機動戦士ガンダム
『機動戦士ガンダム』(きどうせんしガンダム)は、1979年から放映された日本サンライズ制作のロボットアニメ。同作から創出された、バンダイナムコグループの象徴的なIP(知的財産)でもある。このガンダムIPを題材にしたガンダムシリーズの第1作目であることから、「初代ガンダム」「ファーストガンダム」の名で呼ばれることも多い。
概要[編集]
『無敵超人ザンボット3』、『無敵鋼人ダイターン3』に続く日本サンライズのオリジナル作品第3作(ロボット第1期3部作の3作目)として、富野喜幸を監督に据え、玩具メーカーのクローバーをメインスポンサーとして企画・制作された。対象年齢を従来より引き上げた、ロボットものとしては最初のジュブナイルアニメである。ロバート・A・ハインラインのSF小説『宇宙の戦士』の影響を受けた作品ともいわれている。
戦争を舞台としたリアリティに富んだ人間ドラマと、ロボットを「モビルスーツ」(MS)と呼ばれる兵器の一種として扱う設定を導入したことで、1980年代初頭から半ばにかけての、後に「リアルロボットもの」と称されることになる一連のロボットアニメ変革の先駆けとなった。
メディアミックスによって重厚感のある世界が構築され、その情報量の膨大さは古今の物語史上で類例が無い。本作の宇宙世紀とは別世界という設定だったガンダム作品も『∀ガンダム』の「黒歴史」という設定で結合された結果、神話めいた壮大な宇宙史となった。
IPとしての機動戦士ガンダム[編集]
IP(知的財産)としてのガンダムは、映像作品を中心にガンプラ等のトイホビー、コンピュータゲーム、専門雑誌やコミック等の書籍、ネットワークコンテンツ、アミューズメントといった多角的な戦略を取り、日本を代表するIPに成長を遂げている。
2021年度のIP売上高は1,017億円で、ガンダム初の年商1000億円超えとなった。
2021年にはガンダムを世界最大級のIPに成長させる「ガンダムプロジェクト」が発足。2025年度のIP売上高1500億円を目標に、海外市場の拡大/グローバル戦略が推進される。第3代チーフガンダムオフィサー(CGO)の藤原孝史は、今後ガンダムを「IP」から「SP」(ソーシャルプロパティ=社会的アイコン)に進化させる旨を述べた。
書籍『IPのつくりかたとひろげかた』に於いてガンダムは「世界観IP」とも表現され、「ストーリーIP」から脱却した物として扱われている。著者はアムロ・レイやシャア・アズナブルが作品を背負っているのではなく、世界(宇宙世紀)のなかにアムロやシャアが存在すると表現した。
企画の経緯[編集]
本作の企画の根底には『宇宙戦艦ヤマト』のヒットがあった。サンライズの山浦栄二は当時、『ヤマト』の制作会社であるオフィス・アカデミーからデータを入手、『ヤマト』の関連事業は一部の熱狂的なファンを相手にした商売であることがわかり、「ハイターゲットに絞って、30万から40万の熱狂的なファンをつかめば、それで十分に商売になる」という結論を得た。そこで本作は『ヤマト』と同じく中学生以上を取り込むことになった。
作品構成も『ヤマト』が意識されたが、そのままでは活劇的な展開になりにくいこととキャラクターの年齢が高いことが問題になり、『十五少年漂流記』から着想を得て、宇宙船に乗り込んだ少年少女が宇宙戦争の中で協力しながら生き延び成長するというストーリーが構想された。この時点では、主人公たちは宇宙空母(のちのホワイトベース)に乗り、宇宙戦闘機で異星人と戦うという設定だった。
ちょうどその頃、直前の2作品(『無敵超人ザンボット3』『無敵鋼人ダイターン3』)の営業成績がよかったことで、サンライズもスポンサーも気が緩んでいた。それに乗じて、監督の富野が自分のやりたかった「大人っぽい」企画をスポンサーには秘密のまま上手く通した。
このように当初の企画「フリーダム・ファイター」では、前作のようなロボットを登場させる予定はなかった。しかし、スポンサーであるクローバーからは空母の玩具を売っても商売にならないとして、ロボットも出すように要請があった。そこで、これまでの巨大ロボットとは異なる人型機動兵器である「モビルスーツ (MS)」が生み出された(詳細は「モビルスーツ#設定の経緯」を参照)。もともと舞台は宇宙であり、宇宙ステーションなどが活躍の舞台になる予定であったが、MSの身長が18メートルと設定されたため、より巨大な「スペース・コロニー」に変更された(詳細は「サイド (ガンダムシリーズ)#設定の経緯(スペース・コロニー)」を参照)。
この時点での仮題は「ガンボーイ」(別題: 機動鋼人ガンボーイ、宇宙戦闘団ガンボーイ、フリーダムファイター ガンボーイ)だった(「ガンボット」という名称も考案されたが、ロボット的過ぎるとして却下された)。これが当時人気を博したアメリカ映画『コンボイ』から「ガンボイ」に、さらにチャールズ・ブロンソンがテレビCMで流行語にした「う〜ん、マンダム」から「フリーダム」のダムとかけて『ガンダム』という名前が生み出された。最終決定となったこの『ガンダム』の名はタカラ(現タカラトミー)の沼本清海の発案によるものである。富野によると「ンのはいった四文字のタイトルの作品は当たる」というジンクスがあるという[要出典]。
富野は「戦争」を題材にするに当たって、後年のテレビでの高橋杉雄との対談において南北戦争をそのサンプルにしたと語っている。
- リアル志向
- 本作以前の1970年代当時は『宇宙戦艦ヤマト』、『ルパン三世』、『長浜ロマンロボシリーズ』といったティーンエイジャー層をターゲットにしたアニメ作品の盛り上がりによりアニメ視聴者層の対象年齢が広がりつつある時期ではあったが、ロボットアニメというジャンルだけはスポンサーである玩具メーカーが販売する関連商品の購買層が小学生以下に限られていたため、いわゆる「お子様向け」の内容を脱することができずにいた。
- ところが本作では『ザンボット3』と『ダイターン3』の好調な販売成績を受け、スポンサーからの干渉が少なかったため、敵も味方も同じ人間どうしの「戦争」という、より現実感のある状況を描き出すことが可能となった。リアリズムあふれる作風は作画監督・キャラクターデザインの安彦良和の発言によると、富野が絵コンテとして参加した高畑勲監督作品『アルプスの少女ハイジ』『母をたずねて三千里』の影響が大きいと富野との対談で語っており、富野本人も「高畑、宮崎から受けた影響は大きい」と語っている。
- 現実感のある兵器
- また、前述のとおり登場するロボットを「モビルスーツ」と呼んで、現実の兵器に近い描写を行ったのも本作の重要な試みの一つである。従来、主役ロボットには変形や合体など玩具として魅力的なギミックを備えることがスポンサーである玩具メーカーから求められており、本作の主役ロボットであるガンダムも試作品という設定を付して同様のガジェットを組み込まれた。
- ところが本作ではさらに、敵軍のロボットに設定上「量産機」という概念を与え、ロボット描写のミリタリズムを高めた。レーダーや電波誘導兵器を攪乱・無効化するミノフスキー粒子という架空の粒子も設定され、ロボット同士の白兵戦に説得力を持たせた。また、機動戦士ガンダムはロボットが合体完了した後のあからさまな決めポーズが無く、さらに各ロボット固有の必殺技や止めの一撃用の決め技が無いのも従来のロボットアニメでは見られなかった特徴の一つである。
- 奥行きのある登場人物
- 主人公のアムロ・レイは、民間人の少年として突然に戦争に巻き込まれ、モビルスーツのパイロットとして戦う使命を負うこととなり、閉鎖的な極限状態に置かれるうち次第に疲弊する中で、上官にプライドを傷つけられて戦場から逃亡するが、そこで出会った敵将に勝ちたいという感情から戦線復帰する…という、それまでのアニメにない重厚でリアルな心理描写が、当時のアニメファンに受け入れられた。
- 主人公はもちろん、彼をサポートする人々や敵対する兵士、全体のプロットには直接触れない人物にいたるまで、その人物像がていねいに描かれた。また、必ずしも主人公サイドの連邦軍が一枚岩でない様子や、シャア・アズナブルの復讐劇の要素も交えて奥行きのあるドラマを展開。従来作品に比して作品世界が豊かになっている。
- ニュータイプの概念
- 本作の重要なキーワードの一つが「人類の革新ニュータイプ」である。超能力にも似た特別な感覚を得た人々として設定されたニュータイプは、当初は主人公アムロに超人的活躍をさせるためのアイデアだったが、やがて宿敵シャアもまたニュータイプであることが明かされ、そして同じくニュータイプである少女 ララァ・スンとの出会いと3人の間で起こる悲劇を通じて、「人類の革新」とは何なのかという抽象的なテーマへと昇華された。
