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住宅

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住宅(じゅうたく、英語: house, あるいはresidence)は、人の居住を用途とする建築物。「住居」とも言う。

概説[編集]

機能[編集]

住宅にはさまざまな機能が存在するが、最も重要なものは外部の危険から居住者を守る機能である。この危険は雨や風、寒さや暑さなどといった日常的なものから、台風などの突発的な自然災害に至るまで多岐にわたる。これと同様に、居住者が快適に生活を営むことのできる機能も重要である。居住者は住宅内部において睡眠を取り、食事をし、家庭を持っている場合は育児や団欒、介護などの家庭生活を行い、また趣味や休息などを含む日常生活の大きな部分を住宅内において過ごす。家族が暮らしている場合、住居には食事や団欒、来客対応といった家族・他者との生活部分と、勉強や休養、就寝といった純粋に私的な部分の2つの役割が存在し、前者は居間などで、後者はおのおのの個室で主に行われる。

居住者への影響[編集]

住宅は人の生活の拠点であり、居住者は住宅内部で長い時間を過ごすため、住宅の質は人の健康に大きな影響を与える。住宅建設の際、日照や採光、通風などを考慮し、湿度や空気のよどみなどを避けることが健康的な生活につながる。建材などに含まれる化学物質など、住居における何らかの要因で体調不良を起こすシックハウス症候群と呼ばれる病気も存在する。階段や段差といった障害で転倒するなど、住宅内での事故も多く、この対策として住居内の段差を減らしたり、動線を改良し通路を広げ手すりをつけるなどして移動しやすい住居にし、浴槽を低いものにして浴室の床を滑りにくくするなど、障害を減らし高齢者でも安全に暮らせるバリアフリー住宅の建設も増加傾向にある。

住居を規定するもの[編集]

住宅の形状はその土地の気候条件、およびそれに応じてその土地で取れる材料によって規定されるものである。だが、現地の文化によっても大きく左右される。男性と女性の居住空間を分離する文化のある民族は珍しくなく、基本的に一室しかない遊牧民の移動式住居においても、男女の生活スペースが定められていたり、男女間に幕などによって物理的に仕切りを作る場合がある。また、住居の構造はしばしば宇宙観や宗教論と結びつけられることがあり、風水のように周辺の環境とも関連付けて考えられることがある。

歴史[編集]

採集生活の住居[編集]

遙かな古代には人類は採集のために移動生活を行っていて、ごく初期には洞窟など居住に適した地形を見つけ暮らしており、やがてキャンプ地で手に入るものを寄せ集めて風雨をしのぐための仮の建築物をつくるようになった。これが住宅の起こりである。この時期は移動して生きていたので住居はテントや掘立小屋程度のものだった。

やがて定住を行うようになるとともに、固定的な、容易に移動できない住居をつくるようになった。

住居の材料[編集]

人類は定住するに当たり、まずはその近辺に豊富にある材料を寄せ集めて住宅を作った。このため世界各地でその風土ごとの様々な材料の住宅が存在するようになった。なお、こうして近隣で豊富に取れる材料を使って住宅を建設することは近代にいたるまで一般的であった。土や粘土は主要な建築材料のひとつであり、中東などの乾燥地においては、泥を型に入れ乾かすことで簡単につくれ断熱性に優れる日干し煉瓦(en:Mudbrick)が古代より主要な建築材料となっていた。一方高温多湿な熱帯やモンスーン地帯においては、軽量で風通しがよく雨に強い木材を使用することが一般的だった。高温湿潤地域においては、竹も主要な建築材料だった。湿地帯においては外装材に葦が多用された。石材も、どの文明でも使用された。特殊な建材としては、北極圏のイヌイットは冬季の住居に氷のブロックを用い、イグルーを建造していた。コンクリートも、古代エジプト、古代ローマの時代から、建築材料のひとつとして使われていた。特に古代ローマ帝国の技術者たちが使うローマン・コンクリートは優れており石材と組み合わせて使用された。

一方、移動の多い遊牧民などは住居として動物の毛皮や皮革などを使ったテントを設営した。

また地上に家屋を構えるのではなく、乾燥地においては地面を掘り下げたり地下に穴を掘って住居を建設することも近代にいたるまで行われていた。黄土高原における窰洞やカッパドキア・カイマクルの地下都市、チュニジアの旧マトマタなどがよく知られた例である。

