大創産業
株式会社大創産業(だいそうさんぎょう)は、広島県東広島市に本社を置く、100円ショップのダイソー(DAISO)を運営する日本の企業である。日本国内に約3,300店舗、世界26の国家・地域に、約2,000店舗を展開している。
概要[編集]
当初はスーパーマーケットの駐車場に店舗を構える、移動販売・露店方式の100円ショップを運営していた。
1980年頃の100円ショップは、問屋からすべての商品を70円以下で仕入れて100円で売る状態であったことから商品の質にも限界があった。当時、ある主婦客の一人が「安物買いの銭失い」とつぶやくのを創業者である矢野博丈が目にし、それ以来仕入れのスタイルを変えた。時には98円で仕入れた商品を100円で売ることもあるなど、売価100円の範囲で可能な限り質にこだわった商品構成に変更した。これにより「矢野の100円ショップは商品がいい」と評判を呼び、全国から引き合いが増えるようになった。
スーパーマーケットのオーナーからテナントでの出店を誘われたことが、現在のダイソーのルーツとなる。100円商品は安価で品質は劣るという先入観を払拭するため、仕入れ原価が100円に近いものや原価割れしている商品も100円として販売する手法を取った。また、テナント形式の店舗により、顧客はいつでも来店して買い物することができ、商品に問題があった場合は店舗にクレームを申し入れられるようになったため、移動販売に比べて格段の信頼を得ることにもつながった。それらの理由により、屋内の店舗形式による100円ショップを展開していく大きな原動力となった。
1991年3月、同社初めての直営100円均一ショップを、香川県高松市の丸亀町商店街内に開店する。創業時初期は商店街等への出店が多かった。また店舗にはNo.○○とナンバリングをしており、小倉魚町店(No.16)等、現在もその時期の外装で営業する店舗も存在する。
- 店舗展開
バブル崩壊後の平成不況時代(失われた10年)において、消費者の購買意欲が低下している経済状況がチャンスとなり、安価な商品を求める当時の消費者のニーズに応えた。
また生活に関わる雑貨品を中心に、多岐にわたるジャンルの商品を陳列し、「100円ショップ=多数のジャンルの商品がある」とのイメージを付加した。安価の魅力の他に、一度の来店で多様なジャンルの雑貨が購入できる利便性が、来店者数増加・売り上げ拡大の要因ともなる。
付加価値の高い商品を多く揃えられた背景には、
- 平成大不況時代において商品の原価や原材料の市中価格は著しい低水準価格であったこと
- 製造メーカーや卸売業者から大量の商品・商材を、現金取引で行うことで、通常より仕入れコストを抑えていたこと
が要因である。
そして、積極的な出店を展開し、豊富な商品の品揃えの中で100円均一というスタイルが、近所の評判やメディアを通じて知名度を一気に上げ、ダイソーは全国区レベルの小売業に成長する結果となった。絶大なる知名度と大不況時代の国民からの支持により、売り場面積1,000 - 2,000坪超の超大型店舗や、アジアやアメリカ合衆国を中心とした日本国外への出店も実現した。
製造メーカーが生産した商品でも、製造メーカー名を伏せて大創産業の社名のみと自社のロゴ(「素材発信」や「ザ○○」など)を明記して自社オリジナル商品仕様にすることにより、単なる小売業ではなく商品開発・管理が特化している企業となり、消費者からは「ダイソーのオリジナル商品」の呼称も多く見受けられるようになり、商品開発力をも持ち合わせる店舗として捉えられることにもなった。
バブル崩壊後の平成不況時代の末期ごろから、「高額商品」という呼称で100円以上の商品の販売が開始された。当初は150円や200円などの、従来の100円商品に多少の付加価値を加えた程度の商品が多く、100円ショップの概念を打ち壊して批判を受けたり疑問を抱かれる不安材料があったものの、100円ショップブームが終焉して経営不振になることを懸念したため、脱・100円ショップ路線を模索する形で実施に踏み切った。これは創業者であり社長である矢野の創業以来の考えであった。
結果的には極端な来店者数の減少を招くことなく、豊富な商品ラインナップにより来店する客が多いことを機軸にして、高額商品を自然な形で定着することができた。