- この結果、本作はロボットアニメという枠組を破綻させることなく、SFと哲学を盛り込み、現実味を持たせた物語や設定によって高年齢層の視聴に堪えうる作品作りが可能であることを示すこととなった。
デザイン[編集]
キャラクターデザインはアニメーション・ディレクターとして作画の中心となった安彦良和が、メカニックデザインは主に大河原邦男が担当した。
企画は当初、「スタジオぬえ」の代表(当時)の高千穂遙がサンライズのスタッフに勧めていたハインラインの小説『宇宙の戦士』のコンセプトを参考に、総監督の富野善幸のプランも相まって進んでいた。その頃のサンライズ制作のアニメにはスタジオぬえが参加することが多かったが、そのデザインは線が多く複雑で、SF考証にもうるさかった。アニメーターとしてはシンプルなデザインに越したことはなく、テレビアニメにはあまり理屈を持ち込むと自由がなくなるため、それまでのスタジオぬえとの仕事の経験から自分が消耗することを恐れた作画監督の安彦良和は、「あえて『ぬえ』ではないところに発注したい」と発言した。当時、アニメ業界でメカデザインを手掛けていたのはスタジオぬえのほかにはタツノコプロ出身の中村光毅と大河原邦男が設立したデザインオフィス・メカマンしかなかった。また、安彦が「エンターテインメントを考えた場合、タツノコから来た人のほうがいいのではないか」と考えたため、美術に中村が、メカニックデザインには大河原が参加することが決まった。
声優のキャスティングは音響監督の松浦典良による。後年の富野のインタビューによれば、アムロ役の古谷徹、シャア役の池田秀一からA、B、Cといった端役に至るまでほぼ全員が「はまり役」であり、演技指導もほとんどしなかったという。
反響・評価[編集]
初回放映時の評価と後の社会現象[編集]
初回放送時の視聴率は名古屋地区で平均9.1%、関東地区で5.3%と振るわなかった。
視聴率低迷のため、スポンサーの要望によって量産型の他にいわゆる「やられメカ」を毎回出すことになり、試作機が投入されたという設定で グフやドムなどの新MSやモビルアーマー (MA) が登場したが視聴率は好転しなかった。
視聴率低迷は関連商品の不振につながり、スポンサーから「シャアという陰気なキャラクターがいけない」と指摘され作中でシャアを左遷したが、今度は「シャアが何で出ないのだ」という抗議の手紙が殺到した。こうした手紙は中高生のファンからであり、サンライズ側の当初の狙い通り、本作には中学生以上のファンがついていた。名古屋テレビの関岡渉によると左遷どころか殺す予定だったのをスタッフを説得して取りやめになったとある。
その後もテコ入れが試みられたが(後述)視聴率も売り上げも挽回できず、全52話の予定が全43話に短縮される形の打ち切りとなった。シリーズ途中で安彦良和が病気で現場を離れるなど、製作スタッフの疲弊も激しかった。
ところが打ち切りが決まった直後から人気が上昇。最終回でアムロは死ぬ予定だったが、関岡が人気の盛り上がりから再放送や続編制作が期待できるため反対して取りやめになった。また、放送当時からアニメ雑誌がたびたび熱意ある特集記事を組むなど、中高生、特に女子を中心に口コミで徐々に評判が高まった。放送回数は打ち切り決定当時の43話のままで終了したが、本放送終了後もアニメファンによる再放送要請嘆願署名が行われるなど熱意が衰えず、これらを受けてクローバーは再放送を決定した。こうして再放送、再々放送が重ねられ、世間一般へ本作が浸透していった。再放送では平均視聴率も10%を超え、1981年における関東地区で17.9%、1982年における名古屋地区で25.7%(最高視聴率29.1%)を記録した。
放映終了半年後にバンダイから発売されたMSのプラモデルが爆発的な売れ行きを見せ、ガンプラと呼ばれた(後述)。後の劇場版公開もあわせ、社会現象ともいえるブームを巻き起こした。その後も本作と世界観や設定、歴史などを踏襲、あるいは共有する小説や漫画が数多く制作された、メディアミックスの先駆けともいえる作品である。
一方で、作中におけるMSの描写やニュータイプの存在に対して高千穂遙がSF作家としてSF考証の観点から批評する意見を述べ「ガンダムSF論争」を巻き起こした。
アニメ史上の評価と後続作品への影響[編集]
本作のヒットは新たなアニメブームをもたらし、これに影響されたアニメも玉石混淆で無数に製作されることになる。特にロボットアニメは本作同様に、登場人物や世界観の描写に力を注ぐことで高年齢層も意識した作品作りがなされるようになり、数多くの作品を生み出した。
2010年に第4回声優アワードシナジー賞を受賞した。
商業的事情[編集]
サンライズは前述のように本作を中学生以上向けに作っていたが、スポンサーが集まらない懸念があったため、創通エージェンシーはスポンサーには低年齢向けと説明していた。こうして各社とも前2作『無敵超人ザンボット3』、『無敵鋼人ダイターン3』と同じく、小学生以下向けの商品を展開したことからミスマッチが起き、せっかくの中高生ファンを取り込むことが出来ず、関連商品は不振に陥った。そこでクローバーの要請により、1979年9月にGアーマーが登場し、同月にはGアーマーとガンダムをセットにした「ガンダムDX合体セット」が発売されたが、売上増には結び付かなかった。
企画当初、アニメ制作陣は、この作品を画期的な作品とすべく、数々の斬新な案を用意していた。その中には「主役のガンダムのカラーリングは白一色」という、これまでの子供向けアニメの常識を打ち破る設定もあった。しかしスポンサー筋から「TVアニメのスポンサーを引き受ける目的はTV画面に登場するキャラクターの商品化なのに、主役のロボットが白一色では売れるわけがない。子供のオモチャは赤青黄色の三原色を使うのが常識。ガンダムも赤青黄色で塗れ。」との意見があった。スポンサーの意思(というより事実上の命令)を無視出来なかったため、仕方なく胴体部分のみ申し訳程度に赤青黄色の三原色を彩色した。尚、企画段階でガンダムが白い事に反対していたクローバーは、ガンダムにある白い箇所の大部分を銀色に独自解釈し、自社の玩具では色を変えて販売していた。
名古屋テレビの関岡の証言では、局の立場としては番組を打ち切り対象にする程ではなかったが、玩具業界のサイクルでは年末年始の次は3月の春休みに需要が見込めるため、2月に新番組を投入すれば、ちょうどその時期に玩具が売れて経営危機を乗り切れるのではないかと判断され、乗り換え需要を喚起するために1月一杯で打ち切りが決定したという見方が有力である。サンライズの飯塚正夫は「オモチャが売れるクリスマスとお正月のお年玉のある1月までは何とか放送してもらえる事になった」と述べている。ところが年末商戦で「DX合体セット」が好調な売れ行きを示し、クローバーは慌てて延長をサンライズに打診したものの実現しなかった。
前述のように本放送時に関連商品を展開した会社は軒並み失敗したが、アニメ雑誌『アニメック』を発行し、アニメショップ『アニメック』を経営していたラポートだけはアニメファンの盛り上がりをいち早く掴んでいた。同社はアニメファン向けの商品を本放映時、既に展開してファンを盛り上げていった。
一方で玩具の売上不振を補うべく、サンライズはクローバーにプラモデルの商品化を打診していたが、「売れないキャラクターの商品を増やしてもしょうがない」と拒否された。そこでサンライズはクローバーの了解を得て他社にプラモの商品化を呼びかけた。ところが本作のもう一つの版権元であり、版権窓口でもある創通エージェンシーはクローバーの玩具販売に悪影響が出る事を懸念し、アオシマにプラモ化を打診した。しかし、打ち切りが決まっていたため、次回作で模型化を行なうこととなり、ガンダムのプラモ化は断られた。そのような中でも創通は、『宇宙戦艦ヤマト』の模型を販売していたバンダイ模型に打診、長い交渉の末、1979年の暮れに創通が折れる形でバンダイ模型が商品化権を取得した。こうして放映終了半年後に発売されたプラモデルが爆発的な売れ行きを見せ、ガンダム人気を広げる一助となった。大変な人気を得た事でガンダムのプラモはガンプラと呼ばれるようになり、更には「モビルスーツバリエーション」と呼ばれる派生シリーズを産み、それらにおける種々の設定はアニメ雑誌において生み出された設定と合わせてガンダムの世界観をより深く掘り下げるものとなった。1982年にはプラモデル市場は過去最高の市場規模になった。
こうした経緯のため、「ガンダムブームはラポートが火をつけ、バンダイが築いた」と評されている。劇場版公開の頃になると各社とも本作のファン層に合わせた商品展開をしていたが、ファンの低年齢化によってアニメファン向け以外の商品も売れるようになっていった。また、ガンプラや各種トイも今尚、初代ガンダムやザクの新型アイテムが発売される等、根強い人気を保っている。近年ではザクとうふ等、ファンシーな商品も発売され、ファン層を拡大させている。