変化・深化[編集]

住宅建設の技術が進むにつれて、その形状もその場所の環境に合うように変化を遂げていった。寒冷な地域においては炉(en:hearth)や囲炉裏などといった暖を取るための設備が重視され、多湿地域においては湿気を避けるためにしばしば建物は高床建物となった。また乾燥地域では降雨に対応する必要がないため屋根は平らなものとなる一方、多雨地域では雨を流すよう屋根に角度がつけられていることがほとんどである。他者の襲撃が絶えなかった地域においては住居は防御力を重視して建造され、西アフリカの環状住居や中国南部の土楼のようにいくつもの住居をつないだ小要塞を建造したり、またニューギニア島の一部民族のように樹上住居を建設した民族も存在する。こうしたさまざまな素材・様式の住居は居住者の行動を規定し、生活様式に大きな影響を与えた。

産業革命以降[編集]

産業革命以降、都市への急速な人口集中によってさまざまな「住宅問題」が発生するようになった。都市中心部には低賃金労働者が集中してスラムなど不良住宅地区が生まれ、それを嫌ったブルジョワジーたちは郊外に自宅を構え、都心部のオフィスへと通勤するようになった。こうして19世紀には職住分離が一般化し、通勤需要をまかなうための公共交通機関の発達もはじまって、都心と郊外による都市圏が成立した。一方、労働者層の住宅問題は深刻化し、いくつかの対策が検討されるようになった。こうした対策の一つとして、1898年にはエベネザー・ハワードが明日-真の改革にいたる平和な道によって自然と共存し自立した都市近郊の小都市論、いわゆる田園都市構想を提唱した。また衛生面における住宅改善の必要性は、ル・コルビュジエらに影響を与えた。

都市への人口集中は地価の高騰をもたらし、大都市圏では一戸建ての率が目立って減少し、住宅は集合化・高層化の道をたどった。また住宅が都市のはるか遠方にまで連なるようになり、通勤時間の増大を招くこととなった。貧困のため満足な設備のない住居に居住する人口は現代においても非常に多く、特に途上国では大規模な不法居住地区にスラムが広がっている都市も多い。

19世紀後半に鋼鉄材で強化されたコンクリートすなわち鉄筋コンクリートの技術が開発され、同世紀末にその特許を取得する人なども現れ、これも利用されるようになっていった。

住宅の分類[編集]

  • 一戸建て/ 集合住宅
    • 一戸建て - 独立した一棟(ひとむね)を一家族が使用するように建てられた家。「戸建て(こだて)」「一軒建て」とも。
    • 集合住宅 - 日本では集合住宅は建て方により長屋と共同住宅とに分けられる。長屋は一棟の建物を水平に分割し各戸ごとに出入り口を設けたもので、各戸が庭を持つテラスハウスや、その住宅群が共用領域を持つタウンハウスなども含まれる。共同住宅は多数の世帯の住居を積層化させたものである。共同住宅にはアパート、マンション、団地などが含まれる。
  • 構造形式による分類
    • 木造住宅
      • 木造軸組構法(日本では、"在来"工法などと呼ばれる)
      • 木造枠組壁構法(2×4工法)
      • 木骨造(木造ラーメン構法)
    • 石造り住宅(英: stone house)
    • プレハブ住宅
    • 鉄骨造住宅
      • スチールハウス工法
      • 軽量鉄骨造
      • 重量鉄骨造
    • 鉄筋コンクリート造住宅
  • 所有権による分類
持ち家 / 借家
  • 居住する世帯の数による分類
単世帯住宅 / 二世帯住宅 / 三世帯住宅 ...
  • 不動産販売による分類
    • 中古住宅
      • 中古集合住宅(「中古マンション」「中古アパルトマン」など。中古住宅のリノベーションはしばしば行われる。)
      • 中古一戸建
    • 新築住宅
      • 建売住宅(たてうり- ) - 土地と家屋(住居)がセットになった状態で販売されるもの。新築マンションと同様に建築確認申請を済ませた段階でなければ、宅建業法により売出やその広告を出すことができないため、家屋の間取り・デザインはデベロッパーが決定したものに固定される。
      • 注文住宅 - 施工主(家主)が設計事務所・大工やハウスメーカーに依頼し、既に用意してある土地に家屋を建築させるもの。プレハブ住宅のようにある程度レイアウトが決まっているものが主流であるが、オーダーメイドのため間取りや外観・構造の設計が自由に決められる。
      • 建築条件付土地 - 売買契約締結後、一定期間内に売主が指定したハウスメーカーで住宅の着工が行えることを条件に売り出される土地(分譲地)。ハウスメーカーは指定されない場合もある。条件に反した場合は売買契約が解消される。都市部では築年数が相当経過した戸建(古家)が条件付土地として売り出されることもあるが、一般的に買い主負担で古家を取り壊して更地にした上で着工しなければならない。
  • 「大・小」「広・狭」による分類
    • 狭小住宅
    • 豪邸
  • トレーラーハウス - キャンピングカー
  • 輸入住宅
  • ムードンの工業化住宅

