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地下鉄

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地下鉄(ちかてつ、英語:subway、underground)は、地下鉄道(ちかてつどう)の略で、路線の大部分が地下空間に存在する鉄道である。

定義[編集]

日本語で言う「地下鉄」について、鉄道事業法、軌道法、鉄道軌道整備法など法令上の定義は存在しない。日本民営鉄道協会が編集した鉄道用語事典においては「都市の地下部分に建設されたトンネルの中を走行する鉄道のこと」と説明している。

英語圏では、路面交通の緩和を目的として地下・高架に建設され、他の交通機関との平面交差による影響を受けない鉄道全般を"rapid transit"(ラピッド・トランジット、日本の都市計画法における「都市高速鉄道」とほぼ同義)と称し、これが地下鉄の対訳の一つとされる。Metro(メトロ)。

概要[編集]

定時性・安全性[編集]

地下を通る路線は地下を走行するため景色が存在せず観光用途には向かないが、高架橋の上を通る路線と同様に踏切や交通信号などの存在を介した道路など他の輸送システムとの相互干渉がないため、市街地が密集している大都市の中心部など本来、定時運行が難しい場所でも定時運行が可能であり、踏切事故などの交通事故の危険性も地上の鉄道路線に比べて低い。また地上を走る路線と異なり強風あるいは雨・雪・霧などによる影響も受けることがなく、この点も定時性確保に寄与している。運転時の視認性が悪いため、信号などの保安装置より安全なものが採用されていることが多く、衝突事故の危険性も低い。

しかし、低所を走るため排水設備に不備があると水害の危険があり、またオウム真理教による地下鉄サリン事件などテロリズムの脅威もある。また、欧米では防火設備の不十分な古い地下鉄も多く、木製の車両やエレベーターが存在しているところもある。

路線の構造[編集]

断面
草創期の地下鉄は地表面を掘り下げて箱形のトンネルを造る開削工法によって建設された。開削工法は工事費用が安く済む代わり、トンネルの両壁に当たる箇所に打ち込む連続した土留杭が必要であり打ち込み工事が交通の支障となるばかりか、工期や工事費の関係からも浅いトンネルしか建設できなかった。開削工事はまた、工事中は地表面の仮保護により地上の交通の妨げにならないよう配慮するも、地下鉄建設に関係する資機材や掘り出した土砂の搬出口を地上に設置する必要があり地上交通への影響は避けられなかった。しかしシールド工法の登場で地上・地中の構造物に極力影響を与えることなく地下に路線を建設することを可能にし、工事中に直上道路の車線が減少するなど地上交通や都市景観への影響も極力回避できるようになった。シールド工法により造られたシールドトンネルは土圧に耐えるため通常は円形であるが、プラットフォームを設けるため眼鏡型など特殊形状のシールドマシンを用意した例もある。なおいずれの工法を取る場合においても駅舎建設(地上に設ける出入口を含む)のため一部は開削工法に頼らざるを得ない。なおベイエリアに代表される浅い海には一般に沈埋トンネルが採用されるため箱形であり、地盤状況が許せばNATM工法など山岳トンネルと同じ工法が採用されるため馬蹄形の断面となる。
路線の線形・車両の大きさ
線形について、市街地の地下に路線を通す場合は、国によって事情は異なるが多くの場合、法律や地上の土地所有権などが絡む問題があり、それを回避するため公有地である道路(公道)の地下に通すことが多い。道路の地下に路線を建設する場合、路線の形状やルートが都市の構造に依存するため、長い直線的な道路が地上に存在しない場所では路線が複雑に曲がりくねるルートとなり速度制限を受ける。大断面のシールドマシンが準備できないなど工法上の制限や、建設資金上の制限がある場合、時間あたりの輸送人員は低下するが工事費の安くつく小型の車両を採用した路線になりがちである。
勾配および地下区間の選定
一般に地下を掘って構造物を造る工事は費用がかさむため、特に郊外の区間において高架区間や地上区間を併用することが一般的である。勾配も車両の性能が許す限り大きめに取りトンネル延長・地上に出るまでの距離のどちらもできるだけ短く留め、また凸凹のある地形を利用し、できるだけ明かり区間を長く取る路線選定がなされることがある。

他の交通機関との連携[編集]

地下鉄と一般鉄道はハード面では互いに独立したシステムとなっている例が大半だが、ドイツ等では路面電車やバスを含めた大規模な共通運賃制度が実施され、ソフト面で連係が進められている例が多い。一部の路線では交通機関同士でダイヤグラムを調整したり、乗り場を同一平面に置くなど、円滑な乗換えが出来るように考慮されている。一方で相次ぐ路線の増設により、駅が離れていたり、経路の案内がわかりづらかったりと(同じ事業者の路線でも)乗継が不便になっている例もまま見受けられる。

なお、郊外電車の運営事業者が都心部で独自の地下線を有するケースがある。この場合、地下鉄と同じ役割を果たしていても地下鉄と認識されない場合が多い。

空港連絡鉄道としても重宝されており、世界の主要な都市の空港では地下鉄が乗り入れを行っているケースが多い。

費用[編集]

