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宮城県

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宮城県(みやぎけん)は、日本の東北地方に位置する県。県庁所在地は仙台市。

概要[編集]

宮城県は東北地方の南東部に位置する。県内には仙台平野が広がり、北上川や阿武隈川といった大河が貫流して流域に沖積平野が発達している。東は太平洋に面し、県中部にある松島は多島海の景勝地で日本三景の一つに数えられる。西は奥羽山脈に接し、栗駒山や蔵王連峰などの秀峰がそびえる。県内の気候は太平洋側気候に分類される。冬の間、県西部の山間地は多雪地域であるが、東部の平野では雪は少なく晴れの日が多い。夏季については、太平洋からの海風の影響で厳しい暑さにはなりにくい。通年で穏やかな気候の風土である。県内人口は約225万人である(2023年9月1日の推計人口)。

現在の宮城県の領域は、古墳時代からヤマト王権の影響下にあり、雷神山古墳など多数の古墳が造営された。後に陸奥国府と鎮守府である多賀城が置かれた。中世には大崎氏や葛西氏、留守氏、国分氏などが割拠したが、伊達政宗が米沢城から岩出山城を経て仙台城を築き、江戸時代の間は伊達氏の仙台藩がここを治めた。明治時代の廃藩置県に前後して、登米県、石巻県、胆沢県、角田県、仙台県などが成立し、県域の分合がたびたび行われた。1872年(明治5年)に仙台県は宮城郡由来の宮城県へ改称し、現在まで続く宮城県の領域がほぼ形作られるのは1876年(明治9年)である。

県内の平野部では稲作が盛んであり、ササニシキやひとめぼれの産地である。中でも県北部の大崎地方の肥沃な土地は大崎耕土と呼ばれる。イチゴやナシなどの果物、仙台白菜を初めとする伝統野菜も生産されている。畜産では仙台牛や宮城野豚(宮城野ポーク)といった銘柄がある。また、東北地方の三陸沖は寒流である親潮と暖流である黒潮の潮境で、世界的にも有数の漁場である。これに近い宮城県には多数の漁港があり、中でも気仙沼漁港、石巻漁港、塩釜漁港は特定第3種漁港に指定されている。1県に複数の特定第3種漁港を持つ県は宮城県が唯一である。カツオ、サンマ、マグロ、カジキなど多種の魚がこれらの港で水揚げされるほか、ワカメやノリ、カキ、ホタテガイ、ホヤ、ギンザケの養殖が県内で行われている。伝統工芸としては、鳴子漆器、白石和紙、堤焼、切込焼、仙台張子、仙台平などがある。

地理[編集]

位置・地形[編集]

宮城県は、北側で岩手県と、南側で福島県と、西側で山形県と、北西で秋田県と接している。東京都からは北へおおよそ300キロメートルの位置に当たる。宮城県の総面積は約7282平方キロメートルで、これは日本の都道府県の中では16番目の広さである。うち、可住地面積は約43パーセントである。

主に山形県との県境になっている宮城県西部には奥羽山脈が南北に連なっている。主な山々として県北西部に標高1627メートルの栗駒山、中西部に標高1500メートルの船形山、南西部に蔵王連峰があり、蔵王連峰の山々のうち標高1825メートルの屏風岳が宮城県の最高峰である。また、奥羽山脈の東側には丘陵地が点在する。宮城県の南北には奥羽山脈のような際立つ高山帯はないが、県南部には阿武隈高地が迫り、北東部には北上高地が延びている。

一方、県の東側は太平洋に面している。県の北東部は、岩手県や青森県に及ぶ三陸海岸の南部に当たり、北上高地が海に落ち込んでリアス式海岸を形成する。三陸海岸は牡鹿半島として太平洋に突き出し、その周辺には金華山や網地島、出島、江島などの島々が浮かぶ。牡鹿半島付近から南は仙台湾によって大きくえぐられている。仙台湾沿いの大部分は平坦な砂浜海岸だが、松島付近はリアス式海岸で、多島海が広がる特色のある地形である。

宮城県の平野は特に南東部と北部で発達し、仙台平野と呼ばれている。ここを多数の河川が太平洋を目指して流れている。県の北部を流れる北上川は岩手県から続く川で、迫川や江合川を集める。北上川は分流されていて、追波湾と石巻に注いでいる。県南部には福島県を水源とする阿武隈川が流れ、白石川を合わせて太平洋に落ちる。これらの他に、宮城県で太平洋に注ぐ河川としては、鳴瀬川や七北田川、名取川などがある。県北部には伊豆沼や内沼、化女沼、蕪栗沼などの湖沼や湿地があり、これらは国際的に重要な湿地としてラムサール条約に登録されている。また、海とつながる湖沼として牡鹿半島の基部に万石浦、阿武隈川河口に鳥の海がある。

