山本由伸
山本 由伸(やまもと よしのぶ、1998年8月17日 - )は、岡山県備前市出身のプロ野球選手(投手)。オリックス・バファローズ所属。右投右打。
2021年に日本プロ野球(NPB)史上8人目かつ令和では初の投手5冠を達成、翌2022年にはNPB史上初となる2年連続の投手5冠を達成した。
2021年から2023年にかけてNPB史上初となる3年連続の投手4冠を達成、歴代最長タイとなる3年連続で沢村栄治賞・MVPを受賞した。
2023年には沢村栄治以降初(2リーグ制初でもある)となる2年連続ノーヒットノーランを達成。(2022年は埼玉西武ライオンズ戦で、2023年は千葉ロッテマリーンズ戦で達成した。)
人物[編集]
名前の「由伸」については、実母の名前から「由」、実父の名前から「伸」の字を取る格好で、祖母が命名したという。だが一部では「誕生年(1998年)に読売ジャイアンツ(巨人)へ入団し活躍していた高橋由伸にちなんで、巨人ファンの実父が名付けた」という内容で報じられた。山本自身はその説を否定しているが、山本と同年生まれの水上由伸には、親が高橋由伸にあやかって名前を付けたエピソードが実際にあり、その影響もあってか山本本人が否定後も高橋由伸が名付けの由来であるとたびたび報じられてしまっている。
特技はどこでもよく眠れること。バス移動でも座った時に少しだけ眠るということが多い。周りがうるさくても平気で眠れる。よく眠って疲れを溜めない性質なのかもしれないということを話している。
2歳年上の頓宮裕真とは「実家が隣同士」という間柄で、幼少期から仲が良く、伊部パワフルズとオリックスでチームメイトになっている。頓宮は内野手登録で2019年にオリックスへ入団したが、入団後に本来のポジションである捕手へ戻ったことから、2020年3月10日のオープン戦(京セラドーム大阪での中日ドラゴンズ戦)ではプロ入り後初めて実戦でバッテリーを組んだ。2023年5月14日のソフトバンク戦では、初のお立ち台共演が実現した。
都城高校硬式野球部のチームメイトに戸郷翔征の実兄がいた縁で、自身より2歳年下の戸郷とも中学生時代から面識がある。戸郷には、聖心ウルスラ学園高等学校への入学前に「(将来は自分のいるNPBで)一緒に野球しようぜ」と声を掛けたほか、在学中にサインの求めへ応じたこともあるという。戸郷は卒業後に巨人へ入団すると、山本と同じく1年目から一軍公式戦で先発勝利を挙げたほか、2年目に成績を大きく伸ばしている。
ウエイトトレーニングは一切行わない主義。2020年のオフシーズンに昔の女性が米俵を担ぐ写真を見て「担げるの?って思うじゃないですか。コツを知っているから持って運べる。人間にはそれだけの力があるはずなんです」「筋肉じゃない。自分の体の重心の位置を明確にすることが大事。力で持ち上げているわけではなく、うまく乗せている。投げるのも一緒だと思う」と思ったことからその考えが強くなった。
専属の管理栄養士を雇って食事を管理しており、体が冷えるのを避けるために店などで出る氷入りの水は飲まない。大好物は「毎日、食べたいぐらい」という焼肉だが、管理栄養士の指導で自重している。嫌いな食べ物はピーマン 。
東京オリンピック 野球日本代表(侍ジャパン)として金メダルを獲得した栄誉をたたえ、2021年12月18日、岡山県備前市のJR伊部駅北口に記念のゴールドポスト(第34号)が設置された(ゴールドポストプロジェクト)。
代表経歴[編集]
第2回プレミア12[編集]
2019年、日本代表のトップチームに初めて招集されると、3月10日にメキシコ代表との強化試合で救援投手として実戦デビューを果たした。シーズン終了後の11月に開催された第2回WBSCプレミア12で、日本代表へ本格デビュー。当初楽天の救援陣から選出されていた松井裕樹・森原康平が故障で出場を辞退したことから、同年の公式戦で一度も経験していないセットアッパーとして起用され、日本の大会初優勝に貢献した。
