化粧
化粧(けしょう、仮粧、英: makeup、仏: maquillage)とは、広辞苑によると、主として顔に、白粉(おしろい)や紅(べに)をつけて装い飾ること。
概説[編集]
『ブリタニカ百科事典』によると、化粧というのは、人間の顔を中心として首手足などの表面に化粧料を施し、美化することである。広義には、人だけでなく、ものの外見を美しく飾ることである。
見る人の印象を操作するという機能本質部分では、化粧と「装飾的な衣服」は同一であり、元来は一体的なもので、化粧のほうが洗い流すものであるのに対し、衣服は着脱可能で、はずしても原型をとどめる、という違いがある。
古代から一部の人が化粧をしていた。古代エジプトでは王族などがすでに化粧をしていたらしい。
王族などが人前に現れるとき、化粧を用いた。祭礼などでも化粧が行われた。だが古代ギリシアでは日頃の鍛錬こそが本当の美を生むとされ、化粧のような上辺だけのものは評価されず、さらに中世ヨーロッパでは「七つの大罪」のひとつの「傲慢」にあたるとして行われなくなった。だが、16世紀の宗教改革の後に化粧はふたたび行われるようになった。
化粧に用いる品々を(おもにからだに塗る粉、液、ペーストの類を)「化粧品」と言う。道具類は「化粧道具」と言う。化粧を行うための部屋は「化粧部屋」「化粧室」という。
化粧の心理的な効果の内容は、その化粧の内容にもよるが、一般的な化粧によって得られる当人への心理的効果としては、自尊心の向上と、社会的な幸福感がある。化粧の作業は鏡に向かうので自己意識や内省的な傾向を高めるなど、心理的な安定をもたらす効果がある。
化粧の心理作用[編集]
化粧の内容にも左右されるが、一般的な化粧によって得られる心理的効果には自尊心の向上と、社会的な幸福感がある。化粧することによって自分の身体的問題点をカバーし、自己呈示したい特徴を増強することで、自己評価を高めるとともに社会的積極性を高めることになる。
化粧の作業には適度な緊張が生じることから気持ちの切り替えがしやすく、鏡に向かうことによって自己意識や内省的な傾向を高めるなど、心理的な安定をもたらす効果がある。また、うつ病や老人性認知症などの患者に対して化粧指導することで、平板化した感情を活性化し、社会復帰を促す効果が示されている。
化粧行動は他者や世間への関心を前提として、自分の印象を管理することで関係の調和を図り、社会的承認欲求を満たすことが基本的な動機となる。また、入念な化粧をすることで、変身願望や若返りといった自己満足を達成する意味もある。化粧による自己満足感は年代的には30代後半で特に多く認識されており、その後はしだいに習慣性のものと認識される傾向がある。