    • 奥羽山脈系:栗駒山、船形山、蔵王連峰など。
    • 北上高地系:翁倉山など
    • 阿武隈高地系:手倉山など
  • 丘陵
    • 陸前丘陵:幅10 - 30キロメートルで南北方向に延びるなだらかな丘陵地。阿武隈高地の延長。南部では仙台平野(仙南平野)と西部盆地群とに分ける青葉山丘陵などがあるが、北部の仙北平野では孤立した丘陵地も多い。
      • 松島丘陵:東西方向に延びる。仙台平野を仙北・仙南の2つの平野に分けるのみならず、様々な境界となっている。
      • 愛島丘陵:東西方向に延びる。東北地方最大の前方後円墳である雷神山古墳がある。
    • 角田丘陵(亘理丘陵、亘理地塁山地):南北方向に延びる。阿武隈高地の延長。宮城県内の浜通り部と角田盆地を分ける
    • 北上川、鳴瀬川、七北田川、名取川、阿武隈川、迫川、夏川
  • 平野
    • 仙台平野(仙北平野と仙南平野に分ける事もある)
  • 盆地(括弧内は盆地を造り出した支流の名前)
    • 八幡川沿い:入谷盆地
    • 北上川沿い:鬼首盆地(江合川)、鳴子盆地(江合川)、中山平盆地(大谷川)
    • 名取川沿い:愛子盆地(広瀬川)、川崎盆地(碁石川)
    • 阿武隈川沿い
      • 本流沿い:槻木盆地、角田盆地(伊具盆地)
      • 白石川沿い:船岡盆地、大河原盆地、白石盆地
      • 白石川の支流沿い:村田盆地(荒川)、円田盆地(松川)
  • 半島
    • 牡鹿半島、唐桑半島、七ヶ浜半島、雄勝半島
  • 離島
    • 気仙沼大島(東北地方最大の離島)、金華山、田代島、網地島、宮戸島、浦戸諸島(桂島、野々島、寒風沢島、朴島)
  • 重心
    • 面積重心:黒川郡大和町落合松坂 北緯38度26分55秒 東経140度55分29秒
    • 人口重心:宮城郡利府町青山 北緯38度20分50秒 東経140度58分45秒

気候[編集]

県内の気候は太平洋側気候に分類され、全般に夏期は酷暑が少なく、冬期でも降雪量は東北地方の中では少なめであるので比較的過ごしやすい。県北部の太平洋沿岸部は緯度の割には温暖で太平洋側気候の特徴をよく表すが、南部の気候は関東に近い。また、東側は海洋性気候、西部は内陸性気候の特徴を示し、さらに西部山間部は冬期に豪雪となり日本海側気候の特徴を示す。大崎市の旧鳴子町地区は特別豪雪地帯である。

気象庁による気象予報では、宮城県を「宮城県西部」と「宮城県東部」に二分し、さらに西部を「西部栗原」、「西部大崎」、「西部仙台」、「西部仙南」に、東部を「気仙沼」、「石巻」、「登米・東部栗原」、「東部大崎」、「東部仙台」、「東部仙南」に細分している。

  • 気仙沼、石巻 … 三陸海岸に面したこの地域は、夏季はやませの影響を受けやすく冷涼であり真夏日になることは少ない。冬季は雪も少なく比較的温暖である。
  • 西部栗原、西部大崎 … 内陸性気候となり冬季は寒さが厳しい。豪雪地帯に属し日本海側気候に属する。特に大崎市の旧鳴子町は特別豪雪地帯に指定されている。内陸地域にあるものの夏季は比較的冷涼であり猛暑にはならない。
  • 登米・東部栗原、東部大崎 …平野部地域は雪は少なく太平洋側気候ではあるが、岩手県の北上盆地の気候の延長線上にあり、内陸盆地の特徴を示す。地形のために時に強風の影響で地吹雪となることもある。冬季の日照時間が多いため放射冷却が起こりやすく最低気温は零下10°Cから零下15°Cくらいまで下がることもある。
  • 西部仙台、西部仙南 … 福島県中通りや北関東の気候の延長線上にある。内陸性気候となるが緯度が低いため、夏季は冷涼、冬季は緯度の割には温暖である。都市圏の仙台市青葉区旧宮城町と太白区旧秋保町・白石市・川崎町は、内陸のためより寒冷であり積雪も多く、豪雪地帯に指定されている。
  • 東部仙台、東部仙南 … 福島県浜通りの気候の延長線上にある。海洋性気候となり、年較差、日較差ともに小さい。都市圏の仙台市周辺はヒートアイランド現象の影響が見られ、南にある北関東の各都市よりも冬季の冷え込みは緩い。零下5°Cを下回ることさえ稀である。また積雪も少ない。

また、気象庁の地震に関する速報や情報で用いられる区域では、宮城県は「宮城県北部」、「宮城県中部」、「宮城県南部」に三分されている。



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