社名[編集]
創業当時、「会社の規模はまだまだ小さいけど、名前だけは大きな物にしよう」という意気込みから、「大きく創る」を「大創」としたのが社名の由来である。
キャッチコピー[編集]
「だんぜん!ダイソー」
店舗ブランド[編集]
店舗によっては、「DAISO」・「Standard Products」・「THREEPY」の3業態がワンフロア内に集結した店舗や、「THREEPY」と「DAISO」又は「Standard Products」の2業態を1つの店舗で展開する複合店舗が存在する。
100円ショップ[編集]
- ダイソー (DAISO) - 以前は「ザ・ダイソー」の名で出店していたが、2019年3月、店名の表記が「ダイソー」に変更された。
- オレンジ - 株式会社中部商会が運営していた100円ショップ。2015年10月にダイソーが買収した時点では54店舗存在していたが、「ダイソー」への転換や閉店が進み、2023年3月5日時点で現存するのは、泉たてば店(横浜市泉区)のみである。
300円ショップ[編集]
- Standard Products(スタンダードプロダクツ) - 2021年3月26日、渋谷マークシティ1階に1号店をオープンしたのを皮切りに、2023年11月時点で北海道・東北(青森県・山形県・福島県は未出店)、関東(茨城県・栃木県は未出店)、北陸・中部(福井県は未出店)、四国(高知県は未出店)、九州・沖縄(佐賀県・宮崎県は未出店)及び近畿・中国の一部(三重県・京都府・大阪府・兵庫県・島根県・広島県のみ)に98店舗を展開している。
- THREEPPY(スリーピー) - 若い女性にターゲットを絞り、専用ウェブサイトやInstagram公式アカウントを開設して宣伝している。2023年11月時点で全国に405店舗を展開している。
- CouCou(クゥクゥ)(一部500円の商品もある) - かつてはビルジャンが運営していたが、2020年5月1日に大創産業がビルジャンから事業譲受した。2023年11月時点で茨城県・埼玉県・神奈川県・東京都・愛知県・滋賀県・兵庫県・広島県・福岡県・鹿児島県に13店舗を展開。Instagramの公式アカウントが「THREEPPY」と統合されている。
- PlusHeart(プラスハート) - 「THREEPPY」の商品も取り扱う。2023年11月時点で岩手県・埼玉県・愛知県に3店舗を展開。「CouCou」同様、Instagramの公式アカウントが「THREEPPY」と統合されている。
沿革[編集]
- 1972年(昭和47年) - 矢野博丈が家庭用品の販売を目的として矢野商店を創業。
- 1977年(昭和52年) - 株式会社大創産業として法人化。
- 1987年(昭和62年) - 「100円SHOPダイソー」の展開に着手。
- 1997年 - 通産大臣賞「貿易貢献企業賞」を受賞。
- 2001年 - 台湾に出店。以後、世界各国に出店。
- 2015年10月27日 - 100円ショップオレンジを展開する中部商会の全株式を取得し、完全子会社化。
- 2019年3月5日 - CI及びロゴマークを刷新。
- 2019年4月1日 - ダイソー女子駅伝部を創部。
歴代社長[編集]
- 矢野博丈(1977-2018)
- 矢野靖二(2018-)1971年4月広島県出身。博丈の次男。1995年に吉備国際大学社会学部を卒業後、スーパーマーケットチェーンのイズミに入社。2015年に大創産業に入社し、2016年より副社長、2018年3月より現職。
取扱商品[編集]
商品アイテム数[編集]
取り扱いアイテム数は数十億点に及ぶと顧客にアピールしている。加えて新商品販売についても積極的にアピールしている。豊富なバリエーションの商品陳列により、再来店しても飽きることなく、新鮮味を帯びた店舗雰囲気の維持に意欲的である。
地域限定商品[編集]
日本コカ・コーラの飲料はウエスト社製品を扱っているため、ウエスト社管轄エリア外店舗でウエスト社限定品を購入することができる。
品質管理[編集]
100円商品の特徴である耐久性・品質の劣化等を抑えるために品質管理や変更も行われる。そのために店舗のスタッフは、取り扱い商品について客から寄せられた意見・要望、または自身が気づいた点を商品情報として記入することを業務の中でされ、本社から週に一度の提出を求められる店舗もある。