東京五輪[編集]
2021年6月16日、東京オリンピックの野球日本代表に選出された。同大会では予選第1戦のドミニカ共和国戦に先発し6回2安打9奪三振無失点と好投すると、準決勝の韓国戦でも先発し5回1/3を5安打2失点で降板した。チームの金メダル獲得に貢献。WBSC(世界野球ソフトボール連盟)が発表したベストナイン右投手部門に選出された。
第5回WBC[編集]
2023年1月6日、2023 ワールド・ベースボール・クラシックに出場する日本代表に選出される。1次ラウンド第4戦オーストラリア戦に先発し、4回1安打無失点8奪三振の好投で1次ラウンド1位突破に貢献。準決勝のメキシコ戦では3点ビハインドの5回から登板し、3回1/3を2失点4奪三振で降板した。
タイトル[編集]
- 最多勝利:3回(2021年 - 2023年) ※3回は稲尾和久、野茂英雄、涌井秀章に次ぐパ・リーグ4位タイ。3年連続は野茂英雄に次ぐ歴代2位タイ
- 最優秀防御率:4回(2019年、2021年 - 2023年) ※4回は稲尾和久に次ぐ歴代2位タイ。3年連続は稲尾和久、菅野智之に並ぶ歴代最長タイ
- 最多奪三振:4回(2020年 - 2023年) ※4回は鈴木啓示、則本昂大に次ぐパ・リーグ3位タイ。4年連続は江夏豊、鈴木啓示、則本昂大に次ぐ歴代4位タイ
- 最高勝率:3回(2021年 - 2023年) ※3回は山田久志、工藤公康に次ぐ歴代3位タイ。3年連続はNPB史上最長
表彰[編集]
- NPB
- 沢村栄治賞:3回(2021年 - 2023年) ※3度の選出は史上最多タイ、3年連続受賞は金田正一に次いで史上2人目。
- 最優秀選手:3回(2021年 - 2023年) ※投手の3度の選出、および3年連続受賞は山田久志に次いで史上2人目
- ベストナイン:3回(投手部門:2021年 - 2023年) ※投手部門の3年連続受賞は稲尾和久・松坂大輔に並ぶ最長タイ
- ゴールデングラブ賞:3回(投手部門:2021年 - 2023年)
- 月間MVP:8回(投手部門:2020年9月、2021年6月、7・8月、9月、10・11月、2022年6月、9・10月、2023年9・10月)
- セ・パ交流戦 最優秀選手賞(MVP):1回(2021年)
- 日本シリーズ敢闘選手賞:1回(2021年)
- 日本シリーズ優秀選手賞:1回(2023年)
- クライマックスシリーズ パーソル賞:1回(2022年)
- 最優秀バッテリー賞:3回(2021年 捕手:若月健矢、2022年 捕手:若月健矢、2023年 捕手:若月健矢)※3回は西口文也と並び投手の最多記録。同一バッテリーでは史上最多・史上最長の3年連続受賞
- オールスターゲーム敢闘選手賞:2回(2019年第1戦、2021年第1戦)
- 月間最優秀バッテリー賞:6回
- 2021年
- 6月 捕手:伏見寅威
- 8月、9月、10月 捕手:若月健矢
- 2022年
- 6・7月、9月 捕手:若月健矢
- 2021年
- 国際大会
- オリンピックの野球競技・ベストナイン:1回(右投手:2021年)
- その他
- 岡山県県民栄誉賞(2021年)
- 備前市市民栄誉賞(2021年)
- 都城市市民栄誉賞 特別賞(2023年)※特別賞第一号
- 備前市スポーツ顕彰(2023年)
- スポーツランドみやざき特別表彰(2023年)
記録[編集]
- 初記録
- 初登板・初先発登板:2017年8月20日、対千葉ロッテマリーンズ19回戦(京セラドーム大阪)、5回1失点6奪三振で勝敗つかず
- 初奪三振:同上、1回表にウィリー・モー・ペーニャから空振り三振
- 初勝利・初先発勝利:2017年8月31日、対千葉ロッテマリーンズ22回戦(ZOZOマリンスタジアム)、5回2失点2奪三振
