You can edit almost every page by Creating an account. Otherwise, see the FAQ.

地方創生

提供:EverybodyWiki Bios & Wiki
移動先:案内検索

地方創生(ちほうそうせい)とは、東京一極集中を是正し、地方の人口減少に歯止めをかけ、日本全体の活力を上げることを目的とした一連の政策である。2014年(平成26年)9月3日の第2次安倍改造内閣発足後の記者会見で発表された。ローカル・アベノミクスともいう。

概要[編集]

加速度的に進む日本全体の人口減少は、日本の経済社会にとって大きな重荷であり、今後も続くと推計される東京圏への人口流入に起因する、地方から始まり都市部へと広がる人口減少の是正のため、各地域の人口動向や将来の人口推計(地方人口ビジョン)、産業の実態や、国の総合戦略などを踏まえた、地方自治体自らによる「地方版総合戦略」の策定と実施に対して、国が情報・人材・財政の各種支援を、地方の自立性、将来性、地域性、直接性、そして結果重視の原則に即して行い、地方における安定した雇用の創出や、地方への人口の流入、若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえ、時代に合った地域をつくり、安心な暮らしを守るとともに、地域間の連携を推進することで、地域おこしとその好循環の維持の実現を目指すとしている。

国の総合戦略の具体的な目標や展望については以下のとおり。

  • 2020年に向けての主な目標
    • 地方の若者の雇用数:5年間で30万人(2015年時点では5.9万人→2016年9.8万人)
    • 若い世代の正規雇用労働者など(自らの希望による非正規雇用労働者等を含む)の割合を、ほかの年代と同水準に(2014年の15~34歳の割合は92.7%に対し、すべての年代では93.7%→2015年はそれぞれ93.6%、94.0%)
    • 女性の就業率:77%(2014年70.8%→2015年71.6%)
    • 地方から東京圏への人口転入:6万人減(2014年は1732人増加)、東京圏から地方への転出:4万人増(2014年は11,152人減少)→(2015年は12万人の転入超過)(2019年は日本人だけで14万6千人の転入超過で均衡目標を2024年に先送りした)
    • 安心して結婚や出産・子育てができる社会の実現(2013年度で、そう考える人の割合が19.4%のところを、40%以上に)
    • 第一子出産前後の女性の継続就業率:55%(2010年38%→2015年53.1%)
    • 結婚希望実績指標:80%(2010年68%)
    • 夫婦の予定子供数(平均は2.12人)の実現率:95%(2010年、2015年共に93%)
    • 公共交通の利便性の高いエリアに居住している人口割合:三大都市圏90.8%(2014年度90.5%→2015年度90.6%)、地方中核都市圏81.7%(78.7%→79.1%)、地方都市圏41.6%(38.6%→38.7%)
    • 地域公共交通網形成計画の策定総数:100件(2015年11月末時点で60件→2016年9月末で13件)
  • 長期ビジョン(中長期の展望)
    • 希望出生率である1.8を達成し、東京一極集中の是正を行うことによって、2050年台の実質GDPを1.5~2%に維持しつつ、2060年には一億人前後の人口を確保。

政策[編集]

新型交付金[編集]

地方自治体それぞれの地方版総合戦略に対しての交付金。地方創生推進交付金、地方創生加速化交付金など。地方の自立性や官民連動を要件とした先駆性のある事業に用いられる。例えば人口流入策なら、一定期間の流入数や増加率のような、自治体自らが策定した具体的な数値目標を、国が精査して交付額や対象事業を決定し、進捗状況を国や地域住民とともに毎年検証して、場合によっては見直しを求めたり交付の変更が可能と、目標達成のために、具体的な数値目標を立て、その進捗状況を計測する「KPI(重要実績評価指標)」の設定や、「PDCAサイクル」を確立するとともに、個々の事業において民間資金を誘発し、将来的には本交付金に頼らない自立した事業構築を促すとしている。