あらすじ[編集]
舞台は、スペースコロニーへの宇宙移民が始まって半世紀余りが過ぎた未来世界・宇宙世紀0079年。サイド3はジオン公国を名乗り連邦政府に対し独立戦争を挑む。圧倒的な国力差にかかわらず、ジオンはモビルスーツの導入やコロニー落とし等の革新的戦術により、優位に立ち、双方の人口の約半分を死に至らしめた。
開戦から半年が経過し、戦争は膠着状態に陥っていた。赤い彗星の異名を持つジオンのシャア・アズナブル少佐は、地球連邦軍の新造艦ホワイトベースを追尾して建造中の中立コロニー・サイド7に辿り着く。サイド7では連邦軍による戦局打開の切り札たるモビルスーツ製造計画V作戦が極秘に進行していた。シャアはモビルスーツ・ザクをサイド7の偵察に送り込む。コロニー内部に侵入した2機のザクは連邦軍のモビルスーツ製造施設を発見。手柄を焦った新兵の暴走により、偶発的な戦闘状態に陥る。
連邦軍の技官でモビルスーツ開発者であるテム・レイの息子アムロ・レイは、戦闘の混乱の中、連邦軍の新型モビルスーツ・ガンダムに乗り込む。偶然手にしたマニュアルを片手に、どうにか2機のザクを倒したアムロだったが、ザクに搭載された核融合エンジンの爆発により、コロニーは損壊。生き残ったサイド7市民は避難民と化す。戦闘で正規クルーの大半を失い、艦長であるパオロも重傷を負ったホワイトベースは、やむなく新米士官のブライト・ノアを艦長代理とし、新型モビルスーツの回収と並行して避難民を収容。彼等の中から操船と迎撃に必要な人員を確保したホワイトベースはサイド7を脱出。アムロはなし崩しにガンダムのパイロットに任命される。そして、シャアの執拗な追撃により、満身創痍のホワイトベースは当初の目的地である地球連邦軍総司令部ジャブローから、遠く離れたジオン占領地域の北米大陸に降りてしまう。
本作は、激戦地帯を転戦しながら、宿敵シャアを始め、様々な人々との出会いと別れ、そして戦いを経て、数々の困難を乗り越え、閉鎖的な極限状態に悩み傷付きながらも一歩ずつ成長していく、アムロを始めとした少年少女の成長を描いた物語であり、また、ジオン・ズム・ダイクンの遺児ながらザビ家への復讐の為、シャアを詐称するキャスバルと医学生として滞在中のサイド7で戦闘に巻き込まれ、ホワイトベースの通信士(後にパイロット)となったセイラ・マスことアルテイシアの兄妹の相克。そして、相次ぐ死闘により、ニュータイプとして覚醒するアムロ、アムロと運命的な出会いを果たし、理解し合いながらもシャアを庇い戦死するララァ・スン、最愛の恋人ララァの死により、遅まきの覚醒を遂げ、最強のライバルであるアムロとガンダムに挑む立場となったシャアの三角関係が描かれている。
登場人物[編集]
キャラクター造形を担当した安彦良和によれば、地球連邦軍の軍服はナポレオン時代のフランス軍、ジオン軍の軍服はプロイセン軍を参考にして描かれたという。
- アムロ・レイ
- 主人公。機械いじりの好きな内気な少年。父は地球連邦軍でV作戦のMS開発等を担当するテム・レイ大尉。母はカマリア・レイ。彼は急遽リーダーとなった士官候補生ブライト・ノアとの衝突や、仲間達を守る為、必然的に軍兵として戦争に巻き込まれていく事への葛藤を抱えながらも、サイド7脱出以来の宿敵シャア・アズナブルやMSパイロットとしても人間として、経験豊富なベテラン軍人ランバ・ラルとの戦い、初恋の女性マチルダ・アジャンや兄貴分リュウ・ホセイの戦死といった現実を経て人間的に成長していく。更にララァ・スンとの運命的な出会いにより、人類の革新「ニュータイプ」として覚醒する。アムロの搭乗するガンダムはジオン兵から「白いヤツ」として恐れられ、戦いの趨勢に関わる程の活躍を果たすようになる。最終決戦となったア・バオア・クーではガンダムが擱座し、自壊する要塞内に取り残されながらも、ニュータイプとしての力を家族同然の仲間達の為に使い、自身も奇跡の生還を果たす。
- シャア・アズナブル
- アムロの宿命のライバル。ルウム戦役で多大な戦果を挙げ、弱冠20歳にして佐官となったジオン軍のエースパイロットにして天才的軍人。通称赤い彗星。その正体はジオン共和国初代首相、ジオン・ズム・ダイクンの遺児、キャスバル・レム・ダイクン 。ガルマ・ザビ戦死時の不可解な行動により失脚するも、キシリア・ザビの抜擢により、再起を果たす。オデッサの敗戦後、起死回生のジャブロー攻略作戦では潜入工作隊長という重責を担い、戦いの舞台が再び宇宙となるやキシリア麾下の指揮官となる。
- 従来からのいわゆる「美形悪役」の流れにあるキャラクターではあるが、ジオンの独裁者ザビ家に対する復讐の為に戦争を巧妙に利用する人物として設定されている。ホワイトベースに乗船する妹アルテイシアの存在に悩む一方で、彼にとって終生を通じ、最愛の女性となるララァ・スンの前では素顔を晒し、アムロにララァを殺された事で、遅まきながらニュータイプとして覚醒。両軍の最終決戦地ア・バオア・クーで彼を凌駕する強敵となったアムロに「私闘」を挑む。だが、MS戦に続き、白兵での決闘でもアムロに敗れ、アルテイシアに諭された事で己を取り戻す。将兵を見捨てて逃亡を図ろうとしたキシリアを暗殺し、その後、行方不明となる。
- セイラ・マス
- 医学生。言葉遣いが丁寧で気品の漂う美人。潔癖で気位が高い反面、男を操縦する術に長ける。当初は通信士としてアムロ達パイロットを支え、やがて適性を見い出されパイロットに転向する。その正体はダイクンの遺児アルテイシア。生き別れの兄キャスバルがシャアではないかという疑念から独断行動する等、思い悩む。戦場で再会したシャアがキャスバルと判明してからは父の鬼子と化した兄を憎悪するようになり、終盤でブライトに全てを打ち明ける。紆余曲折を経て本作中における最終的なアムロの想い人となる。ア・バオア・クーの決戦では搭乗機が擱座した為、要塞内に潜入し、奇しくもアムロとシャアの決闘に立ち会い「いい女になれ。アムロ君が呼んでいる」というシャアの言葉を最後に、兄と別れる事となる。その後アムロともはぐれ、要塞内で迷子になり生還を絶望するが、アムロのニュータイプ能力により、道案内されホワイトベースの仲間達と合流、生還した。
- TV版ではGファイター1号機、劇場版ではコアブースター1号機と搭乗機が異なる。
- ララァ・スン
- フラナガン機関に見い出されたニュータイプの少女。本作中では「大佐に救われた」とあるだけで細かい事情への言及は避けられており、彼女がシャアと出会った経緯や前半生については不明。中立地帯であるサイド6の湖畔にて、父テムとの悲劇的再会に深く傷付いたアムロと運命的な出会いを果たす。二度目の邂逅で彼女がシャアの部下である事をアムロも知る所となり、ホワイトベース隊とコンスコン艦隊の戦闘結果を予言する等、高い資質を発揮する。シャアとは上司部下の関係を超えて恋人関係に発展。ソロモン要塞陥落後に実戦投入され、連邦艦隊を長距離からビットで狙い撃つ戦法でソロモンの亡霊と恐れられたが、護衛機の一般兵から弾除け扱いにされる等、ニュータイプの置かれた不遇を物語る。アムロとの戦いを通じ、ニュータイプの本質である「人と人とは分かり合える」事を体現するが、シャアの嫉妬を買い、奇しくもアムロ、セイラ対シャア、ララァという局面の戦闘ではセイラ機を狙ったシャアを止め、シャアとの決着をつける事でララァを解放しようとしたアムロの一撃からシャアを庇い戦死する。死後も想念という形でアムロを導いた。
- ブライト・ノア
- 地球生まれで地球育ちというエリート士官。配属先のホワイトベースで人材不足の中、急遽、艦長代理を任され、反抗的なアムロ、カイら民間人の少年兵達や、立場を弁えない避難民達、艦の置かれた極限状況等に悩み苛立ちながらも軍人として成長を遂げていく。己の右腕となって支えてくれたリュウ・ホセイの戦死に、緊張の糸が切れ病床に倒れるも、優秀な指揮官として独り立ちする転機となる。彼を操舵士、且つ相談役として献身的に支え続けたミライ・ヤシマに好意を抱きながらも、「不器用な男」として彼女の恋の行方を見守り、戦後結ばれた。実の父に溺愛されて育ったアムロに対し、現実の厳しさを教える父親代わりとして厳しく接するが、一方でニュータイプという理解の範疇を超えるアムロの能力に訳もなく苛立っていた事を自覚し、アムロが成長を遂げてからは一人前に扱うようになる。ジャブロー到着後は囮部隊として、再び宇宙へ上がり、決戦を迎える。強襲揚陸艦という本分を果たしたホワイトベースは連邦軍の勝利に寄与するも、ア・バオア・クーで大破、アムロのニュータイプ能力により、総員退艦命令を出すよう進言され決行。クルーの大半を生還させた。
- 本作の続編に当たる機動戦士Ζガンダム、機動戦士ガンダムΖΖ、機動戦士ガンダム 逆襲のシャア、機動戦士ガンダムUC、機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイにおいても重要人物として登場し続ける事となる。