- 初ホールド:2018年4月28日、対福岡ソフトバンクホークス4回戦(京セラドーム大阪)、8回表に2番手で救援登板、1回無失点
- 初セーブ:2018年5月1日、対埼玉西武ライオンズ4回戦(京セラドーム大阪)、9回表に3番手で救援登板・完了、1回無失点
- 初完投・初完投勝利・初完封勝利:2019年6月28日、対埼玉西武ライオンズ10回戦(メットライフドーム)、9回無失点(5被安打2四球11奪三振)
- その他の記録
- 投手三冠王:3回(2021年 - 2023年)※史上21人目、3度獲得、3年連続は共に史上初
- 投手四冠(三冠+最高勝率):3回(2021年 - 2023年)※史上12人目、2021年は令和初、複数回は史上初
- 投手五冠(四冠+最多完封):2回(2021年、2022年)※史上8人目、他の投手と5部門のいずれかで並んでの投手五冠は史上初
- 投手七冠(五冠+最多投球回+最多完投):2回(2021年、2022年)※1938年スタルヒン、1943年藤本英雄に次ぐ史上3人目、2リーグ分裂後初
- ノーヒットノーラン:2回 ※複数回達成したのは史上10人目
- 1回目:2022年6月18日、対埼玉西武ライオンズ11回戦(ベルーナドーム)、9回102球1四球無失点9奪三振 ※史上86人目97度目、球団史上9人目10度目、許した走者が1人のみだった(準完全試合)のは史上18人目19度目
- 2回目:2023年9月9日、対千葉ロッテマリーンズ19回戦(ZOZOマリンスタジアム)、9回102球2四死球無失点8奪三振 ※史上100度目、2年連続で達成したのは史上3人目、82年ぶりで2リーグ制後では初
- 5年連続シーズンWHIP0点台:2019年 - 2023年 ※パリーグ記録、NPBでは小山正明に次ぐ、歴代2位タイ
- シーズン防御率1.21:2023年 ※1956年の稲尾和久(1.06)に次ぐ、パ・リーグ歴代2位
- シーズン被本塁打2:2023年 ※規定投球回到達者では2リーグ制以降最少記録
- HR/9 0.1098:2023年 ※1956年の稲尾和久に次ぐ、2リーグ制以降NPB歴代2位
- HR/9 リーグ1位:4回(2019年、2021年 - 2023年)※2リーグ制以降NPB最多記録
- 1イニング3与死球:2020年7月5日、対埼玉西武ライオンズ6回戦(メットライフドーム)、6回裏に山川穂高、中村剛也、木村文紀に与死球 ※NPBタイ記録、史上11人目
- 25イニング連続奪三振:2020年7月26日 - 同年8月25日 ※日本人2位、歴代4位
- シーズン15連勝:2021年5月28日 - 同年10月25日 ※史上9人目、10度目、球団記録
- 日本シリーズ20奪三振:2021年 ※6試合シリーズとしては歴代3位
- 日本シリーズ1試合14奪三振:2023年第6戦 ※史上最多記録
- 日本シリーズ1試合二桁奪三振:2回(2021年第6戦、2023年第6戦)※史上4人目となる最多タイ記録
- クライマックスシリーズ17回連続無失点:2021年、2022年 ※涌井秀章、菅野智之と並び、最多タイ記録
- 開幕投手:2回(2021年、2022年)
- オールスターゲーム出場:5回(2018年、2019年、2021年 - 2023年)
背番号[編集]
- 43(2017年 - 2019年、2019年プレミア12)
- 18(2020年 - 2023年、2023年WBC)
- 17(2020年東京オリンピック)
登場曲[編集]
- 「全てが僕の力になる!」くず(2017年 - 2019年)
- 「We Are on Your Side」三阪咲(2020年)
- 「Frontier」VINAI(2021年 - )
代表歴[編集]
- 2019 WBSCプレミア12 日本代表
- 2020年東京オリンピックの野球競技・日本代表
- 2023 ワールド・ベースボール・クラシック日本代表