専門チャンネル
専門チャンネル(せんもんチャンネル)とは、テレビ放送等において、特定のジャンルに限った番組だけを放送するチャンネルのこと。対義語は総合編成。
多くの場合、通信衛星(CS)を通じての番組送信を行っている。この項ではCS以前の放送方法についても後述する。
概要[編集]
専門チャンネルは、地上波放送や、衛星放送のうち、放送衛星(BS)での無料放送チャンネルのような総合的な編成と異なる、特定のジャンルに絞った番組編成をとっている。多チャンネルのプラットフォーム(ケーブルテレビおよび光放送、衛星放送、IP放送など)において、主要なチャンネル群となっている。世にいうテレビの「多チャンネル化」とは通常、この専門チャンネルの拡大を指す。
おおむね通信衛星(CS)を通じての番組送信を行っていることから、専門チャンネルを指して「CSチャンネル」「CS」などと呼称する場合もある。個人世帯向け多チャンネルプラットフォームは有料であることから、視聴料の支払いなしで視聴できる無料放送に対して単に「有料チャンネル」「ペイチャンネル」(参考:en:Pay television)と呼称する場合もある(語の運用の混乱については後述)。
個人世帯向けのほか、宿泊施設等で有料の「ペイチャンネル」などにも導入されている。
ケーブルテレビ(CATV)の自主放送チャンネルはもっぱら地域情報を専門に扱うが、通常「専門チャンネル」とは呼ばれない。
日本の法制[編集]
日本のCS放送における専門チャンネルの法的位置づけは、制度発足当初は「衛星役務利用放送」または「CS委託放送」であったが、2011年の放送法改正により「衛星基幹放送」「衛星一般放送」へと整理された。「基幹放送」はBS衛星放送と同じ受信装置を用いる放送を対象とし、「一般放送」はそれ以外の全ての放送を対象とする。
日本での歴史[編集]
ケーブルテレビへの配信[編集]
- 日本の専門チャンネルは、ケーブルテレビ (CATV) 各社向けの「テープネット」、「物ネット」で始まった。各CATV局へ、番組コンテンツ入りのビデオテープを配給する形で番組配信が行われた(スター・チャンネル等)。全国共用の番組スケジュールに沿い(ガイド誌等掲載の番組表が共通スケジュールであった)各社が各自一斉に同じスケジュールで放送した。
- 1989年、通信衛星SUPERBIRD等によるCSアナログ(通信衛星)配信がはじまる(スター・チャンネル、スペースシャワーTV等)。
- 1992年、通信衛星SUPERBIRD Bを使用した「スカイポート通信サービス」(株式会社スカイポートセンター)、通信衛星JCSAT-2を使用したCS BAANによるCSアナログ配信が始まる。CATV以外にもマンション、文化住宅、アパート等のいわゆる集合住宅やホテル等の共同受信設備を通しての視聴向けの配信も行われた。
- 1996年、通信衛星JCSAT-3を使用してパーフェクTV!(現スカパー!)のCSデジタル放送電波を使っての配信が始まる。各戸への送信はまだアナログ波で行われていた。
- 1997年、通信衛星SUPERBIRD Cを使用してディレクTVのCSデジタル放送電波を使っての配信が始まる。
- 1998年、通信衛星JCSAT-4Aを使用してスカパー!スカイサービスのCSデジタル放送電波を使っての配信が始まる。
- 2002年、通信衛星N-SAT-110デジタルCS放送電波を使っての配信が始まる。
- 2002年、デジタルCATV向けに変調された信号を衛星によって各CATV局へ配信を行うi-HITS(5月サービス開始)、J-HITS(現JC-HITS)のデジタル配信事業者の一形態HITS事業者が事業を開始。これらデジタル配信事業者を使った場合、送信もデジタル波となる。
- 2002年5月、日本デジタル配信 (JDS) 等では上記HITS事業者のCS衛星からの信号やCSデジタル放送を受信し変調方式をCATV向けに変調して光ファイバーで周辺のCATV局で配信を行うデジタル配信事業を開始。
- 2005年10月、JDS は光ファイバーでの配信を全国に広げたネットワークを構築した。このネットワークは伝送路に衛星を使わず天候障害の発生しない配信サービスとなっている。同時にハイビジョンチャネル(ディスカバリー HD等)の配信も開始。
個人向け放送[編集]
- 1980年代、従来、地上波テレビ放送の難視聴対策設備であったCATVで専門チャンネルの送信が始まる。アナログ波によるものであった。
- 1989年、放送法改正で通信衛星を使って個人宅向けの直接放送ができるようになる。
- 1992年7月、通信衛星SUPERBIRD Bを使用した「スカイポートTV」(宇宙通信株式会社)、同年、通信衛星JCSAT-2を使用したCS BAANによるCSアナログ放送がはじまる。CATVよりもチャンネル数は限られていた。
- 1996年10月1日、通信衛星JCSAT-3を使用してパーフェクTV!(現スカパー!)のCSデジタル放送始まる。
- 1997年12月1日、通信衛星SUPERBIRD Cを使用してディレクTV等のCSデジタル放送始まる。
- 1998年3月31日、CS BAAN 放送終了。
- 1998年9月30日、スカイポートTV 放送終了。
- 1998年4月、通信衛星JCSAT-4Aを使用してスカイパーフェクTV!(現スカパー!)スカイサービスのCSデジタル放送始まる。
- 2000年10月7日、ディレクTV廃局。
- 2002年3月1日、通信衛星N-SAT-110を使用してプラットワンの110度CSデジタル放送始まる。
- 2002年、一部ケーブルテレビ局でデジタル波放送による送信が始まる。
- 2002年7月1日、通信衛星N-SAT-110を使用してスカイパーフェクTV!2(現 スカパー!e2)の110度CSデジタル放送始まる。
- 2002年、広義のケーブルテレビである有線役務利用放送が始まる。ビー・ビー・ケーブル株式会社による BBTV (IPマルチキャスト方式)等。
- 2003年11月21日、標準テレビジョン方式の有線役務利用放送が始まる。K-CAT eo T.V. (現 K-CAT eo光テレビ、役務提供ケイ・オプティコム、役務利用ケイ・キャット)等。
- 2004年3月1日、スカイパーフェクTV!2 とプラットワンが統合、スカイパーフェクTV!110(現スカパー!e2)に。
- 2004年9月、スカイパーフェクTV!110 で、専門チャンネル初のハイビジョンチャンネル「スター・チャンネル ハイビジョン」が始まる。
- 2004年10月20日、通信衛星MBSatを使用してモバHO!のモバイル受信向けCSデジタル放送始まる。
- 2008年10月1日、スカパー!においてハイビジョンチャンネルの放送が始まる。
- 2009年3月31日、モバHO!の放送終了。