高額商品[編集]
税抜き150円以上の商品は「高額商品」として扱われ、300円までは50円刻み、以降は100円刻みとなる(表記した価格はいずれも税抜き価格)。高額商品の登場や拡大によって、日常生活に関わる雑貨類の取り扱い領域が拡大した。
価格は本体価格としては主に100円から1000円以上の商品が中心である。
値札や価格表示がない商品は原則として100円商品となり、高額商品には○○円商品であることを示すラベルや値札タグを商品に取り付けている。また、会計の時に高額商品は高額商品であることの確認がある。これらのラベル・タグは、白地に赤色でおおよそ統一されている(2016年2月頃までは赤地に黄色もしくは白色の書体であった)。
出版物[編集]
株式会社大創出版(或いは創美出版株式会社)として、冊子形態の書籍を刊行し、店内で販売している。累計発行部数は2億冊を超える。
- クロスワードマガジン Vol.1 - 16
- パズルランド Vol.1 - 14
- パズルワールド Vol.1 - 26
- クロスワードチャレンジ Vol.1 - 15
- 漢字&ナンプレチャレンジ Vol.1 - 5
- 懸賞パズルマガジン Vol.1 - 22
- 懸賞クロスワードマガジン Vol.1 - 22
- 懸賞パズルミラクル Vol.1のみ
- 懸賞クロスワードミラクル Vol.1 - 現在
- 懸賞ナンプレマガジン Vol.1 - 現在
- 懸賞ナンプレマガジンDX Vol.1 - 2
- 懸賞まちがいさがしマガジン Vol.1 - 現在
- 懸賞てんつなぎマガジン Vol.1のみ
- ダイソーコミックシリーズ(絶版)
- ダイソーミステリーシリーズ(絶版)
- ダイソーミニ辞典シリーズ
- ダイソー小説シリーズ(絶版)
発売元がダイソー(大創産業)である商品[編集]
パッケージが製造会社名の入ったものではなくダイソー独自の商品番号とダイソー専用パッケージに入って販売されている商品の一部は、ダイソー以外の100円ショップ(セリア・キャンドゥ・ワッツなどの有名な店舗や全国展開していない業者の店舗)で、製造元企業の名前が入ったパッケージで販売されていることがある。一例として、丸七社の小物電化製品(100円販売のランタン型懐中電灯やヘッドフォン、小型のスピーカーなど)や、コンピューター関係の周辺機器には一体型USBケーブルを電源として用いた音響機器である小型のスピーカー(ステレオスピーカー仕様)がある。携帯電話の周辺機器には記録メディア製品では主にデータ記録用と番組録画用のDVD(ただしこれに類する製品の内、現在ではVHSビデオテープは既に完全撤退しているが、録音用の音楽カセットテープは引き続き継続して販売されている。)販売元が大創産業名義のTMIジャパン(パッケージには製品に関するサポートの委託をしていると表記。)とヴァーテックスが輸入元の1枚入り(1枚入りパッケージでいずれも本体価格100円である。)のBlu-ray Disc(以前のパッケージには販売メーカーが大創産業と表記されていたものが店頭の棚に並んでいた。)がある。サナダ精工株式会社の調理器具類(プラスチック製ボウルや食品用密閉容器など)などが挙げられる。その他、USBケーブルからの電源を使う小型の扇風機がある。イスになる収納ボックスの販売もしており、玩具類では300円からなるDAISOブランドのぬいぐるみが販売されている。他にも最安値でお手頃に買える女性向け(主に10代世代中心とされる。)の製品にも力を入れているらしい(もっとも詳しい情報は外部リンクにあるDAISOの各種公式SNSを参照)。DAISOブランドの製品が今後ラインアップが増えつつある。公式のInstagram(主に更新頻度が多い)と公式Twitter(現在はInstagramよりも更新頻度が少ない)にはDAISOからの新製品の情報が公開されている。
ダイソーセレクト[編集]
2013年から始まった、ダイソーのプライベートブランド。食品が中心のブランドであるが、ポケットティッシュなど一部の日用雑貨なども「ダイソーセレクト」として販売されている。食品の内、大手の製菓企業(主な製品のメーカーはヤマザキビスケットのルヴァンシリーズ)からもDAISOセレクトのロゴ入りパッケージになっていて、通常の同一製品とは仕様が異なっており、入り個数や内容量を変えてダイソーセレクトブランドとして提供され、販売しているお菓子もある。高品質な窓ガラス用ワイパーなども販売。