- その他の人物
- カイ・シデン、ハヤト・コバヤシ、フラウ・ボゥ、ミライ・ヤシマといったホワイトベースの仲間達もそれぞれに成長を遂げていく姿が描かれる。また、戦争を嫌悪する元軍人、戦争に加担する民間人、スパイ、武器開発者、主人公に殺される学徒動員パイロット等、それまでのアニメーションでは軽視されていたキャラクターの描写も多い。この方向性は『ザンボット3』でも試みられたが、後の作品にまで影響を及ぼすほど徹底した点は、本作の非常に大きな特徴である。
スタッフ[編集]
- 企画 - 日本サンライズ
- 原作 - 矢立肇、富野喜幸
- 掲載誌 - 講談社『テレビマガジン』、『たのしい幼稚園』、秋田書店『冒険王』
- 音楽 - 渡辺岳夫、松山祐士
- キャラクター・デザイン - 安彦良和
- メカニカル・デザイン - 大河原邦男
- 美術設定 - 中村光毅
- アニメーションディレクター - 安彦良和
- 総監督 - 富野喜幸
- プロデューサー - 関岡渉(名古屋テレビ)、大熊伸行(創通エージェンシー)、渋江靖夫(日本サンライズ)
- 制作 - 名古屋テレビ、創通エージェンシー、日本サンライズ
主題歌・挿入歌[編集]
- オープニングテーマ
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- 「翔べ! ガンダム」
- 作詞 - 井荻麟 / 作曲 - 渡辺岳夫 / 編曲 - 松山祐士 / 唄 - 池田鴻、フィーリング・フリー、ミュージッククリエイション(キングレコード)
- エンディングテーマ
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- 「永遠にアムロ」
- 作詞 - 井荻麟 / 作曲 - 渡辺岳夫 / 編曲 - 松山祐士 / 唄 - 池田鴻、フィーリング・フリー (キングレコード)
- 挿入歌
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- 「シャアが来る」
- 作詞 - 井荻麟 / 作曲 - 渡辺岳夫 / 編曲 - 松山祐士 / 唄 - 堀光一路 (キングレコード)
- 「きらめきのララァ」
- 作詞 - 井荻麟 / 作曲 - 渡辺岳夫 / 編曲 - 松山祐士 / 唄 - 戸田恵子、シンガーズ・スリー (キングレコード)
- シングル「シャアが来る」のB面で、劇中未使用(イメージソング)。
- 「いまはおやすみ」
- 作詞 - 井荻麟 / 作曲 - 渡辺岳夫 / 編曲 - 松山祐士 / 唄 - 戸田恵子 (キングレコード)
- 1981年にキングレコードのシングルヒット賞を受賞。なお、シングルB面は「永遠にアムロ」。
2006年10月に「ファーストガンダム主題歌・復刻プロジェクト」の第1弾として、当時のシングル盤をCD復刻。シングル盤にはなかった 「Off Vocal Version(カラオケ)」も収録された。
視聴率[編集]
- 平均視聴率:5.3%(ガンダムシリーズ歴代5位)
- 平均視聴率(1981年):17.9%(ガンダムシリーズ歴代1位)
- 最高視聴率:9.9%(ガンダムシリーズ歴代2位)
放送局[編集]
放送局名及び系列は放送当時のもの。放送時間は個別に出典が提示されているものを除き、1980年1月中旬 - 2月上旬時点のものとする。
放送対象地域 | 放送局 | 放送日時 | 系列 | 備考 |
---|---|---|---|---|
中京広域圏 | 名古屋テレビ | 土曜 17:30 - 18:00 | テレビ朝日系列 | 制作局 |
北海道 | 北海道テレビ | |||
宮城県 | 東日本放送 | |||
関東広域圏 | テレビ朝日 | |||
静岡県 | 静岡けんみんテレビ | 現・静岡朝日テレビ | ||
広島県 | 広島ホームテレビ | |||
香川県・岡山県 | 瀬戸内海放送 | |||
近畿広域圏 | 朝日放送 | 金曜 17:00 - 17:30 | 現・朝日放送テレビ
次回予告はカット | |
福岡県 | 九州朝日放送 | |||
青森県 | 青森放送 | 日本テレビ系列
テレビ朝日系列 |
第26話で打ち切り | |
青森テレビ | TBS系列 | |||
秋田県 | 秋田放送 | 木曜 17:30 - 18:00 | 日本テレビ系列 | |
山形県 | 山形テレビ | 火曜 17:00 - 17:30 | フジテレビ系列 | |
岩手県 | テレビ岩手 | 月曜 17:10 - 17:40 | 日本テレビ系列
テレビ朝日系列 |
本放送終了後に放送開始 |
福島県 | 福島テレビ | 月曜 17:00 - 17:30 | TBS系列
フジテレビ系列 |
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新潟県 | 新潟総合テレビ | 月曜 17:30 - 18:00 | フジテレビ系列
日本テレビ系列 テレビ朝日系列 |
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長野県 | 長野放送 | 水曜 17:30 - 18:00 | フジテレビ系列 | |
富山県 | 富山テレビ | 水曜 16:50 - 17:20 | 1979年4月18日から1980年2月6日まで放送。 | |
石川県 | 石川テレビ | 金曜 16:00 - 16:30 | 1980年4月25日まで放送 | |
福井県 | 福井テレビ | 月曜 17:25 - 17:55 | ||
島根県・鳥取県 | 山陰放送 | 日曜 8:00 - 8:30 | TBS系列 | |
山口県 | テレビ山口 | 金曜 17:00 - 17:30 | TBS系列
フジテレビ系列 |
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愛媛県 | 南海放送 | 水曜 17:25 - 17:55 | 日本テレビ系列 | |
高知県 | テレビ高知 | 土曜 6:30 - 7:00 | TBS系列 | |
長崎県 | 長崎放送 | 火曜 17:20 - 17:50 | ||
熊本県 | 熊本放送 | 火曜 17:00 - 17:30 | 本放送終了後の1980年7月1日放送開始。 | |
大分県 | 大分放送 | 月曜 17:20 - 17:50 | ||
宮崎県 | 宮崎放送 | 日曜 15:00 - 15:30 | ||
鹿児島県 | 鹿児島テレビ | 月曜 17:45 - 18:15 | フジテレビ系列
日本テレビ系列 テレビ朝日系列 |
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沖縄県 | 沖縄テレビ | 火曜 17:30 - 18:00 | フジテレビ系列 | 1980年3月18日から放送 |
公開試写会[編集]
本放送に先駆けて名古屋テレビ主催による公開試写会が春休みに旧:中区役所ホールで開催された。これは当時の主流となっていた往復ハガキで応募・抽選するもので、それまでは親子連れがほとんどだったものが『宇宙戦艦ヤマト』から始まったアニメブームと『無敵超人ザンボット3』・『無敵鋼人ダイターン3』で10 - 20代にサンライズ・アニメのファン層が定着したため、当日は徹夜で並ぶ者も数多くいた。満席の会場で第一話「ガンダム大地に立つ!!」がスクリーンで上映され、ゲストは総監督の富野喜幸とシャア役の池田秀一。最前列に座っていた数人の客には日本サンライズが初めて公式本として出版した『機動戦士ガンダム記録全集』の1巻が発売前にプレゼントされた。
再放送[編集]
- 本放送以後は名古屋テレビをはじめとするテレビ朝日系列の放送局や、テレビ埼玉などの独立放送局、CS放送・BS放送放送局で繰り返し再放送されている。
- 2010年7月より、静岡県に1/1ガンダム立像が設置されたことを記念して、フジテレビ系のテレビ静岡で放送された。
- 放送時間:水曜日2時00分 - 2時30分(2010年9月当時)
- 2010年11月より、WOWOWで劇場版三部作を含む計20作品を放送。
- 放送日程:2010年11月1日 - 3日
- 平成31年4月よりサンテレビで放送。
- BS11(アニメ+枠)
- 通常放送
- 初回:2007年12月2日 - 2008年9月21日、日曜日19時30分 - 20時00分
- 2回目:2014年3月23日 - 2015年1月4日、同上
- セレクション放送
- 初回:2011年9月11日 - 10月9日、日曜日19時30分 - 20時00分(「ガンダム・Gセレクション EVOLUTION」枠・計5話)
