心筋梗塞
心筋梗塞(しんきんこうそく、英: myocardial infarction)は、虚血性心疾患の一つ。心臓の筋肉細胞に酸素や栄養を供給している冠動脈に閉塞や狭窄などが起きて血液の流量が下がり、心筋が虚血状態になり壊死してしまう症状。通常は急性に起こる「急性心筋梗塞(AMI)」のことを指す。心臓麻痺・心臓発作(英: heart attack)とも呼ばれる。
心筋が虚血状態に陥っても壊死にまで至らない前段階を狭心症といい、狭心症から急性心筋梗塞までの一連の病態を総称して急性冠症候群(acute coronary syndrome, ACS)という概念が提唱されている。
発症形式[編集]
- 急性心筋梗塞 (AMI:Acute Myocardial Infarction) :発症から3日以内
- 亜急性心筋梗塞 (SMI:Subsequent Myocardial Infarction):発症から30日以内
- 陳旧性心筋梗塞 (OMI:Old Myocardial Infarction) :発症から30日以上
原因[編集]
冠動脈の血流量減少は、主に動脈硬化などの何らかの要因によって狭窄(きょうさく)を起こすことによる。この要因には冠動脈部分での粥種の破裂 (plaque rupture) や攣縮 (spasm) が深く関係するが、他にも梅毒性動脈炎が起こす冠動脈起始部狭窄、解離性大動脈瘤が冠動脈に進展して起こる閉塞、川崎病などによる冠動脈での血栓(塞栓)形成などもある。
RTIインターナショナル(英語版)の研究者が現在までの発見をまとめており、血液型O型では心筋梗塞に、ほかの血液型より44%なりにくい。こうした研究は米国心臓協会のサイトに掲載されていたこともあり、20年以上の研究調査でO型の男女のリスクが低かった。
症状[編集]
強い胸部の痛みや苦悶感が生じ15分以上持続するが、虚血状態が解消されなければ数時間以上続く。顔面蒼白になり、冷や汗、徐脈、血圧の低下、脈拍の上昇などを伴い、意識不明に陥ることもある。そして、最悪の場合は、死に至る恐ろしい病である。
左心不全を伴う症例が多く、湿性ラ音が広範囲で聴取できるようになる。Killipらはこのラ音所見を重症度の判定表にまとめ、これはKillip表と言う。
75歳以上の高齢者や糖尿病などを併発している場合、患者の20%程度で痛みを伴わない無痛性心筋梗塞をおこすことがある。糖尿病患者では心筋梗塞を発症した患者の21%から41%が無痛性とされ、糖尿病を併発していない場合は、6%から15%との研究がある。痛みを感じなくなる原因は、脳血管障害や糖尿病性神経障害による自律神経障害が多いと考えられている。自覚症状がないまま心筋梗塞の病態が進行するため、発見時には既に重篤な状態(死亡も含む)となっている場合も多い。
発病因子[編集]
- 喫煙
- 高コレステロール血症(特に高LDLコレステロール血症)
- 糖尿病
- 高血圧
- 狭心症・心筋梗塞の家族歴
- 加齢(男性45歳以上、女性65歳以上)
- ストレス
- 肥満
- 男性>女性
- 痛風(高尿酸血症)
- 血液透析
- 高ホモシステイン血症
- 歯周病