水原一平
水原 一平(みずはら いっぺい、1984年12月31日 - )は、北海道苫小牧市出身の日本の通訳。メジャーリーグベースボール(MLB)のロサンゼルス・ドジャースに大谷翔平の専属通訳として所属している。既婚。
経歴[編集]
6歳まで北海道苫小牧市で過ごし、1991年に和食料理人の父がロサンゼルスで板前を始めたことをきっかけにアメリカ合衆国へ移住した。
学生時代は高校までサッカー部とバスケットボール部に所属していた。
2007年にカリフォルニア大学リバーサイド校を卒業した。
通訳者として[編集]
ロサンゼルス・ドジャースに所属していた野茂英雄の活躍によってMLBに興味を持ち、2012年2月には岡島秀樹の専属通訳としてニューヨーク・ヤンキースに採用された。しかし、岡島が仮契約中に行われたフィジカルチェックを左肩に異常が見つかったとしてパスできず契約解除となったことに伴い、水原の契約も解除されてしまった。
2012年からは帰国して北海道日本ハムファイターズの球団通訳となり、ブランドン・レアードやクリス・マーティンなど日本ハムに所属する外国人選手の通訳や生活のサポートを務めた。選手たちに「連絡があったらすぐ駆けつける」と約束し、選手の家族にまで配慮を行った。のちに妻となる女性とは、当時日本ハム所属のルイス・メンドーサを介して知り合ったという。
日本人選手からも好かれており、「一平ちゃん」との愛称で呼ばれた。また陽岱鋼(当時日本ハム所属)とは特に仲がよく、たびたびキャッチボール相手を頼まれた。
マスメディアによる外国人選手たちへの取材に協力的で、記者たちから好評であった。
大谷翔平の専属通訳として[編集]
2017年オフに日本ハム所属だった大谷翔平がロサンゼルス・エンゼルスへ移籍したことに伴い、以降大谷の専属通訳としてエンゼルスに所属。通訳以外にも運転手やキャッチボールの相手など、公私にわたり大谷をサポートしている。
「大谷のスケジュールはとても特殊であり、大谷のキャッチボール相手が周りにいないときもある。(その際に)私が進み出てキャッチボールをする」と話していた。
MLBへ所属した日本人選手の中にはクラブハウス(選手たちの控え室)で孤立してしまう者もいたことを耳にしており、大谷を孤立させないように注力した。エンゼルスの選手たちがあるスマートフォンゲームで遊んでいることに着目し、大谷がそれをダウンロードして仲間に加わった。その3年後の2021年の取材時点でも、水原たちは同ゲームをずっと楽しんでいた。
2018年にファイターズガールのメンバーだった女性と結婚した。同年、大谷から新婚旅行のチケットを贈られている。
2018年には1月から11月14日時点まで大谷と毎日顔を合わせており、オールスターゲーム期の休暇にはユニバーサル・スタジオ・ハリウッドへ同行した。
2018年から2019年春にかけて大谷が故障からのリハビリテーションおよび復帰のための調整を行っていた期間には、大谷と冗談を言い合ったり、スマートフォンゲーム『クラッシュ・ロワイヤル』を一緒に遊ぶなどしてリラックスさせた。クラブハウス管理人のエンゼルは「水原が大谷をすごく助けてくれている。だから精神的にも良い状態だったと思う」と語ったという。
2020年2月に大谷が米国での自動車運転免許を取得した後も、大谷が運転する際には助手席に同乗した。
2021年に大谷がMLBオールスターゲームの前夜祭となるホームランダービーに出場した際には、捕手役を務めた。独身の大谷が誰とともに登場するのか注目された同日のレッドカーペットショーは、ともに歩いた。11月22日、エンゼルスから「MVI」(最優秀通訳)に選出された。
2021年オフのMLBの労使協定交渉に伴うロックアウト中、選手と球団職員の接触ができなくなることからエンゼルスを一時退職した。3月10日の協定締結後に球団へ復職している。
大谷も参加した2023年の第5回ワールド・ベースボール・クラシックでは、広報を兼任する堀江慎吾とともに日本代表のチーム通訳の役目も担った。また、初の日系人の代表選手となったラーズ・ヌートバーの招聘の際には、栗山英樹監督からの連絡役や通訳も担った。同大会の優勝会見時に、ヌートバーは「監督、コーチ、素晴らしいチームメートと一緒にできて良かったですし、誘っていただいたイッペイにも感謝しています」と水原に対しても感謝の言葉を述べている。なお、この通訳自体も水原が担当し、自ら「イッペイに感謝」という言葉を発したことで周囲は笑いに包まれた。
2023年12月、大谷のロサンゼルス・ドジャースへの移籍に伴い、水原もドジャースに移籍した。