天文学
天文学(てんもんがく、英:astronomy, 独:Astronomie, Sternkunde, 蘭:astronomie (astronomia), sterrenkunde (sterrekunde), 仏:astronomie)は、天体や天文現象など、地球外で生起する自然現象の観測、法則の発見などを行う自然科学の一分野。
概説[編集]
現代の天文学は主に3つの分野に分類できる。位置天文学・天体力学・天体物理学である。
天文学は自然科学としてもっとも早く古代から発達した学問である。先史時代の文化は、古代エジプトの記念碑やヌビアのピラミッドなどの天文遺産を残した。発生から間もない文明でも、バビロニアや古代ギリシア、古代中国や古代インドなど、そしてイランやマヤ文明などでも、夜空の入念な観測が行われた。
現代の天文学 (astronomy) を、天体の位置と人間界の出来事には関連があるという主張を基盤とする信念体系である占星術 (astrology) と混同しないよう注意が必要である。これらは同じ起源から発達したが、現代では完全に異なるものである。なお、現代において、天文現象について天文学的に論ずるときは当然占星術はいっさい排除しなければならないが、学問的に17世紀ごろまでの天文学史を研究する時は、占星術と天文学の関係も研究しなければならない。
もともと天文学という学問は、研究者が研究対象に直接触ったり取り扱ったりすることができず、また実験を行うことができないものと考えられていた。ところが近年は探査機が資料を持ち帰る時代になり、そのため太陽系の天体は純粋な天文学の対象から惑星物理学の領域に移りつつある。この例を除けば、天文学が基本的に用いる手段は電磁波を受信するリモートセンシングが中心となる。
天文学の研究には2つの側面がある。宇宙には地球のどんな実験室でも実現が難しい超高温・超高密度の領域がさまざまなところにあり、このような極限状態でも地上の物理法則が適応できることを確認してその普遍性を検証する点がその第一である。これは惑星運動を物理法則で説明した試みが嚆矢に当たる。もうひとつは人類が宇宙の中でどのような位置づけにあるかを考えることであり、いわゆる宇宙観の形成と言える。大抵の場合、天文学の研究にはこの両者が含まれる。
一方、「天文学は、宇宙を研究対象とする宇宙論(うちゅうろん、英:cosmology)とは深く関連するが、宇宙論のほうは思想哲学を起源とする異なる学問である」と述べる者もおり、立場の違いによってさまざまな見解が存在する。