- 2回目:2013年4月14日 - 7月28日、日曜日19時00分 - 19時30分(「ガンダム・Gヒストリー」枠・計16話)
各話リスト[編集]
テレビ版と劇場版との異同もあわせて示す。
話数 | 放送日 | サブタイトル | 脚本 | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 | 劇場版での編集反映 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
第1話 | 1979年4月7日 | ガンダム大地に立つ!! | 星山博之 | 斧谷稔 | 貞光紳也 | 安彦良和 | 物語の発端であるため反映。 |
第2話 | 4月14日 | ガンダム破壊命令 | 松崎健一 | 藤原良二 | 物語の基本設定が固まる話のため反映。 | ||
第3話 | 4月21日 | 敵の補給艦を叩け! | 荒木芳久 | 小鹿英吉 | 1話完結エピソードのためカット。
ただしガデムの補給、シャアザクとガンダムの戦闘は反映。 | ||
第4話 | 4月28日 | ルナツー脱出作戦 | 山本優 | 貞光紳也 | 富沢和雄 | 基地内の描写を省いて直ちにジャブローへ出港。
パオロは戦死せず下艦。 クルー拘禁やマゼラン排除などは丸ごとカット。 | |
第5話 | 5月5日 | 大気圏突入 | 星山博之 | 斧谷稔 | 藤原良二 | 青鉢芳信 | 新舞台とガルマ登場のため反映。
ガンダムの大気圏突入機能は大幅に変更。 ガンダムハンマーはカット。 |
第6話 | 5月12日 | ガルマ出撃す | 山本優 | 山崎和男 | 小鹿英吉 | 安彦良和 | 第9話に統合。
地上部隊との戦闘は全カット。 |
第7話 | 5月19日 | コアファイター脱出せよ | 荒木芳久 | 藤原良二 | 1話完結エピソードのためカット。
ただしシャアザクとガンダムの自由落下戦闘のみ反映。 | ||
第8話 | 5月26日 | 戦場は荒野 | 松崎健一 | 貞光紳也 | 山崎和男 | 1話完結エピソードのためカット。
ただしカイのガンキャノン発進のみ反映。 | |
第9話 | 6月2日 | 翔べ! ガンダム | 星山博之 | 斧谷稔 | 小鹿英吉 | 安彦良和 | 1話完結エピソードだがマチルダ登場やアムロの心理描写が重要なため反映。
シャアの通信妨害はカット。 |
第10話 | 6月9日 | ガルマ 散る | 山本優 | 藤原良二 | ガルマ戦死やイセリナとの恋が絡む話のため反映。 | ||
第11話 | 6月16日 | イセリナ、恋のあと | 荒木芳久 | 貞光紳也 | 大泉学 | 1話完結エピソードのためカット。
ただしザビ家一党がガルマの葬儀を巡り一堂に 会する場面は反映。 | |
第12話 | 6月23日 | ジオンの脅威 | 松崎健一 | 斧谷稔 | 横山裕一郎 | 中村一夫 | グフとランバ・ラル隊登場のため反映。
ギレンによるガルマ国葬演説(ロングバージョン)は1作目のラストシーンとなる。 |
第13話 | 6月30日 | 再会、母よ… | 星山博之 | 藤原良二 | 安彦良和 | 第12話の前に入れ替えて反映。
ただし、ガンペリーがマチルダのミデアへと差し替えられる。 | |
第14話 | 7月7日 | 時間よ、とまれ | 富野喜幸 | 斧谷稔 | 貞光紳也 | 山崎和男 | 1話完結エピソードのためカット。
ただしマチルダの補給のみ反映。 |
第15話 | 7月14日 | ククルス・ドアンの島 | 荒木芳久 | 貞光紳也 | 斧谷稔 | 鈴村一行 | 1話完結エピソードのためカット。 |
第16話 | 7月21日 | セイラ出撃 | 山本優 | 斧谷稔 | 青鉢芳信 | 『哀・戦士編』の導入部。
セイラやコズンの投獄があるため反映。 | |
第17話 | 7月28日 | アムロ脱走 | 松崎健一 | 斧谷稔 | 藤原良二 | 安彦良和 | ミライの入浴やアムロの脱走があるため反映。 |
第18話 | 8月4日 | 灼熱のアッザム・リーダー | 貞光紳也 | 中村一夫 | 1話完結エピソードのためカット。 | ||
第19話 | 8月11日 | ランバ・ラル特攻! | 星山博之 | 斧谷稔 | 行田進 | 安彦良和 | グフやアムロの伏線があるため反映。 |
第20話 | 8月18日 | 死闘! ホワイト・ベース | 山本優 | 藤原良二 | 富沢和雄 | ランバ・ラル戦死やリュウ負傷といった重要シーンがあるため反映。
ビームジャベリンはビームライフルに差し替え。 | |
第21話 | 8月25日 | 激闘は憎しみ深く | 荒木芳久 | 行田進 | 山崎和男 | 第25話の後に入れ換え。
リュウ戦死後のクルーの反応は軽く流す。 | |
第22話 | 9月1日 | マ・クベ包囲網を破れ! | 松崎健一 | 貞光紳也 | 安彦良和 | 1話完結エピソードのためカット。 | |
第23話 | 9月8日 | マチルダ救出作戦 | 星山博之 | 藤原良二 | 中村一夫 | 劇場版では新兵器Gファイターがコア・ブースターへと差し替えられたためカット。
ただしエルランがレビルへ異議を唱えるシーンのみ反映。 | |
第24話 | 9月15日 | 迫撃! トリプル・ドム | 山本優 | 斧谷稔 | 関田修 | 安彦良和 | マチルダが死ぬ他、名シーン多数のため反映。
ただし黒い三連星との戦闘は1回にまとめられる。 |
第25話 | 9月22日 | オデッサの激戦 | 荒木芳久 | 貞光紳也 | 富沢和雄 | 一年戦争全体の主流エピソードのため反映。
ただし、エルランの内通やマ・クベの核ミサイル使用といった重要エピソードは丸ごとカット。 | |
第26話 | 9月29日 | 復活のシャア | 松崎健一 | 斧谷稔 | 藤原良二 | 安彦良和 | シャアの再登場、水陸両用モビルスーツなど伏線が多く反映。
ただしハイパーハンマーやGブルはカット。 |
第27話 | 10月6日 | 女スパイ潜入! | 星山博之 | 斧谷稔
久野弘 |
久野弘 | 山崎和男 | 第26話に統合。 |
第28話 | 10月13日 | 大西洋、血に染めて | 山本優 | 斧谷稔 | 関田修 | 中村一夫 | カットが検討されたが、カイの成長を描く話のため反映。
グラブロがガンペリーのミサイルで撃破されるなど細部で変更。 |
第29話 | 10月20日 | ジャブローに散る! | 荒木芳久 | 貞光紳也 | 安彦良和 | シャアに伏線や名シーンがあるため反映。
第30話と統合。 ただしゾックの撃破シーンはカット。 | |
第30話 | 10月27日 | 小さな防衛線 | 山本優 | 藤原良二 | カツ、レツ、キッカやセイラの伏線があるため反映。
ただしアッガイの撃破シーンはほとんどカット。 | ||
第31話 | 11月3日 | ザンジバル、追撃! | 星山博之 | 斧谷稔 | 久野弘 | 冒頭のホワイトベースおよびザンジバル大気圏離脱部が『哀・戦士編』のラスト。
ただしGブルイージーやビグロの戦闘シーンは全カット。 | |
第32話 | 11月10日 | 強行突破作戦 | 松崎健一 | 関田修 | 富沢和雄 | シャアがドレンと絡むため反映。
ただしザクレロの戦闘シーンとビームジャベリンは全カット。 | |
第33話 | 11月17日 | コンスコン強襲 | 山本優 | 貞光紳也 | 中村一夫 | テムやカムランが関係するため反映。
テムとの出会いは1回に統合。 コンスコン隊との戦いも次回分と統合。 ブラウ・ブロや浮きドック場面はカット。 | |
第34話 | 11月24日 | 宿命の出会い | 星山博之 | 藤原良二 | ララァ、シャアとアムロの出会い、カムランが関係するため反映。
テムは新たに死亡シーンが追加。 | ||
第35話 | 12月1日 | ソロモン攻略戦 | 松崎健一 | 久野弘 | 一年戦争全体の主流エピソードのため反映。
作戦開始シーンが大きく短縮されている。 | ||
第36話 | 12月8日 | 恐怖! 機動ビグ・ザム | 斧谷稔 | 関田修 | 一年戦争全体の伏線やドズル、スレッガー戦死のため反映。 | ||
第37話 | 12月15日 | テキサスの攻防 | 山本優 | 貞光紳也 | 中村一夫 | 第37・38話は第35話の前に移動。
ただしギャンとマ・クベはカット(仕掛けた種々のトラップのみ反映)。 | |
第38話 | 12月22日 | 再会、シャアとセイラ | 松崎健一 | 藤原良二 | シャアとセイラの重要エピソードため反映。
ただしデラミンやバロム、ワッケインの戦死は全カット。 | ||
第39話 | 12月29日 | ニュータイプ、
シャリア・ブル |
山本優 | 斧谷稔 | 久野弘 | 上映時間の不足と安彦の意見により全面カット。 | |