国の総合戦略に設定している主なKPIは以下。

  • 6次産業化市場:10兆円(2013年度4.7兆円→2014年度5.1兆円)
  • 農林水産物などの輸出額:1兆円(2014年6117億円→2015年7451億円)
  • 訪日外国人旅行消費額:8兆円(2014年2.0兆円→2015年3兆4771億円)
  • 地域の中核企業、中核企業候補の支援:3年で2000社支援、雇用数8万人創出(2014年度0.1万人→2015年度0.1万人)
  • 年間の地方移住あっせん件数:11,000件(2014年約4000件→2015年度約7600件)
  • 企業の地方拠点機能強化件数:7500件増加(2015年目標値808件→2016年1403件)、地方での雇用者数を4万人増加(2015年目標値6600人→2016年11,560人)
  • 地元の大学に進学する割合:平均36%(2015年度32.3%→2016年度32.2%)
  • 若者の就業率:79%(2014年76.1%→2015年76.1%)
  • 支援ニーズ高い妊産婦への支援実施:100%(2015年度86.4%)
  • 男性の育児休業取得率:13%(2014年2.30%→2015年2.65%)
  • 「小さな拠点」の形成数:1000か所(2016年度722か所)
  • 住民の活動組織(地域運営組織)形成数:3000団体(2014年度1656団体→2015年度1680団体)
  • 連携中枢都市圏の形成数:30圏域(2015年4圏域→2016年17圏域)
  • 中古・リフォーム市場規模:20兆円(2013年11兆円)

政府関係機関の地方移転[編集]

東京一極集中是正の観点から、中央省庁や研究・研修機関などの地方移転を検討。道府県からの提案を踏まえ、地方経済活性化や人口流入の好循環、機関として機能の維持や向上、移転への全国的な理解、不要な財政負担や組織・人員の焼け太りを防ぐような、地元の官民の協力・受入体制が可能なのかの視点に立って検討される。政府関係機関の新設に当たっては、真に東京圏内での立地が必要なものを除き、東京圏外での立地を原則とすることとなった。

特区[編集]

地域の活性化のために、国による規制を緩和するなどの特例を、特定の地域に適用する制度。特別区域。

国家戦略特区[編集]

産業の競争力を強化し、国際的な経済活動の拠点の形成のため、経済社会の構造改革や規制改革などの施策を推進する特区。また、国家戦略特区の制度を利用した特区の中で、地方創生を目的とした「地方創生特区」があり、更にその一つの形として、遠隔医療、遠隔教育、無人航空機、自動運転車などの新技術を実証する領域を確保し、新たな商品・サービスに関するイノベーションの喚起をコンセプトにした、「近未来技術実証特区」がある。主な規制改革の例は以下。[編集]

