怪獣8号
『怪獣8号』(かいじゅうはちごう、英語: Kaiju No.8)は、松本直也による日本の漫画作品。怪獣発生率が世界屈指となっている架空の日本を舞台としたバトル漫画。ウェブコミック配信サイト『少年ジャンプ+』(集英社)にて、2020年7月3日より連載中。
毎週金曜更新とされているが、描き溜めが無くなった2020年8月28日更新分より「3話描いて1回休むくらいのペースで更新」したいとしている。なお、休載日には怪獣の存在する日常風景イラスト集「怪獣百景」が掲載されている。
スピンオフとして2022年11月4日に集英社の「JUMP j BOOKS」レーベルより安藤敬而が執筆した小説版が刊行されており、2024年1月5日からはこれを原作とした肥田野健太郎による漫画『怪獣8号 side B』が『少年ジャンプ+』にて毎週金曜に更新中。そのほか、スピンオフギャグ『怪獣8号RELAX』が『最強ジャンプ』(同)にて、2024年7月号より連載されている。またテレビアニメ化もされ、第1期は2024年4月から6月までテレビ東京系列ほかにて放送された。
製作[編集]
松本の3作目の連載作品。2016年春以降、『少年ジャンプ+』はオリジナル作品が主力となって人気を伸ばしており、ヒット作を次々と輩出していた。その中で、能力は高いものの長年不遇だった作家たちが、新作を発表してブレイクするという流れが起きていた。松本も漫画家歴は長いがこれまでヒット作を発表できずにいた。こうした背景の元で本作の連載が始まり、2021年3月の時点では『SPY×FAMILY』と並ぶ『少年ジャンプ+』最大のヒット作と称された。
本作に登場する怪獣は台風のように番号で呼ばれ、発生波による津波を呼ぶ危険性がある。その強さを示すためにマグニチュードになぞらえた「フォルティチュード」という単位が使われるなど、自然災害(特に地震)のメタファーとして機能している。これは第二次大戦下の空襲を象徴していた特撮怪獣映画『ゴジラ』(1954年)などとは異なり、『シン・ゴジラ』(2016年)に代表される東日本大震災(2011年)以降の怪獣作品の系譜にあるとされている。
社会的評価[編集]
担当編集者は大人が過去にワクワクしていたものを大人目線で楽しめる作品にすることが狙いであったため、若者からの支持を危惧していたが、結果的に予想以上の反響となった。
単行本の発売前から日本国内外で人気を博す。1日で3200件を超えるコメントが寄せられるなど、連載開始からインターネット上で大きな話題を呼び、最新話更新のたびに大きな反響を呼んでいる。2020年12月には『少年ジャンプ+』の看板作品と報道された。各話の閲覧数は更新ごとに100万を超え、総閲覧数は第15話公開(10月30日)時点で3000万、第31話公開(4月16日)時点で1億閲覧を『少年ジャンプ+』史上最速となるペースで突破した。
単行本の発行部数は1巻で43万部を突破した。また、2020年に発売された1巻としては、集計日数が28日にもかかわらず、同年日本で最も売れた作品となった。国内累計発行部数は2023年12月現在で1200万部(デジタル版を含む)、全世界累計発行部数は同年3月現在で1100万部をそれぞれ突破している。また、2021年3月に記録した100万部、同年6月に記録した300万部(電子版を含む)、同年9月に記録した400万部(電子版を含む)はいずれも『ジャンプ+』連載作品としては最速記録となった。
少年ジャンプ+編集長の細野修平は、2020年9月時点で「最近注目している作品」として本作を挙げ、「どこまで伸びるのか楽しみ」であると語っている。
受賞年 | セレモニー | 部門・賞 | 受賞対象 | 備考・出典 |
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2021年 | コミックス第1巻 年間売上ランキング(2020年) | 1位 | 『怪獣8号』1巻 | 同期に最も売れた単行本1巻新刊
続編・スピンオフなどは除く |
コミックス第1巻売上ランキング(2020年10〜12月) | 2位 | 『怪獣8号』1巻 | 同期間に最も売れた単行本1巻新刊 | |
マンガ大賞2021 | ノミネート | 『怪獣8号』 | ||
次にくるマンガ大賞2021 | Webマンガ部門・1位 | 『怪獣8号』 | ||
第5回みんなが選ぶTSUTAYAコミック大賞 | 2位 | 『怪獣8号』 |
あらすじ[編集]
古来から怪獣が人々の日常生活を脅かしている日本が舞台。怪獣大国 日本として描かれ、発生率も日本が高いとされる。
主人公 日比野カフカは、幼いころに住む町が怪獣の発生によって破壊される。その日、幼馴染の亜白ミナとともに、その町を見渡せる丘にいた二人は惨状を見ながら、「俺(私)、防衛隊員になる」と宣言、「二人で、怪獣を全滅させよう」と約束した。
だが、カフカは防衛隊に合格できずに月日が流れた。
怪獣死体の解体清掃処理業者・モンスタースイーパー社に就きながら防衛隊員を目指すも、既に32歳になり防衛隊の年齢制限を超えてしまっていた。一方、ミナは日本防衛隊として活躍するどころか、隊長を任され防衛隊のヒーローとして取り上げられていた。そんなミナを横目に鬱屈した日々をおくっていたカフカ。そんな日々を送る中、防衛隊試験対策としてモンスタースイーパー社にアルバイト入社した市川レノ。彼から少子化を理由とした防衛隊の年齢制限が引き上げられることを教えられる。その帰り道で『余獣』と呼ばれる怪獣に襲われ、二人は絶命の間際、防衛隊 第三部隊 隊長である亜白ミナに窮地を救われる。保護された病院で隣の病床で保護されていたレノから、再び入隊試験を受けるよう促され、決意を新たにするカフカだったが、その直後、謎の生物に「ミツケタ」と言葉を残し口から侵入され寄生。寄生されたカフカは怪獣化してしまう。この際、レノが最初に目撃し、話の途中だった事と、人間の言葉を話すことから、それがカフカである事を理解し、一緒に病院からの逃亡を試みる。
その逃亡中、カフカは人間化を自然と体得し怪獣としての姿を消すことに成功、これが日本防衛隊としての初の未討伐事件となり『怪獣8号』と識別される。
この後、カフカとレノが防衛隊へ入隊を目指すところから物語は始まる。