第40話 | 1980年1月5日 | エルメスのララァ | 荒木芳久 | 関田修 | ニュータイプに絡む話のため全て反映。
ただしモスク・ハン登場シーンは全カット。 | ||
第41話 | 1月12日 | 光る宇宙 | 松崎健一 | 貞光紳也 | |||
第42話 | 1月19日 | 宇宙要塞ア・バオア・クー | 星山博之 | 斧谷稔 | 藤原良二 | 中村一夫 | |
第43話 | 1月26日 | 脱出 | 関田修 | 山崎和男 |
アイキャッチは3パターン存在する。
- 第1話は、映像は第2話以降と同じだが、効果音が異なるもの。
- 第2話から第11話、第43話は、タイトルロゴのみでガンダムは登場しないもの。
- 第12話から第42話は、ガンダムとタイトルロゴが登場するもの。
映画化においては、各エピソードに対し主に以下の変更点が加えられた。
- シリーズ全体で構成に影響のない、一話完結エピソードは基本的にカット。
- テレビシリーズでは2回にまたがっていたエピソードや戦いを、1回分に集約。9話でガンダムが持っていた武器などこれによる演出上の矛盾は極力修正されているが、第29話と第30話におけるシャア専用ズゴックの被弾位置など修正されず矛盾が残っているところもある。
- 反映分は全てがテレビシリーズの映像でなく、同じシーンを劇場用に描き直した部分もある。特に『めぐりあい宇宙編』では、テレビ版制作時に安彦良和が病気で作画から外れていたため、全面的に安彦による新規作画が行われている。
タイトルコールはブライト・ノア役の鈴置洋孝が担当した。
劇場版三部作[編集]
1980年10月2日発売の『日刊スポーツ』で、「ポスト・ヤマトはガンダムだ」との見出しで本作の映画化のスクープが報じられた。
1週間後の9日には築地の東劇ビル最上階にあったレストラン「エスカルゴ」で公式に劇場版の製作発表記者会見がおこなわれた。富野や安彦のほか、日本サンライズや配給元の松竹からも複数の関係者が出席した大々的な会見となったが、その中で富野は、単なる再編集のダイジェスト版にはしたくない、43話を2時間半の1本の映画にまとめるのは不可能であり、何本かにならざるを得ないことを松竹に了承してもらった上でこの話を受けたと語った。もとより富野は映画化決定以前のインタビューでも、映画化するなら4部構成でやりたいと発言していた。しかし、現実的に続編の制作は1作目の業績次第であり、そのため劇場版第1作には富野が望んだ連番の "I" およびサブタイトルを付けることは(慣例的にも)許されなかった。
第1作の公開に先立つ1981年2月22日、プロモーションの一環として2つのイベントがおこなわれた。午前中には新宿松竹会館で入場者数を限定した「ガンダムフェスティバル」が開催され、大成功のうちに終了。そして午後には、新宿アルタ前(新宿東口ステーションスクエア)で「アニメ新世紀宣言大会」が開催された。「ガンダム5000人キャンペーン」と銘打たれたものの、実際には公称約2万人(各ファンクラブの集計によれば実数1万2千人)ものファンが詰めかけた。中には本作の登場人物やMSのコスプレ(当時はまだ一般的ではなく、雑誌『ファンロード』では「トミノコ族」と称された)をした者たちもおり、代表として「アニメ新世紀宣言」をスピーチしたファンもシャアとララァのコスプレをしていたが、このふたりはのちに富野の作品や『ガンダム』の続編にも携わることになる永野護と川村万梨阿であった。また、予想をはるかに超える動員によって警備員やボランティアによる整理が追いつかず、将棋倒しも起こりかねない危険な状況もあったが、富野がマイクを握り、ここで事故があれば世間は「所詮はアニメファンのイベント」と判断するだろうと発言したことで参加者は冷静さを取り戻したといわれ、イベントは無事に終了した。
結果的に、劇場版第1作は大ヒットに終わった。特に前売り券は行列ができるほどの驚異的な売れ行きを見せ、続編の実現の鍵になったとされる。続編においても行列はファンが参加できる「祭り」として重要な役割を担ったという。最終的には、当初の構想より少ない3部構成でテレビ版の最終話までの映画化が実現された。
2000年に初めてDVD化されたが、「特別版」として音声をドルビーデジタル5.1chにするためにオリジナルキャスト(一部除く)でアフレコし直され、効果音やBGMの一部も変更されたものであった(大きな違いの例としては、IIIのエンディングのスタッフロール部分がオリジナル版は「ビギニング」が流れたが、特別版は「めぐりあい」がそのまま続けて流れる等)。2007年の『機動戦士ガンダム 劇場版メモリアルボックス』ではオリジナル音声で改めてDVD化され、2012年には3作それぞれ単独でも発売された。
その後も、本作の節目の年には劇場版がさまざまな形で上映された。テレビ放送開始から30周年の2009年には、三部作のHDリマスター版のDLP興行が6月から7月にかけて各地の映画館でおこなわれた。2019年には「機動戦士ガンダム40周年プロジェクト」の一環として、8月に「劇場版『機動戦士ガンダム』シネマ・コンサート」と題し、劇場版第1作の上映に合わせてフルオーケストラ(編曲・指揮 - 服部隆之 / 演奏 - 東京フィルハーモニー交響楽団)が劇中の音楽パートの生演奏をおこなった。また、「ガンダム映像新体験TOUR」としてガンダムシリーズの劇場版が特殊スクリーンで上映されたが、本三部作も9月から10月にかけてULTIRAで、2020年1月にはDOLBY CINEMAで上映された。2021年には、YouTubeの「ガンダムチャンネル」で1月下旬から2月上旬にかけて3作それぞれ24時間限定配信、10月の「サンライズフェスティバル2021」では4Kで3作連続で上映されたほか、11月には3つのイベントで上映された(1つは第1作のみ)。
- 機動戦士ガンダム(劇場版)
- テレビ版の第1話から第14話前半までを再編集した第1作で、1981年3月14日に全国松竹系にて公開された。配給収入は9億3700万円。
- 機動戦士ガンダムII 哀・戦士編
- 第16話から第31話前半までを再編集した第2作で、1981年7月11日に公開された。本作では、テレビ版と第1作の録音監督である松浦典良が降板。「松浦さんが降りるなら、僕たちも降りる」と古谷徹、鈴置洋孝、井上瑤、鵜飼るみ子と主だった声優陣が松浦に続こうとしたが、サンライズは拒否した。結局、自宅を訪れた声優陣を松浦が説得したことで騒動は収束したが、松浦は復帰せず録音監督は浦上靖夫に交代、この騒動の余波で『ガンダム』の声優陣の待遇が改善されたという。配給収入は7億7000万円。
- 機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙(そら)編
- 第31話後半から第43話までを再編集した第3作で、1982年3月13日に公開された。75パーセントが新撮であった。テレビ版の終盤で降板した安彦良和が前2作以上に多くの新作カットを担当したこともあり、作画のクオリティはテレビ版より大幅に向上している。配給収入は、同年公開のアニメ映画で第1位の12億9000万円のヒットを記録した。
スタッフ(劇場版)[編集]
- 製作 - 日本サンライズ
- 配給 - 松竹株式会社
- 製作 - 岸本吉功
- 企画 - 山浦栄二、伊藤昌典
- 原作 - 矢立肇、富野喜幸
- 総監督 - 富野喜幸
- 脚本 - 星山博之、荒木芳久、山本優、松崎健一
- キャラクターデザイン - 安彦良和
- メカニカルデザイン - 大河原邦男
- アニメーションディレクター - 安彦良和
- 音楽 - 渡辺岳夫、松山祐士
- 美術監督(I)、アートディレクター(I、III) - 中村光毅
- 音響監督 - 松浦典良(I)、鶴岡陽太(I特別版)、百瀬慶一(II特別版、III特別版)
- オーディオディレクター - 浦上靖夫(II、III)
- フォトグラファーディレクター - 三沢勝治(III)
- 監督 - 藤原良二(I)
- フロアーディレクター - 関田修(II、Ⅲ)
- 演出協力 - 藤原良二(II、III)、貞光紳也、小鹿英吉(I)、横山裕一郎(I)、又野弘(II、III)
- 製作協力 - 名古屋テレビ、創通エージェンシー
- 協力 - 講談社
- プロデューサー - 植田益朗(III)、渋江靖夫、岩崎正美
主題歌・挿入歌(劇場版)[編集]
主題歌はいずれもオリコンチャートの上位にランキングされた。
第2作以降においては、富野の大学時代の同窓生で、当時ポップスやCMソングの作曲で人気を得ていた井上大輔が主題歌・挿入歌を作曲し、自ら歌った。
2006年11月に「ファーストガンダム主題歌・復刻プロジェクト」の第2弾として当時のシングル盤をCD復刻。第1弾同様 "Off Vocal Version" も収録された。