  • 起業・開業・雇用
    • 起業や年金・社会保険などの各種手続きを一箇所で申請可能な窓口の設置など、公証人の役所外での職務が可能に(公証人法の特例)
    • NPO法人の設立手続きの迅速化(特定非営利活動促進法の特例)
    • 起業直後の企業の人材確保を支援するため、国家公務員が企業に転職したのち、再び国家公務員となった場合の退職手当の配慮(国家公務員退職手当法の特例)
    • シルバー人材センターに登録している高齢者の労働時間の延長など、高齢者の雇用の規制緩和(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の特例、現在は全国展開)
    • 外国人による起業の要件の緩和や、家事代行サービスの解禁(出入国管理及び難民認定法の特例)
    • 法人税の優遇措置などの課税の特例の適用(租税特別措置法の適用)
    • 特区に関する事業を営む企業に融資を行った、指定金融機関への利子補給金の支給
  • 医療
    • 高度先進医療の実現のための病床増設(医療法の特例)
    • 医療法人の理事長に、医師でなくても就任可能に(医療法の特例)
    • 血液が原料の試験用細胞などの製造・販売の規制を緩和(安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律の特例)
    • 臨床修練制度における、外国人医師の受け入れの規制を緩和(外国医師等が行う臨床修練等に係る医師法第十七条等の特例等に関する法律の特例)
  • 農林水産業
    • 企業などの農業への参入の要件の緩和(農地法等の特例、現在は全国展開)
    • 国有林の貸付・使用の対象者や面積の規制を緩和(国有林野の管理経営に関する法律の特例)
    • 漁業生産組合の設立や維持の要件人数の緩和(水産業協同組合法の特例)
  • 保育・教育・社会福祉
    • 地域限定保育士の導入(児童福祉法等の特例)
    • 公立学校の管理運営を民間に委託する、公設民営学校の設置(学校教育法等の特例)
    • 都市公園に保育所や社会福祉施設の設置を認可(都市公園法の特例)。
  • まちづくり
    • 建築における、容積率や用途地域の規制の緩和(建築基準法の特例)
    • 路上イベントなどの、道路占用許可の規制の緩和(道路法の特例)
    • 宿泊施設に個人所有のマンションなどを利用できる民泊や、歴史的建築物を宿泊施設として活用する場合の要件緩和など、旅館業法の適用の除外(旅館業法の特例)
    • 都市計画などの認可を、総理大臣の認定をもってなされたとみなす、認可手続きの一括化(土地区画整理法・都市計画法・都市再開発法・都市再生特別措置法の特例)
  • 政令・条例等による規制の特例措置

「国家戦略特別区域」も参照

総合特区[編集]

日本の経済社会の活性化と持続した発展のために、産業構造や国際的な競争条件の変化、少子高齢化の進展などの経済社会情勢の変化に対応して、産業の国際競争力の強化と、地域の活性化に関する施策を推進する特区。産業の国際競争力強化を目的とした「国際戦略総合特区」と、地域の活性化が目的の「地域活性化総合特区」の2つがある。

  • 国際戦略総合特区と地域活性化総合特区の両方の特例など
    • 大枠で住居・商業・工業の用途に分けられている、用途地域の規制の緩和(建築基準法の特例)
    • 法人税の優遇措置などの課税の特例の適用(租税特別措置法の適用)
    • 特区に関する事業を営む企業に融資を行った、指定金融機関への利子補給金の支給
    • 補助金などの処分の制限に係る承認の手続きの特例
    • 中小企業基盤整備機構による市町村への資金貸付
    • 政令・条例等による規制の特例措置
  • 国際戦略総合特区の特例
    • 国有の建物と敷地の無償譲渡(国有財産法の特例)
    • MICE(国際会議など)の参加者を載せた客船が寄港可能に(海上運送法の特例)
    • 農業用の自動車の車検の有効期間を一年伸長(道路運送車両法の特例)
    • 工場建設の際の敷地面積に対する緑地面積率・環境施設の設置規制の緩和(地域経済牽引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する法律の特例)

構造改革特区[編集]

官民の事業や経済活動が、古い規制により妨げられていることに対して、特区を設けることによって構造改革を進めることにより、地域の特性を活かした地域活性化の実現を目指して創設された特区。2015年の法改正で、以下の特例が追加された。

  • 通常、国家資格が必要な全国通訳案内士
  • 地方道路公社が有料道路の施設を所有したまま、料金徴収などの運営権を民間に売却可能に(道路整備特別措置法及び民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の特例)

情報・人材支援[編集]

地域経済分析システムの提供[編集]

国や民間が持つ、企業間取引や産業の分野別の情報、時間ごとの人の流れなどの地域経済に関わる様々な情報を収集したビッグデータを可視化した、地域経済分析システム「RESAS(リーサス)」とデータのAPIを提供。一部の情報を除き誰でも利用できる。あわせてRESASの使い方を学べるEラーニングも開講している。

地方創生カレッジ[編集]

