旧赤坂区が合併して誕生した。江戸城(現在の皇居、千代田区)の南側のいわゆる「城南地区」に位置しており、江戸時代には広大な武家屋敷と町人町が混在していた。区名に「港」とあるように、区域の東側は海岸・港南地区で東京港及び東京湾に面し、ベイエリアの一部(東京臨海副都心)である台場(お台場エリア)を含む。東側は江東区と向き合い、北側は千代田区・中央区・新宿区と、西側は渋谷区と接する。南隣は品川区である。
代表的な地域[編集]
芝地区[編集]
- 新橋・汐留(東新橋) - 区の北東部に位置するビジネス街。内幸町(千代田区)や銀座(中央区)と隣接している。「サラリーマンの街」として新橋駅前のSL広場はサラリーマンへのインタビュー場所としてよく用いられる。(初代)新橋駅は日本の鉄道発祥の地であり駅東口はもともと広大な汐留貨物駅があったが、2000年代に大規模再開発が行われて、現在の汐留の超高層ビル街が完成した。汐留には千代田区の二番町から移転してきた日本テレビ(日テレ)の本社ビルである日本テレビタワーが所在。
- 虎ノ門 - 港区を拠点とするデベロッパーの森ビルが開発を行っている虎ノ門ヒルズが街のランドマーク。また、隣接する麻布台や六本木に跨るエリアでは森ビル主導で高さ330mの超高層ビル「麻布台ヒルズ森JPタワー」を含む麻布台ヒルズが建設中である。霞が関(千代田区)の官庁街や東京地方裁判所に近いことから弁護士事務所が多いことも特徴である。ホテル御三家の一角であるホテルオークラ東京(The Okura Tokyo)も立地する。
- 浜松町・大門・芝公園 - 浜松町駅西側のビジネス街。浜松町駅は東京モノレールの起点駅であり、品川駅とともに羽田空港からの都心の玄関口である。芝公園には増上寺や港区役所が位置しているほか、芝公園の西側には東京タワーが位置している。
- 芝・三田 - 山手線田町駅の西側に位置するビジネス街。慶應義塾大学やラーメン二郎三田本店、三井倶楽部などが所在する。
- 海岸(一丁目) - 浜松町駅の東側のエリア。東京湾に面しており、東京港の一部である竹芝埠頭(竹芝客船ターミナル)が位置している。もともとは港湾施設を有する倉庫街であったが、ゆりかもめ開業以降は竹芝駅周辺で再開発が進み、ウォーターズ竹芝や東京ポートシティ竹芝(ソフトバンクグループ本社ビル)などの商業ビルが開業した。南側の二丁目と三丁目は芝浦港南地区に属する。
麻布地区[編集]
- 六本木 - 地下鉄の六本木駅を中心に街が広がり、ビジネス街かつ繁華街・歓楽街でもある。森ビルの本社ビルである六本木ヒルズ森タワーが街のランドマーク。六本木ヒルズ内にはテレビ朝日(テレ朝)の本社ビルも所在するほか、六本木の中心からやや離れるが六本木一丁目駅前にはテレビ東京(テレ東)の本社ビルでもある住友不動産六本木グランドタワーも立地する。赤坂と隣接しており、六本木駅直結の東京ミッドタウンは住所上は赤坂九丁目である。周辺には駐日大使館も多く、ITベンチャー企業も集積している。なお都内では上野(台東区)に次いで美術館が複数立地する「文化・芸術の街」でもある。
- 麻布十番 - 六本木の南側に位置している。基本的に六本木を除いて住宅街で構成される麻布地区の中では飲食店が多く、下町の風情を持つ。
- 元麻布・南麻布・西麻布 - 山手の高級住宅街である。港区らしく坂が多い。六本木同様、周辺には大使館が多く国際色に富む。
- 麻布台 - 芝地区の虎ノ門と跨るエリアには、日本一高さ(330m)を誇る超高層建築物「麻布台ヒルズ森JPタワー」を含む複合施設「麻布台ヒルズ」がある。東京タワーからも程近い。
赤坂地区[編集]
- 赤坂 - 区の北部に位置しているビジネス街かつ繁華街・歓楽街でもある。永田町(千代田区)に隣接している赤坂見附駅周辺の繁華街には、国会議事堂も近いことから料亭が多い。赤坂駅からほど近い赤坂サカスはTBSホールディングスが再開発した複合商業施設であり、TBSテレビの本社ビルであるTBS放送センターが位置している。赤坂に隣接している元赤坂には迎賓館赤坂離宮や赤坂御用地が所在している。
- 青山(北青山・南青山)- 表参道駅周辺は隣接する表参道・原宿(渋谷区)エリアとともに東京・日本を代表するファッションエリアであり、国内外の有名アパレルブランド・セレクトショップなどが多数集積する。特に青山通りの南側に広がる南青山はオシャレな街というイメージが強い。一方で明治神宮外苑に近いエリアは伊藤忠商事東京本社ビルなどのオフィスも多く、近くには青山霊園が位置している。
高輪地区[編集]
- 高輪 - 高級住宅街。街の南側は、ターミナル駅の品川駅西口(高輪口)にあたり、プリンスホテルなどのシティホテルが集積している。2020年には品川駅の北側に新たに高輪ゲートウェイ駅が開業し、周辺ではJR東日本主導で「TAKANAWA GATEWAY CITY」という再開発計画が進行中である。
- 白金台・白金 - 山手の高級住宅街。白金台在住の女性は雑誌などで「シロガネーゼ」と呼ばれることがある。明治学院大学などの設置者である学校法人明治学院が所在している。
芝浦港南地区[編集]
- 港南 - 品川駅東口に位置する新興の大規模ビジネス街。街の東側には東京出入国在留管理局も位置している。東京湾に面する埋立地で、もともとは企業の倉庫や工場、貨物ターミナルなどがあったエリアが再開発され、2003年に東海道新幹線の品川駅が開業したことで、名古屋や関西へのアクセスが向上し、大企業の本社立地が加速するようになった。現在では、日本マイクロソフトやソニーグループなどの大企業が本社を多数構えている。
- 芝浦・海岸(二丁目・三丁目) - 芝浦は田町駅西側の埋立地で、東芝の旧社名である東京芝浦電気の由来となっている。芝浦アイランドなどのマンション開発の影響でファミリー世帯が増加している。また、再開発された芝地区の海岸一丁目と異なり、南側の海岸二丁目・三丁目は現在でも企業の倉庫街となっている。
- 台場 - 東京湾に位置する埋立地で、地名は江戸時代に台場(砲台)があったことに由来する。港区の他の地域とは、レインボーブリッジやゆりかもめで結ばれている。青海・有明(江東区)などともに東京臨海副都心を構成しており、一般的には「お台場」と呼ばれる。フジテレビジョン(フジテレビ)の本社ビルであるFCGビルが街のランドマーク。
人口[編集]
昼と夜の人口差[編集]
2005年の夜間人口(居住者)は185,732人。これに対して、区外からの通勤者と通学生および居住者のうちの区内に昼間残留する人口の合計である昼間人口は908,940人で、昼は夜の4.894倍の人口になる(東京都編集『東京都の昼間人口2005』2008年発行122-123ページ。国勢調査では年齢不詳の者が東京都だけで16万人いる。上のグラフには年齢不詳の者を含め、昼夜間人口に関しては年齢不詳の人物は数字に入っていないので、数字の間に誤差は生じる)。