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(ゆめ)とは、 睡眠中あたかも現実の経験であるかのように感じる、一連の観念や心像のこと。睡眠中にもつ幻覚のこと。

睡眠中の脳活動にはレム睡眠とノンレム睡眠があるが、1957年に夢は主にレム睡眠の状態にみられる現象であることが明らかになった。視覚像として現れることが多いものの、聴覚・触覚・味覚・運動感覚などを伴うこともある。通常、睡眠中はそれが夢だとは意識しておらず、目覚めた後に自分が感じていたことが夢だったと意識されるようになる。しかし、稀にではあるが自分が今見ているものが、夢であることを自覚することが出来る場合もある。

「夢とは何なのか」ということについては、「古代からある信仰者の理解」、「20世紀の心理学者の理解」、「現代の神経生理学者の理解」、それぞれ大きく異なっているので、それらを区別しつつ解説する。

古代から現代までの信仰と夢の理解[編集]

古代[編集]

未開人や古代人の間には、睡眠中に肉体から抜け出した魂が実際に経験したことがらが夢としてあらわれるのだ、という考え方は広く存在した。

神のお告げ[編集]

夢は神や悪魔といった超自然的存在からのお告げである、という考え方は世界中に見られる。古代ギリシアでは、夢の送り手がゼウスやアポロンだと考えられていた。『旧約聖書』でも、神のお告げとしての夢は豊富に登場する。有名なところでは、例えばアビメレクの夢のくだりなどがある。中世の神学者トマス・アクィナスは夢の原因には精神的原因、肉体的原因、外界の影響、神の啓示の4つがある、とした。

解釈[編集]

バビロニアにおいては夢の解釈技法が発達し、夢解釈のテキストまで作られていた。

古代の北欧でもやはり人々は夢解釈に習熟しており、ある種の夢に関しては、その解釈について一般的な意見が一致していたという。たとえば、白熊の夢は東方から嵐がやってくる予告だ、と共通の認識があったという。

ユダヤ法典には、エルサレムに12人の職業的夢解釈家がいたことが書かれている。

ネイティブアメリカンの一部の部族には、夢を霊的なお告げと捉え、朝起きると家族で見た夢の解釈をし合う習慣がある。

古代ギリシアにおいて夢は神託であり、夢の意味するものはそのままの形で夢に現れているため「解釈を必要としない」(アルテミドロス)と考えられていた。

夢占い[編集]

夢占い(あるいは夢判断)では、夢は見た者の将来に対する希望・願望を指すか、これから起き得る危機を知らせる信号と考えられている。また、夢でみた現象がそのまま実現する夢を予知夢と呼び、可能性がある夢を詳細に検討する場合もある。一例として、『沙石集』には、熊野の阿闍梨が地頭の娘に一目惚れして、会いに行こうとしたが、船上で寝た際、その後の13年間を夢の中で見てしまい、我に返って、修行に戻った話がある。

東洋で古来からの夢占いの解説書として用いられてきたものに真書、偽書などの諸説はあるものの、『周公解夢全書』や『神霊感応夢判断秘蔵書』(伝、安倍晴明著)などがあり、日本での夢占いの分野における参考書的存在や底本として用いられる場合がある。

夢に関する科学[編集]

夢をみるプロセスに関しては様々な科学者が提唱を行っており、オーストリアの精神科医ジークムント・フロイトは夢は無意識の願望が現れたものと考えた。また、DNA(デオキシリボ核酸)の二重らせん構造の発見で知られるイギリスの科学者フランシス・ハリー・コンプトン・クリックは夢は脳にとって不要な記憶を消去している過程であると考えた。1953年には急速眼球運動(rapid eye movement、REM)を伴う睡眠フェーズであるレム睡眠が発見され、夢は本格的な科学研究の対象として扱われるようになった。しかし、レム睡眠の発見後もフロイトやクリックなどの仮説の科学的立証はできておらず、夢には未だに謎が多い。

一方で主にノンレム睡眠中に生じやすい脳波のデルタ波がノンレム睡眠とレム睡眠の切り替えに作用しており、学習や記憶形成に関与していることが明らかになっている。

夢の内容を直接読み出す研究も行われている。



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