地方版総合戦略の事業展開に必要な人材の育成・確保のためのオンライン講座。データ分析・総合戦略の検討、事業化・事業推進、官民の連携などを学ぶ基盤編と、総合戦略の事業化、資金調達の各種手法、地域産業の振興などを学ぶ総合プロデューサー、観光・DMO、地域商社、生涯活躍のまちなどについて学ぶ分野別プロデューサー、住民自治や交流について学ぶ地域コミュニティーリーダーの3種類の専門編がある。

地方創生人材支援制度[編集]

市町村長の補佐役として、国家公務員や大学の研究者、民間シンクタンクの人材などを派遣し、地方創生に意欲のある市町村の総合戦略の施策の推進を支援する制度。

地方創生コンシェルジュ[編集]

地方自治体の地方創生の取り組みの相談を、一括して引き受ける国の相談窓口。それぞれの都道府県の出身や勤務経験がある、各省庁の職員が対応にあたる。

プロフェッショナル人材事業[編集]

各地域の企業と、都市圏などの企業で商品開発など様々な分野の専門知識を持つ人材を結びつける拠点の設置。地域活性化の好循環のため、地域企業の事業革新や新商品開発など、積極的な経営への転身をサポートを行うとしている。

地域活性化伝道師[編集]

地域の成長力の強化や雇用創出などを将来担えるような人材育成のために、地域産業、農林水産業、観光などの特定の知識を持つ専門家を紹介。

地域再生・計画[編集]

地域再生制度[編集]

地域の活性化や雇用の創出などを推進するため、地域再生法に基づき、地方自治体の「地域再生計画」を支援する制度。農地を面積などの要件にかかわらず、企業やNPO法人の施設に転用の可能化や、地方に本社機能を移した企業への税制優遇措置などの規制緩和、観光客の誘致、道路や港のインフラ整備などの事業に対して、補助金で支援などの施策を行うほか、地方交付税を交付されていない一部の自治体以外の対象事業に、企業が寄付をした場合、約3割の損金算入と、最大で3割の税額控除を合わせて、寄付額の約6割が減税の対象となる「地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)」。地方や、地域の町中への移住を希望する、50代以上を中心とした中高齢者の生活拠点「生涯活躍のまち(日本版CCRC)」や、診療所や学校、交通サービスなどの各種生活支援機能を集約・確保する「小さな拠点」の形成事業に対して、情報・人材・財政支援に加え、移住者の雇用や介護サービス等の、事業のための認可手続きを簡略化する特例措置などを行う。

中心市街地活性化[編集]

中央市街地の都市機能や経済活動の活性化を、少子高齢化、消費生活などの社会環境の変化に応じて支援する制度。市町村が策定した中心市街地活性化基本計画を内閣が認定して、都市再生整備計画事業、暮らし・にぎわい再生事業、中心市街地共同住宅供給事業、街なか居住再生ファンド、中心市街地再興戦略補助金、中心市街地活性化ソフト事業の各種支援を行う。

都市再生制度[編集]

21世紀型都市再生プロジェクトや土地の有効利用を、環境、防災、国際化等の観点から推進する制度。2014年の閣議決定で、医療・福祉、商業施設などが住居の近くにある、あるいは公共交通によりアクセスができるなど、日常生活に必要なサービスが身近にある「コンパクトシティ」を目指すことによって、生産性の向上や都市経営コストの縮減を目指すなどの、都市再生基本方針の変更が行われた。

環境モデル都市・環境未来都市[編集]

温室効果ガス排出の大幅な削減などの目標を掲げて、低炭素社会の実現と持続的発展に向けて取り組む「環境モデル都市」を基盤として、低炭素・省エネルギーなどの環境価値や、介護や育児などの社会的価値、雇用や観光などの経済的価値の三側面の価値のある、「環境未来都市」の実現と、その成功事例の国内外への普及を目指す取り組み。



Read or create/edit this page in another language[編集]