店舗[編集]
出店店舗の詳細は公式サイト「店舗情報」を参照。47都道府県すべてに店舗が存在する。
店舗は直営店舗のほかに販売代理店の形態でダイソー商品を取り扱う店舗が存在する。
面積1,000坪以上の店舗[編集]
2,000坪以上の店舗は店名に「ギガ」を冠する(2019年現在、ギガ船橋店のみ)。
地域名 | 店舗名(面積) |
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北海道 |
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東北地方 |
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関東地方 |
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中部地方 |
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近畿地方 |
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中国地方 |
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四国地方 |
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九州・沖縄地方 |
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旗艦店[編集]
東京のマロニエゲート銀座2店と、福岡の博多バスターミナル店は、ダイソーに加えTHREPPY、Standard Productsを1フロアで一挙に取り扱うことから、それぞれ東日本と西日本の旗艦店と位置づけられている。
ダイソービズ[編集]
- 東京都心部のオフィスビル内に「ダイソービズ」名で出店。店舗面積は比較的小さいが、ビジネス客向けの品揃えとしているのが特徴。パレスサイドビルディング、富国生命ビルなど。
POSシステム[編集]
- POSシステムは主にNECプラットフォームズ(旧・NECインフロンティア)製のものが使用されている(POS導入店舗)。かつてPOS化には消極的であったが、近年では導入する店舗が増加傾向にある。なお、POS未導入(導入前)の店舗では主に東芝テック製のスタンドアローン型キャッシュレジスターを使用してきた(但しフレッセイやひらせいホームセンター系などの店舗では現在も使用されている場合がある)。
- 近年はセルフレジ化が進んでおり、一部店舗に導入されているフルセルフレジでは寺岡精工製を使用している。
- なお、店舗によっては入居している商業施設で導入しているレジシステムをそのまま使用しているところもある。
店舗によってはクレジットカード・電子マネーなど、現金以外の決済が可能である。店舗情報に利用可能な決済方法が記載されているが、実際にはホームページに記載のない決済方法でも利用可能な場合があるので、店頭で確認するのが望ましい。
直営店では一部店舗を除いて、QR・バーコード決済も導入されており、2019年10月1日からPayPay、2022年2月1日からメルペイとau PAY、同年3月1日から楽天ペイ、同年11月1日からd払いがそれぞれ利用可能である。
ポイントサービス[編集]
2020年4月現在、全店舗共通で利用可能なポイントサービスはないが、一部店舗では1回の会計が税込300円毎に1枚シールを配布し、一定枚数貯めると期間内に販売される限定商品を割引価格で購入できるサービスを行っている。
一部店舗では入居するテナントで導入しているポイントサービスが利用可能である。主な例ではイオングループの商業施設内の店舗では現金専用のWAON POINTカードが、ローソンストア100内の店舗ではPonta・dポイントが、島忠内の店舗ではTポイントが、コーナン内の店舗では楽天ポイントが利用可能である。