- 主題歌(第1作)
-
- 「砂の十字架」
- 作詞・作曲 - 谷村新司 / 編曲 - 青木望 / 唄 - やしきたかじん (キングレコード)
- オリコン週間シングルチャート - 最高21位
- イメージソング(第1作)
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- 「スターチルドレン」
- 作詞 - 井荻麟 / 作曲・唄 - やしきたかじん / 編曲 - 飛澤宏元 (キングレコード)
- シングル「砂の十字架」のB面で、劇中未使用。
- 主題歌(第2作)
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- 「哀 戦士」
- 作詞 - 井荻麟 / 作曲・編曲・唄 - 井上大輔 (スターチャイルド)
- オリコン週間シングルチャート - 最高9位
- 挿入歌(第2作)
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- 「風にひとりで」
- 作詞 - 井荻麟 / 作曲・編曲・唄 - 井上大輔 (スターチャイルド)
- 主題歌(第3作)
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- 「めぐりあい」
- 作詞 - 井荻麟、売野雅勇 / 作曲・唄 - 井上大輔 / 編曲 - 鷺巣詩郎(スターチャイルド)
- オリコン週間シングルチャート - 最高13位
- 挿入歌(第3作)
-
- 「ビギニング」
- 作詞 - 井荻麟 / 作曲・編曲・唄 - 井上大輔 (スターチャイルド)
関連作品[編集]
サウンドトラック[編集]
小説[編集]
小説版『機動戦士ガンダム』[編集]
- アニメーション版の総監督 富野喜幸によって放映当時に執筆され、朝日ソノラマから出版された。本小説を執筆した目的については富野が後年に、玩具メーカーのスポンサーの要求のない小説では独自の世界を描いて見せるという意気込みがあったと述懐している。このため本作は、特に話が進むに従い内容はTV版とはまったく違うものとなっており、『機動戦士Ζガンダム』など後発の作品との整合もしない。この手法は、2019年から開催された展覧会『富野由悠季の世界』展において、「本来はこうしたかった」というエクスキューズや「実はこういう意図でした」という種明かしではない、実験結果の再検証のような役割がある思考実験と評論されている。
- 商業的には単行本2冊で50万部を販売するヒットとなり、当時は高校生の「本離れ」が懸念されていたが映像作品である本作の小説によって相乗効果が発揮されて高校生を引きつけた。本作以降、高校生向けの小説では映像化が重要になった。1987年に角川書店に版元が変更され、角川文庫の「現代日本文学」分類「緑帯」から独立した「青帯」(現在の角川スニーカー文庫)の第1号作品となっている。通常、単に小説版といえばこの作品を指す。全3巻。朝日ソノラマ版の表紙は第1巻はシャアの設定セル画、2巻と3巻は大河原邦男、本文挿絵は青鉢芳信。角川版は表紙・挿絵共に美樹本晴彦。
- テレビ版との最大の違いは、アニメでは民間人の少年であった主人公アムロが最初から職業軍人(モビルスーツパイロット候補生。階級は曹長)で、かつ物語の途中で戦死することであり、当時ファンに大きな衝撃を与えた。また、セイラがアムロと肉体関係を持ち兄シャアの殺害を促すなど、各キャラの性格や関係性なども大幅に改変されている。物語は宇宙で展開され、地球は舞台とならないため、アニメ版の地球で登場したMSは登場せず、地球で登場した人物の多くも登場しない。MS・MAの種類自体も極めて少数に絞られており、連邦軍側は「ガンダム」「ガンキャノン」「ジム」「ミスターボール」の4種、ジオン軍は「ザク」「リック・ドム」「エルメス」「ビグ・ザム」「ブラウ・ブロ」の5種しか登場しない。連邦とジオンの組織描写についても、連邦は官僚の腐敗が進んでいるとしてむしろ批判的描写がなされている。最終的に、ガンダム運用母艦のペガサスJは艦長のブライト以下、生き残ったクルーおよびカイ・シデンらはアムロの遺志を尊重したシャアとの共闘作戦を行い、サイド3ズム・シティにおいてギレンとキシリアを死に追いやり、ジオン共和国を成立させて戦争を終結させ、ブライトらは戦後ジオン軍人となる(この設定はギレンの野望では『キャスバル編』として採用されている)。アムロの母の名前、ギレンの秘書で愛人のセシリア・アイリーン、ハヤトのガンキャノン搭乗等の小説版オリジナル設定の一部は、後の劇場版に取り入れられている。本作のみで登場しているシャア専用リック・ドムと、アムロ搭乗の後継機G-3ガンダムは後に数々のゲーム作品などで使用されている。また、小説版のみのオリジナルキャラとしてニュータイプの女性兵士クスコ・アルが登場。彼女もガンダム関連ゲームでは登場することもある。一方、アムロを撃墜したシャアの部下、ルロイ・ギリアムはほぼ無視されている。富野は角川文庫からの再版時に、アムロとハヤトの死を削るなど『Ζガンダム』との整合化作業を試みようとしたが、過去の自分を否定することになるとして断念したと語っている。
『密会』[編集]
- 1997年に角川mini文庫から上下巻が発刊され、2000年にそれらを統合・加筆して角川スニーカー文庫から『密会〜アムロとララァ』として改めて発刊された。
- 当時、角川書店がmini文庫を立ち上げるにあたって富野にノベルスの執筆を依頼し、これを受けた富野がTV発の『機動戦士ガンダム』の物語をなぞった活字や漫画の作品がないことから、TV、映画版の『ファースト・ガンダム』そのもののダイジェスト版とでもいうべき小説を書いておきたいと挑戦したという背景がある。
- テレビアニメ『機動戦士Vガンダム』制作のあと心身の不調に苦しんだ富野が、要点を絞りつつもアニメ版の物語の内面を丁寧に描き直したストーリーとなっており、ニュータイプ論についても「密会は密会のままかもしれない」と区切りをつけた内容となっている。
中根真明著 『機動戦士ガンダム』[編集]
- 中根真明によって執筆された小説版も朝日ソノラマから発売されていたが、こちらは純粋なノベライズでテレビシリーズとほぼ同じ内容となっている。現在は絶版。
漫画[編集]
- 機動戦士ガンダム(冒険王版)
- 本作の放送と並行して、秋田書店発行の漫画雑誌『冒険王』で岡崎優により連載された。リアルロボットアニメの嚆矢となった本作の主旨に対する岡崎の理解不足と、当時岡崎がテレビを持っておらず原作をチェックできなかったことから[要出典]、アムロの性格が従来のロボットアニメの主人公的な熱血漢になっているなど、多くの部分でテレビ版との相違が見られる。また、1話完結方式だった従来のロボットアニメと異なり、連続ドラマである本作のコミカライズにおいては[要出典]、テレビ放送よりもペースが遅れ気味となり連載は未完に終わったが、映画化の際に『めぐりあい宇宙編』のコミカライズをおこなう形で完結させた。
- 機動戦士ガンダム0079
- 1992年からバンダイ発行のアンソロジーコミック集『サイバーコミックス』で連載が開始された、近藤和久による漫画。直後に『サイバーコミックス』は休刊となるが、メディアワークス発行のアンソロジーコミック集『MS SAGA』、漫画雑誌『電撃大王』と掲載誌を変えながら連載が続けられ、2005年に完結した。一部メカニックデザインなどは原作アニメから変更されているものの、設定やストーリーの変更は極力抑えられている。その一方で、近藤がそれ以前に発表した漫画『MS戦記 機動戦士ガンダム0079外伝』に関連するエピソードを絡める形となっている。
- 機動戦士ガンダム THE ORIGIN
- 2001年から2011年にかけて、原作アニメのキャラクターデザインなどを手がけた安彦良和によって、この作品のために創刊された角川書店発行の漫画雑誌『ガンダムエース』で連載された。ストーリーの一部や細かな設定が見直され、原作から大きく変更された部分も多い。また、原作の前日譚に当たるジオン・ズム・ダイクンの死から一年戦争緒戦までも詳細に描かれており、この部分はのちにアニメ化された。
フィルムコミック[編集]
- 講談社アニメコミックス版
- 講談社より、劇場版3部作を漫画仕立てにしたフィルムコミックとして各5巻で全15巻が刊行された。各巻のサブタイトルはテレビシリーズのものが多く使用されている。
- 機動戦士ガンダム
- ガンダム大地に立つ
- 赤い彗星シャア
- 翔べ!ガンダム
- 再会、母よ
- ジオンの脅威
- 機動戦士ガンダムII 哀戦士編
- セイラ出撃
- 猛攻ランバ・ラル
- マチルダ散る!