地下鉄は建設にも維持管理にも莫大な費用を費やす交通機関であることから、大量の輸送需要が見込める都市でないと建設・維持することが難しい。日本で地下鉄のある都市は100万人以上の人口を抱える都市圏である。さらに建設費の償還や維持費の確保のため、他の公共交通機関と比較すると運賃が割高な傾向がある。建設しても需要が予想をはるかに下回ったとき非常に大きな負担となる場合もある。そのため、それほどの需要が見込めない場合は建設費用や維持費用が地下鉄より安いモノレール、新交通システム、LRT、BRTなどが選ばれることが多い。

さらに発展途上国の場合、維持していけるだけの需要が見込めるにもかかわらず経済的に建設できる能力がないとき、先進国からの政府開発援助(ODA)や世界銀行からの融資によって建設されることがある。

軍事利用[編集]

第一次世界大戦・第二次世界大戦の際、ロンドン地下鉄が防空壕の役割を果たしたことから、戦争や自然災害などの有事の際の大規模な避難所としての利用が想定されていることがある。その例として休戦状態の韓国ではソウルや釜山などで地下鉄と共に地下街や地下通路が多く整備されており、軍事都市の側面を持ち合わせている。北朝鮮の首都・平壌の地下鉄は地下150mという大深度に建設され、核戦争に備えている。これは、ソ連期に作られたモスクワやレニングラードの地下鉄も挙げられる。ブルガリアの首都・ソフィアの地下鉄は駅の入り口に防爆扉がついている。軍事において兵力や物資の輸送も可能であるため、各国の軍隊によって物資輸送演習が行われることがある。

もっとも完全に安全というわけではなく、日本では太平洋戦争の際、(日本で最初にできたため)比較的浅いところを走る東京メトロ銀座線で空襲による損傷を受けており、現在でも銀座駅にその痕が一部に残存している。ロンドン地下鉄においても、直撃弾により大きな被害が出た例が複数ある。また、国会議事堂前駅や東京メトロ有楽町線のように有事を想定した建設が行われているという都市伝説が流布する例もある(東京地下秘密路線説も参照のこと)。

近年では、ロシアのウクライナ侵攻により、キーウなどの地下鉄の施設がシェルターとして利用されている。

歴史[編集]

地下鉄の歴史は19世紀のイギリスのロンドンから始まった。1863年1月10日にメトロポリタン鉄道のパディントン駅からファリンドン駅の間、約6kmが開通した(現在のサークル線の一部)。当時のイギリスは鉄道の建設が盛んであったが、ロンドン市内は建物が密集しており地上に鉄道を建設できなかったためである。この路線を計画したのはロンドンの法務官であるチャールズ・ピアソンで、1834年に開通したテムズトンネルをヒントにしたとされる。車両は開業当初から1905年に電化されるまでは蒸気機関車を使用していた。硫黄を含む煙が発生するため、駅構内は密閉された地下空間ではなく換気性を確保した吹き抜け構造となっていたほか、路線の一部も掘割であった。

地下鉄を意味することも多い「メトロ」という単語の語源は、この「メトロポリタン鉄道」に由来している。そして、その「メトロポリタン鉄道」を語源として命名された、パリの地下鉄の略称である「Métro (Métropolitain)」から世界中にその呼称が広まったといわれている。

イギリスでの開業後はしばらく間があき、30年近くたった19世紀末 - 20世紀初頭に欧米の各地で建設されていく。1875年にトルコのイスタンブールで地下ケーブルカー「テュネル」が開業した。1896年にハンガリーのブダペストでも本格的地下鉄が開業。ブダペスト地下鉄は当初から電化されており、これは地下鉄としては世界で最初の電化路線であった。さらに1898年にはアメリカ合衆国のボストン、そして1900年にはフランスのパリにおいて開通した。ドイツのベルリンでも1880年頃には地下鉄を通す計画が存在したものの反対勢力によって計画が遅れ、開通は1902年であった。

第二次世界大戦が開戦するまでには南米や日本、ソヴィエト連邦の大都市でも建設が行われ、戦後は中規模の都市にも広まった。1970年代以降は発展途上国でも整備され、公共交通機関として一般化した。

構造[編集]

路線[編集]

一般的に地下鉄と呼ばれる路線でも高架区間や地上区間を有することはあるが、トンネル構造物が区間の大部分を占める地下鉄では保守点検作業に多くの手間が掛かる。そのため、それを少しでも減らすために維持の手間が少ない直結軌道やスラブ軌道の路線を採用していることが多い。この方式では床や枕木にコンクリートを使用するため、砂利を敷き詰めるバラスト軌道に比べ寿命が長く、車体への負担も少ないという利点がある。その代償に初期費用がバラスト軌道に比べて非常に割高である。

世界の全ての地下鉄が電化されている。その電源・集電方法は国や路線によって様々である。電源は直流600 - 1,500Vが主に使われている。交流を採用している路線は、インドのデリー(25,000V 50Hz)のみである。アジアでは750Vと1,500Vが、ロシア・東ヨーロッパでは825Vが、西ヨーロッパや北アメリカでは600Vから750Vが、南アメリカでは750Vや3,000Vが主流である。集電方法は第三軌条方式(およびロンドンの四軌条方式)と架空電車線方式があるが、国や地方同士の中でも混在しており、分布の偏りは見られない。なお、第三軌条方式は鉄道が走行する2本のレールに平行して3本目のレールを敷設し、このレールを通じて電源を供給する方式である。地下鉄において集電方法に第三軌条方式を採用すると架空線の場合よりもトンネルの断面積が狭くなり、建設費用が抑えられる。同じ目的で日本などの一部の国では鉄輪式リニアモーターカーも採用されている。



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