地中海
地中海(ちちゅうかい、ラテン語: Mare Mediterraneum)は、北と東をユーラシア大陸、南をアフリカ大陸(両者で世界島)に囲まれた地中海盆地に位置する海である。面積は約250万平方キロメートル、平均水深は約1500メートル。海洋学上の地中海の一つ。
地中海には独立した呼称を持ついくつかの海域が含まれる(エーゲ海、アドリア海など)。地中海と接続する他の海としては、ジブラルタル海峡の西側に大西洋が、ダーダネルス海峡を経た北東にマルマラ海と黒海があり、南東はスエズ運河で紅海と結ばれている(「海域」「地理」で詳述)。
北岸の南ヨーロッパ、東岸の中近東、南岸の北アフリカは古代から往来が盛んで、「地中海世界」と総称されることもある。
名称[編集]
地中海を指す Mediterranean という語は、「大地の真ん中」を意味するラテン語の mediterraneus メディテッラーネウス(medius 「真ん中」 + terra 「土、大地」)に由来する。またギリシア語では、これと全く同じ造語法でもって、mesogeios(μεσογειος)と呼んでいた。
歴史的には、他にも各国語で様々に呼ばれてきたことが古文書などを通じて明らかになっている。たとえば古代ローマ時代のラテン語では mare nostrum と呼ばれたが、これは「我らが海」という意味であった。聖書には「偉大なる海」あるいは「西の海」として登場している。近代のヘブライ語では、"ha-Yam ha-Tichon"(הים התיכון、"the middle sea") と呼ばれ、その語義はドイツ語 Mittelmeer と変わるところがない。トルコ語では Akdeniz と言い、これは「黒海」 Karadeniz に対する「白海」という意味である。アラビア語では Al-Baḥr Al-'Abiaḍ Al-Muttawasit(البحر الأبيض المتوسط)と呼んで、「中央の白い海」という意味合いになっている。
近年[いつ?]の英語では、"The Med" という短縮語が、地中海とそれを取り巻く周辺地域を日常の会話で語る場合の共通の語として用いられている。
地理[編集]
正確には、西をジブラルタル海峡で大西洋と接し、東はダーダネルス海峡とボスポラス海峡を挟んでマルマラ海と黒海につながる海をいう。マルマラ海を地中海に含めることもあるが、黒海を含めることはしない。19世紀に掘削されたスエズ運河の開通以降は紅海を経由してインド洋につながる。
内海であるため、比較的波が穏やかである。また沿岸は複雑な海岸線に富んでいるため良港に恵まれ、3つの大陸(ヨーロッパ、アジア、アフリカ)を往来することができる。こうした条件から、地中海は古代から海上貿易が盛んで、古代ギリシア文明、ローマ帝国などの揺籃となった。21世紀初頭の現在も世界の海上交通の要衝の一つである。
地中海の沿岸は夏に乾燥、冬に湿潤となり、地中海性気候と呼ばれる。この気候のため、オリーブ等の樹木性作物の栽培が盛んであるほか、夏のまばゆい太陽や冬季の温和な気候を求めて太陽に恵まれない地域から多くの観光客が訪れる。
下記のように巨大なプレートの衝突によって形成された海であるため、火山が点在し、ヴェスヴィオ山やエトナ山、サントリーニ島など現代に至るまで活発に活動を続ける火山も多い。地震も頻発する。