内田篤人
内田 篤人(うちだ あつと、1988年3月27日 - )は、静岡県田方郡函南町出身の元プロサッカー選手、サッカー指導者。
元日本代表。現役時代のポジションはディフェンダー(右サイドバック)。
プレースタイル[編集]
スピードと高い技術を併せ持った右サイドバック。元々は主に右サイドハーフや攻撃的MFのポジションでプレーしていたが高校3年に上がる春に右サイドバックにコンバートされた。高校時代の恩師・梅田和男はコンバートの理由について「前方に距離とスペースがあった方が(内田)篤人にとって余裕ができると思ったからです。守備はそれほどうまくなかったけど、相手に抜かれても追いつくスピードがあった」と評している。
シャルケ04の強化部長・ホルスト・ヘルトは内田の長所として、試合での戦術指示を完遂する自制心の強さ、攻撃にアクセントを与えつつも常に守備面を忘れない姿勢、走力というフィジカル面の強みなどを挙げている。欠点としてクロスの精度を挙げているが、その点については内田自身が改善に向けて努力しているとしている。
シャルケ移籍3か月後には「相手はデカイけど、タイミングさえあえば、(懐に)入れる。そこら辺のすばしっこさは僕の方があるので。それに、(相手に)ぶつかられても、それがボール持っているときでも、なかなか体勢が崩れなくなってきた」と自己分析している。
後方からのビルドアップ力に長けていることから、日本のサッカーメディアでは「日本におけるモダンSBの先駆け的存在」と称する向きもある。サッカージャーナリストの川端暁彦は「彼も最初からSBだったら、ああいうプレスかけられても動じることなく組み立てもできるような選手になっていないと思うんだよ」と評している。内田自身はバスケットボール漫画『SLAM DUNK』の登場人物、宮城リョータのプレーぶりを意識したものとしている。
一方、ドイツのサッカーメディア・90minは内田について「ブンデスリーガの他のすべての右サイドバックに影響を与えるような偉大なサッカー選手ではなかった。彼も最初は、異なるサッカー、新しい環境、異文化に適応しなければならなかった。環境に慣れ、技術に慣れた時、彼はあの時代の最も安定した選手の一人であった」と堅実なプレーぶりを評価している。
エピソード[編集]
- 子供の頃は教師になることも夢見ていた。
- 下戸であり、ブンデスリーガ開幕前に開かれた壮行会でチームメイトがビールで乾杯する中、内田篤人だけバナナジュースを飲んでいた。またDFBポカールでのフランクフルト戦終了後、シャルケの主力4選手がディスコでの夜遊びを目撃された問題について、記者に伝えられるまで内田自身は知らず「オレは第1便で帰りました。ビール飲めないですから」と語っていた。
- 与えられた休暇を早く切り上げてドイツに戻り、練習に参加する姿勢をフェリックス・マガト監督から「こういう選手がチームにいるのは、本当に嬉しいことだ」と高く評価された。
- シャルケのチームメイトやサポーターからは「ウシ(ー)」または「ウッシー」と呼ばれている。本来、標準ドイツ語では[chi]は「ヒ」と発音されるが、シャルケ04の本拠ノルトライン=ヴェストファーレン州をはじめとする地域で話される低ザクセン方言(または低ザクセン語)では、境界を接するフランス語同様に「シ」と発音される。なお、ドイツ語圏において「ウシー(Uschi)」は女性名である「ウルスラ」の愛称のひとつでもある。
- チームメイトのクリストフ・メッツェルダーは内田を「いい選手であるばかりでなく、人間としてもすばらしい」と好評価。そんな内田にメッツェルダーが望むことがあるとしたら、それは「もう少し自分を表現して欲しいことかな。まだ若い選手だからね」とコメントを残している。
- 2011年2月26日の1.FCニュルンベルク戦にて、「内田篤人シャルケ04公式応援ツアー」参加者が応援に駆け付け、95人のうち女性が90人という人気ぶりに、同僚からは「日本のベッカム」と冷やかされたという。また、その女性人気から「チームで僕が日本でモデルをやっていたという誤情報が流れている」と苦笑した。
- 2011年3月12日、ブンデスリーガ第26節・アイントラハト・フランクフルト戦勝利後、「日本の皆へ。少しでも多くの命が救われますように。共に生きよう!」と書かれたシャツを着て、前日に日本で起きた東北地方太平洋沖地震の被災地に向けメッセージを送った。
