博多区
博多区(はかたく)は、福岡市を構成する7区の行政区の1つ。福岡県庁所在地。市内の主要インフラ(博多駅・博多港・福岡空港)を抱え、国道3号が区内を縦断するなど、交通の中枢となる。九州の経済において根幹を担う事業所が多数立地し、卸売業販売額は九州内シェア27%を誇る(2014年商業統計)。
概要[編集]
区内には九州最大のターミナル駅である博多駅や日本三大歓楽街として有名な中洲、川端通商店街や大規模複合商業施設のキャナルシティ博多などが位置している。博多駅周辺には大規模なビジネス街が広がっており、2011年には駅ビルのJR博多シティが開業するなど2010年代以降は大型商業施設の集積が進んでいる。博多総鎮守として知られる櫛田神社の奉納神事である博多祇園山笠が毎年行われ、当区は「博多部(はかたぶ)」と呼ばれる商業都市「博多」の旧市街を含む。櫛田神社の他にも東長寺や承天寺、住吉神社などの古くからの神社仏閣が軒を連ねる。博多区は天神や大名、大濠公園などを擁する中央区とともに福岡市の都心を形成している。1981年に中央区天神から当区東公園に福岡県庁が移転してきた。
名称について[編集]
旧来から「博多」と呼ばれるのは、博多区のうち概ね那珂川と御笠川(石堂川)、及び那の津通りと国体通りに挟まれた博多旧市街にあたる区域のことで、狭義の博多(博多部)にあたる。全地域が博多小学校・博多中学校の校区に含まれ、これに三笠川右岸の千代町を含めた部分は複数町からなる「流(ながれ)」を構成して博多祇園山笠や博多松囃子などの伝統行事を現代まで受け継いでおり、博多を特徴づける文化的共同体を保持している。なお、博多部の範囲は現在の中心地区である博多駅の位置とは異なる。
「博多」という地名は、「福岡(那珂川より西側の城下町)」との合併による福岡市制発足からは「博多駅」や「博多港」などの一部に残るに留まり、行政区画では用いられていなかったが、1972年に福岡市が政令市に昇格するにあたって「博多区」としてその名称を復活させた。現在においては単に「博多」といった場合、狭義の博多である「博多部」というよりも、博多駅周辺や博多区を指すことが多い。また特に市外の人にとっては博多駅が市の玄関口であることや博多の全国的知名度が高いことから、福岡市の別称のような形で福岡市そのものを指すこともあり、その言葉が指し示す範囲には曖昧性・多義性がある。
地理[編集]
地理上は福岡市の東部にあたり、北西から南東に向かって長く伸びた区域である。北西部では那珂川を挟んで中央区と接し、中西部では那珂川および鹿児島本線を挟んで南区と接する。北部で東区と、東部で志免町と、南東部で大野城市と、南西部で春日市と接する。
歴史[編集]
1972年4月1日、福岡市が政令指定都市になると同時に発足した。発足当時は福岡市の区の中で唯一、地域固有の地名に由来する区名であった。
区制施行以前の歴史は、博多および福岡市を参照。
2021年12月に隣接する藤田公園と敷地を入れ替える形で2代目庁舎が竣工した。
人口の変遷[編集]
- 1975年 163,523
- 1980年 162,367
- 1985年 162,787
- 1990年 165,631
- 1995年 169,319
- 2000年 180,722
- 2005年 195,711
- 2010年 212,527
- 2015年 228,441
- 2020年 252,034
行政区分[編集]
県庁所在区のため、衆議院総選挙区は福岡県第1区となっている。なお、福岡市の中心区である中央区は福岡県第2区である。
地域[編集]
北西端部は博多湾に面した港湾地区で、博多港を中心に倉庫や流通の拠点となる場所である。ここ博多港にあるベイサイドプレイスからは、壱岐、対馬、五島及び玄界島へのフェリーやジェットフォイルが就航しており、博多ポートタワーがある。
北西部は古くから港町・商業都市として栄えてきた「博多」と呼ばれる地域で、天神と並ぶ福岡市の中心市街地の呉服町や祇園がある。中でも那珂川と博多川に挟まれた地区は「中洲」と呼ばれ、日本有数の歓楽街となっている。そこから南下すると、キャナルシティ博多がある。
市街地の南東端には博多駅がある。初代の博多駅は、古来からの博多市街に近い場所に駅を作ってほしいという地元の要望を受け入れたため現在の出来町公園付近にあり、線路は大きく西にカーブしていた。旅客や貨物の増加による混雑が深刻となったため、当時は田畑が広がっていた街外れに線路を移設し、周囲を区画整理して新たな博多駅を作ることになり、1963年に現在の場所に博多駅が移転した。2011年に博多駅の建て替えに伴い、JR博多シティが誕生した。博多駅周辺地区はビルやホテルが林立するビジネス街としての性格が強かったが、博多駅建て替えにより、都市部の大型ショッピングモールができ、近年は商業地としての顔も芽生え始めてきた。
区の中央部から南東部にかけて、福岡空港の敷地が伸びている。空港の西側は住宅地。空港東側の東平尾公園と呼ばれる緑地には博多の森球技場、ベスト電器スタジアム(アビスパ福岡の本拠地)などの諸施設があるが、その南側には住宅地が広がる。
区北部には東公園と呼ばれる緑地があり、園内に福岡県庁や福岡県警察本部がある。