その他、さまざまな分類がある。

日本の古来の住居・住宅の諸分類

住宅の間取り[編集]

間取りとは住宅の部屋の配置のこと。英語ではプラン(plan)と言う。

たとえば台所、居間、寝室、トイレ、浴室などが相対的にどういう位置関係に配置されているか、また東西南北の位置の違いによる日照条件の差なども考慮して相対的にどの方角に配置されているかということ。

また「間取り」でその配置を決定することも言い、その場合は「平面計画」や "平面図の作成 " とほぼ同義になる。

関連項目
  • 廊下 / 玄関 / 子ども部屋 / パントリー / ウォークイン・クローゼット / 押入れ / 和室 / 書斎 / ポーチ / 屋根裏部屋 /地下室

住宅用庭園[編集]

家庭用の家庭菜園も含め、住宅の庭は、最も一般的な庭の形態であり、「前庭」や「後庭」など住居の側にあり、前庭はフォーマルかつ半公共の場である可能性もあるため、条約や現地の法律の制約を受ける。通常屋外空間のヤードは住宅の庭を上に設けることができる屋根庭園、吹き抜けや中庭、バルコニー、windowboxesまたは上のパティオなどがある。住宅用庭園は、ほとんどの場合個人用に設計されているため、一般的に人間規模で設計されているが、素晴らしい家や広い敷地の庭は、公共の公園よりも大規模な場合もある。

住宅用庭園は、ある特定種類の植物を展示するための特殊な庭園であっても、またはロッカリーであってもまたは水の特徴などの特殊な特徴を備えていても、かまわないがそれらはまたハーブや野菜栽培にも使用されているため、持続可能性においては重要な要素である。

裏庭[編集]

裏庭は本邸が周囲の庭園を2つに分けると発生している。これは特にイギリスの都市や町の高密度住宅で起こり、20世紀のイギリス郊外の典型的な半戸建て住宅には道路に面してアクセスできる正面庭園があり、そのような場合の裏庭はより隔離され、アクセスは一般的に住居を経由するか、側方を通る道で行われる。各国のフロントガーデンは半公共のスペースであるため、条約や法律の制約を受けているが、裏庭はよりプライベートでカジュアルなものであり、そのためより多くの目的に使用される。

機能的には、以下の用途に使用できる。

  • 家庭菜園(食物(となる植物)を育てる)
  • 園芸 / 温室 / 堆肥ヒープづくり
  • 趣味の場所 - 小屋 / 工房 / ガレージ
  • 見られたくない衣類を乾かす場所
  • くつろぎの場 / 日光浴をする場
  • 子供のための安全な遊び場 / パーティーの場所
  • 第二次世界大戦のアンダーソンシェルターのような防空壕の場所

構成要素[編集]

基礎、屋根など
  • 基礎(下部工)
  • 屋根
  • 外壁
  • 外装
屋内
  • 内壁
  • 天井
  • インテリア類や道具類など
    • 調理器具 / 照明 / 家具 /収納家具 / 寝具 / 家電製品 等々
外回り
  • テラス
  • 外構・エクステリア
    • 門 / アプローチ / 柵 / 塀 / 駐車場 / カーポート 等々

また、給排水(上水道・下水道)、電気関連(電力量計、配電盤、ブレーカー、屋内配線、コンセント類)、ガス関連(ガスメーター、屋内ガス管 等々)の設備もある。



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