- 元同僚だったドイツ代表のマヌエル・ノイアーとは、シャルケから移籍をする直前に内田をドライブに誘い、オービスの位置や、お気に入りのアイスクリーム屋を案内してあげたなどのエピソードがある。
- 好きなゲームは『モンスターハンター』で、インタビューで「最近嬉しかったのは、モンスターハンターで、クシャルダオラを倒したこと。そいつは、メチャ、強いの。風使いの龍なんだけどね、倒れて起き上がるときにバンってなっちゃうの。爆弾とか使って倒したの」と語るほどである。
- 2013年1月14日、ドラマ『ビブリア古書堂の事件手帖』(月9・1月 - 3月クール)の第1話で、AKIRA(EXILE)演じる五浦大輔にハローワークで対応した相談員役で出演している。ちなみに、このドラマで使われた挿入曲、「let go」は内田本人が大好きな曲であると、かつてのインタビューで答えている。
- 2013年11月11日、ドラマ『海の上の診療所』(月9・10月 - 12月クール)の第5話で、安達祐実演じる女子アナの上村絵里子と交際が発覚したプロサッカー選手として実名で登場した。写真のみの出演である。
- 2013年、ラジオで知った吉田拓郎の曲を聴き込んでいて、吉田拓郎からCDを大量にプレゼントされた。一番好きな楽曲は「外は白い雪の夜」という。
- 2015年5月25日、一般女性との結婚を発表。
- 同年、「ベストジーニスト2015」グローバル特別敢闘賞を受賞。
- 2017年5月13日、ホーム最終戦で第一子が誕生したことを発表。
所属クラブ[編集]
- ユース
- - 1999年 函南SSS
- 2000年 - 2002年 函南町立函南中学校
- 2003年 - 2005年 清水東高校
- プロ
- 2006年 - 2010年6月 鹿島アントラーズ
- 2010年7月 - 2017年8月 シャルケ04
- 2017年8月 - 2018年1月 1.FCウニオン・ベルリン
- 2018年1月 - 2020年8月 鹿島アントラーズ
タイトル[編集]
クラブ[編集]
- 鹿島アントラーズ
- J1リーグ:2007年、2008年、2009年
- 天皇杯 JFA 全日本サッカー選手権大会:2007年
- スーパーカップ:2009年、2010年
- AFCチャンピオンズリーグ:2018年
- シャルケ04
- DFBポカール:2010-11
- DFLスーパーカップ: 2011
代表[編集]
- AFCアジアカップ:2011
個人[編集]
- Jリーグベストイレブン:2008年、2009年
- ブンデスリーガ公式HP・ベストイレブン:2012-2013、2013-14
- アントラーズ功労賞:2022年
- J30ベストアウォーズ ベストイレブン:2023年
日本代表歴[編集]
- フル代表初出場 - 2008年1月26日 キリンチャレンジカップ vsチリ (国立競技場)
- フル代表初得点 - 2008年6月22日 2010 FIFAワールドカップ・アジア3次予選 vsバーレーン (埼玉スタジアム)
出場大会[編集]
- U-16、U-17日本代表
- AFC U-17選手権2004 (予選敗退)
- U-18、U-19、U-20日本代表
- AFCユース選手権2006 (2位)
- 2007 FIFA U-20ワールドカップ (ベスト16)
- U-22、U-23日本代表
- アジア男子サッカー2008 最終予選 (北京オリンピック2008最終予選)
- 北京オリンピック (グループリーグ敗退)
- 日本代表
- 東アジアサッカー選手権2008 (2位)
- 東アジアサッカー選手権2010 (3位)
- 2010 FIFAワールドカップ (ベスト16)
- AFCアジアカップ2011 (優勝)
- FIFAコンフェデレーションズカップ2013 (グループリーグ敗退)
- 2014 FIFAワールドカップ (グループリーグ敗退)
試合数[編集]
- 国際Aマッチ 74試合 2得点 (2008年 - 2015年)
日本代表 | 国際Aマッチ | |
---|---|---|
年 | 出場 | 得点 |
2008 | 14 | 1 |
2009 | 13 | 0 |
2010 | 7 | 0 |
2011 | 11 | 0 |
2012 | 7 | 0 |
2013 | 13 | 0 |
2014 | 7 | 1 |
2015 | 2 | 0 |
通算 | 74 | 2 |