- 女スパイ潜入
- 決戦!ジャブロー
- 機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙
- 出会い、サイド6
- テキサスの攻防
- ソロモン攻略戦
- エルメスのララァ
- 脱出
- 長らく絶版だったが、1998年7月23日に劇場版第1作『ガンダム』のフィルムコミックス全5巻が1998年7月23日に、第2作『ガンダムII』のフィルムコミックス全5巻が1999年3月23日に、第3作『ガンダムIII』のフィルムコミックス全5巻が1999年4月21日に表紙カバーをリニューアルした復刻版がそれぞれ刊行された。
- 旭屋出版コミックス版
- ガンダムシリーズの劇場版やOVA作品を1冊のフィルムコミックとしてまとめたもので、映画化15周年を記念して出版された。各巻の巻末では、モビルスーツやスペースコロニーなどの諸設定についての科学考証をガンダムセンチュリーの編集に携わった永瀬唯が行っている。
- MOBILE SUIT GUNDAM THE MOVIES I
- 劇場版第1作『ガンダム』のフィルムコミック。1996年8月刊行。
- MOBILE SUIT GUNDAM THE MOVIES II
- 劇場版第2作『ガンダムII』のフィルムコミック。1996年12月刊行。
- MOBILE SUIT GUNDAM THE MOVIES III
- 劇場版第3作『ガンダムIII』のフィルムコミック。1997年3月刊行。
TRPG[編集]
- ジーク・ジオン(1990年、ツクダホビー)
- 機動戦士ガンダム:0079RPG(1991年、大日本絵画)
- 機動戦士ガンダムRPG(1997年、ホビージャパン)
- ガンダム戦記 -一年戦争全戦闘記録-(2000年、アスキー)
パチンコ・パチスロ[編集]
- パチンコ
- CRフィーバー機動戦士ガンダム(2013年、SANKYO)
- CRフィーバー機動戦士ガンダム -V作戦発動-(2015年、SANKYO)
- CRフィーバー機動戦士ガンダム -LAST SHOOTING-(2016年、SANKYO)
- パチスロ
- MSガンダム(2002年、テクノコーシン)
- ガンダム(2003年、ラスター)
- パチスロ「機動戦士ガンダムII 〜哀・戦士編〜」(2007年、山佐)
- パチスロ「機動戦士ガンダムIII 〜めぐりあい宇宙編〜」(2009年、山佐)
- 機動戦士ガンダム(2014年、ビスティ)
映像媒体[編集]
LD・ビデオ[編集]
本放送放映の後から劇場版が公開されたあたりに発売された映像媒体としては、ロブスター企画から1982年に発売されたテレビ版第42話「宇宙要塞ア・バオア・クー」と第43話「脱出」を収録したLD、および劇場版3部作のビデオパッケージが存在した。後者は当初松竹から、後にCBSソニーから発売された。その後は少し間を空けて1987年以降に、劇場版の映像を収録したLDがいくどか再発売されている。
続けてガンダム20周年記念の声が高まる中、テレビ版の映像が全て収録された初のLD-BOX「機動戦士ガンダムメモリアルボックス」が1998年8月に「Part-1」(第1 - 22話収録:6枚組)、同年12月に「Part-2」(第23 - 43話収録:6枚組)の全2巻に分けてバンダイビジュアルから発売された。なお、ほぼこの時期に劇場版のビデオパッケージも新たに発売され、テレビ版もレンタル専用としてではあるがビデオパッケージが存在している。
DVD[編集]
DVD発売以降はすべてバンダイビジュアルから販売されている。
劇場版 機動戦士ガンダム 特別版
劇場版3部作のDVDは2000年12月21日に「特別版」として発売された。本作のDVDとしては初めての商品化であったが、特別版として発売するにあたり、映像は劇場版そのままに、音声に対してはドルビーデジタル5.1チャンネル用に、オリジナルキャスト(一部を除く)によるアフレコの再レコーディングや効果音、BGMの全面的なリニューアルが行われたが、熱心なファンからは「イメージが大きく損なわれた」と酷評を受け、後に劇場版公開当時のオリジナル音声版DVDが2007年12月に発売されている。
その後、テレビ版の映像を収録したDVD-BOXが初回限定生産として、2006年12月にDVD-BOX1(第1 - 24話収録:6枚組)、翌2007年1月にDVD-BOX2(第25 - 43話収録:5枚組)の全2巻に分けて発売。単巻(全11枚)でも2007年6月から順次発売された。DVD-BOX1の予約者に対し、非売品の特製アクションモデル「1/200 RX-78 GUNDAM Limited Version」が付く先行予約特典キャンペーンを行っている。このDVD化にあたっては監督の富野自ら、本放送から約27年近く経過した原版フィルムの劣化部分のデジタル補正作業や、ハイビジョン仕様のリマスター制作に関るほど、大規模なリファイン作業が行われた。
Blu-ray[編集]
「機動戦士ガンダム Blu-ray メモリアル ボックス」(BD-BOX)として2013年8月28日に発売。
2017年9月27日には2013年版の封入特典を若干再編・簡素化したBD-BOXが発売。
「劇場版 機動戦士ガンダム Blu-ray トリロジーボックス」と、5.1chで制作された特別版の本編も収録する「劇場版 機動戦士ガンダム Blu-ray トリロジーボックス プレミアムエディション」が2014年5月28日に発売。
4K ULTRA HD Blu-ray[編集]
「機動戦士ガンダム 劇場版三部作 4Kリマスターボックス」(UHD BD&BD-BOX)として2020年10月28日に発売。ドルビーアトモス音声と劇場公開当時のオリジナル音声を収録している。品番はBCQA-0010。
自動車[編集]
2013年10月1日にジオニックトヨタ社(トヨタ)よりシャア専用オーリスが発売された。これは元々コンセプトモデルとして2012年のイベントにトヨタからオーリスをシャア専用風に改装して出展したところ、反響が大きかったために、当初市販の予定ではないものを発売したものである。なお、ジオニックトヨタ社は設定上のもので、実際にはオーリスのパーソナルカスタマイズとして販売される。この際、トヨタマークもジオン風に改装される。その設定上は「トヨタは、ジオン公国を代表する重機メーカー・ジオニック社と広範囲にわたる技術提携に合意し、新プロジェクトを始動させるため、新たな会社を設立するに至った」と公式ページで述べられており、特設サイトにはファーストガンダムの画像と共に15話にのぼる「バックストーリー」も載せられた。シャアを演じた池田秀一は「ビックリです!」と述べ、アムロ役を演じた古谷徹は「(シャア専用なのにトヨタマークではまずい為)新会社として『ジオニックトヨタ』を設立してもらおうと、提案したら…まさかね」とその実現を驚いている。なお、いささか冗談気味ながら、アムロ専用車についても古谷は言及している。なお、実際の塗装はシャア専用ザクの色で行うと違和感が出るため、映画「機動戦士ガンダム逆襲のシャア」に登場するモビルスーツ「サザビー」に近づけられた事が報じられている。(具体的な車種に関する詳細は、トヨタ・オーリス#2代目 E18#H/18#W型(2012年 - 2018年)。
落語[編集]
2016年2月28日に落語家の立川志らくが、創作落語『頑駄夢落語 らすとしゅーてぃんぐ』をサンライズ公認作品として発表した。また同日ベルサール秋葉原で行われたガンダム関連イベント内で、立川志らくと立川しららによるお披露目高座が行われた。この作品は、古典落語『大工調べ』、『三方一両損』などをベースとした新作落語で、アムロ・レイをモデルとした「大工のアムロウ」、シャア・アズナブルをモデルとした「赤い半纏のシャア」などが登場する。公式の漢字表記は「頑駄夢落語」であり、SDガンダムにおける「武者頑駄無」などとは表記が異なる。
クローバー製玩具[編集]
- ガンダム合体セット
- ガンダムDX合体セット
- 合体機構を外したガンダムDX
- ガンダム(スタンダード版)
- ガンタンク(スタンダード版)
- コアファイター
- DXホワイトベース
- バリエーションガンダム
- バリエーションガンキャノン
- バリエーションガンタンク
- ガンダムコンビネーションジュニア(ガンダム、ガンキャノン、ガンタンク、コアファイターのセット)
- ABSガンダム
- ゼンマイ動力のガンダム